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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
群衆とは何か。
近代資本主義の誕生とともに、歴史と社会の表舞台に主役として登場してきた群衆。
二十世紀のナチズムもスターリニズムも群衆社会がつくりだした全体主義の脅威であったことは記憶にあたらしい。
一体われわれは、激流のような群衆化傾向に対して抵抗できるのだろうか。
ポー、ボードレールやニーチェ、メアリー・シェリーらの群衆への驚き、カネッティやモスコヴィッシの群衆分析、トクヴィルの民主主義論、ルボン、タルド、フロイトらの心理学的考察など、さまざまな視点からその怪物的性格を明らかにし、現代人の存在のあり方を根源から鋭く問う群衆社会批判。
[ 目次 ]
第1部 群衆の本質
第2部 群衆の分析
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
近代以降「群衆」が思想的な問題となった経緯と理由について論じている本です。
著者は、近代資本主義が市民社会の理念をも飲み込んでいくことで、寄る辺のないまま個人として投げ出されてしまった人びとが「群衆」を形成したという考えを提示しています。そのうえで、マルクスはこうした群衆が「階級的自覚」を獲得することで革命が実現すると考え、ニーチェは群衆への呪詛とともにその「超人思想」を立ち上げたことをとりあげ、近代から現代にいたる思想のなかで「群衆」というテーマが成立したことを明らかにしています。
後半は、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を群衆についての寓話として読み解く試みが示されるとともに、トクヴィル、ルボン、タルドといった思想家たちが群衆についてどのように論じていたのかを解説しています。
本書は、思想家たちが群衆の登場に驚き、それを論じるべきテーマとして認識したこと自体が、思想史上の大きな問題であったという視座に立って、思想としての「群衆」論の形成について考察しています。こうした著者の視座そのものにおもしろさをおぼえました。