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Posted by ブクログ 2022年06月14日
乃南アサさんの「女刑事・音道貴子シリーズ」の再読を楽しんでいます。新鮮な感じがします。今回は、直木賞を受賞した「音道貴子」誕生の作品、「凍える牙」、1996.4刊行、2000.2文庫化。音道の滝沢との出会い、そして、オオカミ犬疾風(はやて)との出会いの2段階構成。この作品のタイトルにあるように、主...続きを読む人公は凛々しく威厳のある「疾風(はやて)」だと思います。でも、疾風が登場するまでの音道貴子と滝沢保の段々と息が合っていく様子もなかなか素晴らしいです(^-^) 納得の直木賞!
Posted by ブクログ 2022年09月15日
バイクを颯爽と乗りこなす女刑事・音道貴子の物語。
意見を言うこともままならない昔気質な男社会の中に生きる音道の孤独感に、何度も胸が締め付けられた。
全てにおいて上から押さえつけられ、うまく感情を出すことも出来ない。
これだから女は、と見下されないために無愛想な仮面を被る音道。そんな音道と今回の事件...続きを読むでコンビを組むことになったのは、叩き上げデカ丸出しの中年男・滝沢。
性格的にも相反する二人。始めこそぎこちなかったけれど、事件を共に追うにつれ徐々に互いの距離を縮めていく様がとても良かった。
一番印象深いのはオオカミ犬・疾風(はやて)と音道が共に走る場面(もちろん音道はバイク)。両者の疾走感がとても心地よい。本物のオオカミ犬が走る姿も見たくなった。オオカミ犬がこんなにも優れているなんて初めて知った。
音道が本来持っている感情も見事に前面に出され、内にためていた全てを吐き出した姿に惚れ惚れした。
多くを語らないクールさがカッコいい音道の今後もぜひ追いかけていきたい。
Posted by ブクログ 2022年08月24日
オーディブルで。乃南さんの話は、はじめて。
登場人物が、少し性格が歪んでいて、終始パートナーの悪口が多いので、あまり爽快感がない。疾風は、本当にかわいそうだが、生き様は侍のようだった。
Posted by ブクログ 2021年07月30日
先日読んだ『しゃぼん玉』(2004年)が物語構成が巧妙でなかなか良かったので、この乃南アサさんの直木賞を受賞した本作(1996年)を手に取ってみた。
ミステリもので、本作の女刑事音道貴子を主人公としたシリーズが何冊かあるらしい。
『しゃぼん玉』もそうであったが、本作も読み始めてしばらくはあまり面...続きを読む白くもないような感想を抱いていた。探偵ものというより「警察小説」であり、警察の組織などがかなり詳しく書かれている。もの凄く綿密に取材されたのだろう。が、自分は別に警察そのものに興味があるわけではないので、この小説前半に何となく乗り切れないものを感じたわけだ。
刑事たちという典型的に昭和風な男社会で、主人公の30歳付近の女性刑事が出くわすさまざまな軋轢。殊に、今回の事件で相棒となった40代半ばの滝沢刑事は、露骨に男尊女卑の偏見に満ちている。事件捜査の過程で、彼女はたくさんの身に覚えのない屈辱を受けながらも、おおむねクールにやり過ごす。
一般に女性だらけの職場だと内部の人間関係がひどくこじれて苦痛に満ちた地獄に変じやすいというのをよく聞くが、本作を読んでいると、男性だらけの職場では、互いに仲はよいかも知れないが、自分たちの性欲を前提として共有しつつ女性をモノ扱いし哄笑するノリを楽しむ場合が非常に多いのではないかと考えた。だからこそ、男はすぐに「うっかり」セクハラ発言を女性に対してしてしまうのだろう。
しかしジェンダー問題は本書の主要な主題ではない。途中から犯行に関わったらしい「オオカミ犬」の像が主人公を捉える。音道貴子の脳内でしきりに、凛として賢く強靱なオオカミ犬の疾走するイメージが反復される。リアリスティックに警察内部を記述し続ける小説内部ににわかに登場する、神話的なイメージ。
驚いたことに、この神話へのリビドーが結局この小説を貫いて、クライマックスではオートバイに乗った音道刑事がオオカミ犬と共にひたすらランデブーする場面が、素晴らしいエクスタシーに到達する。それは神話ゾーンと主体との合一という、実は宗教的悦楽と軌を一にするものではないかと思われるような、無限の法悦なのである。
この驚くべきクライマックスにより、謎解きなどはもはやどうでもよいような気すらして、本作品を格別なものと感じさせた。
ちゃんと解釈するならば、信念に基づいて自由に力強く疾駆するオオカミ犬のその孤独さのイメージが、男社会との軋轢を経て傷つきながらも邁進する女性主人公の孤独なそれと合致するからこそ実現される合一=エクスタシーなのであろう。
このように、単なるミステリではない文学的イメージがこの小説を抜きん出たものとしているのだと、私は思う。
Posted by ブクログ 2023年10月16日
まだまだ警察組織でも
男尊女卑は根強いのか?
これってどの会社でも同じだけど・・・
とは思いながら
やけに女だから舐められる
女だから馬鹿にされている
が強調され過ぎで主人公も意識しすぎ。
もっともココを強調しているから
後々強面の女嫌いの相棒の
ふとした際の優しさに
「よかったじゃん」と思えるのだ...続きを読むろうが・・・・
さて、色々な犯人がいるが
今回はオオカミ犬。
あまりに忠実で
あまりに気高く
あまりに哀しい最後に
犬好きとしては
腹立たしい思いで読み終えた感がある。
こんな事に犬使うな!
(すっかり話に入り込んでいる証拠だが・・・)
しかも、大火事出した犯人の動機が
身勝手過ぎてあきれかえった。
Posted by ブクログ 2024年04月29日
2つの切り口での連続殺人事件を追うベテラン刑事の滝沢と数少ない女性刑事の音道。特殊な薬剤を利用した放火殺人と凜とした立ち振る舞いで人を魅了し、誰にでも尻尾を振るわけではなく本当に大切な人を家族のために殺人を犯すウルフドック。
刑事という男社会の中で苦しみながら立ち向かう音道と少しずつ認めていく滝沢の...続きを読むやり取りと飼い主たウルフドックの絆を楽しみながら読み進められました。
Posted by ブクログ 2021年11月08日
流れとしてはまぁ悪くなかった。
犯罪系の小説によくある犯人の動機、過去を少なくする点は笑子の無垢さや疾風の高潔さに繋がっていて良かったと思う。
負けん気強すぎる女性主人公と最悪おじさん刑事のタッグ(に自分は見えた)なので捜査中の話を読むのがまぁ辛い。
疾風の描写が出てくるとかなり絵的に想像がしやす...続きを読むくなって良かった。
乃南アサの作品は基本どこかしらの暖かさがあるが、今回はその暖かさが出てくるのが後半で前半は対人関係への辛さみたいなものが多かった印象。
Posted by ブクログ 2021年08月29日
ファミリーレストランで客から発火という始まりは良かったけど、その後なかなか進まない状況がちょっと辛かった。
音道と滝沢の男女のコンビが少しずつお互いを理解していく過程や音道の疾風追走のシーンは、どうなっていくかどんどん面白くなっていった。
オオカミ犬に殺させるというのはかなり怖く、笠原が確保され...続きを読むたあとも小川を襲いに行くのは非現実に思ったが、ほんとにそんな能力があるのだろうか。
疾風がかわいそうすぎる。
ポケベルとか使ったことないけど世代だけど、十分わかるし楽しめた。