【感想・ネタバレ】魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章―のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

チェコで学生時代を過ご、ロシア語通訳者として働く著者が、世界の様々な文化や考え方の違いと、そんな中でもみんな共通する特性などを面白く書いている。歴史や政治など固めの話や、ゴシップやしもねたなど軽い?話も織り交ぜてあって、楽しく読める。自分や自国の文化を絶対と思わず、何事も相対的でいろんな考え方がある、という大らかなスタンスが好き。

0
2019年11月07日

Posted by ブクログ

魔女の1ダースは「13」だそうな。
幼少を東欧で過ごし、ロシア語の通訳を生業としていた著者が、いろいろな国の常識の違いについて面白く綴っています。
日本と外国の常識の違いだけでなく、同じ日本の中にも常識の違いが往々にしてあります。育った環境によるものなのでしょう。
頭を柔らかくして、自分の常識に固執しない。いろんな常識を面白く捉えられる余裕を持つことが大事ですね。

0
2019年01月26日

Posted by ブクログ

マリさんの本を読むと、言葉のセンス、世の中のや人に対する見方にとても感心します。多分彼女の人生経験と読書体験の凄さ、仕事で培ってきたであろう人脈と言葉の感覚、多角的なものの見方・・・もっと話を聞きたい!と思わせてくれます。いくらなんでも魔女の集会に参加した日本人ってそうそういないだろうなあ。
本書は、自分が常識だと思っていることが、場所が変われば非常識、文化や言葉の違いを面白おかしく書いている本です。
個人的には、第7章の「⚪︎⚪︎のひとつ覚え」、第10章の「遠いほど近くなる」が興味深かったです。第3の視点を持つ。面白かった。

0
2014年11月30日

Posted by ブクログ

すげーよくわかったw。
別の視点から見ること。そして解説がうまくまとめられていて、これまたすごい(^^)

0
2013年07月04日

Posted by ブクログ

「豊か」ということを感じる。知識がひろく、懐が深く。異文化を知り、正義や常識は同一でも不変でもないことを知っていることにも拠るのだろうか。
自分を知るためには、他者を知らなければならないのだな、と反省。

0
2012年03月29日

Posted by ブクログ

モスクワで「魔法使いの集会」に参加した。
全く魔力もないし占いも当たらない微笑ましきニセモノばかりだったが、筆者だけがロシア語ができたせいか『悪魔と魔女の辞典』という小さな本をくれた。
人間界の常識とは色々逆さの意味になっている。
一例としては(割と知られたフレーズではあるが)「1ダース」を表す数字は、人間界では「12」だが、魔界では「13」だという。
米原万里は、ロシア語の通訳として、異文化の仲介役を仕事としていたから、文化と文化を見比べなくてはならない場面に多く立ち会ってきた。

本書の中では、異端人が別の目で世界を見た時、常識がくつがえる、そんな瞬間が紹介されている。
下ネタ多く公共交通機関の中で読むのは危険だが(笑いが止まらなくなる)、ソ連が崩壊する激動の時期に多くの仕事をして来た筆者の、政治的視点、歴史的視点も真剣に書かれている。
なるほど、戦争がどうしても起こってしまうのは、人間のこういった性(さが)とか業(ごう)のなせる技なのだろうなとも実感した。
「汝の隣人を愛せよ」は、なかなか実行が難しい。

(ちなみに現在、『世界くらべてみれば』というテレビ番組が放送されていて、これがとても面白い)

第1章 文化の差異は価値を生む
トルコへ旅行した日本人女性が乗り合わせた、髭面の男性ばかりの「水着女を見に行くツアー」
イスラム圏では、水着はおろか、女性の顔さえも拝めない。
「希少価値」は商売になる。

第2章 言葉が先か概念が先か
言葉を「概念」に直し、それを別の国の「概念」を通してその国の言葉に訳するという手法の自動翻訳機が開発されている。
「概念」は文化によって違うし、その微妙な違いを介して訳すのは無理ではないかと著者は思う。

第3章 言葉の呪縛力
「販売元:福島県」と記載されていたから、産地も福島県だと勝手に思っていたら・・・

第4章 人類共通の価値
ベトナム語は、鳥の名前には前に必ず「チム」と冠する。
鳩は「チム・ボコ」
あなたも気付かぬうちに、ある国での下ネタを口走っているかも。

第5章 天動説の盲点
大多数の人々にとって、世界は自己や自民族中心に回っている。
相手の身になって考えることには限界がある。

第6章 評価の方程式
期待が大きいと、失望も大きい。
上昇志向の強い人間は、なかなか幸せになりにくい。

第7章 ○○のひとつ覚え
ロシア経済改革のシンポジウムに参加した学者たちを見て、
アメリカ側だけがロシア語も日本語もかじったことさえ無い人物ばかりだった。
「国際語」を母国とするアメリカ人は、外国語を学ぼうとしない。
それは、異なる発想法や常識に対する想像力を貧しくしている。

第8章 美味という名の偏見
「星は輝き、花は咲き、イタリア人は歌い、ロシア人は踊る」という名文句があったが、「中国人は料理する」と加えたい。砂漠のど真ん中にあっても、皮から餃子を作る。

第9章 悲劇が喜劇に転じる瞬間
モスクワの空港での、爆買いベトナム人と空港税関職員たちの熾烈な攻防戦。
待たされてイライラしてしまうが、視線をズームアウトして、「木を見て、森を見る」と悲劇が喜劇に転じる。
それは「第三の目」の効用で、昔からの政治の「三権分立」がこれに当たる。
スターリンが失敗したのは、権力を一つに集めたから。

第10章 遠いほど近くなる
外国語を習う場合、近い言語系の人が最初の上達は早いが、いつまで経っても母国語訛りが抜けない。系統が近いゆえ、干渉が起こってしまう。
逆に、全く関係のない言葉の国から来た人の方が、最初こそ苦労するが、最後はきれいに話せるようになる。

第11章 悪女の深情け
振り向いてくれない高嶺の花ほど追いたくなり、女が自分に夢中になってくると飽きてくる、追われるようになると逃げたくなる、そんな男性心理はよく小説にも描かれている。
この心理は男性に限らない。
(「蛙化現象」も似てるかな?)

第12章 人間が残酷になるとき
戦争を防止する最良の手段は、なるべく多くの異なる国の人たちが直接知り合うことだとも思える。
人間は人間を一番愛しているかと問われれば、そんなことはない。
見知らぬ人の訃報より、自分のペットの死の方が悲しい。
また、動物を愛する人は心が優しいなどと言うのも一般的ではなく、600万人ものユダヤ人を死に追いやったヒットラーは犬が大好きだった。
権力者の行う「観念操作」で最も頻繁に用いられるのが、国とか民族への「愛国心」なるもの。
点火しやすくすぐ燃え上がるから「異なるもの」への憎しみを焚き付けやすい。

第13章 強みは弱みともなる
塩野七生氏の歴史観。
ヴェネツィアは、外からの人の受け入れを拒否することで大を為したが、その方針を貫き通したため衰退せざるをえなかった。
古代ローマは、門戸を開いたことで大国となったが、衰退も同じ要因で起こった。

エピローグ
物は考えよう⇒別の視点から見る
異端との出会いこそが、自身の立っている場所を明確にする。

解説 徳永晴美
米原万里の視点は、帰国子女ならではのもの。それも、社会主義国からの再突入による摩擦熱の大きさによる。
それはほとんど、異星人としての体験だったのではなかったか。

0
2024年02月03日

Posted by ブクログ

タイトル買いしたので中身分かってなかったけど、メルヘンじゃなくて辛口だった!でも全然良き裏切りで、ものの考え方がこうも違うし、でも同じところもあることもある、と言うことが面白おかしく時にシビアに読めました。

0
2023年12月09日

Posted by ブクログ

「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」に次ぐ同著者の二冊目の本。
副題が「正義と常識に水を浴びせる13章」。文化の差異が異なる価値観を産み、異なる文化が異なる言語を産み、美味の評価も変わったり、異文化の交差でそれぞれの文化が際立ったり、また、それが異文化の排斥に繋がったり、文化と言語の違い等で愛国心が芽生えたり、その愛国心を手玉に政治家に馬鹿みたいに騙されたりもする。
文化の多様性の裏表を同時通訳者の著者が下ネタを随所に散りばめながらの実話の数々面白く読みました。
正義と常識は、絶対でないも、それぞれの正義と常識を認め合うことや理解することが大事であり、またその為にも知識や経験を広げることでその一助になるのではないかと思いました。

0
2022年04月22日

Posted by ブクログ

「そういう考え方もできるのか」とか「そんな事情があったのか」など、新たな発見に満ちた一冊だった。
何より、これまでの経験や見聞きした情報から一冊の本にまとめ上げる著者の能力に脱帽。
アメリカに批判的な部分も個人的には好感。

0
2021年10月28日

Posted by ブクログ

「常識」というある種の「先入観」に凝り固まった「大人」に思いっきり冷や水を浴びせかける軽妙なエッセイ「13」章。

私たちの「常識」では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。異文化間の橋渡し役、ロシア語通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本。

全編を貫くのは、世の中に絶対というものはないという警鐘。いわゆる常識、先入観、思いこみがどれほど当てにならず誤解のもとになるか。例えば体型に関する意識調査では、80%もの日本人女性が自分の体型に不満という結果が。悲しいかなマスメディアもファッション誌もブティックのマネキン人形も、こぞって八頭身欧米人型体型を「理想」として日本人の脳味噌にインプットし続けた結果だと著者は喝破しています。その考えに触れるだけで、ふっと心が軽くなる。
どんなお偉方も権威も、下ネタも、米原女史の手にかかれば相対的に描かれて唸ります。米原氏が師匠と慕う徳永晴美氏に言わせればそこは「宝石箱と汲み取り式便槽の中身を一挙にブチマケタような、おぞましい知の万華鏡の世界。だが、恐れてはならない」。飛び込めば、実に爽快な世界です。

0
2018年12月23日

Posted by ブクログ

万里さんがトランプがアメリカの政権握っていること知ったら何ていうかなぁ。
各国政治からシモネタ、小咄、守備範囲が広すぎる。
徳永氏のエピローグもさすが万里さんの師匠...男だったとは。

0
2017年06月02日

Posted by ブクログ

目次からたいへん興味深い。


「無知の傲慢。経験主義の狭量」


メモ
「努力しだいで改善が見込める分野にはどんどん理想パターンを取り入れ、容貌とか年齢とか努力の余地のない分野にはゆめゆめ理想パターンを描かないこと。これが幸せになるコツ。」

「弱みとは、その人間が弱みと思いこんだ時点から弱みとなる」

0
2016年11月20日

Posted by ブクログ

文化違えば、立場違えば、考え方次第で、物事の捉え方はこんなにも違う。それを面白がれる余裕があれば人生楽しくなりそう。

0
2016年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「相手の気持ちになって考える」はよく聞くが、国際交流には「第三者視点で考える」という事も大切だと分かりました。
『人類の半分の価値』に大爆笑。

0
2016年08月14日

Posted by ブクログ

下ネタから高度な異文化理解、マスコミ批判まで、なんとも振れ幅の大きな内容。
とっつきやすい一面、「経験主義の狭量、無知の傲慢」とか、はっとさせられる言葉がたくさんある。
もう二十年も前に出た本だそうだが、今読んでも価値のある一冊ではないだろうか。
グローバリズムの名のもとに、特定の価値観が、無根拠に「常識」化している今、この人がいてくれたら...と思う。

0
2016年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少女時代からチェコでロシア語で学んだ経験から、ロシア語通訳になった米原氏の、一見不真面目で実はまじめな比較文化論といえるだろう。海外経験豊富で、異文化や歴史的背景からくるいろいろなエピソードとそれから学ぶものを提示している。著者の偏らない博識には舌を巻く。忘れていた近代世界史・世界勢力地図の復習にもってこいだ。

下ネタが多く、笑える箇所がたくさんある。下ネタは万国共通、コミュニケーションの潤滑油なようだ。個人的に面白いと思った箇所を抽出してみる。

「あくまでも仮説に過ぎないが、美味美食が盛んな国、一般国民が料理に多大な関心をはらい、膨大なエネルギーを費やすのは、封建制度が比較的長く続いた国々である。中国、フランス、イタリア、日本…いずれもそれに当てはまる。そして逆に、一般的に「料理がまずい」といわれている国々、すなわちイギリス、オランダ、スイスなどは、いずれも資本主義が他国に先駆けて芽生え、発展した国々である。」なるほど!

また、ロシアの大学や大学院での学位授与の審査が、裁判方式というのも面白いと思った。一般傍聴者の前でオブジェクションを唱える立場がいて、それを論理で打ち負かせないと学位がもらえないという。

将来引用したいと思える小話がちりばめられていて、海外で生活する私にはとても参考になった。"

0
2014年10月11日

Posted by ブクログ

米原さんと同年齢。同じ時代と世界を生きてきたはずだが、自分の世界の狭さに落胆。のほほんと世界のこともよく知らずに日本で生きてきた。1999年に書かれたものだが、今も同じようなことが繰り返され続いている。正義と常識に冷や水を浴びせられて、みんなシャンとすればいい。

0
2014年09月30日

Posted by ブクログ

【本の内容】
私たちの常識では1ダースといえば12。

ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。

そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです。

異文化間の橋渡し役、通訳をなりわいとする米原女史が、そんな超・常識の世界への水先案内をつとめるのがこの本です。

大笑いしつつ読むうちに、言葉や文化というものの不思議さ、奥深さがよーくわかりますよ。

[ 目次 ]


[ POP ]
人間界では12、でも魔女界では13が1ダース。

常識だと思っていることも、時代や言語や文化が違えば、「経験則絶対化病」にしか過ぎないこともある。

博覧強記の著者に、思い込みをひっくり返される快感がたまらない。

自分を突き放して第三の目で見ることの大切さも身につく。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

0
2014年08月23日

Posted by ブクログ

違う文化圏の人たちの同じ言葉や事柄に対する,理解の違いについてのエピソードをちりばめたエッセイ。一つ一つが笑えたり,考えさせられたりして,面白かったです。
普段日本で暮らしていると気づかないことも満載で,日本を相対的にみる視点への入り口になれそうな1冊でした。

0
2014年05月02日

Posted by ブクログ

タイトルからして真面目な本かと思いましたがそんなことはなかった。

確かにインターナショナルで新たな物の見方は与えてくれるかもしれないが、「正義と常識に冷や水を浴びせる」と豪語するほどのものではない。

米原さんお得意の下ネタが割と幅を利かせているので、苦手な人はご注意。

著者の体験というよりも、見聞きした異文化エピソードをふんだんに盛り込んだ本、という感じ。
なので面白いといえば面白いのだが、通訳業に追い詰められた鬼気迫る感じはなく、客観的なこともあって、少し冗談の切れ味が鈍いような気がする。

もちろん有益で真面目な内容もあるが、純粋に異言語間交流を解説した本としては「不実な美女か貞淑な醜女か」のほうが上だと感じる。
なので、未読な人は先にそちらをオススメする。ただしこちらは内容が抽象的なのでとっつきにくい人もあるかもしれない。

0
2013年09月03日

Posted by ブクログ

米原万理という人は、不思議な人である。
実にあっけらかんとしているが、
その中に手品師のような仕掛けを作ってある。
チェコスロバキアのプラハで、ソビエト語を学んで、成長した。
1950年生まれというから、ちょうど同じ時代の女性である。
なくなられたのは、実に残念である。

ちょっと、シモネタが多いが
翻訳の際には、そのようなシモネタが、
知らず知らずに出てくるのだろう。

通訳という仕事をやることによって、
文化の違いをうまくすくい上げる。

悪魔と魔女の辞典から

愛ー相手から無料で利益を引き出すのに、
相手が対価以上のものをこちらから獲得したと錯覚し、
得したと思わせるための呪文の一種。
ただし、呪文を唱える当人の方が錯覚し、
自分の方が損していると思いこむ場合も多い。
「無償の愛」などとわざわざ定語を
つけたりすることがあるように、
本来は有償なものと考えられている。

希望ー絶望を味わうための必需品

思いやりー弱者に対しては示さず、
強者に対して示す恭順の印。

謙遜ー自慢したいことを
他人にいわせるための1種の方法

希少価値というなの価値
供給過剰で、いつでも手に入るものの価値を
人間はなかなか認めたがらない。

異文化の人の中に分け入り、
潜在的需要や潜在的供給力を発見する精神の自由で逞しい、
それでいて敏感なあり方にはほとほと感心する。

0
2013年06月26日

Posted by ブクログ

「ロシアは今日も荒れ放題」の解説と本書の解説を比較するととてもおもしろい。著者が師匠と呼んでいる正反対の2人の好対照が楽しめる。

0
2012年09月23日

Posted by ブクログ

私たちの常識では1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうです。こういう話を皮切りに私たちが日ごろ思っている事を超えた別な常識があることをこの本では教えてくれます。

故米原万里女史のエッセイです。彼女の綴る異文化論は下ネタも交えつつ、物事の本質を鋭くついてくるので、読んでいてアハハハハと笑いながら、最後にはしみじみと『そういうことなのか』とうなづく自分がおりました。

例えばキルギスの中華料理はどれもこれも羊の脂まみれで閉口した米原女史が厨房に講義に行くといきまいたところで、食席をともにしていた大統領最高顧問は腹を抱えて笑いながらキルギスの銀行家と日本の中華料理店に入ったときチャーハンというのはもっとひたひたの脂の中に入っていなければならない、俺が今から厨房に抗議に言ってくる。とまったく同じことを言っていたときのエピソードや、

「ロシアのベトナム人」という箇所では、空港で、たくさんの荷物を持ち込もうとしてロシア兵に後ろから首根っこを捕まれて引きずりまわされるベトナム人がいる中で、その隙間を別のベトナム人がすり抜けようとし、またロシア兵がそれを捕まえるという光景が空港中で繰り広げられ、まるでドリフのコントのような世界になっている中で一人のロシア人がそれを見ながら
「イヤー、ベトナム人ってのは、大したもんだぜ。あれじゃ、アメリカが負けるわけだよなぁ」
とつぶやき、米原女史がまず大笑いをし、それを同行している日本人のスタッフに通訳してあげると、彼らもたちまち笑いの渦に巻き込まれたのだそうです。

こういう状況になっても、それを笑い飛ばせるのは、やはり強さがないとできないことなので、その辺は僕も見入ってしまいました。ここで取り上げているほかにも、言語の習得に関する考察や、彼女が通訳の傍らやっていた添乗員でオペラ劇場でのお話も非常に面白かったので、ぜひ一読をしていただけたら、と思っております。

0
2012年02月18日

Posted by ブクログ

ロシア語の通訳を勤めてきた著者が、これまでに体験したさまざまなエピソードを織り交ぜながら、文化の違いが生み出す悲劇と喜劇について考えたことを綴ったエッセイ集です。

ところどころに下ネタもさしはさまれており、けっして身構えて読むような本ではありませんが、文化の相対性について考えるきっかけになるような視点が随所に含まれています。

0
2019年08月25日

Posted by ブクログ

ロシア語同時通訳者ということは存じ上げていたが、それ以外はさぱりな米原万里さんだったが、ユーモアあふれた気取りのないさっぱりとしたおばさまがいらっしゃった。通訳者として、文化の異なる人と人をつなぐお仕事。中にはとんでもなく不愉快なこともあれば、政治がらみの言うに言えない経験もされたことが文章からにじみでていて、その中でもお披露目できる面白いことを茶目っ気たっぷりに書かれていて、見果てぬ土地に興味を持った。「期待の地平はなるべく低いほうがよい。」

0
2019年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 日本で暮らしているとどうしても物事を日本人の基準で考えてしまう。そして普段はそのことに気づくこともない。しかし著者のこの本を読むと当たり前だと思っていたことが実は世界の非常識かもしれないことが分かる。特に特に先の大戦についての話で、被害者側の視点に立つことがいかに難しいかを考えさせられる。また先進国の傲慢さの指摘など、メディアが口を噤む話題にも鋭く切り込んでいる。
 ソ連などの東側に精通していながら染まらず、相対的に物事を捉える著者の見識は示唆に富んでいる。そして毎回下ネタが上手い(笑)。

0
2016年10月03日

Posted by ブクログ

同時通訳家であった彼女の言葉のセンスが光る一冊。そのリズムは軽快で、どこまでも言葉は美しい。
いろいろな国のお国事情や小噺がいっぱいで楽しい。イスタンブールの海峡の眺められるホテルのバルコニーなんかで、ビールでも飲みながら読めたらすごく素敵なのにな。

0
2016年07月12日

Posted by ブクログ

変にアカデミックっぽい分析を加えなくても、おもしろエピソード、エッセイでよかったのではという気がする。

0
2016年03月27日

Posted by ブクログ

頭の回転が速く、仕事に有能であること。
歴史、政治、宗教に理性的で不偏であること。
2つは両立、相関しそうで意外としない。逆相関があるんじゃないか、と思うこともある。

0
2013年09月09日

Posted by ブクログ

ロシアの話を中心に、様々な国の話が出てきて面白い。結構、下ネタ系も多い。電車の中で噴き出してしまって、困った。

0
2013年02月24日

「エッセイ・紀行」ランキング