【感想・ネタバレ】あなたの人生の物語のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃくちゃ面白かった。
特に表題作は秀逸で且つ新しくて凄く面白かった。
自分もヘプタポッドの言語を理解して未来と過去をリアルタイムで経験したいって思った。絶対ヘプタポッド的なスタートとゴールを知った上で始まる俯瞰的な人生の方が映画見てるみたいで面白いだろうなあと思った。
ルッキズムについての話も割と現代では身近になりつつあるテーマだけどかなり面白くて、個人的に自分がルッキズムに抱く感覚がタメラという登場人物を通して言語化されていることに感動した。
今の10代後半から20代前半の若者にこの「顔の美醜について」の短編を読ませて、美貌失認措置を受けるかどうかとその理由を討論させたら面白そうだなとか思った。
あと天使がでてくる話も皮肉めいてて最高だった。
テッド・チャンの他の作品ももっと読みたくなった!

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2024年05月04日

Posted by ブクログ

「理解」
アルジャーノン的な話かと思ったら、ラストは少年漫画のバトルものみたいだった。

「あなたの人生の物語」
映画を先に観てて良かった。じゃなきゃさっぱり理解出来なかったと思う。

「地獄とは神の不在なり」
ドラマ「地獄が呼んでいる」と映画「ノック」を連想した。

「顔の美醜について」
1番解りやすくて楽しめた。
"カリー"やってみたい。

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2023年12月31日

匿名

購入済み

 

面白かった。
難解な話がいっぱいあったけど、全体的に楽しめた。
映画のメッセージからしったけど、どの話も深みがあってとてもよかった。

#タメになる

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2023年12月10日

Posted by ブクログ

機械的で無機質な美しさの中に、人間の感情や精神といったものが散りばめられているようで、大好きな本です。
個人の感想ではありますが、テッド・チャンさんの作品は救済と絶望、優しさと残酷さなど、相反するものが同時に感じられる気がして、そこがすごく魅力的だと思っています。

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2023年01月07日

Posted by ブクログ

数学も理科もわからないマンだけど、ほんとうにおもしろかった…!
(もっと公式とか定理とか知ってればたのしめたのか、それとも無知故にストレスなく読めたのかはわからないが)

人生やそれぞれのきもちのことをSFで書くやつ、好きだな~

理解っていうタイトルの話で、主人公がめっちゃめちゃに賢くなった先に自己への問をくりかえしていくところがまさに、ってかんじがする。

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2022年11月27日

Posted by ブクログ

表題作「あなたの人生の物語」他短編集で、すべてが珠玉の作品といってよい。

物理・数学・言語学・神学・心理学など雑多な学問のアラカルトで、物語でももちろん引きもまれるし、世界観の独創性が今まで読んだことのない衝撃。こんな世界がもしあったらというディーテルがある意味ぞっとする恐ろしさを誘発するし、SFの神髄ではないでしょうか。

すべてがお気に入りといえるが、あえて一つ絞るなら「顔の美醜について」かな。容姿の優劣でそこから生まれる社会的個性というのは逃れられないものという認識を、テクノロジーが打開するきっかけになったらという世界。近未来感があるし、もし現実になったら自分はもう乗り越えて受け入れている境地だけど、ティーンエイジャーやトラウマから抜け出せない人々にとっては悲願となるのか、社会的にどういった影響がありうるのか、思考実験がノリノリに刺激される。賛成・反対派の意見が角度を変えながら述べられて、そこから派生して異なる価値観も均一化、平等に強制的に統一することが善なのか、非常に考えさせられる作品です。

それぞれのテーマに一家言成したくなる、まずは読んで作品の魅力に浸ってからにしましょう。

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2022年10月06日

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全部で8編の短編SFを収めた、テッド・チャンの処女短編集。
テッド・チャンを読むのは、2作目の短編集「息吹」に次いで2冊目。「息吹」も傑作揃いだと思ったけれども、この「あなたの人生の物語」も傑作揃い(個人的には、それでも「息吹」の方が好きだけれども)。
SFにも色々な種類のものがあるが、本書の最後の短編「顔の美醜について」等は、一種の思考実験のようなものとしても読める。「カリー」という処置を施した者は、人間の顔の美醜の判断が出来なくなる。人は他人を見かけの良し悪しで判断する傾向が強いと思うが、カリー処置を受けた者は、そういった判断が出来なくなる。見かけの良し悪しで人を判断するのは、一種の差別だと考えると、このカリー処置を更に広い範囲に適用することを、つい、考えてしまう。人は人種・肌の色で差別されるべきではない、人は性別によって差別されるべきではない、人は体型によって差別されるべきではない、等々。顔の美醜を判断できなくする処置を施すだけの技術が確立された世界においては、きっと、人種の判断を出来なくする処置、肌の色を判断できなくなる処置、性別を判断できなくなる処置、体型を判断できなくする処置、等も可能であろう。そういった処置をすることによって、色々な意味での差別をなくすことが出来るかもしれない。でも、そのような処置を施された人は幸せなのだろうか、そのような処置を施された人は人間の持つ本能的な部分を捨ててしまっていないのだろうか、等という思考実験を展開することも可能だ。
それは、大げさに言えば、人間って何?ということにも繋がるような話だ。

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2022年02月18日

Posted by ブクログ

調べたところ、著者は、寡作かつ作品全てが傑作、と言われている。
この作品集のなかで、「あなたの人生の物語」が一番好き。映画「メッセージ
」の原作でもある。映画を観た後に原作を知った。映画も 良かったが、小説も良かった。

ある日突然、宇宙人から地球に「メッセージ」が送られてきた。地球のいろんな場所に。宇宙人の目的とは?
「メッセージ」を解読するために、多言語分析家が登場する。多言語分析家は、宇宙人と対話する方法を探っていく…
しっとりとした描写のSF小説という印象。世界観がいいなぁ。

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2022年02月13日

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作者の圧倒的な知性と学識の豊かさに感服。現実の事象や論理を極限化して見せられるのがフィクションの醍醐味だと実感した。

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2021年07月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1990〜2002年のあいだに発表された8つの短篇を収録したSF作品集。


テッド・チャンを読むのは初めて。横目で見ていた2019年の『息吹』刊行時のフィーバーだったけど、今なら気持ちがよくわかる。以下、各作品について。

◆「バビロンの塔」
宇宙観が明らかになる前の〈バベル工学〉的な部分がとても楽しい。鉱夫が天蓋を逆向きに掘りだしていくという絵面がちゃんと想像できることの面白さ。科学ではなく神学で解釈された世界をSFのハッタリでリアルに感じさせる書き方は、「七十二文字」とも共通する。

◆「理解」
アメコミのヴィラン誕生譚みたい。ものすごい早回しで進むピカレスクロマンで、鏡像関係のライバルが現れて…。知能向上処置を受けた男の一人称語りは『アルジャーノンに花束を』のパロディでもあるような。一人称なので陰謀論者の暴走とも読めるのが面白いところ。

◆「ゼロで割る」
超人的頭脳をもつ天才数学者の苦悩の物語であると同時に、精神を病んだ人と共に暮らすことの困難の物語でもある。かつて救われる側だった語り手が、自分は妻を救う側に成りえないと悟るまでの辛い道のりを、「ゼロで割る」数式に重ね合わせている。しんどい。

◆「あなたの人生の物語」
完全言語をめぐるSF。「言語体系とそれを操る者の宇宙観は不可分であり、ことばを学ぶことは異なる宇宙観を取り込むこと」というテーマで、未知との遭遇譚ととある母娘の人生が並行して語られる。この人はこういうどっちがどっちの例え話かわかんなくなる語り口を生みだすのが上手なんだな。

◆「七十二文字」
一番のお気に入り!カバラ+ゴーレム+前成説(ホムンクルス)という錬金術の世界観が現実になったパラレルワールドのヴィクトリア朝で、王立協会がこっそり優生学に基づく遺伝子研究をしているという変格スチームパンクみたいな設定、も〜〜〜たまらん。種村季弘読者に向けて書かれたみたい(笑)。素晴らしいオチまで含め、これも「リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン」のようなアメコミのヴィジュアルが浮かんでくる。

◆「人類科学の進化」
皮肉の効いたショートショート。初出が科学雑誌の「ネイチャー」っていうのが面白い。

◆「地獄とは神の不在なり」
最萌えの作品。キリスト教の死生観が物理的に現実化した世界。確実に地獄に堕ちる方法はあるが絶対に天国にいける手段はないなかで、神を呪う男が天国にいくために模索する、これが萌え。会話を排したルポ風の文体で世界観にリアリティを与えている。身体障害者と宗教というテーマが共通するキャサリン・ダン『異形の愛』も連想させる作品。

◆「顔の美醜について」
意図的に容貌失認を起こす技術が開発されたら、人はルッキズムにとらわれなくなるのか、という問いがまずワクワク。ドキュメンタリー映画を模したインタビュー形式の語りもぐいぐい読ませる。ただ、作中で容姿に悩む男性がギャレットしかでてこず、当事者として語る人物のほとんどが女性。これはやはりどこまでもルッキズムは"女性の問題"として語られるだろう、ということを示す意図的なものだとは思うが、少し物足りなくも感じる。

物語として生理的に不快を感じるラインを決して超えない賢さに若干苛立つ部分もあるが、この完成度には平伏するしかない。全てがバラバラの、そして最上級の楽しさをもったエンタメ小説群だった。

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2021年11月05日

Posted by ブクログ

自分の当然のちっぽけさを思い知る。
自分のことは自分では全て分かることはない。
全部が全部であることは全部がないことを証明する。
心から無条件に信じていたことが真実でないと自分で論証していしまう。それが人生。カートコバーンに似てる。

無条件の愛は何も求めない。神は不平等だと認め、それでも神を愛することが大切。
障害も自分のアイデンティティとなり、逆にそれなしでは生きてなくなってしまう。みんなができる、長所ということも障害なのである。

精神と肉体の適切な関係
視覚から得るバイアス、情報を百パー遮断する事はできない。
自分に対しての思いと、他の人に対しての思いがある。

広告はそのものではなく、美をおとりに引き付けている。
メイクはいきすぎたドラック
美を感じれることによって、老いを悲しく感じてしまう。
その感情とどう付き合うかが大切。
問題は誰かが悪用、ズルをすること。

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2021年12月27日

Posted by ブクログ

2012年7月初読。
2023年10月再読。

先日読んだテッド・チャンの第二短篇集があまりにも面白かったので、10年ぶりにこちらを再読。相変わらず面白い。

再レビューにあたり、初読時のレビューを読み直しましたが、なんと若い…SFを読み始めたぐらいの時期でもあり、今読むととても恥ずかしい内容ですが、まあそのまま残しておこう。

第二短篇集は、テクノロジーの進化が人間の挙動にどのような影響を与えるか、といった作品が数を占め、全体的にスマートな印象。
第一短篇集でもそういった作品はありました(「顔の美醜について」とか)が、こっちの方がバラエティに富んでいる気がします。まさかのバトル展開に突入する「理解」のような作品もあれば、魔術のようなものを科学的に採用した「七十二文字」のような作品もある。読後、言葉で言い表せない気持ちにさせる「あなたの人生の物語」をメインディッシュに、フルコースを楽しんでいるようでした。

さて、表題作。
初読時は物語のからくりを把握した時のインパクトが強く、とても印象に残った作品でした。再読時は、そのインパクトはもちろん抱きつつも、ヘプタポッドの時間認識のあり方、つまり原因と結果を同時に知る同時的思考に興味を抱きました。よくこんなこと思いつくな、というありきたりの感想はさておき、この思考に対して、悲しさを覚えるのは私だけでしょうか。第二短篇集でも感じる著者の運命論的な主張にも通じる思考だと思いますが、何事も、何をなすにしても結果を知らないからこそだと思うんですよね。でもこれは人間的な発想であって、ヘプタポッドはそうではないのか。原因と結果を同時に知るって、どんな気持ちなんでしょうね。それこそ、物語の結末で「わたし」が行き着くところなんでしょう。だから、この作品には、言葉で言い表せない気持ちにさせられるのです。



<以下、初読時のレビュー>
新進気鋭のテッド・チャンが紡ぐ8つのストーリー。
そのうち以下に示す作品は、栄えたる賞を受賞した。

・バビロンの塔*ネビュラ賞
・表題作*ネビュラ賞*スタージョン賞他
・地獄とは神の不在なり*ネビュラ賞*ヒューゴー賞*ローカス賞他

『バビロンの塔』にいたっては、デビュー作にしてネビュラ賞を獲得するという史上初の快挙。
なんたる才人!読む前に変な先入観を抱いてはいけないのだが…知ってしまったのだから、仕方がない。

そして、読破。
期待を裏切らないテッド・チャン。
なんといっても表題作!これがズバ抜けて素晴らしかった。
優しいモノローグに記された驚くべき運命。
エイリアンとのコンタクトにより獲得した力は、果たして幸福に通じるものなのだろうか…

何かを隠喩した描写が節々で見られるからであろう。
読後に包まれる微妙な余韻は、表題作に限らず。
また、作品を通して物理学や数学など著者の嗜好が見受けられたが、なかでも言語学についての見識が深く、興味をそそられる内容であった。

他のお気に入りは、『ゼロで割る』『地獄とは神の不在なり』『顔の美醜について-ドキュメンタリー-』の三篇。これらもまた優れた作品。

まったく、面白い視点で物事を捉え、面白い物語に仕上げる人だ。

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2023年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

名誉か不名誉か、寡作作家たるテッド・チャンの短編集。
これと『息吹』を読めばだいたい網羅できる。君も2冊読んで「テッド・チャンはだいたい読み切った」と言おう!

正直『息吹』の方が好みの作品に溢れていたのでちょっと肩透かし。
まぁ単純なSFと言い切れず、人の認識を揺るがすような作品という意味ではこっちの方だったりするかな。表題の「あなたの人生の物語」や「顔の美醜について―ドキュメンタリー」は特に深く考えさせられる作品だった。
でも「地獄とは神の不在なり」は結構悪趣味…というより、SF作家らしい論理的思考が行き着いた宗教観という感じが出すぎてちょっと引いたな。いや、面白いんだけどさ…。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

頭空っぽにして楽しんで読めるか、というと難しい
短中編のあつまりだが、どの話も登場人物の置かれた状況を理解し、十分想像しなければ味わいきれない。世界観が考え込まれた「世にも奇妙な物語」というと、軽すぎるだろうか。

表題作「あなたの人生の物語」がやはり秀逸
SFではなく、人生の物語

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2024年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

息吹で惚れ込んだテッド・チャンの2冊目!好みとしては息吹のほうが上だけど、またテイストがかなり違って読み応えがあった。
今回は天使や地獄、バビロンの塔、人類の繁殖を人工的に作れるか、といったかなり宗教的な内容に絡む話が多かった。
後書きを読んで、「あなたの人生の物語」はフェルマーの原理と母親の子への愛をかけ合わせた物語だと知った。テッド・チャンは物理学や量子力学にかなり興味があるそう。でもどうやったらその2つをかけ合わせようと思えるのか、そしてかけ合わせたら何でここまで感動的な話になるのか不思議。ストーリーの中では異星人が使う文字(フェルマーの原理のように、まるで話の終着点を始めからわかっていないと書けない文字。1→10の順番で人間は書くけど、異星人は10→1のように書くイメージ)を学んで解析していくうちに、スタート地点で終着点がイメージできるようになった主人公。自分の子どもが生まれた時に、既にその子どもがどんな人生を送るか、若くして亡くなってしまうことまでわかってしまう。それでも悲しさより愛が勝っていてぐっときた。
「地獄とは神の不在なり」も衝撃だった。キリスト教徒だと、ここまで神にむごいと思える試練を与えられても、神の存在はただそれだけで畏怖と感謝?で心が幸福でいっぱいになる。ストーリーでは、地獄は別に拷問とかされる痛みや苦痛を与えられる世界ではなく、普通の人間界と同じなのだけど、神が居ないだけ。その神が不在の地獄で、神が居ないことにひたすら絶望を味わえる人間こそが、真に神への信仰心があるといえる。

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2023年11月23日

Posted by ブクログ

不親切かつ難解。書いてあることの半分くらいしか理解できなかった。
でも頭が良いと思われたいので、これからひとにおすすめする本にはテッドチャン混ぜておこう。

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2023年05月20日

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ネタバレ

顔の美醜についてが1番面白かった!!
他人の美醜がわからなくなるカリーを受けるかどうかについての話だが、現代のルッキズムにはまる話だなーと。
パラ言語的暗示を成功させるソフトウェアが開発され、CMを見た人の心に訴えかけることができるようになった。近い将来起こりうる可能性があるなーと。

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

どこかで言ったと思うが、大学の講義を受けているような、私の知らない世界を満遍なく見せてくれて有難うの気持ち。
新しくて、美しい。
全ての物語を100%理解できたとは思わない。
でも私は好きだった。
表題作は映画と一緒に大事にしたい。
面白かった。

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2023年01月29日

Posted by ブクログ

SF小説の形をとった、思考実験のような作品。
バビロンの塔の「夜とは、大地が空に投げかける影である」という一文に痺れた。

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2022年10月02日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ面白かったです。
テッドチャンの本は、科学的視点を取り入れて書かれており、とても説得力があり、面白いです。
好きな作家さんの一人になりました。
ぜひぜひ読んでみて下さい。

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2022年06月09日

Posted by ブクログ

映画『メッセージ』の原作を含む短編集。

小難しくピンとこない話もあったけど、天使や天国地獄が現実に存在している世界を描いた『地獄とは神の不在なり』と、人の顔の美醜を認識できなくする装置を巡る『顔の美醜について』は特に面白い。

アイディアだけなら日本でも割と似たような作品はありそうではある、でも予想する展開からもう一段階踏み込んで現実社会への批判や皮肉を入れ込んでるのが良かった。

『あなたの人生の物語』は、映画を見た時は感心した覚えがあるのに、小説だと面白さが分からなかった、映画の方が分かりやすかったな。

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2022年06月02日

Posted by ブクログ

SF初心者です。話が飛んでいると感じることが多くてなかなか理解が難しいかったけど、じっくり読めば理解できる。片手間じゃ読めませんね。そういう意味では短編でよかった!集中力が持ちます。ひとつひとつの素材の発想が素晴らしい。考えさせられる。一番好きなのは「理解」。

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2022年05月07日

Posted by ブクログ

SFは苦手で、10年前に読んだ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」が最後。そんな私ですが、読書会で推薦された本書は、とても楽しめました。

本書は8編の短編小説集。表題作は「メッセージ」(2015年/監督 D・ヴィルヌーヴ)の原作。映画は地球外生命体と言語学者の交流を描きますが、時折、言語学者の娘との思い出がフラッシュバックされ、異色の娯楽映画として楽しめました。ただ、設定が馴染みにくく、鑑賞後は複雑な印象も受けました。今回、本書を手に取ったのは、原作を読んでこのもやもやを払拭したかったのも理由です。
映画は概ね原作をなぞっていると思います。小説は地球外生命体ヘプタポッドの言語体系を詳細に記述しています。発話言語であるヘプタポッドA、書法体系であるヘプタポッドBとふたつの言語体系から構成され、AとBは全く異なり、二次元的構造の言語です。本書で再確認できたのは、ヘプタポッドBで筆記を行う際、書き手は書きはじめた段階で文章の結末を知っていなくてはならないということ。「あなたの人生」はヘプタポッドBの書式で書かれているということですね。もう一度、「メッセージ」を見たくなりました。
映画を見ていたので、娘との思い出が未来形で書かれていることには素直に入れたと思います。娯楽性の高い小説ですが、ヘプタポッドと物理学者とのコンタクト成功がフェルマーの定理をきっかけとすることなど、ある程度集中しないと本書は楽しめないかもしれません。ただ、集中する価値は十分にあります。また、私のような文系でも理解できます。

8編の短編小説のうち気に入ったのは「バビロンの塔」と「地獄とは神の不在なり」。特に後者はショートショートを短編の文学作品に昇華させてような印象で読み応えがありました。

お勧めのSF短編小説集。前に書いた通り、集中できる環境でお読みください。なお、「理解」と「ゼロで割る」は私にはハードルが高すぎました。

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2022年01月29日

Posted by ブクログ

8作のSF短編集。全てが本格的で、難しい用語も多く、読むのにめっちゃ時間がかかる。けどおもしろい。

映画「メッセージ」がどんなふうに表現されているのか観てみたくなった。

1番好きだったのは「顔の美醜について」かな。友人や恋人を顔で選んでいるつもりは無いけど、結局人は見た目が大部分と思っているので、顔の美醜が分からなくなったら関わる人が変わるのかなぁ、、と気になった。

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2022年01月22日

Posted by ブクログ

映画『メッセージ』で著者の存在を知りこの本を手に取ったので、映画よりこちらを先に読んでいたら感想が違ったのだろうかと考えてしまう。映画にはあった描写がなかったから肩透かしをくらったのかも。

特に気に入った短編は『地獄とは神の不在なり』。天使を自然災害にみたてる作品なんて初めてでワクワクし、そして結末に驚いた。信仰について考えさせられる。

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2021年08月01日

Posted by ブクログ

短篇集で一編ごとが読みやすい。しかし理解と判断は少し難しいように感じた。SFっぽくないと思うものもあったが、全体を通して少し不思議、そして何かしらの法則、ロジックを感じることができたように思う。個人的には、所々に伊藤計劃と似た雰囲気を感じることがあった。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編(といいつつショートショート~中編くらいのもある)SF8選。テーマも設定もバラバラだけど総じて難解。

面白かった編
・「あなたの人生の物語」
母親が娘に向ける愛情は深く、歓喜も苦痛も出所は同じだなーというかそれを浮かび上がらせるのが何で宇宙人の文字表記なのか天才!って感じ。最初から最後までが決まっていてもそこに見出せる何かは確かにある。他作「商人と錬金術師の門」にあったラストの一文、「ただそれだけです。けれどもそれでじゅうぶんなのです。」に近い感じかなー。

・「バビロンの塔」
高所恐怖症気味なので天まで届く塔なんて想像するだけで怖すぎる。(そして食える野菜が玉ねぎだけなの辛すぎる。)
タイトルから確か落雷に遭うやつだよね??とハラハラしながら読んだけど、全然違うウロボロスなオチが来た。どこまでいっても所詮釈迦(ここではアッラーだっけ)の手のひらというか、分からないことが分かった、的な感じかなー。

・「顔の美醜について」
人為的な顔の美醜失認は福音か欺瞞か?
自分だったらどうするかなー(オンオフモード切替もできる)、導入されたらどうなるかなーと思いながら読む。
確かに美醜の評価に振り回されなくなるのは気楽な気もするけど、また何等か基準を変えて優劣をつけるいたちごっこな気もするし、敵は美醜認識じゃなくそれを利用せんとする我欲だったり資本主義だったりしませんか?と思ったり。あとこれ導入されたら衝動的な恋愛が激減→出生率の低下→人口・国力減→各国で利用禁止とかなりそうだよな、という気もした。だってつがい相手の選別って繁殖と直結してるしさ。

<総評>
文章の抽象度が高い!日本語に直してもらっても多分3割くらいしか理解できてないと思う。そしてこれを高評価してる諸兄姉は頭がいいんだなーと尊敬。
分からない小説という意味でマイ評価は高くないけど、分からないからまた時間置いて読むと思う。分かるようになってるかどうか分からないし、今かろうじて把握したつもりの部分も時間がたつとピンと来なくなってる可能性も十分あるけど。

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2023年11月05日

Posted by ブクログ

人間存在について考える作品揃い。
あなたの人生の物語は地球外生命体とのコミュニケーションを通じて認知や言語について深く考えることができる。

文系脳的な感覚で読むと置いていかれる。短いながらも脳のエネルギー消費が激しかった。

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2022年09月26日

Posted by ブクログ

SFは苦手であんまり読まないのだけど、何かのきっかけで買ったまま積読していたものを今回手に取った。
面白い部分もあったものの、やはり苦手なイメージは変わらず。読みづらく感じるのはSFというジャンルゆえか、それとも翻訳物だからか。恐らく両方なのだろう。
あと途中で軽く調べたら、この本は結構誤訳もあるようで、そこも気になった。

一番好きだったのは表題作のあなたの人生の物語。

短編ごとに異なった表現手法が試みられていて、引き出しの多さがすごいなと思った。

以下それぞれの感想。

# バビロンの塔
馴染みのないワードが多くて(元々遅いのに)読み進めるのが苦痛で時間がかかった。内容については特に感想を持たなかった。後で調べたらSFの賞を取っているようで、これを面白く感じないのなら残念だがやはりあんまりSFは向いてないんだろう…。
ただ読みながら構築した脳内の視覚的なイメージについては今後頭の中に長く残りそうに思う。(たまにそういう小説に出会う)。天に向かって伸びる塔、塔を登る螺旋状の道、荷車を引いてそれを登る男たち、天の壁に穴を掘る男たち。

# 理解
デスノートのなんかもっと精緻なやつみたいなイメージ。あとアルジャーノンに花束をを連想した。難しくて多くの部分が理解できなかったけど、頭が大幅に良くなると肉体のコントロールの精度も上がって常人ができないことをできるようになる、というのは面白い。

# ゼロで割る
なんか色々とかかっていて、分かる人には分かる感じの話なんだろうなという感じ。特に印象なし。

# あなたの人生の物語
面白かった。この本の中で強いて挙げるとするならば一番、という感じではなく普通に好き。
言語で思考が規定されるというのは多かれ少なかれ間違いのないところだと思うが、そこまで行くかという驚きがあった。並行で進む話も最初意味がわからないが、徐々に明らかになってきて面白い。
お互いに言語が通じない者同士が対峙したときに相手の言語を理解していく言語学的なプロセスも興味深かった。

# 七十二文字
プログラミングみたいなものの話。ちょっと面白いが、そこまでハマらず。

# 人類科学の進化
全然理解できず印象なし

# 地獄とは神の不在なり
世界観に入れなかった。天使こわい。こんな地獄なら悪くないなと思った。信仰心ってすごい。

# 顔の美醜について
面白かった。割とありそうな話だと感じた。カリーがあったら自分が受けるかというと、たぶん受けない。でもみんなが受けないべきということを合理的に説明できる気はしない。
仮に全員が受けると、人の属性の一つが均質化されるわけで、それで損している人は救われるし得している人はアドバンテージがなくなる。どちらが幸せの総量を最大化するかは難しいけど、均質化された方がフェアな気はする。
これはカリーというテクノロジーが美醜という属性を均質化(無効化)する例だけど、テクノロジーというのはそもそもそういう面があるのかもしれない。例えばコンピュータの登場で計算能力や記憶力は無効化されたし、AIによって今後もっと多くの能力が無効化されるのだろう。そうなると最後に人間に残される属性とはなんなのだろうか…。

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2021年09月05日

Posted by ブクログ

「バビロンの塔」が面白くていいと思ったのですが、その後は難解な描写の続くSFらしい作品が続いたので読むのが大変でした。

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

これも久しぶりに読んだSFだ。主人公が言語学者で点対称の構造をもつ異星人(ヘプタポット)の言語を研究している。小説中の時制はすべて未来形である。認知言語学的に読める言語SFの傑作の一つだろう。点対称の構造であれば、前後ろというメタファーは存在しない。したがって、時制もあり得ないという考えが底にある。

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2023年09月17日

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