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Posted by ブクログ 2020年09月26日
<文庫全4巻を通してのレビュー>
古代中国の戦国期、「戦国七雄」にも数えられぬ小国、中山国宰相の嫡子として生まれた楽毅は、栄華を誇る大国・斉の都で己に問う。
人が見事に生きるとは、どういうことかと。
諸子百家の気風に魅せられ、斉の都に学んだ青年を祖国で待ち受けていたのは、国家存立を脅かす愚昧な君主...続きを読むによる危うい舵取りと、隣国・趙の執拗な侵略だった。
才知と矜持をかけ、若き楽毅は祖国の救済を模索する。
楽毅は戦国時代の小国:中山国の宰相の嫡子であり有能な武将。
若い頃は斉の臨淄で孫子の兵法などを学び、人が溢れている雑踏の中で「人が見事に生きるのはなんと難しいことか」と考える。
孟嘗君を尊敬し、傾倒していったのも自然な流れだろう。
故郷の中山国に戻った楽毅を待ち受けていたのは、暗愚な君主のためにまさに崩壊寸前の母国と、希望の光でもある太子。
太子は全面的に楽毅を信頼しており楽毅はきたるべき太子の時代を思い、国のために忠誠を尽くしますが、虚しくも中山国は趙の武霊王によって滅ぼされる運命となる。
ここまでの展開でも楽毅の才能と魅力はいかんなく発揮されているが、母国が滅んでからの楽毅がまた素晴らしい!
孟嘗君からの陰の支えもあり、燕の昭王に仕えることになった楽毅。
その楽毅をしたって続々と燕にやってきた、かつての盟友や臣下たち。
昭王の最大に目標ともいえる斉攻略をとうとう実現させる。
有能で魅力的な人物は引き際も素晴らしい。
-人が見事に生きるとはどういうことなのか-
それをじっくりと考えさせてくれる一作。
Posted by ブクログ 2019年03月26日
大国に囲まれた中山の宰相の嫡男として産まれた楽毅。見聞(広めるために身を偽り敵国・斉に留学し、孫子の兵法を学ぶ。さらに孟嘗君との出会い、楽毅を大きく変貌させる。悩み抜く生きざまに天はどのような展開を与えていくか。楽毅の成長物語・序章。非常に読みやすく、展開も速いため、宮城谷昌光の入門として最適な一冊...続きを読む。
Posted by ブクログ 2015年07月21日
同作者の「孟嘗君」を読み終えたので、次はこれを読み始めました。
本作は「孟嘗君」と同じ戦国時代の話で、序盤に孟嘗君その人も出てきます。
孟嘗君は作中において、主人公である青年楽毅の心の支えといえるくらいの重要な人物なので、「孟嘗君」を読んでいると感慨もひとしおと思います。
「孟嘗君」は戦国時代の話...続きを読むのわりに人間ドラマ的な色合いが濃かったのですが、本作はまさに戦国という感じ。
「孟嘗君」も優れた作品であることは間違いないですが、個人的にはこっちのほうがわかりやすくて好きですね。
主人公の楽毅ですが、第1巻ではまだ二十代の青年です。
にもかかわらず、人格がすでに完成されています。
昔の人でそれも名家の生まれなので、当然といえば当然なんですが、二十代にしてすでに人望を集めながらも、決して奢らない。
常に冷静に戦況を見るさまは、とても若者とは思えません。すごいです。
ならば主人公の成長物語はないんじゃないか?
そんなふうに思われる方もおられるでしょうが、そんなことはありません。
実は、楽毅は生まれが中山という弱小国で、さらに君主がとんでもないくそやろうなため、自分の身の振り方に悩んでいたのでした。
上司に恵まれなかったというわけですね。
そこで彼は常に自分自身に対して、人が立派に生きるとはどういうことかと問い続けるのです。
ところで、楽毅のほかに、武霊王という登場人物も出てきます。
この人は楽毅の祖国を攻め取ろうとする趙という大国の王。
いわば楽毅の最大の敵なのですが、その強敵っぷりが凄まじい。
そんな少年漫画のような興奮を味わえるのも、この作品の面白いところだと思います。
Posted by ブクログ 2015年07月15日
見事に生きるとはどのようなことか。キーワードは「臣」と「君」。現代の私たちも、個人事業主でもない限りは、臣か君かのどちらかであると言えるのではないでしょうか。すべての臣へ。すべての君へ。
Posted by ブクログ 2014年03月08日
中国 戦国時代中期の名将・楽毅の小説。
生き方自体が哲学であり、その言動が彼の生き方そのものを映している。
そんな一本筋の通った潔さ・清々しさに胸を打たれる逸品である。
宮城谷小説には珍しく、物語の冒頭から青年の楽毅が登場する。
序盤の彼は、孫子の兵法を学び、過去の歴史を学ぶ、小国の宰相の子とし...続きを読むて登場する。暗愚な君主に率いられた中山国でいかに生きるか、悶々と悩む彼の行動にはまだ迷いが多く、正直この時点ではこの小説の魅力に疑問を感じた。
しかし、読み進めるほどに楽毅が成長し、いつしか孫濱兵法を戦場だけでなく外交・内政でも発揮する、実践する哲学者とでも言いたくなる楽毅像が出来上がってくる。
もうこうなると、彼の生き方・進退の鮮やかさ・人間的魅力にただただ魅了されるばかり。
魅了されるばかりではない。組織の№2としての組織への殉じ方、あるいは前線部隊の長としての部下育成のあり方など、今の世でも活かせるような哲理を言動で表している、実に得るところの多い書物である。
面従腹背・朝令暮改の世の中を、「人」に視点を据えて清々しく見事に生き切った楽毅の姿を、ここまで鮮やかに想像した宮城谷氏の筆力に、ただただ感嘆。
Posted by ブクログ 2014年01月11日
「孟嘗君」からの続きで読み始めた「楽毅」。
最初に孟嘗君が出てきたりするあたり、本を読む順番としてはバッチリだった。
全4巻だけど、どんどん読んでしまいそうだ。
Posted by ブクログ 2013年06月06日
人が見事に生きるとはどういうことか―
小生初の宮城谷作品。三国時代の諸葛孔明が自らを管仲・楽毅になぞらえていた、という話を聞いて拝読。
清々しく颯爽とした楽毅の生き方に感じ入り、通読することふた度。洗練された戦闘描写に釘づけ。それにしても、逆恨みのなんと醜く愚かで恐ろしいことか。
Posted by ブクログ 2012年03月17日
諸葛亮孔明をして、軍略の天才と言わしめた中国春秋戦国時代の名将・楽毅の生涯を描いた大作。1巻から4巻まであるが、若者としての楽毅が苦境を乗り越えて中国史に残る偉業を達成するまでの過程が、個人としての成長とリンクして非常に清々しい。
戦国時代、趙や斉、魏といった大国に囲まれた中山という小国の宰相の子...続きを読むとして生まれた楽毅は若くして斉の首都に留学し、孫子の兵法を学ぶ。だがそれ以上に彼にとって財産となったのは、戦国四君にも数えられる当代一の英雄・孟嘗君との交流であった。
大望を胸に抱きながらも主君に恵まれず、隣国趙の侵攻から太子を守りながら奮闘する若き楽毅の姿に、ページを捲るのももどかしいほどに感情移入した。それとなく処世術とも言うべきエッセンスが加えられており、とくに若い人にとって読んでもらいたい内容である。
Posted by ブクログ 2010年03月01日
どんなに頑張っても、上の人に恵まれなければ
本当の安心は得られないのだなと思いながらも、こういう状況で逆境だからこそ、信念がしっかりとあって向かっていくのかもしれないと、真面目に考えつつも、文章がしっかり読ませてくれるのでそちらを大いに楽しませてもらいました。
Posted by ブクログ 2009年11月24日
中国の歴史は古い。そして、重厚な文化。今の中国には無い良さを感じる事ができる。仁や義という文字は中国から入ってきたもの。既に中国は失ってしまったけど、それにはそれで理由があるのだろう。
非常に読んでいて印象的なのは、楽毅の人柄だ。信義にあつく、人よりもちょっとだけ遠くを見ている気がする。自分もしっか...続きを読むりと生きたいものだ。
「孫氏は必勝の法をさずけてはくれているのだが、楽毅はむしろ、その法にこだわると負けるのではないか、と思った。兵法とは戦いの原則にすぎない。が、実践はその原則の下にあるわけではなく、上において展開される。」
「目配りは自分にも行わなければならない。」
Posted by ブクログ 2009年11月05日
三国時代の名軍師、諸葛孔明が青年期に自身を評して、斉の名宰相「管中」と共に名を上げたのが「楽毅」。
一体どんな人物だったのか?と思った人は、是非お読みください。
この物語において、重要なテーマとなっているのが「人が見事に生きるとはどういうことか」
戦国時代の小国、中山国の宰相の嫡子として生まれ、...続きを読む斉へ留学していた書生時代から祖国の危機に奔走する楽毅の物語。
主人公、楽毅に多大な影響を与える孫子の兵法と孟嘗君(田文)との出会い、大国に圧倒されて窮地に陥る祖国と、それを守る為に戦い続ける楽毅。
祖国中山国の滅亡後も、大国に対して毅然として抗し続け、後世に名を残す名将が「見事に生き抜いた」生涯に感動。
Posted by ブクログ 2021年12月05日
名前だけ、キングダムに出てきて知っていたが燕の大将軍、楽毅の生涯を書いた作品。
幼少のころ、斉の臨淄に留学をしていたことから大局的なものの見方ができているように感じた。また、その際に会った孟嘗君の影が1巻を通じて見られる。
同作者の孟嘗君では、孟嘗君となるまでの話に主軸が置かれているように感じていた...続きを読むので、別の作品からこのように光が当たるとそれも面白い。
内容的には、戦いのシーンが多い。
Posted by ブクログ 2020年07月23日
弱小国の中山に楽毅はいた。斉に憧れて、斉へ行き、田氏に会い、兵法を勉強する。楽毅は、斉でもう一つ運命的な出会いがある。中山に帰った後、趙との戦いに中山内部で活躍するが、まだ、世の中に知られた存在ではない。
Posted by ブクログ 2018年09月23日
漫画キングダムから興味をもち、購入しました。
戦国七雄の趙と燕に隣した小国「中山国」で名将楽毅が目覚め始めます。1巻では楽毅と戦国四君の一人である「孟嘗君」の出会いが印象的に描かれています。彼との出会いが楽毅の将器を大きくし、趙との戦争の中にその片鱗が見え始めます。愚君に仕えざるを得ない楽毅の葛藤...続きを読むややりきれない心理描写も読みごたえありです。
印象的だった文章
・成功する者は、平穏なときに、危機を予想してそなえをはじめるものである。
・ー真の名君は、臣下に聴き、臣下を信じ、臣下をうやまう人である。
Posted by ブクログ 2018年01月09日
中国の戦国時代の名将・楽毅の生涯を描く長編小説。第1巻は井陘の塞、防衛戦まで。
聖王の時代の故事なども興味深く、本筋も脇道も楽しい小説。
Posted by ブクログ 2017年11月16日
高校時代だろうか「孫子の兵法」を読んだ事がある。殆ど内容は覚えていないのだが、なんとなく想像していた「寡兵をもって大軍を征する」的な戦術論ではなく、至極あたり前といえる「味方が敵より少なければ戦うな」とか「相手が攻めて来ようと思はないほどの強兵を養うのが上将軍」といった記述が多かった。
ところが将...続きを読む軍・楽毅は常に敵より少ない兵力で、強敵を打ち破る戦いをしており、ある意味で義経を見るような気がする。最後の斉都侵略はいわゆる「中入り」戦術の最たるもので、寡兵をもって敵の本拠を一気に急襲し、これを落としてしまう(もちろんその前に戦略=外交戦を十分やっているのだが)。
しかし、この外交戦はわかりにくいですね。とにかく各国が節操無く連合したり、敵対したり。著者のせいではないのですが、昨日の敵は今日の友。ぐちゃぐちゃです。関連する人の名前も多く、私みたいな速読派には向いていない。戦術的シーンはなかなか面白いのですが
Posted by ブクログ 2013年04月19日
かれこれ10年ぶりくらいに読む歴史長編~。
氏の沢山の著作のなかで、どれから読むかとても迷いました。
楽毅といえば三国志の孔明のアイドルであったということしか知らなかったので
まずはこれから。
滅びゆく小国、中山国の宰相の嫡子であった楽毅の人生は
冒頭から不安に充ちていますが、まれにみる天分の才とひ...続きを読むらかれた思考、
孟嘗君やさまざまの人物との出会いなどから翼を得て、気を穿いていく―
生き延びることすら難しいような戦国時代のなかでおのれの生きざまを貫いていく登場人物たちがすごく魅力的です。それも孟嘗君といい楽毅といい、信念は貫きながらも仕える国は変わったりしていくので柔剛を併せもち、亡国や愚王に殉じたりはしないのがとても現代的な感覚も感じます。
最終巻で一気に才覚が飛翔するかのような、さいごまで息をつかせぬ展開なのですが、
後書きで著者がとても長期連載で、いつ書き始めたのかわすれたと仰っているので意外な気がしました。
宮城谷作品といえば、漢字の遣いかたが独特で、とても古い字がでてきたりと細部まで心が配られています。白川静先生の辞書をめくったりしながら楽しみました。
他作品もぜひ読みたいと思います。
Posted by ブクログ 2012年10月31日
華北に中山国という小国があった。楽毅はその国の宰相の嫡子として生まれた。中山は趙によって攻め滅ぼされてしまう。しかし、楽毅は最後まで戦い抜き、その後に燕の武将となって大国斉を破って大勝する。管仲と並んで諸葛孔明が憧れた人物である。拙も好きな人物の一人であるし、人生を見事に生き切るとはこういうことだと...続きを読む教えられた一冊。
Posted by ブクログ 2012年04月23日
・取ろうとするものはまず与える。
・さびしさの向こうに、人の真影がある。
・名誉にも不名誉にもにげない、性情のままの自分であること
・成功するものは、平穏なときに、危機を予想して備えを始めるものである
・知恵というものは、おのれの意のままにならぬ現状をはげしく認識して生じるものである
・道おこなわれ...続きを読むず。筏に乗りて海に浮かばん
国家に正しい道がないとき、流亡の旅もやむを得ない。国家も人も、滅ぶときにはうちから滅ぶ。
・優勢にあるものがおのれの優勢さを誇り、劣勢にあるものを怒らせて、よい結果が得られたためしはない。
・王朝が天下の民にとって元凶に変わったとき、滅亡しやすいところに王都を定めるべきである。
守るための仕組み作りをするな
Posted by ブクログ 2010年04月10日
古代中国の戦国春秋時代、中山国の宰相の息子、楽毅の物語。第1巻では、学生としての留学先である斉の臨淄で、名高い斉の宰相、孟掌君と知り合う、その後、中山へ趙国が攻め入るが、楽毅の提案である斉との同盟はその歴史的背景から、なかなか実らない。
楽毅という日本ではそれ程有名ではない主人公が、焦点となり中国...続きを読むの戦国春秋時代が丁寧に語られていく。
Posted by ブクログ 2022年12月13日
読みごたえがあった
自分には歴史物は合わないかも知れないが
ここまで愛されているには理由があるんだと思います
いずれ時期がきたらまた読みたくなるかも
知れない
Posted by ブクログ 2019年10月05日
中国歴史モノ、畏れながらも何も知らない自分ですが、先輩のオススメがあったのでこわごわ手を伸ばしてみました。
とりあえず、「楽毅」ってIMEの変換で出てくるくらいの有名人だったのか…というレベル。中山国の首都、霊寿も石家庄と言われると何となくわかるような。
全4巻の第1巻、序盤はスロースタートの印象...続きを読むでしたが(色々と国やら背景やらを説明されるものの、ストーリーと連動しないからまぁ頭に入ってこない…)、本巻の半分くらいからはテンポ良く話が進んでいきます。
人の駆け引きであったり、兵法であったりが出てくるあたりは今後の面白さを感じさせます。文中に出てくる「孫氏の兵法」と「墨子の兵法」の違いは、戦略と戦術の違いに似ているようにも思え、なるほど楽毅の凄さを感じさせます。しかし、挿絵の印象と文中の印象が全然一致しません(笑
何にしても、歴史小説の常で、人間同士の駆け引きや地政学を大いに楽しませてもらえそうな本です。とりあえずは4巻全部読み通してみようかなと。
いきなり読み出すには取っつきづらい本で、オススメがなければ自分からは絶対に手に取らなかった本だと思います。先輩のリコメンドに感謝。
Posted by ブクログ 2018年09月15日
以前読んだ『孟嘗君』にチラッと登場した楽毅。どんな人物だったのか興味を持ったので読んでみた。中国の戦国時代はごちゃごちゃしてわかりにくいが読みやすく面白い。
Posted by ブクログ 2014年10月27日
楽毅の周囲にいる様々な人物の性格や個性、あるいは人間関係を、自分自身の周りにいる人たちに置き換えて想像しながら読んでしまう。この人と仕事したい、と思わせてくれるような人、ダメダメな上司、刺激し合える友人などなど、いつの世も変わらないなと思う。
私自身、中国史の知識も馴染みも全くない状態で読み始めて...続きを読むいるので、登場人物や国の名前の多さに時々チンプンカンプンになりながら、それでもがんばって読み進めている。
Posted by ブクログ 2013年08月24日
学毅は諸葛亮孔明を思わせる軍事の天才ということで三国志を読むような楽しい本でした。久しぶりに楽しみました。第1巻では没落しつつある中山国と趙の争い、小国中山軍を率いて立てこもる砦。第2巻では天下を目指す趙の英雄・武霊王の活躍と中山国の滅亡へ、戦国4君である孟掌君に続き趙の平原君の登場。第3巻では恐ろ...続きを読むしい予言と、その成就へ向けた緊張感。そして新たな楽毅への出発への動き。
Posted by ブクログ 2013年03月15日
おっ面白れ〜.....ってわけでもなく、
あーもう全然つまらん.....ってわけでもなく、
全巻(4冊)買っちゃったしな〜、
しゃーないから最後まで付き合うか....、
って感じで受動的読書に陥る本。
つまらなくはないんだけど、積極的に読む気が起きん。
残り3冊先は長い。漢字むつかしアルね。
三...続きを読む国志でいんじゃね?と思た。