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イヤミスの女王・秋吉理香子さんの原点である珍しい非ミステリのデビュー作品集です。本書を読んだ感想を一言で言うと「人生、負けたらアカン」でしょうか。最初と最後には感動がありますが、でも中の2つはほろ苦い話ですね。『女神の微笑』幸せの形は一つやない!アホな父さん最高や!『秘跡』嫌な世の中ですから老妻が悪賢い青年に騙されてなければいいのですが。『たねあかし』イヤミスの女王の片鱗を見せる計算高い悪女の手練手管。『雪の花』中島美嘉さんの名曲「雪の華」とは関係ありません。雪の下で健気に咲く水仙の花にもらう元気と勇気。
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初読み作家。
全体的に華のあるアップテンポな物語というより地味なんだけど、自分に近い人のことのようで先が気になって読んでしまう感じの小説。
《女神の微笑》
戦う前に負けを認めてきた男の最後の砦を守る決意までの話
《秘蹟》
いつの頃からかキリスト教を信仰していた妻が失踪した。その理由と、毎朝毎晩の妻の祈りの意味に打ちのめされ、そして自身の罪と許し。
《たねあかし》
元彼へと綴られる女の、知られざる女としての裏の顔としたたかで満ち足りた無意識の悪意。あまりに可愛らしく綴られていて清々しい。
《雪の花》
一組の夫婦は雪の町から逃げ出して、華々しい都会に幸せと絶望の大波に揉まれて満身創痍で帰り着く、故郷の校庭から香りたったひとつの花から受け取ったもの。
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離婚で離ればなれになった父と娘の絆を描いた「女神の微笑」
会話も多く、テンポ良く物語が流れ、タイトルから想像していた印象とは異なりましたが微笑ましく読める内容でした。
亭主関白でいけすかない夫の前から姿を消した妻 ミステリー要素もあり先が気になった「秘跡」
綿密な計画性を持って男を手玉に取る女性を描いた「たねあかし」
最後の「雪の花」はヤフー・ジャパン文学賞受賞の表題作
超短編ですが、その中に人生に翻弄された夫婦の切なさ、希望がくっきりと写し出されています。
どの短編も味わい深く面白かったです。
Posted by ブクログ
4編からなる短編集。
「女神の微笑」 離婚した娘が父に会いに来た話。情けない父親と思ってたが、バンドをやってて娘にギターを教えて意外とかっこよかった。
「たねあかし」 女性が年上の歳の差カップル。地味な人ほど前略が凄く恐ろしい。湊かなえ風の書き方であった。
「雪の花」 何もかも上手くいっていたが、バブル崩壊と共に会社も倒産、行く果ては夫婦で自殺を考えていた。母校に行き雪の下から水仙を見つけ、校長先生が植えたものと思い出して人生をやり直そうと考える話。
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四作品共個性を楽しめた。特に離婚した父親と中学生の娘の「女神の微笑」が良かった。「そんなすぐに新しいお父さんと馴染めると思ってんの」と諸々吐き出す撫子が胸をつく。「だからって、そう簡単に手放すわけ!」の叫びは痛々しいくらいの中学生さで懐かしいような気持ちになった。父親への接し方や考え方がリアルで、二人のささやかな幸せやお互いの愛情が温かくて、仲良しさが心地好かった。反面、母親はあんまりみたいでちょっと心配になる。。それとも離れているから父親が良く見えるのかなあ。舞台となる潰れた小さな遊園地も魅力的だった。