【感想・ネタバレ】新訳 フランケンシュタインのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

天才科学者フランケンシュタインが生み出した怪物と、生みの親であるフランケンシュタインの話。

フランケンシュタインは、科学への好奇心から怪物を生み出したが、その怪物は人間と変わらぬ知性と感情を持っていいた。怪物はその醜い見た目から、親切を働いた人々にも拒絶される。親切や善意が拒絶されたことにより怪物が世界と関われるのは悪意を通した凶行だけだった。悪意に任せるまま、怪物は創造主であるフランケンシュタインへ復習するために、フランケンシュタインと関わりの深い人々を次々に殺していく。そして、フランケンシュタインもまた怪物への復讐を誓う。

誰も救われない展開に呆然とすることしかできない。どちらが悪かを断ずることもできないままに、読み手の前に犠牲者たちの屍が積み重なる。その様子が「悲しみ」という感情にまとまる。

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2019年09月10日

Posted by ブクログ

数年前に青空文庫だったか、他の訳で読んだものの、改めて読み返してみようと思い手に取った。
「フランケンシュタイン」は怪物の名前ではなく怪物を作った作中人物の名前だよというのは、もはやだいぶ定着してきたことと思う。
怪奇小説ということで、主人公は怪物だと思われるが(私は本書はフランケンシュタインと怪物のW主人公と思っている)、なぜ作者のシェリーはタイトルを「怪物」ではなく「フランケンシュタイン」としたのだろうか、と思いながら読んだ。
というわけで、本書でスポットが当たっているのは怪物ではなく、フランケンシュタインであるという考えのもと、感想を書こうかと思う。
特に内容はないけど。

感想を書くと言ったものの、大体本書を読んでいいたいことは、冒頭のシェリーのまえがきと…特に訳者あとがきに詰め込まれているのです。
訳者は本書を翻訳するにあたり、この物語が今まで読み手にどのような印象を与えてきたか知るために、様々なレビューを読んだとのこと。
そうすると、「やはり多いのは、望んでもいない醜き生を受けた怪物に同情し、あらゆる責任を放り出して自分に都合のいい言い訳をするフランケンシュタインに腹を立てる声であった。」
訳者自身も、「ジュスティヌ・モリッツの裁判を傍聴したフランケンシュタインが「彼女の受けていた責め苦も、私のそれには及びますまい。彼女には無実の信念を心頼みとできても、私の胸は決して逃してはくれぬ呵責の牙に引き裂かれていたのですから」などと語って見せる場面は、自己正当化も甚だしいように見受けられ、実に腹立たしい。」と述べている。
まあ正直、私も同感である。
人命錬成という研究に取り憑かれたように打ち込み、いざ自分の設計通りに怪物が生まれた途端、怪物に対し嫌悪を剥き出しにし怪物が何を語りかけようとも怪物を悪と決めつけるところは、一体お前は何がしたいんだヴィクトル・フランケンシュタイン?といった気持ち。
まるで欲望のままにセックスをし、いざ子どもが産まれたらトンズラこく無責任な父親のようである。
訳者も父と子の物語であるとしているが、本当にそうだなぁ、育児放棄した父親とそれに対して憎悪を抱きながら救いを求める子どもの図だ…
もし産まれた怪物が美しい天使のような外見だったら、フランケンシュタインはどうしていたのだろうか。若さと苦を知らぬ裕福さゆえかもしれないが、そうなったら怪物を怪物と呼ばず祀り上げていたかもしれない…かな?
フランケンシュタインの怪物に対する感情、偶然北極で出会った野心に溢れた青年にこの自分の今までを教訓として語り聞かせるところ、間違った方向に向かっているのかはたまた正しいと言えるのか分からない正義感…様々な彼の感情、行動が、まさに人間だと思わされる。
怪奇小説でありながら、主人公は人間なのだと感じました。

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2023年03月21日

Posted by ブクログ

学生のころに別の人の訳で読んだ気がする。改めて時系列を意識して読んだら、フランケンシュタインが思いのほか若くて驚いた。そして怪物がとても切ない。最後フランケンシュタインが怪物を追うとき、怪物は自分を殺すためとはいえ、全てから忌避される自分を求めて追ってくる存在がいるというのにうれしい気持ちもあっただろう。怪物に最後まで名前がないのも個人的に気になるところ。

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2015年12月27日

Posted by ブクログ

200年前の小説は、表現が大袈裟に感じるところもあって、読み始めは少ししんどいけれど、読み慣れてくると、豊かな表現にリズムが乗ってきて、心地よかった。命を生み出すことでの苦悩が描かれているが、何かを構築したり生み出したりすると、そこに責任が生まれ、生み出した人それぞれに苦悩することもあるなと思った。それにしても、現代では隠れ住むことも難しいだろうな。

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2021年12月05日

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