【感想・ネタバレ】アーサー王の墓所の夢のレビュー

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Posted by ブクログ

サレルノで当時の最先端の科学を学んだアデリアが、中世の迷信や偏見だらけのイングランドで難しい謎に挑むという、他のミステリにない要素もあって、実に面白いシリーズ。

今回は、アーサー王伝説!数百年前の遺骨の鑑定?調査の最中、アデリアはまたもや数々の災難に見舞われ、またもや助けに現れたのはロウリー司教。二人の関係もみどころの一つです。

作者が亡くなったため次の第4作で終わりとのことですが、本当に惜しい。

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2014年10月12日

Posted by ブクログ

シリーズ3作目。安定の面白さ。今作はちょっとファンタジー要素もありますが、登場人物達の生き生きとした描写は、読んでいて本当に楽しい。
アーサー王の遺体が見つかったという話を確かめるだけのはずが、道中を共にした友人が息子と戦士ともども行方不明になってしまう。

個性的な仲間達と謎を追う様子は、ミステリと言うより、冒険のが近いかも。

この続きはまだ日本版は出てない?よね。作者が亡くなったため、4作までで終わってしまったそうですが、早く読みたいです。

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2014年06月21日

Posted by ブクログ

アデリアシリーズ3作目です。

今回も残虐行為有り。
アデリアも相当酷い目に遭ってます。
宗教裁判にかけられそうになって住み慣れたケンブリッジを追われるわ、
またもやヘンリー王から無茶振りされるわ。
嘆いたり癇癪を起こしたりと感情的にはなりますが、
決してブレない命に対す真摯な態度が救いになっています。


前作までと雰囲気がちょっと違って感じるのは、
アーサー王伝説が絡んでいるせいですね。
伝説に彩られたキリスト教の聖地というロケーションに加えて、
夜毎アデリアの夢に現れる意味有りげな啓示(?)。
アーサー王に関しては、
まだいろいろ謎だと以前読んだ記憶がありましたが、
あとがきによると結構資料に基づいて書かれているようで、
興味深かったです。


それにしても・・・。
20年以上前の遺体を検死するという無茶振りに加えて、
存在も定かでない伝説の王の遺体かどうかの判定とわ。
科学捜査も無い12世紀にミステリーとしても相当無茶ですね。


大火事の真犯人とか、行方不明の友人一行とか、
いろいろ推理はされていますが、
やがて夢の啓示に導かれるようにアデリアにやって来る
「謎は全て解けた・・・。」という理解の場面はちょっと強引かな。
本格推理ものではないですが、
意外な犯人像とかは読み応えがありました。

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2017年10月14日

Posted by ブクログ

12世紀の女医アデリアの活躍を描く歴史ミステリ。
3冊目。
いよいよ面白いです。

前作から4年。
アデリアは幼い娘のアリーとその子守となったギルサ、子供の頃からの用心棒でサラセン人のマンスールと共に、村に落ち着いていた。
ところが医療で人気を得たのをねたまれ、宗教裁判所に狙われたと知って、急ぎ移転することに。
その途中、友人エマが、幼い息子と一緒に、亡き夫から受け継いだ領地へ向かうのに一緒になります。

イタリア生まれで、当時のヨーロッパでは最先端の教育を受けた検視医アデリア。
アデリアの目から見ると、女性の医者など魔女として焼き殺されかねないイングランドは野蛮な地。
ヘンリー王は領土を拡大して法制も改革した英明な王だが、難題も抱えている。
折りしも、グラストンベリーの大修道院は、大火でほとんど町ごと消滅していた。
アデリアはヘンリー王の要請で、大修道院墓地で発掘された骨を鑑定することに。
あのアーサー王と妃グウィネヴィアの骨かもしれないという‥
眠れるアーサー王がいつか甦るという伝説は、ウェールズで起きるヘンリーへの反乱の旗印ともなっていたのだ。

難しい鑑定に直面するアデリア。
しかも友人エマは行方不明になり、さらに修道院では事件が起こる。
当時の事情がありありとわかるように書き込まれ、村人も個性ゆたかです。
そこへ司教ロウリーが乗り込んできて、アデリアと再会。
妻帯できない司教に任命されてしまったため、別れた二人だったが、本音は‥
活発で理性的だが内心は揺れ動くアデリアが、いきいきしていて、いいですね。
スリリングな展開。

CWA賞(英国犯罪小説作家賞)の最優秀歴史ミステリ賞を受賞した魅惑的なシリーズ。
次の4冊目も楽しみ!そこで完結してしまうのが残念。

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2013年11月30日

Posted by ブクログ

さらに冒険色が強くなった3作目。
アーサー王の剣が呼び起こす神秘のくだりはファンタジー小説ならありだと思うが、異常ではあるけれどあくまで人間自身に宿る狂気を描いてきた今までの作品の流れからすると、ちょっと異物感を感じる部分だった。

ロウリーもなかなかおいしいところを持っていくキャラだが、ヘンリー2世はさらに上をいくトンビに油揚げキャラだなw
王のくせに何とも人間くさくて不思議な愛嬌のある彼だからこそ、前作のエレアノールは憎みきれない情を抱いていたんだと思いたい。

それにしてもこの著者といいケイト・ロスといい、なぜ期待を寄せる時代物ミステリー作家は4作目が遺作になってしまうのか…本当に残念でならない。

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2013年12月22日

Posted by ブクログ

大火で町ごと消失したグランストンベリー代修道院の墓地で発見された二柱の人骨は伝説のアーサー王とその妃なのか。
国王ヘンリー二世の命により、女医アデリアが鑑定に赴く。

入り組んだ人間関係と当時の風俗風習を今作も堪能。
アデリアが完璧でないところが実にいい。
そしてこのシリーズの読みどころは事件が解決されたあと、それをどう裁判で裁くか。
そこまでの過程を振り返りながら、分量にしたら付け足し程度のページにワクワクする。
ラストの視線の人物は思った通りで、最終作となる次作が楽しみ。


残念だったのが本文中にラバとロバの取り違えと思しき箇所があったこと。「ラバに跨った」はずなのに「ロバを急がせた」とか。
間違えやすいよなぁと同情しつつ、ちょっと混乱したのも事実なのだった。

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2013年11月28日

Posted by ブクログ

本が好き!様より、献本いただいた一冊になります。
舞台は12世紀、題名にあるアーサー王の時代からは600年ほど経過した時代。

アーサー王、イギリスの伝説的な王で当時のイギリスを守ったということ、
その際エクスカリバーという伝説的な剣を保持していた、といった位のイメージです。

歴史学的には、実在性についての論争もあるとのことで、
イギリスにとっては、神話と伝説と歴史がない交ぜになった感じでしょうか。

日本で言う『古事記』と同じような位置づけなのかな、なんて。

さて本書は、そのアーサー王と妻グィネヴィアにまつわるミステリー、
主人公は、アデリアとの女医さんとなります。

大学で医学を修め、科学的な検死で死者と会話をしていくという、
当時のキリスト教価値観の世界では、なんとも特異な存在。

迷信と暗黒にとらわれた時代(世界)に疑問を抱きながらも、
愛娘や使用人などの大事な家族と共に、今を生き抜いていきます。

文中では、12世紀ころのイギリスの風俗などを感じられて、
なかなかに興味深かったりも、、暗黒の中世とはよく言ったものですね。

物語自体は、当時のキリスト教世界ではタブーであった、、
そんな事例がてんこ盛りに出てくる感じで、終息していきます。

人の罪と、そして罰はいかようにあるべきなのか、なんて。

ちなみにシリーズ三作目とのことですが、前の話を知らなくても楽しめました。
ラストの伏線が何とも気になりますが、、これは次作で明らかになるそうです。

神話、伝承の世界から「法」が支配する世界への移り変わり、
古代ローマの残照を感じながら、12世紀のイギリスを旅行した気分になりました。

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2013年08月30日

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