【感想・ネタバレ】疑似科学入門のレビュー

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今なお存在しているのが「相対性理論は間違っている」とする人 たちである。研究会を組織し(会誌まで発行されている)、アインシュ タインの特殊相対性理論を否定し続ける人たちの集団だ。おそらく 世界中で1000人はいると思われるが、自分たち自身が問違って いる(論理の誤解、計算間違い、思い違いなど)にもかかわらず、飽きず に主張し続けている。

実際には、各社ともマイナスイ オン効果を厳密に実証しておらず、根拠は至って薄弱であった。 イナスイオンという言葉が客の気を惹きつけられることに目を付け て、こぞって売り出したのが真相だろう。事実、マイナスイオン効 果はあっても微々たるものでしかなく、本質的に意味がないことが 判明している"。そのことが科学者によって明らかにされるにつれ マイナスイオンを謳った商品は減少してきたようだ。

例えば、最近宝くじの一億円以上の当選者が五〇〇〇人を突破し たという宣伝があった。ちょっと聞くと、実に多くの人が幸運に恵 まれたと錯覚するから、自分も宝くじを買おうという気になってし まう。しかし、これは戦後六〇年の間の全ての宝くじの当選者数を 足したもので、数だけ聞かされると大きいが、長い期間の積分なの である。その間に恐らく何十億という人が宝くじを買ったであろう ことは省かれている。あるいはまた、人生を一〇〇年と言うか、 万六五〇〇日と言うか、三一億五〇〇〇万秒と言うか、さてどれが 一番短く感じられるだろうか。

実数を比較するだけでは間違うことになる。同じような例で、子ど もを虐待する母親の実数の三分の二は実母で、継母は三分の一しか いなかったというデータを発表し、「実母の方が危険」と書いた新 聞記者がいた。児童相談所に届けのあった数の比がそうであったた めだ。しかし、虐待をしていない母親の数を比べると圧倒的に実母 の方が多い。すると、割合から言えば継母の方が虐待確率は高いの である。実数と割合を区別せず、事実を逆様に報道したのだ。

日本の一年間の自殺者が三万人を越えていて、実に深刻な事態に なっている。しかし、せっぱ詰まった感じを与えないのはなぜなの だろうか。これを、小さな都市の全人口が消えてしまうとか、東大 の全学生がいなくなるとか、東京ドームの観客がすべて死んだとい うふうに表現すれば、その深刻さが少しは実感できるかもしれな い

情報を得るにしても「お任せ」の態度ではないだろうか。テレビや新聞、そして今や インターネットから情報を得ることが多くなっている。しかし、果たしてその情報が正 しいと言えるのだろうか。むろん、私たちは独力ですべての情報を収集して真偽を確か めることができないから、それらのメディアに頼らざるを得ない。であるからこそ、 いっそうメディアの言うことは眉に唾をつけて受け取らねばならないのだ。複数のメ ディアを比較したり、メディアでは報じられない事実を探ったりする努力が必要なので ある。

最近、親の小中学校への見方も変わりつつあると言われる。家庭ですべき躾や日常 生活で獲得すべき知恵も、全て学校で教えることを要求する親が増えているようなの だ。教育の「お任せ」化である。果ては、親の勝手な都合を先生に押し付けて平然とし ているらしい。それでは先生の身体がいくつあっても足りないだろう。事実、家庭から の無理難題に耐えられず心身のバランスを崩す先生が続出している。普通、学校と地域 と家庭が力を合わせて子どもを見守らないと教育効果が上がらないと言われる。しか し、地域は都会化の進行で分断されて機能しなくなり、今や家庭も学校に「お任せ」し てしまう体質になって、学校だけが教育の場になってしまった。それでは学校も悲鳴を あげるしかない。

科学の修練には積み上げが必要であり、それには長い訓練の時間を要する。基礎的な 学習から自立まで、数年間の訓練を経なければならないからだ。ところが、インター ネットによって「瞬間」で世界とつながることに馴れると、時間を使う営みが時代遅れ に見えてしまう。疑いを持ち、考え得るすべての可能性を検討する時間を無駄とみな し、直ちにシロ・クロの決着を明確につける方を高く評価する。そうでなければチャッ トができないこともある。それは疑似科学との相性が良いことを意味している。インタ ーネットが現代科学の粋でありながら、科学の否定ともつながっているのは皮肉なこと である。

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2023年07月14日

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ネタバレ

虐待する母親の例
虐待する母親の実数の3分の2は実母で、継母は1しかいなかった。→実母のほうが危険 
と書いた新聞記者がいた。※児相の数の比を参考
しかし、虐待してない母親の数を比べると圧倒的に実母のほうが多い。すると割合から言えば継母の方が虐待確率は高い。実数と割合を区別せず、事実を逆様に報道した

こういった数字のマジックにひっかかってることは多々あるな、と反省させられた。
ひとつひとつの項目で具体例をだしてくれているのでとても納得しながら読み進められた。
正論につぐ正論が清々しいくらいだった。
科学という厳しい世界に身をおかれる筆者だからこその説得力である。

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2018年09月05日

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胡散臭い、という言葉がそのまま
ぴつたり当てはまる
「血液型性格診断」
「水からの伝言」
本当のところは、どうなんだろう
「オゾン層の減少」
「地球温暖化」
いったいどうしていくことが
「地震の予知」
「遺伝子組み換え作物」
あれやこれやを
科学的な見地から
きちんと検証し、考証していく
一冊

も、最後には
じゃあ、どう考えるかはあなたが
決断すること

当たり前のことですが
自分の足で歩き
自分の目で見て
自分の耳で聞いて
自分の頭で考える
そのことの 大切さを
改めて再認識させてもらえました

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2017年10月18日

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ネタバレ

「疑似科学の社会学」としたかったとあるが、可笑しい。
博士が更新がなく、社会的地位が低く,報酬が少ないことが、
似非科学にかならずといっていいほど博士の裏書きがあることを説明すれば、社会学を名乗ってもいいかもしれない。

経済的な効果と頭の中の論理だけで成り立っているようなので、
社会学はない。

お金の話なら、似非科学の経済学が妥当かも。

「疑似科学入門」は、疑似科学を操れるようになる人を増やしそうで心配。
多くの疑似科学信奉者は、この本に書いてあるような分類は気にしていない。
気にするようになれば、ますます増長しないだろうか。

人の言ったことを信用するかどうかという水準で議論しているところで、科学を議論していないことにならないだろうか。

繰り返し起こることと、
一度しか起こらないこととをきちんと分離して議論しないと、
科学と歴史の区分がつかないかも。

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2012年10月02日

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娘の高校入学前の課題図書

せっかくなんで、読んでみた。
娘は何を信じればよいか、疑い深くなったとの感想。

p67 ホーソン実験の延長で、社長の命令で成績アップみたいなのも、命令すれば成功するみたいに、ワンマン社長に起こりやすいとあり、あらま、それはそうかもと。社長に限らず、オーダーしてお仕舞い、という勘違いは、根強く蔓延るのだなあと。

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2019年04月10日

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ネタバレ

フォトリーディング&高速リーディング。

まえがきにおいて著者は、えせ科学に人々が引きつけられる理由を「不合理なものを受け入れて、むしろ楽しむ傾向」と警戒している。考えることを他人任せにしているというのは考えさせられた。

地球環境問題やリサイクルに対しての賛否両論の極端を指摘している箇所(P148)は、私自身の考えが極端であったとの気付いた。

星四つ。

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2018年02月07日

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「血液型は何型?へえ、B型なんだ。でもそうだと思った、だって変わってるもんね」ありふれた会話だけれど、血液型と性格の関係は科学的に証明されたものではない。そして、このような疑似科学は世の中に多くはびこっている。個人レベルでの娯楽としてなら特に問題はないかも知れないけれど、疑似科学には明白な危険もある。でもなぜ巷には疑似科学があふれているのだろう。そして、疑似科学にはまらないためにはどうしたらよいのか。本書は、天文学の専門家である著者がこれらの点について解説した本だ。

疑似科学や似非科学についての警鐘を鳴らしている本としてはカール・セーガンによる『悪霊にさいなまれる世界』が有名だろう(そう言えばセーガンも天文学が専門だ)。本書もその類書なのだが、疑似科学の中に「現在の科学では明白な結論を打ち出せない問題についての議論」を含めている点に特徴がある。例えば、地震予知や地球温暖化にかんする因果関係を明らかにすることは現在の科学ではとても難しい。それは地震や地球環境が複雑系と言われる系に属しているからだ。このような問題に対して、異なる立場から都合の良い主張を繰り返すことを著者は「第三種疑似科学」と呼んでいる。

著者は疑似科学を三つに分類している。「第一種疑似科学」は占いや超能力などの「科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの」である(v頁)。「第二種疑似科学」はゲーム脳や健康食品などの「科学的装いをしていながらその実態がないもの」を指す(v頁)。

これらの疑似科学には大きな特徴がある。それは、広く言えば、社会に悪影響を与えているということである。世の中に疑似科学があふれることで、科学と疑似科学の区別が付かなくなって人々が社会の諸々の問題に正しい判断を下せなくなってしまうかもしれない、と著者は懸念する(22頁)。

人々が広く疑似科学(特に第一種と第二種)を受け入れてしまう要因の一つとして著者は、世の中がどんどん便利になる中で、人々が物事をなんでも「お任せ」で済ませようとする風潮を挙げている。自分の頭で考えずに、テレビで言っていたから、という理由でなんの批判もなく話を受け入れてしまう。思い当たる節があるのではないだろうか。疑似科学が世の中からなくなることは無いだろうと悲観的に予測しながらも、疑似科学の蔓延を防ぐために小さい頃から懐疑精神を育てることが大事であると著者は主張する(178頁)。

本書は疑似科学を論じているが、一人ひとりが自分の頭で考えることがいかに大切なのかについて、本書を読むと改めて気づかされる。その意味で、疑似科学に特に興味を持っていない人にも読んでもらいたい良書である。疑似科学の内容については、第三種疑似科学が本当に疑似科学と言えるのかどうか、少ししっくりこないところもある(著者自身もあとがきで述べているけれど)。しかし、その点も含めて自分の頭でよく考えてみるべきということなのだろう。

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2016年06月23日

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疑似科学を題材に、何かにすがりたい人間の性質や、考える力の大事さに気づかせてくれる。手っ取り早く解決したことにせず、正しく疑い、考えるのを放棄しないのが大事。

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2016年04月16日

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考えずに、盲信する怖さ。
手軽に分かった気になる怖さ。
人間の本質的な弱さをついてくる疑似科学。

8年近く前に出た本ではあるが、この本で、我々読者に向けて発せられていることと言うのは、科学に限らず、あらゆる事象について盲信、無思考無批判での受け入れをしがちな人間に対する警告であり、(そういうところが人間の本質的な要素でもあるのだが)今読んでも、ためになる話は多い。

取り返しのつかないことになる前に、正しく疑う心・視点を持つことが重要であろうと、今一度リマインドさせてくれる、科学論と言うよりは、科学のアプローチからの現代人論である一冊であった。

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2016年01月13日

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2008年に書かれた本だが、「例えば、原発の敷地が安全な地盤であると判断しても、隠れている活断層があったり、想定以上の地震による揺れが起こったりすると、リスク評価の結果は破綻する。-中略ーリスク評価が破綻したときに使われる常套句は『想定外』である」(p169)というくだりを読んで「池内さんは予言者ですか」と思った私は疑似科学脳かも。

疑似科学の手法の解説は、割と基本的で目新しいことはあまりない。が、「人任せにして責任転嫁してきた結果、劇場型民主主義に陥っている」「何事も鵜呑みにせず、自分でよく情報収集して考える」「予防措置的に考える」などの提言は、心に留め置いていきたいと思う。

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2014年07月04日

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池内 了(いけうち さとる)2008年の書。
ありふれる疑似科学について、三種に分類して、科学とそうでないものにについて分かりやすく解説。
第一種類疑似科学:占い、超能力・超科学、疑似宗教など、科学的根拠のない言説によって人に暗示を与えるもの。
第二種類疑似科学:科学を援用・乱用・誤用・悪用したもので科学的装いをしていながらその実態がないもの。「ゲーム脳」「マイナスイオン」や迷信の類い。
第三種類疑似科学:「複雑系」であるがゆえに、科学的にはっきりと結論の下せない問題について結論が在るかのように思わせるもの。環境問題など。

まtあ、こういった疑似科学に惑わされないようにどういった心構えで科学的なものや溢れる情報に接したら良いかについて言及されている。

繰り返し述べられていることがあって、やや冗長に感じる部分もあるけども、面白かった。

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【内容(「BOOK」データベースより)】
占い、超能力、怪しい健康食品など、社会にまかり通る疑似科学。そのワナにはまらないためにどうしたらよいか。また地球環境問題など、科学の不得手とする問題に正しく対処するにはどうしたらよいか。さまざまな疑似科学の手口とそれがはびこる社会的背景を論じ、一人ひとりが自ら考えることの大切さを説く。
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【目次】
はじめに
第1章 科学の時代の非合理主義―第一種疑似科学
・占い、超能力・超科学、疑似宗教
・第一種疑似科学の特徴
・超常現象の心理学―なぜ信じてしまうのか

第2章 科学の悪用・乱用―第二種疑似科学
・科学を装う手口
・第二種疑似科学の内幕

第3章 疑似科学はなぜはびこるか
・科学へのさまざまな視線
・自己流科学
・科学と非合理主義

第4章 科学が不得手とする問題―第三種疑似科学
・複雑系とは何か
・地球環境問題の諸相
・複雑系との付き合い方
・予防措置原則の応用

終章 疑似科学の処方箋
・疑似科学は廃れない
・正しく疑う心
・疑似科学を教える
・予防措置原則の重要さ
・科学者の見分け方

参考文献
あとがき
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2014年02月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世にオカルト批判の書物は多いけれど、本書のように疑似科学の範疇として「複雑系」の問題を取り上げたものはあまりないのではないか?本書では「不都合な真実」も「環境問題はウソである」も公平に取り上げている印象を受ける。一つ一つの事柄は正しい・正しくないと判断できるのであって、どちらか一方の意見を妄信して他を無条件に退ける態度こそ「疑似科学」である、というわけで、視聴者の心に忍び込んでくるスピリチュアリストも、何でもかんでも温暖化のせいにする古舘伊知郎も等しく疑似科学である、という認識はきわめてまっとうだと思う。

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2013年12月23日

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疑似科学を通して科学的方法について論じるような内容になっている。「入門」が付いているのは、全体を概観したものだからのようだ。

第1章では、第一種疑似科学として占い、超能力、疑似宗教を取り上げる。これらの背景にある人間の認知に関するエラーやバイアスを説明している部分はわかりやすく整理されている。その上で、「疑似科学は関連性の錯誤を期待して網を張っていると言える」とまとめているのは腑に落ちる。

第2章では、第二種疑似科学として科学の悪用・乱用を取り上げ、アルカリイオン水などの水ビジネス、磁気ネックレスなどの磁力、ゲルマニウム、ホメオパシー、マイナスイオン、アガリスクなどをやり玉にあげている。手法として、科学用語の濫用、権威づけ(学者、特許、認可、御用達)、現象のみの宣伝(体験例)、統計の悪用、相関関係を因果関係とする誤用がある。横田めぐみさんのものとされる遺骨のDNA鑑定についても、政治が関与した疑似科学であるとしている。

第4章では複雑系として環境問題や医学、地震などを取り上げる。著者は、CO2温暖化論やリサイクルの否定派に対して、肯定派の間違いや盲点をつく「巧みな戦術」をとっているという。2章までの説明を踏まえて考えると、肯定派と否定派に分かれる背景には、複雑系という難しい問題とともに、それぞれの論者が特定の仮説に合う事例のみで判断する「肯定性のバイアス」に陥っている面もあるのではないかとも思えてくる。著者は、否定論に立った全否定や全廃論は生産的でないと論じ、こうした複雑系の問題に対しては蓋然性の高い警告と受け取り、予防措置原則で対応することを提案している。

「人間が行う行為は有限であり、100%安全なものを作ろうとすればコストが無限にかかってしまうから安全は証明できない。リスク評価が破たんした時に使われる常套句は『想定外』である」のくだりは、原発事故の後の事業者の対応を正に言い当てる結果になってしまった。

医学や環境問題などの複雑系を疑似科学として含めることが妥当かどうかについては、にわかには賛同できないが、同じまな板に載せた著者の試みは、科学論の議論としては成功していると思う。

・宗教は、人間の精神世界の事象のみに特化していることに存在意義があり、物質世界を扱う科学と両立できる。祈りや願いが個人のレベルで閉じており、自己の確立が究極の目的。心のゆらぎを小さくし、未来への不安感を軽減することにより、生きる勇気を培って人生の励ましとなるのが役割。

知覚エラー
・文脈効果:自分が知っているものにあてはまると、それ以外は意識に入ってこなくなる
・見たいと思っているように見る、嫌なものや脅威は無視する
・知覚的防衛:タブー語や蔑視の言葉は覚えにくい、利益のあるものは大きく見える

記憶エラー
・命名効果:命名することによって記憶を強化して、それしか思い出せなくなる
・思いこみ効果:組み合わせで記憶が成立していると、欠けていてもあるように思いこむ
・誘導効果:事後に見聞きした情報を、自ら体験したように思い出す

思考バイアス
・確証バイアス:特定の仮説しか思い浮かべない
・関連性の錯誤(相関の錯覚):続けて起きた目立つ事柄を結びつけて考える→迷信、ジンクス、偏見
・肯定性のバイアス:特定の仮説に合う事例のみで判断する→関連性の錯誤を信じ込む

判断エラー
・平均への回帰:少数サンプルで判断する→二年目のジンクス

共通する心理作用
・認知的節約の原理:限られた情報から効率よく処理しようとする
・認知的保守性(一貫性)の原理:すでに持っているスキーマを維持しようとする
・主観的確証の原理:自分の予期を支持していると勝手に解釈する→セクハラ、冤罪

・ホーソン効果:調査の通達をすることによって、すぐれた結果が出てくる

健康食品
・特定保健用食品:厚労省の許可が必要
・栄養機能食品:ビタミン類、ミネラル類
・健康食品:民間の協会が衛生状態が基準に合格したことを認めたもの。効能・効果は認められていない
・栄養補助食品:健康食品をカプセルなどの形態を指すことが多い

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2018年10月31日

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宇宙物理学者の著者による疑似科学の入門書。といっても,疑似科学という学問領域はない。

疑似科学的な思想や手法だけでなく,それに「はまってしまう」人間の心理が解説されている。が,著者は心理学の専門家でもなんでもないので,この点には注意。

この本では疑似科学を第1種(占い・神秘系),第2種(統計の誤用・悪用),第3種(複雑系)に分類しているのがとてもユニーク。

昨今の原発・放射線に関する様々な言説も,ここで述べられている第2種,第3種に分類されるような情報もかなりあるのだろうと思いながら読んだ。

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2012年04月27日

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科学とは?オカルト系のいかにもなものから地震予知などあまりに対象が大きすぎ、複雑すぎで仮説が林立しているものまで、信じるに足りるものかどうかを論じます。開運が「運が悪い時期が終わって運がよくなっただけ」だとちょっとサビシイですが。冷静に物事を見るということを学びました。

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2012年03月08日

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近代の科学は今ここの現実にしか興味を持たない。科学の誕生前には現実には変えることが有ると信じられていた仮想がいつの間にか変わって、現実が変わると信じていた世界全てが否定されている。科学が進歩し続ける以上、昔のように待っている時間を仮想には使わず現実化していってしまうのだろう。

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2021年04月18日

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前半は楽しい
後半には疑似科学に騙されないための心構えが書いてあるが結局は、反証例を考えるクセをつけることだろう

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2021年02月26日

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科学という言葉は一種の仮定である。だから「科学的」と誰かが言ったところでそれが何を意味するのかということは本当のところわからない。

この本で疑似科学と分類されている物は、宗教や占いといったもの、あるいは化学物質の名前が出てきてその効用がうたわれてる、しかしその科学的根拠があいまいなもの。あるいは極端な曲解を起こす様に科学的説明を用いている物である。

そういうのは世の中に溢れかえっている。特に商品やサービスを売る「広告」というものにはその広告の規模を問わず疑似科学的なものがまじっている割合は結構高い。

もちろん科学そのものが万能ではない。しかし騙されて後悔しないためには一定の科学的見方というのは必要である。

そう言った意味でこの本からどのような「疑似科学」があるのか。科学というものの限界性というものを知るのがよいではないだろうか。

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2018年10月09日

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疑似科学を3種類に分けて、それにまつわる問題について考察している本です。

「第一種疑似科学」とは、人間の心理や欲望につけ込むもので、占い系、超能力やスピリチュアル、疑似宗教などが含まれます。「第二種疑似科学」は、科学を乱用・誤用・悪用したもので、「ゲーム脳」やマイナス・イオン、さらに統計の処理に誤りのあるものなどを指します。著者は、これらの疑似科学を信じてしまう心理などを明らかにしています。

これに加えて本書では、地球環境問題や地震予知など、まだ理論や手法が確立しておらずデータの集積も十分でない分野で一面的な断定を下すような言説を、「第三種疑似科学」としています。その上で、こうした問題への対処として「予防措置原則」を導入するべきだと著者は主張します。

予防措置原則そのものの倫理的な意義については、それなりに納得のいくものではあるのですが、地球環境問題は、生命倫理にまつわる問題と同様に、「科学が問うことができるけれども、科学が答えることのできない問題」なのではないでしょうか。こうした問題は、倫理学はもちろん、社会的、政治的な問題が複雑に絡み合っており、それらの観点を総合することで取り組んでいくことが求められているように思います。

したがって、こうした問題に対して、科学的に十分な根拠がないにもかかわらずさまざまな立場からの主張が展開されて百家争鳴の様相を呈するのは、それぞれの論者の社会的、政治的立場に基づいてなされていると考えるべきです。ところが、それらの言説をひとしなみに「疑似科学」と呼ぶことは、問題の倫理的、社会的、政治的な次元を覆い隠し、科学的技術的な次元で問題の解決が可能だとする、技術的決定論に陥る危険性があると判断せざるを得ません。

著者自身「あとがき」で、「第三種疑似科学」という名称を用いたことに対する疑義を提出していますが、やはりここには無視することのできない問題が残されているように思います。

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2017年02月12日

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ネタバレ

知覚エラーや記憶エラーを論じる部分(30頁ー)は,伝聞証拠の議論を思いだす。

以下引用。
「最も憂えることは,自分の頭で考えるのではなく,(神仏や人からの)ご託宣を何の疑問も持たずに受け入れてしまう体質になることである。……自分で考え決断して選択するという生き方を忘れ,私たちが社会の主人公であるという本来の民主主義から離れていくからだ。「観客民主主義」に堕していくのだ。」(22頁ー)

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2015年06月07日

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疑似科学を3種類に分けて説明している本。疑似科学を無批判で受け入れたりしないようにするためのリテラシーは必要だとは思うのですが、なかなか難しいのかな。

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2015年06月06日

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科学リテラシーを学ぶ上で本書をとった。擬似科学を1種から3種に分けてわかりやすく述べている。大学1年次の教養科目として科学への向き合い方について、学ぶことは必要であると考える。

内容においては特に第三種の疑似科学の章における複雑系の概念についてわかりやすく書かれており、科学に向き合う上での真摯な姿勢について改めて考えさせられた。

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2015年05月07日

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ネタバレ

現代は疑似科学のまさに百花繚乱の時代であり、知らないうちに私たちの生活に浸透してきている。その罠にはまらないためにできることはないか。どうすべきか。を論じています。

疑似科学というと、ゲーム脳や水伝(水からの伝言)などを連想するのですが、端から見ていると「こんなの引っかからねーよ」とは思うものの、いざ自分がこれまでにはないタイプのものに直面したとき、正常な判断を下せるか、というのがとても不安ではありました。常々思ってるのですが、テレビの情報やネットの情報はそのまま信用せず、まずは疑うことである、と再認識しました。

ただ、「おみくじや占いなど罪がないもの」とはしているものの、程度は同あれ、こういう人が疑似科学にハマるんだ、といわんばかりの論調がややひっかかりました。神社に初詣に行く人々も、著者にはこう映るんでしょうかねえ。まあ考えすぎでしょうが。

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2015年01月28日

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情報が少し古いのは否めないが、まあ物事を疑うスタンスは廃れないので、そこそこな感じ。

ただちょっと語り口は好きではなかった。

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2013年05月31日

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著者は著名な宇宙物理学者であり自ら書いている通り認知心理学の専門家ではない。但、職業柄論理的思考には慣れている筈。そんな著者が止むにやまれず筆を執った疑似科学批判。著者も書いている通り日常会話のネタとしての血液型談議や占いの類は特に問題あるまいがそれが不当利益を得る為の詐欺行為に繋がれば犯罪である。確信犯なら取り締まれば良いのだが昨今の国際情勢を見るにつけ疑似科学的言説が罷り通っている様に思えてならない。歴史や政治が科学でないことは理解するが宗教でもないだろう!無神論者の私にはあの狂乱狂騒が理解できない。

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2012年09月08日

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ネタバレ

疑似科学、すなわちエセ科学。
著者は大きく3種類に分類している。

・占いなど、思い込みなどなどでどうにも変ってしまうもの
・健康食品など「いかにも」な感じを出しているもの
・正直よくわからないんだけど「○○現象だ」と言われて納得してしまっているもの

共通して述べられているのが、なんとなく納得した気になって深く追及することを避けてしまう風潮への警告。
自分自身がそのような傾向があるだけに、ぎくっとした。
自分一人に害がなければよいと思ってしまうところもあるけど、とくに環境問題などでは各人が「まあいっか」と思っていることが世の中の動きになってしまうことだってある。

対策としては、うのみにしないで、自分で一度疑ってみること。
疑った上で納得するのなら、それでいい。
受け入れることばかり教わってきた私たちにそれは難しいけど、身近なところから始めていけるとよいとのこと。

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2012年08月22日

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思考停止は疑似科学崇拝へのファストパス。本書は巷にあふれている疑似科学を三種類に分類し、それぞれについて言及した上で、疑似科学に対して行うべき態度とは何かについて意見を述べている。本書の中にもあるが、疑似科学はこれからもなくならないだろうという考察は同意できる。知れば知るほど分からないことが出てくるのが科学であるし、それにつけこむ疑似科学の存在は科学という分野がある以上、なくなることはないだろう。この現実を前にして、私たちが取り組むべきなのはやはり「考える」ことなのだと思う。

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2012年03月05日

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疑似科学と科学の問題点を論じている
宗教、健康食品の販売、超能力、心霊現象
のほかに 地球温暖化など複雑系にかかわる実証が
難しいために発生するものも疑似科学として
あげている (3つに分けているのがおもしろい)
気がつかないうちに疑似科学に足をつっこまないように
したいものだ
とくに 自分の職業上疑似科学の片棒を担ぐ立場になる可能性
があるので戒めて読んだ
ミドリ十字のHIVの被害拡大も疑似科学のなせる業だろう

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2011年08月07日

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ネタバレ

[ 内容 ]
占い、超能力、怪しい健康食品など、社会にまかり通る疑似科学。
そのワナにはまらないためにどうしたらよいか。
また地球環境問題など、科学の不得手とする問題に正しく対処するにはどうしたらよいか。
さまざまな疑似科学の手口とそれがはびこる社会的背景を論じ、一人ひとりが自ら考えることの大切さを説く。

[ 目次 ]
第1章 科学の時代の非合理主義?第一種疑似科学(占い、超能力・超科学、疑似宗教 第一種疑似科学の特徴 超常現象の心理学-なぜ信じてしまうのか)
第2章 科学の悪用・乱用-第二種疑似科学(科学を装う手口 第二種疑似科学の内幕)
第3章 疑似科学はなぜはびこるか(科学へのさまざまな視線 自己流科学 科学と非合理主義)
第4章 科学が不得手とする問題-第三種疑似科学(複雑系とは何か 地球環境問題の諸相 複雑系との付き合い方 予防措置原則の応用)
終章 疑似科学の処方箋(疑似科学は廃れない 正しく疑う心 疑似科学を教える 予防措置原則の重要さ 科学者の見分け方)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月26日

Posted by ブクログ

エセ科学に対して、もっと具体的にどうエセなのかに迫って欲しかったなー。血液型や占い、超能力、統計の悪用、誤用がいかに出鱈目なのか、もっともっとはっきりさせるべきなのだ、と思う。日本の生徒や学生の理科や数学の力が落ちていると嘆く同じテレビが、血液型や星座占いや、超能力(?)をもっともらしく放送する。なぜこんな出鱈目を放送することが許されるのか、わけが判らないのである。

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2010年11月14日

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