感情タグBEST3
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SFの魅力は数あれど、私にとって「理屈の通ったホラ話」が第一だ。小学生の頃、アシモフ『われはロボット』所収「堂々めぐり」を児童向けにリライトした話に熱狂したものである。
『虚無回廊』、まずSS(スーパーストラクチャー)の大風呂敷の広げっぷりに圧倒される。地球から5.8光年。この微妙な距離感はどうだ。そこへ到達するためのAE(人工実存)の開発。
AEひとりでは間が保たないので、VP6人を設定。唯一の女性はベアトリス。ダンテの恋人ベアトリーチェ。あれ? ベアトリーチェはアンジェラEの役回りなのでは?
瀬名秀明によって続編が書かれているのを知った。大先輩の広げた大風呂敷を、どう畳んでくれるのか楽しみだ。
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凄い……イーガン、チャン、バクスター等々に互すどころか凌駕さえしているのではないかという大傑作。
未完は瑕疵とはならない。
壮大にして緻密。知性とは生命とは宇宙とは探求心好奇心とは、心とは、そして愛情とは、すべての存在を壮大な物語の中で語ろうという、知の巨人の最高傑作。
SF好きなら読みましょう。小松左京という天才のSFがここにある。
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地球から5.8光年の宇宙に突然現れたSS(Super Structure)。その謎を探るためにAIを拡張して自分自身の意識を載せたAE(Artificial Existence)を使って宇宙空間を旅する。AEがVP(Virtual Persona)を作り出す。そしてSSにはさまざまな知的生命体が集まっていた。小松左京最後の未完の長編。
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突如宇宙に出現した円筒形の「SS」(スーパー・ストラクチャー)目指して、ある科学者の全人格と実存を搭載したAE(人工実存)が旅をする。SSに到着したAEは、そこが全銀河系から知的生命体が集まって一斉探索を行っていることを知る…。
1992年で断筆した左京翁最後の小説を、その死に際して合本として出したもの。追悼刊行で敢えてこの作品というチョイスが何とも渋い。ただ、そのスケール感やダークマターの存在を設定に組み込んだ翁の先見性、そして符丁と科学用語と文芸作品からの引用をごたまぜにした文体や、『神曲』につながる古典文学とのリンケージなど個個の要素を見ていくと、なんとなく左京翁という人の凄さがおぼろげな形で見えてくる。
物語のハイライトはタイトルの意味が明らかになるところ。宇宙というものを物語を展開する劇場程度にしか捉えていない作家とは異なり、本当に宇宙というものはとんでもない可能性を秘めているに違いないんだという、翁のスピリットを感じ取ることが出来る。
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AIに関する倫理(ethics)がここ5,6年工学系の学会で目にするようになっている。それを30年以上前のこの本で目にすると、SFすごいな、と本当に思う。
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小松先生が書いた小難しい理屈はすべてスルーして、ストーリーのみを読んだけれど、読み終わってから思うに、小松先生が本当に言いたかったのは小難しい理屈なんだなあと思いました。
あと人物の描き方は20世紀ですよね。未来なのに古くさい。未来で過去を見る感じです。しかたないけど。
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さすが、小松左京と思わせる奇抜な発想と人間臭いドラマが展開される序章と、故遠藤秀夫が開発したAE(Artificial existance)がSS(Super Structure)内で複数の地球外知的生命体と遭遇する過程を描いた1~4章。いよいよSSとのコンタクトと思ったら絶筆。小松さん 死ぬ前に回収してくれ=・・・・
AEのアイデアは、その後 他の作家さんたちが描いているが、アンジェラ インゲボルグからアンジェラ エンドウに(AIからAEに)なってほしいというプロポーズは 座布団10枚です。