超綿密な金塊強奪劇!クライム&アドベンチャー小説!
19世紀半ばのロンドンにて謎の紳士ピアースが大胆不敵な強奪計画を実行する……と粗筋としてはシンプルながらその計画の綿密さが本作の魅力!用意周到に計画を進めていく様子は冒険小説にも通じるワクワク感があります!
物語は金塊強奪の計画立案や準備進行に重きを置いた構成。ド派手なアクションはないものの、姿を偽り、立場を騙り、巧みな話術で情報を引き出す……その鮮やかな駆け引きに思わず手に汗握ります。主犯ピアースの視点で描かれる事もあって、まるで自分が計画を進めているかのような錯覚も……これがまたワクワク感を高める一要素ですね。そして入念に積み重ねてきた強奪計画が実行に入ったら後はもう勢い良く読み進めるのみ!体に力まで入って、読了後は「ふぅ…」と深い息が漏れるこの満足感……!
海外ドラマ『ER』や映画『ジュラシック・パーク』の原作を生み出してきた本作者、現代ものだけでなく歴史ものの構成も実に巧みです!ヴィクトリア朝の社会風俗を自然に絡めつつ展開される大強奪劇、当時の雰囲気もたっぷりで痛快な結末にも注目!
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Posted by ブクログ
もう随分と行っている通り、私はクライトンのファンだ。日本語化されている多くの本を読んでいるが、この大列車強盗は未読だった。
クライトンの有名作品の多くはSFの印象だが、時代物とか現代物も結構ある。
Wikiペディアには、、、、
1855年にクリミア戦争の戦費としてイギリスがフランスへ支払うため列車で輸送していた金塊12,000ポンドを、エドワード・ピアースが列車内から強奪したという現実の事件を基に執筆された。この小説では1854年5月末頃にエドワード・ピアースが錠前破りのロバート・エイガーに共犯を持ちかけるところから始まり、1855年5月22日に金塊強奪を実行、1856年11月19日のピアース逮捕、1857年8月2日のピアースによる法廷での証言とその直後の脱走までを描き、主要登場人物のその後を簡単に報告する形で小説はまとめられている。
とあり、どこまでが史実でどこからがノンフィクションなのかよく判らない、クライトンにありがちな展開。でもビクトリア女王時代の英国の雰囲気が良く判る風俗や人々の描写がなかなか興味深くおもしろい。結局最後は手に汗握る展開で強奪に成功するのだが、その後逮捕されたかと思ったら、判決後あっさりと脱獄に成功してしまうとか、あまりごたごた書かずに終わっている。
なんとなく「白鯨」的なストーリーの進め方だなと思った。いずれにしても最初から映画化を考えての原作だったのではないかと思う。
1979年の「The First Great Train Robbery」という映画も見てみたいが、どこかにあるのだろうか?