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元禄から続く料亭『江戸屋』四代目女将として成長していく玉枝の姿に自分の娘を重ねて読んでしまい涙をこらえきれなかった。年端のゆかぬ子供が頑張る姿というのは実に胸を打つ。
もっと周りに人のいない環境で心おきなく読みたかった。
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母が送ってくれた本を入院中に読みました。
時代小説をちゃんと読むのはそのときが初めてで、最初は慣れない名前や年号にとまどったものの、すんなり物語の世界に入れました。
簡単に真似できないけれど、学ぶところがいっぱいです。深川の人たちの助け合い精神や心意気、羨ましいです。
おっしゃんが福松さんに言う最後の言葉に涙しました。
3代目秀弥
あかね雲を、読んだあとに、この本を手にした。
期待を外さない4代目秀弥の生きざまに、真似のできない清々しさと気っ風を感じて、読後感がとてもよかった。
ただひとつ、気になり2冊を探った3代目秀弥の享年。60なのか52なのか?
ファンとしては、4代目の心に違いが出るだろうと、気になりました。
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山本一力作品ではたびたび登場する深川老舗料理店の江戸屋の女将秀弥を中心とした話で、よく登場する三代目から四代目に代替わりするための女将としての心構えを伝授する姿やそれを着実に受け継いでいく四代目の女将として成長していく姿が良かったです!
四代目の父親が誰なのか?は、結局謎なままでしたが・・・
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「損料屋」の重要登場人物である、料亭江戸屋の魅力的美人女将秀弥さんの成長譚。
先代女将をはじめとする周囲の人物に育てられ、歴代女将に恥じない才能を開花させる過程が、心地よい文章で描かれています。
心のノートに留め置きたい、珠玉の金言格言的セリフが多々あります。
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深川の料亭「江戸屋」の女将、母から娘へ温かく、時に厳しく器量・粋・覚悟を学びながら立派な女将に成長していく人情物語。
「つらいときは、好きなだけ泣きなはれ。足るだけ泣いてもよろし。そやけど、自分が可哀相やいうて、あわれむことだけはあきまへんえ。それは毒や。つろうて泣くのと、あわれむのとは違いますよってな。」
「つらいことと向き合うからといって自分を憐れんではなりません、それを始めるといつまで経っても抜け出ることがかなわなくなります。」
「質素とみすぼらしさは別のことです。」・・・
ちょっと出来過ぎ感があるが、生き方の勉強になる。
山本作品ではかなり好きな部類。
山本作品は8代吉宗から10代家治くらいの間の深川作品が多い。殺伐とした戦国の気風がなくなり、まだ幕末の気運がまだない下町の一番江戸らしい江戸文化。その中の庶民のいろいろな生業の心意気をテーマにすることが多い。
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世襲で老舗暖簾を守ると言う事はこれだけ厳しい事なのかもしれない。
親が自らを手本とし周囲からの信頼を得る姿を見せる事で子供はいつの日か自分も同じような人間になりたいと思うものなのでしょう。
親の背中を見て子は育つ。
自分も親として少し見習わなければと思わされましたね。
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有名料亭の女将を継がなければいけない立場で小さい頃から育てられた玉枝(秀弥)
「自分を憐れむ涙は流すな。」とかすごく良い教訓も沢山あったけれど、
恋愛は立場的に思うようにならず、ちょっと切なかったね。
親子2代に渡る女将の半生記。
個人的には割と好きな話でした。
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江戸屋四代目秀弥の子供時代の物語。
三代目の物語ともいえる。
少し話が飛ぶ場面が多いが、
損料屋の時から気に入ってた秀弥。かっこよい。
嫌なコトを忘れられる時間である。
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この人の作品にたびたび出てくる
深川の老舗料亭「江戸屋」4代目秀弥
その少女時代から一人前の女将になるまでの話
作者得意の人情と心意気
かなりお約束の世界ではあるけれど安心して読めます
やっぱりこの人は長編のほうが好き
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主人公の娘・玉枝は利発な子だ。その玉枝が尊敬しあこがれる母・秀弥の言葉や振るまいを一生懸命理解しようとする。いくら利発な子とはいえ子どもは子ども、理解できないこともあるがそれでも母を女将と敬い従う。女将の言動の意味を理解しようとする。母・秀弥は娘・玉枝をいずれは四代目女将となれるよう厳しく躾ける。全て娘の将来を思ってのことだ。作者は親の愛とは、子どものしつけとはどうあるべきか、人としての生き方は如何にあるべきかを物語を通じて読者に問いかける。老舗女将として矜持を持って凛として生きる母娘の姿に清々しい感動を覚えた。道理をわきまえた人を見るのは気持ちが良い。ましてその相手が子供であれば尚更のことである。
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江戸時代、深川の老舗料亭の女将とその娘の物語。こんな物語が大好きだ。大店の4代目女将となる娘を一人前の後継者とするべく厳しく育てる母。その思いを深く理解し幼いながらもその才気を見せる娘。二人を支え師となる踊りの師匠夫婦。女の器量とか不景気だからこその大店のあり方とか、すっぱりと筋が通っていて気持ちがいい。店が大きくなるとそれだけそれを続けることが大変になる。昨年世間をにぎわせた某料亭は大店という事に何かを忘れ利益さえ上がればいいと慢心してしまった。女将はどんな教育を受けたのだろう。この人の書く時代小説の主人公はきっと胸を張って生きていいる感じがとても読んでいていい。
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山本一力らしい江戸ワールド。
主人公と先代女将の凛とした女性としての強さ、たたずまい、機転に感銘を受けた。
自分の至らなさを痛感でき、勉強になった。
ホント山本一力の描く世界は好きだな〜。
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★4.8!
帯にある「凛として生きる」という言葉がぴったりの、江戸時代を凛として生きた母娘の物語。★5と迷うくらい良かった。こういうEDO文化というか考え方、好きだー。
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どうも最近山本氏の作品はガチャガチャした感じがして。。。。
でもこの作品は、江戸情緒が感じられる作品でした。
細かく見れば、ストーリーの荒さが見られたり、独りよがりな感じがする所も有ります。また、玉枝が余りに優等生過ぎて、可哀想な感じさえも受けてしまいます。しかし全体としては、凛とした雰囲気と情緒があって良い話だと思います。
ある意味、道徳書のような雰囲気があります。悪く言えばお説教臭いし、古臭い考え方なのかもしれません。でも一方「女性の品格」なんて本がベストセラーになる時代。形より心意気を語るこの作品のほうが相応しいのかもしれません。
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実家に転がっていました。
時代物の登場人物って、生き方に選択肢がほとんどないし、油断するとすぐ死ぬから、もうほんと神には縋るし、毎日全力だし、明日をも知れなくても見栄張って生きるしかないし、普通に考えると辛すぎるから、これくらい主人公補正入ってないとな…と思うくらいに主人公がチート。
でも、山本一力氏の女主人公はみんなそうだから…
猪牙舟とか水瓶とか、江戸深川資料館の展示が小説そのままで面白いのでお近くの方はぜひ。
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玉枝は、深川の料亭「江戸屋」の女将である三代目秀弥の一人娘。周囲の人々の温かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗の女将としての器量を学びつつ一人前に成長していく。山本作品にたびたび登場する四代目秀弥の少女時代にさかのぼり、母から娘へと受け継がれる江戸の女の心意気を描く、波乱万丈の物語。(カバーより)
時代物一辺倒の夫が感想を聞きたい、というので大至急読みました。
はい、凛として筋が通っていて好きですよ、こういうの。
ちょっと妬けますがね。
だって美人で、能力があって、器であるのですもの、ヒロインが。
しかし、なかなかのいい文章で、時代がよくわかります。
作者のお人柄でしょうか、周五郎でもない、周平でもない、琴線に触れるものはたしかにありますね。
ヒロイン秀弥は踊りのおっしゃん(お師匠さん)にこう教えられます。
「つらいときは、好きなだけ泣きなはれ、足るだけ泣いてもよろし。そやけど、自分が可哀想やいうて、あわれむことだけはあきまへんえ。それは毒や。つろうて泣くのと、あわれむのとは違いますよってな」
ちょと宮尾登美子の作品がしのばれますね。
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江戸、深川の女の心意気、天晴れ。
これぞ、深川の……いや、日本の女。
まさに、大和撫子。
お淑やかなだけではなく、芯の強さがある。
そして、母娘の愛情の深さに涙した。
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山本一力さん、けっこう好きな歴史小説家さんです。
年末も残すところ2、3日というタイミングで、何か年内にさくっと読み終わりそうなものということで積読本の中から選んだのがこの本です。
あらすじ
舞台は江戸中期の深川の料亭「江戸屋」。女将である三代目秀弥の一人娘の玉枝が物語の主人公です。
物語は玉枝が6歳の夏から始まります。老舗の料亭の一人娘として、母親である三代目秀弥を継ぎ、四代目秀弥となることを子どもの頃から定められ、期待される中で成長していく玉枝と、彼女を温かく、時に厳しく見守る母親を始め周囲の人々との触れ合いを描いた作品。
主人公である玉枝の将来の姿である四代目秀弥は、山本作品にはたびたび登場する人物のようですね。ぼくがこれまで読んだ何作品かには登場していなかったので、単純に初対面の登場人物として読みましたが、先に四代目の姿を知っている人はまた違った楽しみがあるかもしれません。
江戸人情小説
紹介したあらすじを読んだだけでも大方想像がつきそうなのですが、簡単に言ってしまえばこの作品は「人情小説」です。この作品に限らず、山本一力の小説は、人情小説という雰囲気のものが多い。
義理、人情、見栄、気風、粋…といった江戸っ子の世界です。
ただ、こう無闇に江戸っ子キーワードを並べると、江戸文化至上主義的な感じがしないでもないのですが、山本作品はキワモノ人情でなく、登場人物の一人ひとりにしっかりと心意気を感じる作品です。安心して読めます。
江戸経済の話で面白かったのは、幕府の経済政策によっていかに江戸の町人経済が大きく揺れ動くものであったのかということ。
江戸経済の軸である米の豊作・不況によって経済が大きく影響をうけることや、江戸中期以降活性化する町人文化の一方で困窮化する武家社会にてこを入れるため度々発布された棄捐令によって江戸の好不況が変わるといったことは、高校の日本史レベルでも出てきます。
とはいってもなかなか町人の生活にまでは想像が及びません。
例えば、棄捐令とは旗本や御家人限定の借金帳消し命令のことであり、貸し元である札差からの借金を帳消しにするものです。いくら膨大に荒稼ぎをしていた札差とはいっても、商売が傾いたり、破産をするような大きな影響があったようです。また、そうした札差たちとは、町において一番大げさにお金を遣い、町人経済を回していた役回りのものたちであり、彼らを得意先としていた料亭などの大店も連鎖してつぶれてしまう。
例えば、幕府が米相場の操作や金貨の改鋳によって経済操作をすることによって、市中にはお金が回らなくなり、経済は一気に冷え込んでしまう。
本作品に置いては、そうした厳しい世情の中でも、いかに皆が見栄をきって祭りを盛り上げることで苦境を乗り越えるか、といった形の江戸っ子魂が描かれるわけです。登場人物たちがみんながみんな義理人情にあついもので、いやーホントにそうだったんかいな、とツッコみたくなる気持ちもするのですが、いかに公儀の仕打ちの酷さを感じてもそれをぶちまけるわけにもいかなかった状況において、祭りというものの大事さはぼくの想像できるところではないのだろうなと思います。
ぼくの地元にはそれほど大きなお祭りもなかったし、商店街のような地元経済に密着した存在も身近には感じてはいなかったので、「町」としての感覚がわからないのは残念なところです。ただ、地域経済というものは単純な経済活動の連鎖だけでなく、コミュニティ込みで成り立つものだと思いますので、地域活性化が大切なキーワードになっていくこれからの時代にはまた大事になっていく感覚なのだろうなと思います。
子育て小説
この小説は、江戸下町の町人たちの人情小説であると同時に、秀逸な子育て小説でもあります。
母親や周囲の大人たちとの数々のエピソードが描かれるのですが、節の最後に「このことを、玉枝は九歳の秋にわきまえた」「玉枝はこの日まで思いもしなかったことを胸に刻みつけた」といった形で、たまえがどのように成長していったのかが表されます。
教えを一つずつ心に刻みながら成長していく玉枝の姿は、6歳の子どもの時代からとても力強く、むしろ賢しすぎるようにも感じますが、周囲の大人との触れ合いの一つ一つから感じたことを「胸に刻みつけ」てきたのはぼくたちも同じはずです。良い影響であれ、良くないものであれ、大人たちからの影響によって成長し、形作られるのが人間です。
母・三代目秀弥
「身の丈に過ぎたぜいたくは、世間様の笑いものになるばかりではなく、江戸屋の暖簾にも障ります」
「質素と、みずぼらしいのとは別のことです。派手さのみを求めるのは無用ですが、江戸屋の女将としての体裁を忘れてはなりません」
踊りの師匠・山村春雅
「楽なことを覚えたらあきまへん。あんたが七つでしっかり覚えられたら、あとは一生もんや。その歳で楽なほうに走ることを覚えたら、後になって苦労するのはあんたですえ」
「つらいときは、好きなだけ泣きなはれ。足るだけ泣いてもよろし。そやけど、自分が可哀相やいうて、あわれむことだけはあきまへんえ。それは毒や。つろうて泣くのと、あわれむのとは違いますよってな」
こうした居住まいを正したくなる教えの言葉の一つ一つに共感するかどうかは、人によりけり好みの問題で良いと思うのですが、そうした大人たちの言葉とふるまいとを子どもたちはものすごく見ているのだということは、子育てをする人もしない人も、社会の一員の大人として、考えてみて良いことかと思います。
江戸食文化小説
人情小説・子育て小説という側面の他に、もう一つこの小説が持っている顔、それは「食」です。
舞台が江戸の料亭ですからね。料理の話がたくさん出てきます。これも山本作品の特徴の一つ。この人の作品にはおいしそうなお話が多いです。以前読んだエッセイも食い物系のエッセイでした。いろんな料理が出てくるのですが、作り方の描写から、食材、見た目の描写までとても丁寧で、ものすごくおいしそう。残念なのは、三つ葉やら茗荷やら香草をパラパラと散らしてしまうのが多いことです。クセのある葉っぱが食えない人間が、食べ物のお話を読むのはなかなか難しいのです。
今回とくに興味を惹かれたのは、うなぎの「見立て料理」であるうなぎ豆腐。豆腐や芋といった一般的な食材を用いて、うなぎなどの高級品に似せた仕上がりを拵える料理法である見立て料理。以前も何かの小説で目にしたことはあったのですが、この小説で出てきたうなぎ豆腐がとても美味しそうだった。
調べたところ、似た料理は精進料理の「うなぎもどき」として実際にあるらしい。そのうち機会があればぜひ食べてみたいですね。
以上。
山本一力はかなり筆の早い方で、本屋にいくとものすごい数の本が置いてあります。初心者としてはどこから手にしてよいかなかなか迷うところだったのですが、結果としてこの作品は、「人情」「家族」「食」といったキーワードで紡がれる山本節前回のお話だったように感じます。せっかく四代目秀弥という登場人物に出会えましたので、この人物が出てくる他の作品も読んでみたいと思います。
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女優・田中美里さんが明快に解説されているとおり『生きる姿勢を正してくれる゛教本゛』だと思う。読後『凜』という単語が浮かぶ。個人的にはストーリーにもう少し動き(インパクト)があればと思ったが、それが本作に必要かどうかは、読み手によるとも思った。
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連れが大好きな本というので読み出したけれど、最初ははこの淡々としたテンションに慣れず、何がそんな良いのか?と思いながらダラダラ読んでました。
しかし、玉枝が成長していくにつれ、母のその凛とした生き方が玉枝にうつっていき、その真っ直ぐな、恥のない生き方が、本当に素敵に思えました。
ただ、八木との一途な恋も良かったのですが…40を過ぎてたった一回の口づけだけの恋というのは、ちょっと切なすぎると思いました。
ぜひ、もう一周したいです。
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「あかね空」を始め、山本作品にたびたび登場する、深川の料亭「江戸屋」の女将、秀弥。
三代目秀弥の娘玉枝が、温かく、時に厳しい目に見守られながら、老舗女将として成長していく物語。
玉枝が様々な人々から、厳しくも優しく教えられたことがすごく心に残る。
◯若いうちから楽することを覚えたらいけません。
◯辛い時は好きなだけ泣いていい。でも、自分が可哀想だとあわれむことだけはいけない。それは毒になる。
◯身の丈に過ぎたぜいたくは、世間様の笑ものになるばかりでなく、江戸屋の暖簾にもさわります。
◯質素とみすぼらしいのとは別のこと。
◯たとえ相手に非があろうとも、あからさまにそれを言いたてたり、物言いや顔つきを変えたりしてはならない。
すごく耳が痛い…。
それを、玉枝がちゃんと吸収していけたのは、ひとえに周りの大人たちが手本となってそれを示していたからだと思う。たった15の年から女将として生きていくことになり、江戸屋や深川の祭りの采配を立派につとめあげるようになった4代目。この時代は飢饉が重なって不景気だったけど、そんな時だからこその大店のあり方もとても気持ちいいものでした。
これからの江戸屋や玉枝の行く末、どんな5代目を育て上げるのか…また別のお話で彼女に会えるのが楽しみだ。
Posted by ブクログ
1年半くらい前に、暇つぶし用に買った本。
暇つぶし目的だっただけに、読み終わる頃には
半年近く過ぎていた気がする……
江戸のとある名門料亭に生まれた女の子が、
3代目おかみである母の背を見て育ち、
4代目として1人前に成長するまでが
書かれています。
立ち回りあり、親類との別れあり、
初恋の風化する様あり、と、
主人公の半生描いているだけに、
それなりに色々起こっています。
ん〜…でも、基本”性善説”な話だなぁ、と。
主人公の4代目は、山本氏の他の作品にも
度々登場しているそうです。
なので山本氏の作品のファンならそれなりに
楽しいかもですね。