【感想・ネタバレ】もの言うキャスターのレビュー

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Posted by ブクログ

著者の大越健介氏は、2015年3月まで5年に亘りNHKニュースウォッチ9のキャスターを務めた。本書は、2010年12月~2015年3月に同番組の公式ホームページに連載された「大越健介の現代(いま)をみる」から大越氏本人が選んだコラムに、一部書下ろしを加えたもの。
NHKの午後9時のニュース番組は、本書でも出てくるように、1974年に始まったニュースセンター9時が最初である(初代キャスターは磯村尚徳氏)。私は、大越氏(1961年生まれ)よりわずかに年下で当時小学生であったが、NHKの7時のニュースのアナウンサーが原稿を棒読みするのを見慣れていたせいか、キャスターが見解を述べる(本書によると、ニュースの前につけるコメントを「前説」、後につけるものを「後説」と言う)NC9はとても新鮮に感じ、以来お気に入りのニュース番組である(海外赴任や残業のために見られない時期も長かったが)。そして、大越氏は、近年のキャスターの中で最も贔屓のキャスターである。
何と言っても、コメント(特に後説)が素晴らしい。わずか数秒~数十秒のコメントに、大越さんのこれまでの経験、人柄、報道・放送に対するスタンスが滲み出ていて、それに強く共感を覚えるのである。本書では、当然ながら大越さんのコメントについて綴ったコラムもあり、同僚の親戚に「大越さんって、なぜ番組の中で余計なひと言をつけたがるのかねえ」と言われて落ち込んだことも書かれている一方で、学生時代の同級生が博多の屋台で飲んでいたときに、大将がテレビで大越さんのコメントを聞いた後、何気なく「この男は、日本を落ち着かせとるばい」と言ったというエピソードも出てくる。(私としては、断然後者を支持するのだが。。。)
(本書を手に取る人の太宗は当然大越さんのファンであろうから)本書は、大越さんが、何を、どのように見、どのように聞き、どのように感じ、どうしてあのようなコメントが出てくるのか、更に、どのようにしてそうしたスタンスを身に付けたのかを感じ取ることができる、魅力ある一冊となっている。
(2016年2月了)

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2016年02月21日

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