【感想・ネタバレ】弁護士の血のレビュー

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Posted by ブクログ

ダイナーのトイレで銃を突きつけられ、爆弾付きのジャケットを着せられた上、法廷に放り込まれた弁護士フリン。ロシア・マフィアのボスの保釈の為、証人を爆死させる計画だった。背けば誘拐された10歳の愛娘の命は即消える。昔、スリや詐欺で慣らした腕でさまざまな困難に立ち向かうフリン。31時間という期限付きな為、スピード感があった。妻との別居や1年前に携わった事件が元でのアル中の治療入院を終えたばかりのフリン。その彼が娘を救い、弁護士の誇りをかけボスに徹底的に制裁を与えるべく奔走する姿はめちゃくちゃカッコ良かった!
リーガルサスペンスでありながら、アクションもたっぷり味わえた。本国ではシリーズを重ねているらしいが、残念ながら続きは翻訳されておらず…

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2020年12月04日

Posted by ブクログ

全編にみなぎる熱量が凄い。一時期ミステリ界を席捲したリーガル・サスペンスの一種だろうというバイアスは、幕開けから覆される。本作は、臨界点まで追い詰められた男の闘いを、圧倒的な筆力で活写した血が滾る傑作である。

舞台はニューヨーク。弁護士エディー・フリンは、朝食に立ち寄った店のトイレ内で、前触れなく背中に銃を突き付けられた。瞬時に体が反応する。背後に立つ男の脅し文句と所作から、即座に相手の素性と特徴を推察。銃の男が右利きであることを見取り、左側の隙から反撃する手順を脳内で辿る。一介の弁護士としては並外れた挙動。だが、もう過去の自分ではないと自戒し、冷徹に情況を見極める。僅か冒頭1ページ。主人公の現在と過去を明快に伝える見事な描写だ。
店から連れ出された弁護士は、小型爆弾を装着され、超高級車に放り込まれる。車内で待っていたのは、悪名高いロシアン・マフィアのボス、ヴォルチェックと手下だった。フリンの幼い娘を人質に取ったと告げ、その日から始まる裁判の弁護を強制する。用心棒が、鞄の中から黒い塊を取り出す。それは、ヴォルチェックの弁護士で、フリンの元相棒の首だった。
己の誤算/判断ミスによって惨たらしい結末に至った或る事件を切っ掛けに、仕事から離れ、酒に溺れ、妻にも愛想を尽かされ、やさぐれていった男。だが、一秒たりとも悔恨に浸る暇は無かった。愛する娘を再び抱き締めるために、過酷で壮絶極まりない長い一日が始まる。

原題は「ディフェンス」。恐らく、攻撃に対する防御と、法的な弁護という重層的な含みを持たせているのだろう。危険な情況を的確に掴み、僅かな逃げ道を見付け、敵の盲点を突き、策略を逆手に取り、機を見て反撃に移る。ギャングの親玉を救わなければ、娘の命は無い。最も愛する者を助けるために、最も憎む者に手を貸さねばならない。この地獄のジレンマに揺れる心理描写が巧い。
ヴォルチェックは、裏切り者を消すために命じた証拠を掴まれて逮捕されたが、多額の保釈金を積んで釈放されていた。間もなく、不可解にも自白した殺し屋が証人として出廷する。朝、弁護士が身に付けた爆弾は、セキュリティを潜り抜け、殺し屋の口を封じるための道具だった。裁判の展開次第で大きく流れは変わる。その時が来るまでに、娘を救出し、ヴォルチェックに鉄槌を下さねばならない。

間違いなく有罪判決が下る鬼畜を、どのようにして弁護するか。守りつつ、攻めるか。フリンは法廷に立つ一方で、裁判所内で培った人脈を利用して娘の行方を捜す。その過程で徐々に弁護士自身の足跡が明らかとなっていく。つまりは、序章で片鱗を示した只者ではない主人公の実体だ。
フリンは、決して真っ当な路を歩んできた男ではなかった。恩師となる裁判官に出会う以前は、親譲りの卓越したスリ師であり、保険金詐欺で荒稼ぎしていた犯罪者だった。父親を失った原因が保険会社と結託した弁護士にあり、その復讐を兼ねていたのだが、結局はアウトローに成り果てたに過ぎなかった。だが、長年にわたって作り上げていた闇社会との太いパイプが、その日に役立つこととなる。マフィアに対抗するにはマフィア。それも、闇社会での情報力に長け、容赦無き暴力を行使する者ども。フリンは躊躇うことなく、その悪の力を借りる。この痛快な逆転劇から、物語はさらに勢いを増して疾走していく。
法廷戦術では強引さが目立つが、破綻する間際で食い止め、読者を鷲掴みにしたまま、終始引っ張り回す。予測を裏切り、二転三転するプロット。とにかく主人公の冴え渡る瞬発力には瞠目するのだが、迸るエネルギーは決して不快ではない。終盤では、ハリウッド映画張りの活劇シーンを用意し、疾風怒濤の物語は最高潮を迎えて終焉する。

本作の実態は、タフな男の私闘/共闘を主軸としたヒーロー小説で、リー・チャイルドのリーチャーシリーズを彷彿とさせる。北アイルランド・ベルファスト出身という作家のバックボーンも、熱気を帯びた世界に繋がっているのかもしれない。続編に大いに期待だ。

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2019年04月19日

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ネタバレ

冒頭からスリリングな展開、アクションシーン、法廷シーンもなかなかの迫力。若干、爆弾の取扱いに無理があり、助けてくれる人との関係性の説明が、あれだけやってくれることを考えると少し足りないような気がした。が、全体的に面白かった。このシリーズが続くなら読み続けたい。
それにしても、最近のアメリカのアンダーグラウンドにはロシアンマフィアがよく出てくるなー。現実そうなんだろうなー。

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2018年12月31日

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まるでハリウッド映画のような作品。冒頭から息をもつかせぬ展開で、話に引き込まれる。でも、ちょっと出来過ぎ感が否めないかな〜。

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2016年05月28日

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二十四時間裁判に関わり、自らの魂をすり減らし、家庭をかえりみることができない―ニューヨークの弁護士エディー・フリンは、酒に溺れて妻から見放され、いま町をさまよい歩いていた。そんな時、ロシアン・マフィアが彼を脅迫する。要求をのまなければおまえの娘を殺害する。十歳の愛娘が拉致され、いま命の危険にさらされている。マフィアのボスは、自分に不利な証言者を殺害しろという難題を突きつけてくるが…。

映画化前提のようなリーガル・サスペンス。アクションも含む。

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2015年11月23日

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リーガルサスペンスとして読み応えがあり、
それとともにラスト近くのアクションも緊迫感があり最後まで楽しめる。

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2015年09月15日

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自分の好きなジャンルの横断、面白くないわけないよな。
ちょっと主人公が有能すぎんのと、どこぞで読んだ感のある表現はあったけど。

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2015年08月01日

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ネタバレ

詐欺師の過去を持つ元敏腕弁護士エディーがロシアンマフィアに娘を人質に取られ法廷内に爆弾を持ち込む役を押し付けられる。
マフィアのボスはこれから始まる裁判の原告で、そこで証言をしようとしている内情を知る証人を爆破しようとしているのだ。

いきなりフルスピードで始まるスリリングな展開。
なんとか第一幕をしのぎきり、機を見て反撃に出ようとする最中にぼんやりと浮かび上がってくる不自然な状況。
何か裏がありそうだが、いまいち捕まえきれず、もんもんとしながらも状況を打破しようとするエディ。

非常に引き込まれる語りだったのだが、もったいぶって引っ張った割にありがちな結末で、それはがっかり。

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2020年06月28日

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リーガルサスペンス+アクション。
冒頭からグイグイ引き込む力はお見事。
本人の非凡なる詐欺師の血と有能で情けに厚い友人たちは都合よすぎるような気もするけど、面白かったからいいのだ。

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2015年10月20日

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法廷を舞台にしたリーガル・アクション。エンタメ全開です。

効率の良い一行目から作中に引き込み、どんどん展開する。主人公は落ち目の弁護士。緊迫する監視下の元、かつての稼業であるスリや詐欺の手練を発揮して、土壇場で難関を通過。さらに陰謀の中枢へと、一歩一歩迫っていく。そこに法廷シーンが加わり、あれよあれよと読めてしまった。

アクションとリーガルのバランスがよく、それをさらりとエンタメでコーティングしてある。筆致は平凡だが嫌味がなく、謎解きの面白さも味わえる。でもちょっと長いかな。シリーズになるとのことで、主人公の背景についての記述が多い。キャラも微妙に淡白で、全体的にB級っぽいけど、面白いシリーズになりそうな期待感はあるので、もう少し贅肉を落としてくれると有難い。でも作者の色んなアイデアは新鮮で楽しかった。

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2015年09月22日

購入済み

時間の無駄

法廷での最後の逆転方法が些末なこと過ぎてつまらなかった。
また、物語進行上、主人公にとって都合の良すぎる事ばかり。あり得なすぎる。

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2019年03月23日

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