【感想・ネタバレ】いちばん長い夜にのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年03月22日

人気シリーズの完結編という事に読んでる途中に気が付いた
不幸せになりません様にと
願いながら読みました

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Posted by ブクログ 2024年01月31日

気に入ったシリーズ物だったから買った一冊。

マエ持ち2人組の話

残念ながらシリーズ最後の小説だった。

今まで支え合って生きてきた2人だが、地震をきっかけにそれぞれの道を進んでいく内容

あらすじを読んでなんだか残念な感じで2人は離れて行くのかなとかいろいろ思ったが、今までの様な関係ではなくなる...続きを読むが、2人の繋がりはそのままって感じだったので良かった。

この小説では地震の事が描かれていて、それが大きな出来事だったが、それ以外はそんなに大きな出来事もなく、2人の日常が描かれていてそれが実際にいる2人を描いている様感じがしてそれが良かった。

地震の事は作者が体験した事をそのまま組み入れているのでリアルでした。
今は北陸地方が地震の被害にあり改めて地震の怖さを感じた。

このシリーズをもう少し読みたかったので終わるのは残念な気持ちもあるが、このラストで良かったとも思った小説でした。

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Posted by ブクログ 2021年09月01日

ものすごく良かった。まさに完結編だった。
途中で休むとかあり得ない一気読みだった。

芭子と南くんが、仙台からの脱出する所を読んでると、体の中から重い気持ちの悪さがせり上がってきた。また震災の事を色々思い出した。やっぱり未だに私の中にドッカリと重く居座ってるんだな。と思う。

震災を通して芭子も綾香...続きを読むもそれぞれが変わったから、二人の関わり方も変わってしまう。綾香の胸の内を語る場面…綾香が切なくてウルッときた。
どうか芭子と綾香と南くんと…幸せになりますように。

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Posted by ブクログ 2018年04月08日

三部作の完結編。下町での二人の再生と人とのふれあいをもう少し見続けていたかったな。居心地が良くてもずっと同じ場所にとどまってはいられないのかな。芭子と綾香の家族も大変な思いをして、たくさん傷ついて、大切な家族を失ってしまったんだとわかってはいても、過去と向き合いながら健気に生きる二人の姿に幸せになっ...続きを読むてと思わずにはいられなかった。被災地にボランティアに行き過酷な現実を見た綾香の、みんな人間だからすべての人たちが善良なわけではないけれど、だからってあんな死に方をしなきゃいけないなんていうことはなかった。この言葉に綾香の取り返しのつかない過去や失ってしまったものの大きさをおもって苦しくもなった。過去を変えることはできないけれど、小さくても希望を見つけて歩き続ける二人には、いつかきっと幸せになってほしい。

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Posted by ブクログ 2017年11月12日

「マエ持ち女二人組」シリーズ最終作=三作目。仙台にて東日本大震災に遭遇する芭子。この出来事が、芭子と綾香の生き方にも大きな影響を及ぼす。

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Posted by ブクログ 2017年06月06日

あやかと、はこの付き合いが微妙に変わって行く様が切ない
一度犯してしまった罪の重さ、その本当の重さは、あやかのように未曾有の出来事が自分の身にふりかからないと気づかないものなのだろうか。あやかが、決して人を殺してはいけない、逃げればよかったという言葉・・現実にあやかの様な状況にいる人はどう受け止める...続きを読むのだろうか。罪をとりあげた小説は数あるが、リアルに感じた一冊

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年07月02日

震災のことが書かれていることは事前にネタバレしていたが、ここまでリアルとは思わなかった。
それは、作者自身が2011年の3月11日、取材のために仙台に足を運んでいたことからくるもので、あそこで芭子が経験したことは、ほぼ作者の体験談だという。
あの日、東京で地震に遭った自分ですらそれなりには大変な目に...続きを読む遭い、辛い思いや多少のトラウマもあったが、仙台で被災して、でも向こうに生活の拠点があるわけではない作者と、そして芭子はどれほどのものを抱えているのだろうか。
あの地震が、全ての人々の人生を大きく変えてしまったと書かれていたが、人生だけではなく、この小説の結末さえもあの地震が変えてしまったような気がした。

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Posted by ブクログ 2016年04月29日

前作とは雰囲気が打って変わって、今まで通りだと思って読んでいたらびっくり。かなり衝撃のラスト。
やっぱりわたしは、ふたりにはずっとこの距離感を保って、お互いに足りないところを補い合って生きていってほしかった。けど、今までもチラホラと芭子の綾香に対する意識と、綾香の芭子に対する意識の違いっていうものが...続きを読む見え隠れしてきたし、その違いがついにここまで来てしまったのも不思議じゃない。このラストを迎えるための伏線はあったんだよなあ。
芭子が東日本大震災を被災するシーンが生々しく、被災経験のないわたしが言うのもおかしいが、なんというか本物の、3.11の空気感があったように思えた。目の前で起きてるのになんだか夢物語のように感じたり、自分が被災者だということを認識できなかったり、起きてしまった出来事が大きすぎて対応できていないというのが伝わってきて、実際の被災者の方もこんな思いだったんだと自然に思えた。
なんでここまで詳細に描写できるんだと思ってたら、作者自身が取材のために東北に出向いた日が奇しくも3.11で、そのときの被災体験をもとに描いたらしい。そのときの被災体験が彼女の価値観など全てを揺さぶるものだったので、その結果このシリーズの路線に大きな影響を与えたようだ。
芭子と綾香がこんなラストを迎えることになったのは、神の導きだったのかなあ。

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Posted by ブクログ 2015年08月09日

2015/08/09
今までは、ただ、ただ平和に。
そして、静かに街に溶け込もうと生きていた芭子と綾香。
2人の運命が大きく変わり始める。
きっかけは、東日本大震災。

3.11
その1日でいろんな人の運命が変わった。

芭子は運命の人と出会い。
綾香は運命の土地に、戻ることに。

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Posted by ブクログ 2023年10月11日

何故か東北地震のときだけすごくリアルな書き方なので驚いたけど、本当に経験されたとは。
新しく彼氏で来たりあやさんと距離ができたり。かなり動きの多い内容だった。

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Posted by ブクログ 2023年05月28日

ハコちゃん綾さんシリーズ3弾。
読み進めるにつれて、面白くなった。
1冊目は、なんかはこれという展開もなく、淡々と読んだ感じだったけど、2冊目は、地味ながらもいろんな事件?が起こって引き込まれた。
それで3冊目は、震災の話が出てくるなんて予想外でら、しかも超リアルだと思ったら、実体験を元にかかれてい...続きを読むたかとは…

説得力の違う表現に引き込まれたのも、もちろんだけど、それでも、そこからの南くんの登場がなんとも言えず切なさが増して、良かったなぁ。

綾さんの最後の告白や、ニコイチだった2人が
それぞれに想い合いながらも、別の人生を辿っていく結末だけど、なんとも暖かな読後感だった。

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Posted by ブクログ 2022年11月09日

マエ持ち女二人組シリーズ最終巻。連作短編集。
過去に背負ってしまった罪を背負い、二人は本当の意味で再生に向けて、それぞれの道を歩き始める。
それにしても、罪を償うということ、命の重さを強く感じました。まさか、あの大きなイベントが関係するとは。

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Posted by ブクログ 2021年04月27日

刑務所から出てきた二人の女性。一人はペットの服を作り一人はパン屋で働く。ある日東日本大震災に巻き込まれそこから運命が変わっていく。これは乃南アサが実際に原稿を書くために仙台へ向かった時に偶然に体験した事を書いたそう。

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Posted by ブクログ 2021年01月26日

元々、乃南アサさんの作品は小説でありながら、ノンフィクションに近いリアリティある内容が多いので、毎回感情移入して読ませて頂いていますが、今回は著者自ら経験された事なども織り交ぜながら、描かれていますので、より一層、リアルでした。

前科を持つ芭子と綾香の行く末が気になって、読み続けた作品ですが、最...続きを読む後、読後感の良い完結でホッとしました。

いつもながらの、丁寧な文章と巧みな人物描写 そして今回は震災の様子も解り易く丁寧に描かれていて、絶えず脳内映像で風景が流れました。

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Posted by ブクログ 2016年09月30日

マエ持ち女二人組シリーズ最終巻

犯罪を犯した過去を持ちながら
よりそって前へ進もうとしていた1,2巻から
大きな展開が

きかっけは3.11の大震災

ふたりの運命はこの日を境に変わり始める

このまま穏やかに前へ進んでいくのかと思っていたら
最終巻でまさかの結末へ
進む道は分かれても、ふたりの心...続きを読むはずっとつながっていると思うけど。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年04月17日

前科持ちの主人公2人の日常が淡々と綴られるなかで、
3.11が起き2人の違った生活が始まる。考え方も変わる2人。
もう少しで震災から5年。この本の内容を知らなく読み始めたのに,この時期にこの作品を読んだ事がなんだか不思議。
あとがきに書いてあったけど、この作品も最初は前科持ちの2人のささやかな生活を...続きを読む積み上げていく日常を描いていたそうです。
あえて何も起こらない話を書こうと。
物語もそろそろ終わりに近づいた所で、綾香の本当の心に
触れないとと思い、主人公綾香の代わりに彼女の故郷仙台に
著者の乃南さんが実際に行った日に震災が起きたそうです。
乃南さんが実際に体験した事パプニングや震災の時の様子が後半入っているので凄くリアルで、あの日を思い出しました。
実際の体験から生まれた後半も私的にはしっくりきて良かった。
前作の2作品も読んでみようと思う。

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Posted by ブクログ 2015年09月22日

マエ持ち女二人組のシリーズの完結編。
本当ならいちばん安心して読めるはずなんだろうけれど、いちばん読んでいてつらかったかも。

芭子も綾香も前科をもっていることに違いはない。
違いはないけど、やっぱり殺人は違うよ、と。

「殺さなければ殺されていた。子どもを守るために自分の人生を犠牲にして罪を犯した...続きを読むことを後悔していない」
そういっていた綾香が、変わってしまった。

芭子との間に距離をおき、どんどん内省的になっていく。
どんなに大変な時でも、能天気なほどに明るいのが綾香であったはずなのに。

3.11をきっかけに、二度と帰らないつもりだった故郷仙台に、毎週のように通うようになった綾香。
どんなに疲れても、何かに追い立てられるように通い続ける。
芭子が心配しても、「あなたにはわからない」と言って。

“つまり私は―初めて後悔したっていうことです。そういう人たちを見て、死んでも死にきれない気持ちに違いない、赤ん坊からお年寄りまでの、あまりにもたくさんの仏さんたちを見ているうちに、ああ、何も殺すことはなかったんじゃないかって。私が逃げ出せばよかったんです。警察にでもどこにでも駆け込んで、周りに助けを求めて。生命だけは―奪っちゃいけなかったって”

夫に日常的に暴力を振るわれて、生後数ヶ月の息子を壁に叩きつけられそうになって、殺すしかないと夫を殺した綾香。
でも、罪を償って、息子を手放して家族を失ったけれど、芭子というわかり合える友達と、ささやかながら幸せに暮らしていたからこそ、取り返しのつかないことをしてしまった自分を許せない綾香。

起承転結というより序破急といいたくなるくらいの急激な物語のトーンの変化。

作者自身が実際に3.11の日に仙台にいたのだそうだ。

連載を始めたときは、綾香の故郷が仙台ということに特別意味はなかったのだろうが、この未曾有の大災害のせいで、物語は作者の思惑を超えて動き出してしまったのだろう。

ずっといっしょにいられると思っていた。
でもふたりの道はそれぞれに。
芭子には芭子の新しい生き方が。
綾香には綾香の生き方が。
一歩踏み出すことの苦しさが、一歩踏み出せたことの清々しさが、シリーズの最後を飾る。

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Posted by ブクログ 2015年08月10日

マエ持ち女二人組の3作目で完結作

前半はこれまで通り、日常のちょっとしたお話し(まぁ、刃傷沙汰もあるけど)
中盤からは東北大震災のお話し

個人的にこのシリーズは、罪を犯してしまった人が何気ない平穏の日常でも暗い気持ちを抱えた生活を強いられるという更生ストーリーと思っていたので、これに大震災のエピ...続きを読むソードを絡めるのはちょっと違うんじゃないかと思って読んだ
そして芭子さんにもいい人ができてというのも「なんだかなぁ」と思う
多分そんな感じの人ができて終わるんだろうなぁとは思ってたけど、実際にどうなのかね?
前科持ちでさらに実刑7年って結構重いと思うんだけどなぁ・・・
ま、そんな事を気にする以上の出会いというのを強調するために大震災を使ってるような気がして、これも何だか気に入らない

でも、作者のあとがきによると作者の取材旅行中の被災の実体験という事なので、それならしょうがないねとは思ってしまう
特に綾さんの実家の事を調べに行った時というのも何かの縁なのでしょうね

それはそうと、読んでる途中でも「終点」とか住宅地の様子で「泉中央じゃね?」とか思ったし、仙台の町並みの描写が「あ~、わかるわかる、あそこね」といった感じでリアルに思い出せた
もう15年以上行ってないけど、あの街がどうなったのか、気にならないでもない
でもまぁ行く機会はそうないんだろうけど

そんなわけで、マエ持ち女シリーズとしてのみの評価は難しいなぁ

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Posted by ブクログ 2015年05月25日

あの出来事に出会わなければ、彼女達の生活は違っていたかも知れない。出会ったことで人生そのものが変わってしまった人も大勢いらっしゃる。作者が取材で出会ったことは、その恐ろしさ不安感やその後の罪悪感などの表現に現れていると思う。彼女らはあの出来事に出会っていなくても、バレない様にという生き方から、違う思...続きを読むいを抱く"時"にはきっと出会っていたと信じる。

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Posted by ブクログ 2015年08月30日

芭子と綾香の物語が、
まさかこんな場面を迎えて終わるとは思いもしなかった。
あの日のことを、作家としては書かずにはいられないのかなと思ったら、
芭子の経験はそのまま乃南さんの経験だったんですね。
もし、あんなことが起こらなかったら、
芭子と綾香はどんなふうに人生を
過ごしていったのだろう…。
『覆水...続きを読む盆に返らず』
ものすごく重い言葉です。

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Posted by ブクログ 2022年05月07日

1巻目がとても優しい小説で、2巻目もそれを期待して読んだ。その概念は踏襲されているが、東日本大震災の渦に巻かれてしまい、それが非常に細かく描かれているところがなんとも強い印象を残してくれた。
巻末の解説に、それは作者自身の体験であることが綴られているので納得。
ただそれが起こったがゆえで、前半で起こ...続きを読むっていたちょっとした事件について少し中途半端になってしまっているかもしれない。

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Posted by ブクログ 2021年11月25日

刑務所暮らしを経験した女2人が、普通の生活に戻る。些細な幸せが落ちている感じで好きです。
終盤は3.11のテーマが続いて、そのとき自分はどうしてたのか思い出させられます。
笆子と南くんが東北から東京に戻ってくるタクシーのシーンは実際に乃南さんが体験された事だと知ってびっくりしました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年10月29日

芭子ちゃん子供っぽすぎ。20代の殆どを服役してた設定だからか。すぐ泣くし。だからこそドラマになるのかな。綾さんの心境の変化がよくわからなかったけど、「そしてそれきりになった」辺りとか最後はちょっとうるっと来た。「ずーっと2人で仲良く暮らしました。めでたしめでたし」なんて乃南アサ的じゃないのか。でもハ...続きを読むッピーエンドなら良かったな!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年01月16日

作者から興味を持って、シリーズ3冊を一気に購入。
完結に向かう「あの大きな出来事」。本当に何も知らずに「知っている土地が物語に出てきたぞ~」と少々浮かれて読み進めていたので、思わず息苦しくなり本を閉じてしまいました。自分もあの時そこにいた当事者であったという事実を改めて感じました。作者の実体験に基づ...続きを読むいているということで、あの時そんなことも起こっていたのだと知ることができました。
ハコさんと綾香さんの物語も良かったのですが、「あの大きな出来事」の描写に動揺してしまい、感想が…

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Posted by ブクログ 2019年03月31日

完結編は3.11を絡めた人の生き死に、罪の重さ、消せない過去を考えさせられずにはいられない…。
ラストの芭子、綾香、南との対話は、人の再生に必要なプロセスと明るみにされない、避けて通りたい、見たくない事実も詳らかに訴えかけてくる。もっと彼女たちの世界に触れてみたくもあるが、そうそういつまでも見守り、...続きを読む伴走できるものではないし、万能でもないので、完結してホッとしている自分に気がついた。

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Posted by ブクログ 2018年10月17日

読んでいて東日本大震災の頃に戻ったみたいな心境になった。緊急地震速報とかCMとか、当時の記憶や空気が蘇るようだった。全体的に、前二巻の方が何気なさの中の良さがあって好みだった。

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Posted by ブクログ 2017年06月27日

刑務所で出会った二人、綾香と芭子の完結編。
自分達の犯した罪を隠しながら、身内に助けを求めることもできず、助け合って生きてきた二人。
互いにやりたいことを見つけ、将来を夢見ていた。
そんな中、綾香の息子の消息を掴むために芭子は綾香の故郷の仙台へ向かった。
そこで遭遇した大きな地震と新たな出会いは、少...続きを読むし二人を遠ざけてしまう。
また、二人の将来を少し変えてしまう。

取材に訪れた仙台で作者が経験した東北大震災発生時の状況が、芭子によって再現されている貴重な作品。

2017.6.27

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Posted by ブクログ 2016年10月24日

三部作の最終編です。前科持ちの女性2人が肩寄せあって下町でひっそりと生きていたのですが、今回は3.11の震災が大きな影を落としております。色々な事が有りましたが収まるところに収まったという感じでしょうか。書く前は違う構想だったようですが、実際に綾香のエピソードを書く為に仙台に行っている最中に筆者が被...続きを読む災したという事で、今回震災を大きく盛り込む事になったようです。
評価はそれなりですが、なんとなくボディーブローのように長く残るような気がするそんな本です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年07月26日

前科持ちの二人の女性の、支えあいながらひっそりと静かに生きていく日常の物語かと思っていたら、最後は苦しくて読むのが辛かった。
取り返しのつかないことはたくさんある。
軽々しく、前向きに!とは言い難く、少し切ないラストだと思った。

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Posted by ブクログ 2015年12月23日

ささやかな日常をテーマにしたこのシリーズの完結編に、東日本大震災を題材として使わなければならなかった意味を、ただ綾香の出身地が仙台だからだというだけではない意味を考えながら読んでいた。

もしも今まで通り取り立てて何も起こらずに終わりを迎えていたとしたら、綾香の終着点はどこへ向かっていたんだろう。さ...続きを読むさやかな日常の中に、綾香が自分の犯した罪を後悔する「きっかけ」はあったんだろうか。

綾香は「後悔していない」と断言していた。私も芭子と同様に「そういうものなのかな」と思っていた。でも、本当にそれでもよかったんだろうか。

最後の最後にこの「何かが起こってしまった」展開を持ってきたことに対して賛否両論があることを知っていたので、読む前から少し構えていたところがあったけれど、私はこれでよかったと思う。綾香の核心に触れなければならない時と作家にとって書かなければならない時とが重なった、そんな、生まれるべくして生まれた作品。

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