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山での怪異を集めた聞き書き。
マタギや猟師、狩猟に関する著作が多い田中さんらしく、マタギから聞いた話が多いです。
山で起こる、説明できない不思議なできごとの数々。それを語る山に住む人々。
暮らしに思いを馳せるもよし、純粋に怪異譚を楽しむもよし。
登場する人たちの見解が出てくるのも面白くて、「疲れてるから」とか「昔から聞いてるからそう思うだけ」とか。こういう言葉が入ると、語る人に途端に親しみを覚えます。ふつうの、隣近所にいるような人が主人公なんだな、と。
そういう人たちを探し歩いた田中さんの苦労にも感嘆する一冊でした。
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すっっっごい、おもしろかった!こわい!!
だって、ものすごい昔の話じゃない、まだ生きてる人から聞いた話やで?夜、一人で読んでいたら怖くなって、子どもが寝ている布団に潜り込んで、ぬくぬくしながら最後まで読んだ。
自然の中で暮らしたい。そんな夢みたいなこと思っていたけれど、ちょっと怖じ気づく。子どもが、キツネにさらわれたら、どうしよう?・・・なんて本の一冊読んだだけで思ってしまう自分なんか、おそらくまっさきにキツネや蛇やタヌキに悪さをされるタイプなのでは。
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著者が猟師やマタギから実際に体験した「 山の怪異 」を収集した一冊。淡々と語られる事でより一層山の怪異が身近に迫ってくる。読み応え充分な一冊。続編があと二冊出てるので即買い決定!
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オチのない怖い話、起承転結や因果のはっきりしない怪異譚が大好物なので、楽しくモリモリ読みました。
脳の異常とかで説明できそうな話もあって、そういうのを考えながら読むのも楽しい。
あと現地の語り部たちの雑な解釈がたまらない。「狐の仕業」で一括りにするのも良いし、考えた結果「ヤマドリに夜光虫がついたのが火の玉」となっているのも味がある。
「狐火?ああ、あれは俺なんだよ」というパワーのある発言に出会えたのも最高です。
いいわあ。
再読追記
このシリーズ、「別にオバケを信じていない人にしつこく聞いたら出てきたオチっぽいオチもない不思議な話」感があってすごくすごく大好き。
漁師とかサラリーマンとか警備員とかのバージョンもあったらなあ。
やっぱり山だから良いのかな。
再読追記
やはり良い…狐火の正体がどぶろくの密造に行く人だった話とか特に良い。こういうのが混ざることで全体のリアリティが上がる。
「狐火の噂は知っていたが密造は違法なので言い出せなかった」っていう話。デスヨネー。
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普通の怪談話と違い、何か判らない物は判らないまま書いてある。発光体、狐火、魂、足音、気配だけ。本来の怖い経験ってこう言うモノだと思う。姿形は見えないけど、絶対そこに何かいる。って言う体験。続編も読んでたい。
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都会が舞台の怪異本はよくありますが、山を中心とする怪異本は珍しく思います。体験者の証言だけでなく、考えも掲載されているので、怪異を信じない人が、それらしい理由を述べているのも面白かったです。
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きっと科学的に証明されることの方が多いと思うけど、不思議と証明されてほしくないような気持ちになった
自然への畏敬が感じ取れ、いつまでも語り継がれてほしい話
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この現代でも起こる山の怪異。ということは、やはり、科学的に解明できることなのかなあ、とも、逆に思う。何でも、狐のせいにされている感じもあり、可哀想?
興味深く、読んだ。
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マタギや、山で働く人たちの不思議な話。自分で体験したものも、聞いた話もある。
一つ一つが面白いというより、全体としてある文化、世界観が浮かび上がる感じ。私はそんな世界で生きたことはないのに、懐かしくて、好ましいように感じる。自然のただ中に生きる暮らし、すぐそばに樹木と動物の気配を感じる暮らしへのノスタルジーなのかも。
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怖い話の本だと思っていたら、不思議の話の方が多かった。聞いたことある話があったのは今年のお盆くらいにBSでやっていた番組にご本人のひとが出ていたからだとわかったり、繋がりって面白いなぁと思う。ひとつだけ怖かったのはみんなで見た女の姿だ。目を見開いて口を開けて頭を振り回しながら沢を来るみんなが見た女。なんなんやろう。怖い‼
次は弐、読みます。
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山で起こった不思議なあれこれの聞き取り記録簿。
山で起こる不思議なことはたいてい狐や狸や蛇の仕業で、ほとんどが不思議な音とか化かされたりするだけで無害なことが多いようです。
・・・「ほとんど」が。時々人死にでとるがな(泣)
これからは、山の暗闇で"がさっ"という音を聴いてもちょこっと怖さ半減かな。だって「ほとんど」無害なんですもの・・・
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副題「山人が語る不思議な話」~マタギの村へ行くと,不思議な体験をした人が少なからず居る。昔は子どもの通学路だけを固めて別に除雪などしなかったため,冬になると閉じ込められて,火のある囲炉裏端で不思議な体験を語ったが,今は車を持ち,テレビがあり,誰も語らなくなった。狐火なんて見たことないし,怖い経験などしたことがないという人間も,あれは不思議だったなぁと話し出すのだ。蛇の話も,魂の話も~狸は音だけで満足しているが,狐は…。ベストセラーで続巻も出たと新聞広告で見た! なるほど!
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20170423 話題になっていたので読んでみた。自分も山に登っていた時期があるので怪異に関してはうなづけるところが多い。明治から平成になって日本が元気無いのはこのようなローカル色が消えていってしまったからでは無いかと思う。又たびに出たくなった。
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山や山間の村で語られる不思議な話について採集した一冊。
特にマタギや猟師から聞いた話が多い。
名前や地名を伏せて言える所があるが、基本的には人名、地名を載せていることが多く、話している途中で思い出したように次の話が始まること、また主に山中や山間の村での話――それも「実は交通の要衝だった地域」での話、という点で遠野物語を彷彿させる部分がある。
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マタギを中心にした「山の鉄人」らから集めた怪しい話集。
マタギの名前(仮の人も)と地名とが出され、さらに方言が加わるとちょっと体温や肌触りがリアルなように感じて、楽しいことこの上ない。
中には「不思議なことなど何もない」と言い切る鉄人もいて、そんな人でも理解出来ない不思議な話が一つか二つはあるらしい。
個人的には人間の五感は山に入ると微妙に狂うもので、その狂いの差で出会う怪にも違いがあるのかも、などと考えた。
けれど3部に収録された話はそれとはまた違う不思議な話が多く、やっぱりスーパーナチュラルに説明を加えようとか解明しようとか思うのは野暮なのかしらと楽しみながら読み終えた。
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UFO、オカルト、超常現象の類は全く信じてないけど、山の神や物の怪は確実にいる。
この本の表紙を見たとき、10年前のことを思い出した。
南アルプス甲斐駒ケ岳の東、篠沢大滝と黒戸噴水滝に行こうと自転車に野宿道具一式積んで林道を走っていた。
最初から野宿覚悟で夕方ごろ、そろそろ寝場所を決めるかと林道から外れた沢の終端、砂防ダムの横にテントを立てて飯食って寝た。
野宿すると熟睡できない。
外は完全に闇の中、時折ウトウトしていると、それは突然だった。
ゴォォォオン...
テントの真横で、いきなり寺の鐘の音が鳴った。
意味が分からない。
鐘の音は十回ほど立て続けに鳴り、恐ろしさに寝袋を頭を突っ込み丸まっていた。
それ以来、山の神は存在すると信じている。
人間の光が差し込まない、本当の闇の中に息づく何かがある。
かつて、人間は闇の中で生活していた。
妖怪、物の怪が出てくる昔話は数多あるが、それは現代社会からは消されてゆくものだ。
ただし、人間の手が及ばない世界はある。
そこに立ち入った時には、深入りするべきではない。
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素晴らしい表紙。
黒く煤けるお札と、こわすぎて人間のまたぐらに飛び込んできちゃったうさぎがキュンとくる。?
自分の住んでるとこにも何か山の不思議な話はないのかなーと思いましたが、とんと聞いたこともなく。何分丘レベルなので…やはり深山幽谷でないとそういった話はないものなのかなぁ、と残念。
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普通にリアルで怖い山の話。
これ読んでたらあおり運転とか、ホントに取り憑かれてしまったんじゃないか?あんなのおかしいもんな。と、思わざる得ないくらい、取り憑かれておかしくなる人が未だに多数いるらしい。
生きて帰れるひとも、帰らぬひととなるひとも。どうにも説明がつかない状況っていうのがホントに存在するらしい。
特に舞台は山。
山そのものも生命を持ってしまっているのか、自然の力にはそもそも抗えないのか、不思議としか言いようのない山に飲み込まれる人たち。そんな話が盛りだくさんの一冊。
マタギと呼ばれる人たちの話がほとんどなんだけど、この人たちの山の生活もまたすごい。すごい。ヤマの申し子だ。ホント。山とともに生きる。まさにという感じ。装備もほとんどなく、自然と一体化して何日も山に潜る。すごい。すごすぎる。山エキスパート。すごい。
尊敬です。
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山歩きに行ってテン泊なんかすると、周囲は本当に漆黒の闇に閉ざされる。夜中にふと目が覚めて、目の前で手を振ったりしても全く何も見えないほど。
表では時々、ひたひた、かさかさ、などと訳の分からない音がしたり(テントだと増幅されて聞こえるらしい)、外に出るとキラリン☆と何かの目が光っていたりする。
人里離れた場所は、怪異な雰囲気に満ちている。
最近でもそんな調子だもの、昔はもっと、いろんなものがいたり見えたりしただろうなあ、と思わさる。
著者(以前読んだマタギの本を書いた人でもある)が、秋田の阿仁マタギほか全国各地の山人たちから、「山で出遭った怪」について聞き書きした本である。
狐に化かされた話、人魂の話、山小屋にやって来る足音の話などがたくさん出て、寝る前にベッドで読んでいると背筋がゾワゾワくる話が満載なのだが、一番怖かったのは「道の傍らになにか人間でないものがうずくまっていた。その顔を見て腰を抜かし、ほうほうの体で逃げ帰ったあと、3日高熱で寝込んだ。一体どんな顔を見たんだろうか」というような描写が出てくる時である。
とにかく、なんだかよく分からないものが一番おっかない。
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淡々と怪談のような不思議な話が続く本書。あれ、思ったより怖くないぞ?と思う反面、自分も登山をするので、もし自分が同じ経験をしたらどうかと思うとやはり怖いと思う。表紙の目玉ちゃんが不気味で良い。
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山には絶対にわからない不思議なことが
たくさんたくさんあると思う。
狐もたぬきも頑張れ‼︎
こないだの行方不明になった二歳の子も
狐か天狗に遊んでもらったんだと思う!
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山での不思議な話。
主にマタギや猟師、またその家族の方に聞いた話を集めたものらしいのだけど全体的に酒に酔って狐に化かされた系の話が多く単なる酔っぱらいの見間違えじゃぁ・・?と思うところも一興。
もちろんそれだけじゃ説明できない話も多く、たった数十年前とは言え夜が明るくなった現代とはまるで違う世界の話の様子が興味深い。
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遠野物語の現代版。
だが、その文章の質も話の深みも狙いも遠く及ばない。当然だが。
こちらはただ、不思議な話が、たまに余計な筆者のコメントをつけて記されているだけ。
本当は遠野物語もそうなのだろうが、その分やはり柳田國男のしごとぶりが光る。
あれは、この本で言う「民話の原石」ではなくて、そのまま民話になっていた。となると、やはり中身の話ではなくて、語り口なんだろう。
とはいえ、もちろんこうした怪異譚の収集は大きな仕事である。もしかしたら50年後にはいっさいが消えて、妖怪のいない国になりうるからだ。
印象に残ったエピソードを。
・尻尾を光らせてクルクル回す狐。
・冬の寂しい辻路に突如現れて消えた夜店。
・魚カゴを引っ張る狐
・狸のいたずらは大概しょうもなく、かわいらしい(ただ梅干しが欲しくてついてくる)
・山で獣に騙されないようにするためにはニンニクを持っていく。揚げ物は厳禁。
・歴史ある社を解体したら2メートルある白蛇が出てきた
・じっとマタギを凝視し、14発撃ちこんでも倒れない白鹿
・最も怖い話は「来たのは誰だ」。シャンシャンと山小屋の周囲をうろつき屋根に登り、ドンと開けた山伏の霊
・濃霧の日はなにかが起こる
・無風なのに竹林がガラガラガラと音を立てて揺れる。海の日は竹やぶに入ってはいけない
・ぎゃああああっと断末魔のような鳴き声の鳥
・人通りのない山道に山盛りご飯の器が置いてあり、それが場所を移動している。
・最も温かい話は「謎の山盛りご飯」の最後の話。父親の思い出を話しながら我が子と山道を歩むうちに、その子どもこそが本当の自分じゃないかと感じた。オヤジさんが自分になったんだと。そして景色もあの時父親と歩いたときのような風景になっていた。まるで夢十夜や内田百閒に出てきそうな美しい話。
・狐は熊にも憑く
・樹齢数百年の木を伐採すると、木の根元から命の風が吹く。
・仕留めた狐を引張って持って帰ると、その道にある家が全部火事になった。だから撃ってはいけない。