【感想・ネタバレ】一老政治家の回想のレビュー

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Posted by ブクログ

 明治・大正・昭和の第一次資料と評される史料は多々あるが、たとえば克明な記録で群を抜いた原敬日記でさえも色彩で言えばグレーの印象が強い箇所もある。事の性格上、また当人の社会的地位がしからしめるのであろうが、微に入り細を穿つような記録は墓場に持って行かざるを得なかったものも多かったことと思われる。
 ところがこの古島一雄という老記者、老政治家は若い頃から暴れ者として第一線で飛び回り、民権運動から太平洋戦争敗戦までの舞台の表裏に通じていた人だけに、出て来る話は極彩色とは言わないまでも鮮やかなカラー映画の趣があって、じつに精彩に富んでいる。
 この名著が文庫版で再刊されたことについては中公新書スタッフの皆さんの見識にあらためて敬意と感謝の意を表すばかりである。

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2015年11月23日

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