【感想・ネタバレ】ザ・セカンド・マシン・エイジのレビュー

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Posted by ブクログ

社会の発展度合いを計測する『社会開発指数』により人類史を捉えると、まさに現代は重大な転換点にある。その原動力となるのが
・デジタル化
・コンピュータの『指数関数的』高性能化
・『組み合わせイノベーション』
である

コンピュータの高性能化は、チップの処理速度がおよそ18ヶ月で2倍になる『ムーアの法則』が知られる。これは科学者の努力によるものであり、ここまで加速度的な進歩が起こる産業は他にはない

人工知能の発達は目覚ましい。これまでは、機械により雇用がなくなることは『労働塊の誤謬』とされていたが、今後は分からない。人間も馬のように、産業界から排斥される可能性もある。

人間特有の能力として、『複雑なコミュニケーション』『パターン認識』『非定型の肉体労働』が挙げられる。特に、人間にとっては簡単な運動でも機械には困難な『モラベックのパラドクス』が興味深い。

デジタル産業の強みは、情報伝達、複製のコストがほぼゼロの『限界評価ゼロ』経済であることだ。今や世界中のデータベースにアクセスでき、最高のアルゴリズムを無限にコピーして、しかも無料で利用できてしまう。

デジタル経済は人々の生活を劇的に豊かにしておきながら、その費用は極端に低い(あるいは無料で提供されるため)GDPに反映されない。音楽産業がCDからストリーミングに転換した時、まるで産業が丸ごと消えてしまったかのような現象が、統計上では起こる。

デジタルサービスの場合、物理的な障害がほとんどないため、すぐにグローバル化する。そして、一番が市場を独占し、その流れが『ネットワーク外部性』により加速する『ウィナー・テイク・オール』の世界である。

その結果として、桁違いの所得格差が生じる。今後、大金持ちとなる可能性のある人間は
・エンジニアなどの高スキル労働者
・システムを所有する超資本家
・芸術、スポーツなどの分野のスーパースター
である。

機械によって代替されにくい人間の特徴として、『発想』が挙げられる。機械は答えを出せる一方で、問いを立てることが出来ない。今後の教育には、ラリーペイジやジェフべゾフなど、名だたる天才が受けたとさらる、個人の自発的な好奇心を伸ばす『モンテッソーリ教育』が効果的かもしれない。

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2022年08月02日

Posted by ブクログ

「ムーアの法則」=Digital発展の鍵 
 1年半ごとに半導体の性能が倍増する
 指数関数的進化 ①処理②記憶③通信(81)(87)
 例外は「バッテリー」 電子品ではなく化学
 増加率は一定だが、増加分は激増 特に期間の後半
 人は指数関数=非線形をイメージ出来ない

「社会革命」へ ←産業革命から (152)
①Digital化   copy自在 限界コストただ
②Network化 時間・空間を超える 
 Global化 世界最適へ

「補完イノベーション」が不可欠=社会変革難しい(168)
①社内体制 業務改革 組織・人事・運営の改革
  vs既得権・守旧派
②社会体制 規範 制度 体制の改革
  →秩序を破壊し、社会的混乱も
③日本は成功体験・社会意識から既存秩序維持が優勢

Digital時代の三つの勝ち組(220)
①高いスキル労働者
②資本家
③スーパースター
→負け組は一般労働者 
 分配は賃金所得から資本所得へシフト
所得分布の変化(263)
「正規分布」 厚い中間層
「べき分布」 格差の拡大 ウイナーテイクスオール
☆翻訳が素晴らしい! 村井章子氏

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2021年12月17日

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現在、話題になっている自動車の自動運転は経済学者が2004年の著書「新しい分業」でコンピューターには無理が仕事を判断したそうである。この例が示すように、コンピューターが予想を超えたペースで人間の能力を超えてきてる状況を筆者は「第ニ機械時代」と呼んでいる。筆者によると現在はその「第二機械時代」のほんの序章に過ぎないとして、その根拠として、指数関数的な高性能化、デジタル化、組合せ型イノベーションの3つの特徴に裏付けられているとしている。その影響は経済的、政治的に計り知れないものであり、企業経営者、政治家を含むリーダーが状況を的確に認識し、政策を実施すべきであり、そのための提言も行っている。より多くの人々が読むべき書であると思う。

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2017年01月08日

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グーグルのハル・バリアンは「どんどん安く豊富になるものにとって必要不可欠な存在となる」ことを奨めるが、データ・サイエンティストや携帯電話向けのアプリ開発者は、まさにそれである。また遺伝子配列の解明が進むにつれて、遺伝子関連のカウンセラーも必要不可欠になるだろう。

現在すでに利用可能なオンラインの教育リソースから最大のメリットを享受できるのは、まちがいなく、やる気満々の自学者である。一例を挙げるなら、12歳で大学の講義を受けている子供がいる。この年齢の子供が大学の講義にアクセスするなど、従来は考えられなかったことだ。その一方で、こうしたものにとんと関心を示さない子供もいる。これでは、両者に大きな差がつくことは目に見えている。

楽観論では、人間と機械は戦ったりしない。人間と機械はクラウドを介して融合し、「技術的特異点(technological singularity)」に到達する。技術的特異点とは、コンピュータ科学者にしてSF作家のヴァーナー・ヴィンジが1983年に提唱した概念で、「人類はじきに、人間を超える知性を創造するだろう・・そうなったとき、人類の歴史はある種の特異点に到達し、ちょうどブラックホールの中心部における空間と時間のように、知性の進歩はもはや人間には見通すことができなくなる。そして世界は、人類の理解をはるかに超えるものとなるだろう」と説明されている。

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2020年07月15日

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人工知能についての学びだけではなく、

過去のコンピューターの歴史、進化と合わせ、

今後の世界が読み解けます。

様々チャンスを得るヒントが詰まった1冊です。

おすすめですよ!!

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2016年05月29日

Posted by ブクログ

AIと経済社会に関する本。

ファーストマシンエイジ(=蒸気機関)と匹敵する大変革をセカンドマインエイジ(=IT、AI)が起こすとの論拠を具体的な例を多数含めて説明している。

AI関連で一番参考になる。

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2015年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

蒸気機関が馬の仕事を奪ったように、コンピュータが人間の仕事を奪うのか?
最近特に興味を持っているテーマなので読んでみました。
同じく興味を持っている人にはおすすめの本です。

本書では、肉体労働が機械に置き換わった産業革命を「ファーストマシンエイジ」、知的労働がコンピュータに置き換わる近い将来を「セカンドマシンエイジ」として、セカンドマシンエイジではどんな世界(経済など)になっているかについて言及しています。

・生活の豊かさは現在のGDPや生産性統計では計れなくなる
・定型的な仕事は肉体労働、知的労働によらず激減
・否定型的な知的労働(アナリストなど)、肉体労働(美容院など)は増加
・勝者総取り市場の増加
・標準分布(一億総中流)からべき分布へ

<個人への提言>
・人間の比較優位性を探せ(発想、認知、コミュニケーション能力)
・教育の見直し。読み書き数学から発想力、パターン認識能力、高度な

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2015年10月04日

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産業革命によって扉が開いた蒸気機関、内燃機関などの"First machine age"に続くコンピューティングの"Second machine age"。自動化が進むこの時代における人間の教育・働き方、経済政策など、幅広い分野への示唆に富んだ1冊。

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2016年12月16日

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蒸気機関の登場がザ・ファースト・マシン・エイジであり、まさに訪れようとするシンギュラリティがザ・セカンド・マシン・エイジである。冒頭のグーグルカーのくだり、GDPの形骸化の指摘は視座に富む。

しかし後半の提言は意外に基本に忠実で現実的なもの。経済学の王道をゆくものだ。ベーシックインカムに対する労働の真価の議論は興味深いながらも、未知の時代の対応策がこれでよいのか、多少の疑問は残る。

どういった時代が訪れるのか概観する中盤まではよく現状がまとめられている。その答えは、筆者は一つの考え方を提示しているものの、我々自身がこれから模索していくことになるのだろう。

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2016年04月17日

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ムーアの法則のような技術的なイントロから、セカンドマシンエイジにおける価値の測り方(GDPの限界)のような経済学的な話、政策提言まで多岐にわたっていて読み応えのある良書。

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2016年02月10日

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産業革命の次の革命が始まっている。労働の機械化によって富の二極化・スキルの二極化が進んで、今後どうしていこうかねというお話。機械化は不幸なことだけでなく、GDPに出てこない富が沢山生まれているなど、色々学ぶことが多かった。

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2016年01月02日

Posted by ブクログ

人工知能の実用化など、IT革命が”シンギュラリティ”に入りつつある今日を、18世紀の産業革命に続く「第二機械時代」と位置づけ、そこに内在する”機会と脅威”を解き明かした一冊。

「第二機械時代」では、「ムーアの法則」に従って指数関数的に進化するコンピュータ技術と、低コストで無限に複製可能なデジタル技術がネットワークを通じて融合し、これまでにない高度で多様な組み合わせ型イノベーションが生み出され、社会に新たな価値をもたらすが、それらは情報経済や非貨幣経済といった従来のGDPだけでは捉えきれない動きでもあり、また高スキル労働者や資本家などに富が集中する「勝者総取り」によって、格差を助長する構造を孕んでいるという。

組織が自動化できる仕事を全て機械に任せた後の個人は、豊かな発想力やパターン認識、複雑なコミュニケーションといった人間固有の能力を活かして「機械と共存する」ことが求められる。同時に税制や教育によって格差拡大を防止することも重要であり、様々な政策が提言される。前著「機械との競争」と同様、著者の目線は基本的に「楽観論」であるが、そのための”条件”は厳しい。「運命を決めるのはテクノロジーではない、私たちだ」という結びの一文が、重たく響く。

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2015年11月03日

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ネタバレ

「機械との競争」とほぼ同じ内容ではあるが大幅に加筆されており読みやすい。読むべき価値のある本だし、今選ぶならこちらだろう。

・産業革命は機械の力を生産に利用するためのファーストマシンエイジの幕開けであった。今、時代はセカントマシンエイジの入り口にある。
セカンドマシンエイジには指数関数的な高性能化、デジタル化、組み合わせ型イノベーションという特徴がある。
指数関数的な高性能化はムーアの法則に代表されるが、CPUのみならず記憶装置やネットワークなど全てがそう。これまでこのような増加を続けた分野はない(飛行機の速度や小麦の収穫量などが18ヶ月ごとに倍になることはなかった)。イノベーションは全く新しいことを発明するのでなく、既存のものの新しい組み合わせであるが、デジタル化はこれを容易にする。

・今後は物的資本を蓄積してきたもの(資本家)、人的資本を蓄積してきたもの(高スキルの労働者)、スーパースター(特別な才能に恵まれたもの)に勝ちがかたよる

・定型的な仕事は機械にとってかわられるだろう。非定型な仕事は肉体労働も非肉体労働も今後とも需要は堅調だろう。ただし、非定型な仕事であったも介護職や庭師など肉体労働の分野には機械に職を奪われた層が移動してくる。そのため、人間同士の争いが熾烈になる。

・これまでの市場では輸送コストや供給面の制約から、最高の商品といえども市場の一部しか満足させられなかったが、デジタル化により複製が容易になったため、セカンドベストはお呼びでなくなった。価格も大幅に下るため「ちょっと質は落ちるが安い」という手も使えなくなる。ベストの者が限りなくゼロに近い限界費用を活かし、勝者総取りになるの傾向が強まった。ネットワーク化もこれに拍車をかけている。フェイスブックを使っている人が多ければ、新しくSNSを始める人もフェイスブックを選ぶ。

・世の中の所得分布はこれまでのように正規分布から外れてきて、べき分布になっている。とりわけ高所得層の世界はべき分布によく当てはまる。正規分布の時代には少しでも能力差があれば、少しでも給与の違いとして反映されたが、べき分布の時代には教育だけで違いを生み出すことはできない。

機械が高度に発展した時代には、必ずしも人間が仕事をする必要はないのかもしれない。と、いうことでベーシック・インカムについても検討されているが、これはヴォルテールのことばにある「労働は、人間を人生の三悪、すなわち退屈、悪徳、困窮から救ってくれる」という中の困窮には効果があるが、他には効き目がない。おそれくこれは人間を怠惰にし、治安を悪くさせるだろう、ということで負の所得税が勧められている。

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2015年09月13日

Posted by ブクログ

『機械との競争』を著したエリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーのコンビによる著作です。内容は前著と同じですが、前著は小論といった文量であったところ、本作はより詳細かつ網羅的・構造的に書かれているため、前著の完成版と位置付けることができます。あるいは、前著は本著のダイジェスト版とも言えます。また、本著は前著の前提知識を必要としません。

コンピュータを中心としたテクノロジーが社会に影響を与える「セカンド・マシン・エイジ」においては、2つのべき分布が存在します。一つはムーアの法則でよく知られた技術の発展の度合いであり、もう一つは所得分布です。

べき分布はどの区間を取っても同じ線形を見せ、微分して傾きが1の所に立つと、後ろはほとんど平坦である一方、前はほとんど垂直の崖のようです。そのため、過去を振り返ってもほとんど変化が起きなかったように思えるのに、控える未来は急激に変わることが予想されますし、その急変の内容は容易に予想できません。所得分布については、セカンド・マシン・エイジにおいては高スキル労働者の需要が高まり資本家の力が強くなりますが、それよりも重要な事象は、限界費用が限りなくゼロに近づくことやグローバル化、ネットワーク効果などが相まって勝者総取り(スーパースターの台頭)になることです。実際に、アメリカにおいては1人あたりGDP平均と所得中央値は1975年ごろまでは歩調を同じくして上昇しているものの、それ以降は平均値は上昇し続けていますが中央値は横ばいあるいはやや下降しています。

このような時代にあっては、政策は何よりも教育に重点を置くこと(そして個人としてはとにかく勉強すること)、加えて法整備により起業のしやすさや知財関係を整えること、負の所得税のように最低保障と労働インセンティブが共存する再分配をすることが求められます。そして、「機械は人から労働を奪うか?」という問いに対しては、「機械とペアを組む」ことが解であり、そのための教育が特に求められます。

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2016年04月04日

Posted by ブクログ

「機械との競争」の続編にあたる本書、前著ではテクノロジーの進化は雇用を減少させ所得格差を拡大させている。そしてその指数関数的な進化は今後、良い面、悪い面を含めてより一層の大きな変化をもたらすと説き未来への警鐘を鳴らしていましたが、楽観的に考えを変えて書き直したように感じる本書です。

タイトルの「ザ・セカンド・マシン・エイジ」もエネルギーを自由に操れるようになった産業革命後の時代を「ザ・ファースト・マシン・エイジ」として、かつて人間の肉体的パワーを機械に代替させたように今度は頭脳パワーを代替させるとしてのネーミングです。

現在進行中のテクノロジーの事例を紹介し、その後の格差などの経済の動きを考察し、前回同様政策提言などを行うも、教育、起業支援、科学振興、インフラ整備、税制や公共事業などは月並み、結局は個々に考えを変えていくしかないようです。

GDPの限界という章で、無料のモノやサービスの氾濫はユーザにとってはありがたいが、その分だけGDPは減るとの論考はとても興味深い、ある意味これも労働者が回りまわって自分の首を絞めている構図と言えなくも無い。

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2015年09月27日

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