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Posted by ブクログ 2023年11月12日
一大事業がはじまった。巨石を運び、水門を築く百姓たち。大河の土手には、工事が失敗したら見せしめに庄屋たちを吊るすための5本の磔柱が立てられた。大河との合戦に終止符を打つためには神への供物が必要なのか…。
Posted by ブクログ 2015年11月27日
筑後川の流域にありながら高地なため水に恵まれない土地.久留米藩の財政も苦しい中.5庄屋が全財産と命までも投げ売って筑後川大石堰の工事に乗り出す.武士,農民.商人たちの協力のもと大事業は成し遂げられる.3度は泣ける.この物語に悪人は一人も出てこないのが読後感を良いものにしている.
Posted by ブクログ 2014年12月31日
福岡県現うきは市の5庄屋が筑後川大石堰の工事に尽力した実話に基づく話(九州農政局HPにも紹介されている)。当時の農村の様子が丁寧に描かれている。読み終わったときの爽快感がいい。
Posted by ブクログ 2015年02月18日
後半は涙涙です
堰を作る作業、大きな石を川に沈める描写など実際に観ているようです
悪人が登場しないところも好きです!
読みやすく感動的な作品でした
Posted by ブクログ 2013年01月05日
江戸初期の久留米藩が舞台。福岡県うきは市に残る大石堰がテーマ。 為政者ではなく村の庄屋が起案の前代未聞の治水工事。水から見放されている土地と百姓を救うという一心で身代ばかりか命までもかけた五人の庄屋。作者が込めた想いはただ百姓の事を書きたかったという通り日々の過酷な環境を日々の生活に重ね合わせて工事...続きを読むにかける意気込みとともに百姓の目線にて書き綴る。後半は藩への命がけの嘆願が通りいよいよ工事へ。陰には百姓を心身ともに支えた一人の老武士。死亡事故の責任を藩より庄屋に押し付けられた時の老武士の嘆願書。涙なしでは読めません。
Posted by ブクログ 2012年10月31日
筑後川の堰渠工事を舞台に、当時の百姓の生活、庄屋の苦悩、士農工商という身分の中でも生きる人の優しさ、思慮深さが描かれた素晴らしい名作だと思う。
百姓の苦しさを救うがために、堰渠工事に尽くした庄屋のために、最後の藩の奉公として命を投げるという展開には思わずえっと声が出てしまうぐらい驚愕した。そして、堰...続きを読む渠工事の完成。五庄屋だけでなく、菊竹にも完成を見てほしかったと思わざるを得ない。
外国に行くたびに(特にスペインとか)、水があふれる日本とはなんて恵まれた国なんだろうと思っていたけど、それは水のために命をかける人がいたからこそ。
本当に良作でした。
Posted by ブクログ 2012年09月09日
水に恵まれない土地で愚直に懸命に生きる百姓たち。
渇水に苦しむ村に、筑後川の水を分配する工事を考える庄屋助左衛門。
近隣の村の庄屋達と共に五庄屋が身代と命をかけて取り組む大事業を描く話です。
上巻から読み進め、下巻では何度も涙がこみ上げてきた。
村の百姓たちも庄屋も侍も金貸も、それぞれに感情移入して...続きを読むしまう。
最後、タイトルにもなっている水神様の嘆願書は、きっとこの村を生きる人々に語り継がれることだろう。
この作品は、また何度でも読みたいと思う。
Posted by ブクログ 2012年08月16日
百姓や庄屋の頑張りももちろんですが、反対派の庄屋や管轄する奉行の生き様も素晴らしく描かれています。
なかなかに涙腺を刺激してくれます。
ラストの描写はわかっていながら、「よかった。あぁよかった!」と心から思ってしまいます。
上下巻共に素晴らしい読み物でした。
Posted by ブクログ 2012年06月26日
本書は2009年8月末に単行本として出版されているもので、本年6月に文庫化されたものだから既読本である。再読すると往々にして当初の感動イメージが損なわれることがあるのだが、本書はかつて読んだときの感動がそのまま再現された稀有な例で兎に角読んで絶対に損はさせないと太鼓判を押せる作品だ。
本書の舞台は...続きを読む島原の乱の記憶もまだ色褪せない頃の九州は筑後川流域。滔々と流れる大河の傍に住むにも関わらず、土地の高低によりその水を利用できず永年、水不足・旱魃に悩まされてきた村々。そこでは人力による水汲みだけを仕事として一生を終える百姓も居る。その窮状を何とかしようと流域の庄屋5名が、私財を投げ打ってまでも堰渠を構築し水不足の苦難を克服しようと久留米藩奉行に嘆願書を出すに至る。しかしながら100を超える流域の庄屋の中には反対の声も挙がる。藩奉行に「命を賭する」との血判状まで出した事業は藩に認められるのか、宿年の夢である堰渠工事は無事に完成するのか、事故が起きると庄屋の命はどうなるのか、ページをめくるのももどかしく先へ先へと読み進めたくなる長編物語だ。
物語の筋も面白いのだが、水に寄せる農民の想いや庄屋としての責任感、それらを応援する奉行・下級藩士・商人ら多くの人々の思いのたけが丁寧に語られており思わず胸が熱くなる名作だ。
そもそも2009年に出たときはついつい積読期間が長く、読み始めたのが年が明けて暫くしてから。読後の感動からすると2009年のベスト10に組み入れるべきだったと反省はすれども既に年が明けてしまい後の祭り。その反省も踏まえ、この文庫版が出たこの機に、声を大にして勧めたいものだ。
Posted by ブクログ 2022年11月16日
江戸時代の筑後川治水工事の話の後編。難工事ではなく、一冬の間に堰渠は完成。順調に話が進むと思われたが、試験通水で戻り水が起こり、死者を出してしまう。しかし、菊竹源左衛門によって、五人の庄屋は救われた。いい話でした。
Posted by ブクログ 2022年03月05日
下巻は菊竹様に涙…こんなに農民想いのお奉行様は居ないだろうけどたとえフィクションだとしても泣けます。水神、ってこの人のことだったのか。。嘆願書という名の遺書、心にきました。
大石堰出来て、こんなに大量の水を見たことがない村民が川の側に佇んで日がな一日眺めてる気持ちもわかるし、あの水流を何かに利用でき...続きを読むないかと考え始める村民もいて、治水工事思い立って嘆願した五庄屋たちは救われただろうなと思いました。元助と伊八も田んぼが作れる。
藤兵衛さんもよかった…上巻でなんて嫌な爺と思っていましたが、耄碌してたと自分の間違いを認めてずっと苦しんでたんだな。。磔台の酷さをまざまざと目にしてたというのもあるんだろうけど。
この辺りの人たちの苦労を知っているから、町の商人も阿漕な事はしないのが良いです。阿漕なのはこの後の奉行…年貢高上げたらしいから。。
あとがきに「時代小説は武士や町人ばかり、舞台も江戸や大阪。この頃の人口は八、九割が農民だろうし大半は地方に住んでる」とあって、確かに、と思いました。多く記録残ってるだろうしドラマチックに描けるのは侍や町人なのだろう。でも農民を描いてもここまでドラマチックに出来るのは、このエピソードの魅力と帚木さんの筆力なのだと思います。
筑後出身の同僚はこの大石堰でなく、長野堰とかは見学に行っていたそう。どうやら大石堰は昭和28年の筑後川氾濫で壊れて建替られてるそうで……でも当時の石は近くに残されてるみたいなので見に行きたいです。
Posted by ブクログ 2015年12月24日
水田の水不足に苦しむ村で、川から水路を引いてくる計画を立て成し遂げる話。
五庄屋の情熱に、菊竹さんの想いに、心熱くなりながら読みました。私がいま情熱を注ぐべきは何だろうとも考えさせられました。
そのとき自分の置かれている状況によって、何を考えるかまた違ってきそうか気がします。
時間を置いてまた読ん...続きを読むでみたい1冊です。
Posted by ブクログ 2015年11月26日
「水神 下」
感動した!
無事に堰ができて水路に水が各村まで流れた時には感動しました!
今の私たちってこうやってなんでも人間の手で作り上げてきた昔の人たちの土台があってこそなんですね。
つくづく感心しました!
途中何度も危うい目に合うけど最後はハッピーエンドで本当に良かったです!
Posted by ブクログ 2013年01月09日
さすがに感動させる文章。「名もなき英雄」の描き方がうまく、実話をもとにした作品だけにおもしろい。文章にくどさがなく、テンポがよく、それでいて起伏があってよい。複雑な伏線をはりめぐらす作品ではないだけに、ストレートなよさがある。
Posted by ブクログ 2012年08月14日
(上)
目の前を悠然と流れる筑後川。
だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。
助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。
その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。
...続きを読む
彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。
新田次郎文学賞受賞作。
(下)
ついに工事が始まった。
大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。
百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。
「水が来たぞ」。
苦難の果てに叫び声は上がった。
子々孫々にまで筑後川の恵みがもたらされた瞬間だ。
そして、この大事業は、領民の幸せをひたすらに願った老武士の、命を懸けたある行為なくしては、決して成されなかった。
故郷の大地に捧げられた、熱涙溢れる歴史長篇。
江戸時代、筑後川の近辺にありながら水利工事の不徹底のため水不足にあえぐ村が舞台になっています。
一部の庄屋の財産、生命を賭して郡役所、近隣の村、百姓など関係者を説得し、一大堰渠造成、灌漑事業を成し遂げる物語。
前半は、江南原の百姓たちの貧しい暮らしぶりが描かれ、主人公と4人の庄屋たちの真摯な姿に胸を揺さぶられます。
上巻の一番の見せ場は、主人公と庄屋たちが、藩のお偉方を前に堰の工事を願い出る口上のくだり。
下巻で堰の工事が始まってからは、難局を上手く乗り切っていくかが見せ場になっています。
そして終盤、涙なくしては読めない箇所もありこの主人公たちには心から頭の下がる思いがしました。
筑後川に堰を作って水を引くことを決意した主人公と4人の庄屋、地方藩の郡代である下級武士、工事に携わった百姓、それら大勢の人々の苦闘と栄光を描いた傑作です。
今の時代だからこそ、昔の方の苦労や一丸となる大切さを再認識するのに良い小説になっていると思います。
人のために生きる、生活を捧げるという行為が胸を熱くさせらました。
何が人間にとって大切なことなのか...
まだ読んでみえない方は是非一度読んでみて下さいね☆
Posted by ブクログ 2012年07月06日
今のような重機がない時代。川に堰を作り用水路を張り巡らせるのはどんなに大変だったろう。大石を運ぶ場面で思い出したのはピラミッドの石運び。試験通水で起きた事故に対して庄屋に咎が行かないようにした下奉行の行為に涙が止まらなかった。命を懸ける覚悟をした五人の庄屋、命を懸けてそれを助けた武士。
読み終わっ...続きを読むて、筑後川を大石堰を見てみたいと思った。インターネットは便利で、写真は見つけたけれどやっぱりこの目で見たいものだ。
Posted by ブクログ 2012年06月27日
下巻では未来の為、村人の為に借銀までしながら全ての責任を背負い命をかけた五庄屋の覚悟が益々凄まじくなってくる。また、筑後川に大石堰が集められた百姓達によって造られて行く様子が目の前に展開するように書かれていて読む速度が速まってしまう。五庄屋に最初反対した藤兵衛が助左衛門に謝りに来た時に「〜みんなこれ...続きを読むから先の話を一生懸命するとです。そればで聞いていて、私は水が人をこうも変えるものかと、つくづく思いました。」と話すところが印象に残った。どんなに大変でも未来に希望が持てるなら人の会話は明るく弾むものだと思う。筑後川を改めて見に行きたくなった。
Posted by ブクログ 2012年07月07日
悲惨な状況なかでも、他と比べてまだましな方は、今の状況から変化があることをきらう。いつの時代でも同じ構図がありますね。
そんな中でもやり切れたのは、中心にあった人たちの固い決意と重大な覚悟があったから。またそれを理解し、支援する人たちがいたからだし、最後は民衆(農民)がその重要性を理解し、一生懸命...続きを読む協力したから。
ついつい今の日本の政治家と政治状況とも見比べてしまう。