【感想・ネタバレ】思考実験のレビュー

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Posted by ブクログ

思考実験を集めた本を読みたくて、あれこれ調べた末に見つけたのがこの本。単に思考実験を羅列したのではなく、いくつかのテーマに分け、作者の思索がきちんと伝わってくる書き方がよかった。

自分とは何か、他人とは何か、道徳とはどういうことか、生きることに価値はあるのか。そういった根本的な問いかけに対して、哲学書から文学、映画までも「思考実験」と捉え紹介してくれる。大変興味深かった。作者が引いてくれるわかりやすいガイドラインに沿って、自分も一緒に考えられる感じて、興味深く感じた。

やや残念だとすれば、本の量に対して多くのテーマを盛り込みすぎたような感じで、ひとつひとつについての掘り下げが中途半端に感じたことだ。まあ、それはこの本が一種の入門書というか手引き書で、さらに突っ込んで考えたければ自分で進んでいけ、ということなのだと納得することにしよう。

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2021年08月05日

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ネタバレ

聞いたことのある映画や小説まで思考実験として考察され、読んでいくうちにあらゆる想像は哲学的な思考に昇華できるのではないかと思うようになった。人間転送器2(だったかな)は自分のコピーを火星に送り込むもので、とても印象深く時折思い出してはその状況を噛み締めています。

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2014年09月23日

Posted by ブクログ

人間を考える哲学の思考実験75。トロッコ問題や時限爆弾シナリオ,エンハンスメント,現代優生学といった,倫理や社会にまつわる思考実験も良いけど,前半の自我に関する二章はより一層根元的で魅力的。
私が私であるとはどういうことか?人生は覚めない夢ではないのか?こういった,誰もが素朴に抱く疑問を哲学はどう扱ってきたのか。
記憶・人格の交換,心身の複製,人間転送機。ノージックの経験機械,パトナムの水槽の中の脳,グラヴァーのドリームワールド。SF的で荒唐無稽な設定を駆使して,人間という謎に分け入っていく。

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2014年02月22日

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■全4部構成。
■Ⅰ自己,Ⅱ他者は個人的にあまり興味がなかったのか,
 読み進めるのが苦痛だった。
■Ⅲ倫理,Ⅳ社会は面白くて一気に読み終えた。
■カチコチに固まった頭を柔らかくするのに,
 良いトレーニングになるかもしれない(?)。

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2014年02月04日

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自己の存在、他者との関係、倫理などにわたる75もの「思考実験」を読みとおす。足元の地面が頼りないことに気付き、また自分の「内面」であるはずのものが、どろりと流れ出すような、あるいは自分と外界の境界線が、俄かに輪郭を失い、数学でいう開集合のようなものになる不思議な感覚。著者、岡本祐一朗氏の講義は面白そうだ。

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

哲学的な問題を具体的に示す75の思考実験を紹介しながら、哲学上のいくつかのトピックとそれについての著者自身の考えが語られている本です。

とくに倫理学では、われわれが採用しているはずの倫理的な原則を明らかにするために思考実験を提示しながら議論が進められていくというスタイルがしばしばとられますが、本書でもそうした思考実験のいくつかを紹介しながら、わかりやすくなにが問題になっているのかということが説明されています。

哲学における思考実験の役割について考察している本だと思って手に取ったのですが、そうした議論の掘り下げはあまり見られなかったように感じました。

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2019年06月04日

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・個人は他人との関係のうちでしか、自分を規定できないのか?
・人間はみな死を宣告されている死刑囚と同じである

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2018年11月04日

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 人間をめぐる様々な問題を考えるための事例をもとに、哲学の理論を学ぶもの。「自己」、「他者」、「倫理」、「社会」の4つのテーマ、75の思考実験が取り上げられている。
 こういうのは有名なサンデル教授の本でも学ぶことができるが、著者曰く「奇抜なアイデアやpuzzleのような形式がしばしば話題となる。ひとつひとつの『思考実験』が、前後の脈絡のないままに、いわば頭の良さを競うように提出されるのだ。しかし、この方法では。『思考実験』のそれぞれが何を目指しているのか、あまり明確にはならないように思われる」(p.10)、とか「最近の『思考実験物』は、奇抜なアイデアを競って、自己目的化しているように見える。『思考実験』は、何かを構想するためにこそ案出されるもので、一つの手段である。パズルのように、それだけで楽しむものではないと思う。」(p.262)とあり、古典が参照されたり、理論の基本モデルも含めて「思考実験」の枠組みに入れたり、結構堅実な路線が貫かれている。
 個人的には「倫理」のテーマが一番興味深かった。カントの「嘘をつくな」は有名な話だが、「いつもはホントが語られるからこそ、ときどきウソをつくことが有効になる。ぎゃくに発言がほとんどウソであれば、ウソをつきたくても、誰も聞いてくれないだろう。」(p.139)ということで、さらに「『ウソをつかない』という態度を身につけなくては、ウソをつくことさえ不可能になるだろう。」(同)ということで、だからこそカントのいかなる場合も嘘をつくな、という要求が意味を持つ、というのに納得した。また、脳科学ブームがだいぶ前に起こり、もう下火になっている感があるが、「脳科学がどんなに発展しても、倫理学が不要になることはない」(p.187)として、「その理由は、脳科学によって解明されるのは、人びとが道徳的な判断をどのように行っているかであって、あくまでも事実的な問題である。しかし、事実をどんなに集めても、『それが善いか悪いか』を決定することはできない。」(同)、「一時期の流行のように、なんでも脳科学によって分かるかのようなイメージをふりまくことは、科学的な態度からは程遠い。そうでなければ、脳科学の有効性も見えてこない。」(p.188)という部分も、分かりやすかった。(17/05/23)

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2017年05月23日

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いろんな説を思考実験(たとえ話に近いのものが多い)を中心として紹介する本。著者自身の会社や批判もあってそのまま主張を鵜呑みにしているわけではない。また一連の流れの元に各説が整理されてあって頭に入りやすい。概観書として良くできていると思うけどいかんせん扱っている範囲が広すぎて全体にまとまりがないか。

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2014年08月20日

Posted by ブクログ

思考実験という題名だが、その本質は現代の行きづまり感をいろんな方面から教える内容となっている。
ここまで題名を変えた方がいいと思った新書は久しぶりだった。
どういう経緯でこうなってしまったのだろうか。

SFの話がたくさん出てくるので、未来の社会像や倫理像や個人像は19世紀から20世紀にかけての思想ではとてもカバーしきれない予感がする。その都度何を善悪の判断基準にすればいいのか、まだまだ思想や倫理学などの役割が終わりそうもなくて少し安心をした。

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2017年01月13日

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