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弁証法を用いて未来を考察。当たるか、当たらないか、よりも考察する過程が大事だと感じるとともに、シンプルに削ぎ落としきる筆者の文体も魅力。
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<弁証法の5つの法則>
第一の法則
世界はあたかも、螺旋階段を登るように、発展する
第二の法則
現在の「動き」は、必ず、将来、「反転」する
第三の法則
「量」が、一定の水準を超えると、「質」が、劇的に変化する
第四の法則
対立し、競っているもの同士は、互いに、似てくる
第五の法則
「矛盾」とは、世界の発展の原動力である
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最初の5章は、今までの本の書き直しであり、田坂氏の過去の著作を読んだ方には、特に目新しいことはないかもしれない。
しかし、6章は本当に素晴らしかった!英語圏でも同時に出版されただけある。自分の血となり肉となるまで、何度も読み返したいと思う著作である。
しかし、第六章の最後のページだけは、宗教的で、論理が飛びすぎていてピンとこなかった。
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進化とはらせん状の道をたどる、という話がとても目新しかったです。
どんなことでも左右の振れがあって原点回帰と言ったりはすると思うのですが、それがらせん状に進化していく、とは思いつきませんでした。
勉強になりました。
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『世界発展の「法則」を学ぶことによって、「大局観」を働かせ、未来を予見する。」
この本を読み進めることで、弁証法的思考とはどういう物なのかを知ることができる。
特に印象的だったことは、
「世界で起こることは、螺旋階段を登るように繰り返される。それは単に同じことが繰り返されるのではなく、発展した型として現れる。」
世界の本質を突いたフレーズだと思う。
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《要旨》
未来を知りたい。その思いは誰にでもある。「具体的な変化」を予測することはできないが、「大局的な方向」を予見することはできる。この大局観を身につけるのに必要なのが「弁証法」である。弁証法の哲学は世界の発展の「5つの法則」を教えている。
まずは、「螺旋的プロセス」による発展(1)。上から見ると、昔の場所に「復活・復古」していくように見えるが、必ず一段高い場所へ登っている。古いものが新たな価値を伴って復活してくるプロセス。だから、消えていった機能の「復活」を読む。2つ目は「否定の否定」による発展(2)。現在の「動き」は必ず将来反転する。だから、現在の動きの反転を読む。この2点で次の主戦場がどこに移行するか予見する。その移行する可能性を見るのが3つ目の「量から質への転化」による発展(3)である。この量が一定の水準を超える目安の一つが「キーワード」が忘れられたか(社会全体に広がり浸透した)というもの。これらに加え重要なのが、「対立物の相互浸透」による発展(4)である。対立する両者は「融合」し、「統合」されていく。
この4つの根底にある基本法則が「矛盾の止揚」による発展(5)である。矛盾を機械的に解消するのではなく、弁証法的に止揚したときに物事は発展する。これにより、どのようなパラダイム転換が起こるか予見できる。
《印象に残ったコトバ》
未来に起こる「細かな動き」は分からない。しかし、未来に向かっての「大きな流れ」は分かる。(略)それが、本来、「大局観」と呼ばれるものです。そして、その「大局観」を働かせることによって、未来は「予見」できるのです。
《感想》
この本を読んだ時に、「虫の目、鳥の目、魚の目」というコトバを思い出した。虫の目で細かいところを見て、鳥の目で俯瞰する。それだけでなく、魚の目で潮流を捉える。初めて、魚の目でモノを見る方法を与えられたと思った。
《目次》
序話 未来を予見する鍵は弁証法にある。
第一話 世界は、あたかも、螺旋階段を登るように発展する。
第二話 現在の「動き」は必ず、将来、「反転」する
第三話 「量」が一定の水準を超えると、「質」が、劇的に変化する。
第四話 対立し、競っているもの同士は、互いに、似てくる。
第五話 「矛盾」とは、世界の発展の原動力である。
第六話 弁証法的思考で予見する未来
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本書は、結論から言うと良い。そして、買うべきだと思う。
ビジネス書としているが、ビジネスに関係なく、物事の本質を
見抜くための、一つの有益な視点を提供してくれる内容である。
未来を予見する。細かい動きは分からない、誰だって予測不可能だ。
しかし大局的な流れは予想できる。そのための思考法として弁証法的思考が有効だ。
螺旋階段を上るように世界は発展し、ある時点で今は反転する。水準を超えれば、
質が劇的に変化する。という内容である。
そして、本書の醍醐味は、
1.螺旋階段的現象の理解
2.弁証法的思考
3.歴史知識の重要性の認識
の3つだと個人的には思う。
1は、3と似た部分がつまり「歴史は繰り返す」という事。しかし、単に繰り返す
だけではない。一周して戻ってきた時には、より高みにいる。これが螺旋階段的現象
である。私達が新しいと思っている事は、実は古い前のシステムをより良い物にして
再実現しているのに過ぎないかもしれない。
2は、多少哲学をやっている人なら分かるだろうが、相反する物事を昇華させて
新しい物事を作り出す事である。物事には、必ず負と正の両方の面を持ち合わせている。
それに目隠しするのではなく、ぶつかり合わせ、さらに発展できないかを考える。
これが、神髄である。
3は、歴史が繰り返すのであれば、歴史を俯瞰して置くことは、当たり前の話だろう。
最後に、もう一点重要な点を、
4.存在したものには、必ず良い部分がある。逆を言えば、消えてしまったシステムでも
必ず参考になるものはある。
早速、本書の要点を参考にさせてもらおう。
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2008.11.23 はまちゃんから。
敬愛する田坂氏の新刊。
私が好きだと知ってて貸してくれる。
「使える弁証法」にあらたにプラスされ
日本発の知の技法として活用されたい。
☆未来予測はできないけど、大局的な方向は予見できる。
☆弁証法5つの法則
?螺旋的プロセスによる発展の法則
世界はあたかも、螺旋階段をのぼるように発展する
?「否定の否定」
現在の「動き」は将来、必ず「反転」する。
?「量」から「質」への転化
一定水準を超えると劇的に変化
?「対立物の相互浸透」
対立し、競っているもの同士は、互いに似てくる
?「矛盾の止揚による」
矛盾とは、世界の発展の原動力。
Posted by ブクログ
さすが田坂さん、というべき本。
本自体の構成の仕方が非常に読みやすくなっている。
圧巻は最後の章。
とにかく読んでいてワクワクする。
こんなにもおもしろい時代に生きていることを
改めて実感させられた。
友人にもすぐに読ませました!w
大切にしたい本の一つです。
Posted by ブクログ
本書で言っているところの「5つの法則」とは、・「螺旋的プロセス」による発展の法則・「否定の否定」による発展の法則・「量から質への転化」による発展の法則・「対立物の相互浸透」による発展の法則・「矛盾の止揚」による発展の法則である。それぞれの法則に説得力があり、すごく納得させられる。過去を振り返れば、まさにこれら5つの法則で人類は発展、発達を繰り返した。では、未来は?
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20150411 読書 未来を予見する5つの法則
2015年4月11日土曜日
12:15
新しい世界を予見するための考え方の本。
複数ある法則の中で、1)量から質への転化と、2)矛盾の止揚が響いた。
1)シェアがあるレベルを超えると、多くの顧客が、加速度的にその製品を買うようになり、その製品の企画が事実上の標準となり、市場を独占していく。
1)
コストが劇的に下がると、ビジネスモデルが進化する
あえて商品の無料配布等を行って、ユーザー数を一挙に増やすという戦略もまた、主戦場の移行を早める為の戦略であり、量から質への転化を加速するうち手に他ならない。
主戦場がどこにうつっていくかを読む事は時代が早く移り変わる今日は非常に重要だ。ましてやそれを先読みし、一手を打つ事ができれば有利なポジションにたつ事ができる。
トイレは必ず毎日10分くらい行く→記憶定着には最も良い環境。
高価格バージョンと低価格バージョン、これは広告に酔って差を付ければ良いのではないか?
広告主は顧客のセグメントを指定できる。一台1000THBとか。みんな見てもらう為に大金をWISEなどに払っているんだから。
2)
人物の器とは、壮大な矛盾を抱える事のできる魂の力に他ならない。
割り切りとは、魂の弱さである。
社会に存在する様々な矛盾を前に、その矛盾と整体師、それを心の中に深く把持し、割り切る事無く、その矛盾のしよくの道を求めて、格闘し続けること。それには魂の強さと呼ぶべき力量が求められる。
利益追求と社会貢献、どっちが大事だ?と言われたときに、意見の
対立(矛盾)を割り切る(=思考を放棄する)のではなく、いいと
ころをとりあってよりよい答を見つけていくことが大事。
●弁証法の法則
「螺旋的プロセス」による発展の法則
懐かしいもの、一見なくなったように見える物の復活
Ex)商店街、ボーイスカウト
「否定の否定」による発展の法則
「量から質への転化」による発展の法則
量が臨界点を超えると一気に開かれる
Ex)シェア、勉強
「対立物の相互浸透」による発展の法則
「矛盾の止揚」による発展の法則
矛盾を抱えつつなんとか頑張る大人
Ex)経営者
で、この弁証法思考というやつを使って未来を「予見」すると、
次のようなパラダイムシフトがあると思われる、と
書いております。
●これから出てくる新しいパラダイム
貨幣の経済 → 「善意の経済」
コンシューマ(享受型) → 「プロシューマ」(参加型)
政治だけでなく文化も → 「直接民主主義」
言葉のコニュミケーション→ 「イメージ・コミュニケーション」
Ex)instagram
考える文化 → 「感じる文化」
単一才能社会 → 「多重才能社会(ダ・ヴィンチ社会)」
単一人格社会 → 「多重人格社会(脱ペルソナ社会)」
単一価値「イデオロギー」→ 「コスモロジー」
一神教 → 「多神教」
機械論的世界観 → 「生命論的世界観に基づく科学」
現代文明の「科学技術」と古い文明の「生命論的な智恵」の融合
東洋文明と西洋文明 → 融合して「新たな文明」
Ex)カンビシ
大局的な物の見方はは、現代のように移り変わりが激しい時代にこそ必要であるとの主張、なるほどと思った。
ポエムチックに広々としたページにかなりの行間を取ってある本なので、ぱらぱらめくるだけで短時間で読める。時間とともに響く部分が変わりそうなので、何度も読み返したい。
Posted by ブクログ
世界の発展の5つの法則
第一の法則 螺旋的プロセスによる発展
世界はあたかも螺旋階段を登るように発展する。
第二の法則 否定の否定による発展
現在の動きは必ず将来反転する。
第三の法則 量から質への転化による発展
量が一点の水準を超えると質が劇的に変化する。
第四の法則 対立物の相互浸透による発展
対立し、競っているもの同士は互いに似てくる。
第五の法則 矛盾の止揚による発展
矛盾とは世界の発展の原動力である。
資本主義の発展に伴い、全ての営みが商品とし売買されるようになり、貨幣に換算されるという文化が広がり、それと共にボランティアの文化は失われていった。だが、ネット革命の到来により、その文化が甦ってきた。
均質化と個性化の螺旋的発展。
進化の本質は多様化である。単に古いものが消え、新しいものに置き換わる事ではなく、昔からある古いものと新たに生まれた新しいものが共存し、共生し、棲み分けることによって世界の多様性を高めていくプロセスである。
知識社会においては、言葉で表せる知識が価値を失い、言葉で表せない智慧が価値を持つ。
コストを劇的に下げる事で、主戦場の移行を早める事ができる。
例えば、通信料金の量的変化が市場文化の質的変化をもたらす。
民主主義は、多くの人々が意思決定に参加する事から多くの人々が社会変革に参加することへ深化する。
非言語コミュニケーションとイメージコミュニケーションの時代が幕を開ける。
考える力、論理的思考力から感じる力、感覚的直感力へのパラダイム変換が起こる。
イデオロギーからコスモロジーへのパラダイム変換が起こる。
(*コスモロジー、、世界に存在する様々な価値観を全て受け入れていくだけではなく、異なった価値観が共生する事に最大の価値を認めること。)
機会論的世界観から生命論的世界観へのパラダイム転換が起こる。
肉体の精密検査だけでは決して原因がわからない心身症や、個人の精神分析だけでは決して理解できない集団心理の現象などに象徴される問題。この世界は有機的な生命的システムである為、分解しても理解できない。
複雑系の科学が生命論パラダイムの科学へと進化させる。
物事が複雑になると、あたらな性質を獲得する。自然、社会、人間を問わず、システムが複雑になると、それを構成する要素が持つ性質の単なる総和ではない、
「新たな性質」を獲得していく。
インターネット革命が、組織、市場、社会を「高度な複雑系」へと進化させる。
例えば、
ネットコミュニティの自己組織化
コミュニティにおける新たな知識の創発
ネットを通じて多くの人々の共鳴行動
企業の意識と消費者の意識の相互進化
ポータルサイトにおける商品生態系の形成
この結果、人々の意識への生命論的世界感の浸透が起こる。
そしてこの結果、「生命的システムに処する智慧」が求められるようになる。
例えば、
コミュニティの自己組織化を促す智慧
新たな知識の創発を促す智慧
人々の共鳴を生み出す智慧
生態系の形成を促す智慧
地球環境問題解決の為には、生命的システムに処する智慧が求められる。
人類の古い文明の中に宿る生命論的な思想や智慧が甦り、古い叡智と現代文明の科学技術、組織、制度が融合し、新たな文明が生み出される。
本来、科学技術と資本主義そのものに問題はなく、その背後にある世界をエゴの願望のままに操りたいという「操作主義」や、世界が自由に操れる機械の如きものであって欲しいという「機械論的世界感」にこそ問題の根源がある。
教育、コミュニケーション、コミュニティ、医療など、様々な分野において「生命論的な思想と智慧」が生かされる文明がはじまる。
例えば自然の中に宿る神秘や自然の持つ不思議を感じるセンスオブワンダーを大切にする思想が、ハイビジョンや三次元映像、仮想現実感などの最先端技術を用いた教育システムと結びつく時、そこに新たな「体験型自然教育」のパラダイムが生まれる。
人間同士の暗黙知を言葉を使わずにイメージを用いてコミュニケーションする思想。以心伝心、不立文字の思想がウェブの写真やCG、動画や映像の共有システムと結びついた時、そこに新たな「イメージコミュニケーション」のパラダイムが生まれる。
東洋文明と西洋文明の螺旋的発展が起こる。
東洋文明に宿る生命論的な思想や智慧が甦り、西洋文明が育んだ最先端の科学技術や資本主義と融合していく。例えばエルンスト•シューマッハの仏教経済学。
人類の前史の時代が終わりを迎える。
西洋の叡智によって高度に発達した科学技術や資本主義と、東洋の土壌に深く根を下ろした生命論的な思想と智慧が結びついた時、そこに新たな文明が生まれる。この時、人類の前史が終わり、本史が始まる。我々人類は幼年期を終えるのだ。
12のパラダイム変換まとめ
1、貨幣の経済に対して善意の経済が影響力を増していく。そして新たな経済原理が生まれてくる。
2、多くの消費者や生活者が、社会の変革とイノベーションのプロセスに参加するようになる。
3、政治の分野だけでなく、経済と文化の分野でも直接民主主義が実現する。
4、言葉を使ったコミュニケーションではなく、言葉を使わないイメージコミュニケーションが広がっていく。
5、考える事を重視する文化と感じる事を大切にする文化が融合していく。
6、誰もが自分の中に眠るいくつもの才能を開花できる「ダヴィンチ社会」が到来する。
7、誰もが自分の中に隠れている複数の人格を表現できる脱ペルソナ社会が実現する。
8、単一価値のイデオロギーの時代から、様々な価値観の存在を最大価値とするコスモロジーの時代に向かっていく。
9、排他的な一神教の時代から様々な宗教が共生する新たな多神教の時代が始まる。
10、機械論的世界観に基づく科学ではなく、生命論的世界観に基づく科学が主流となっていく。
11、現代文明の科学技術と古い文明の生命論的な智慧の融合が起こる。
12、東洋文明と西洋文明が互いに学び合い、21世紀の新たな文明が生まれてくる。
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5つの法則を知れば未来の大局は予見できる。
1.世の中はらせん階段を野も無聊にしている。
2.現在の動き必ず将来反転
3.量が一定量を超えると質が劇的に向上
broad band
4.対立しているものは互いに似てくる。
5.矛盾=発展の原動力
価格安い=社会に貢献=会社にとっては不利益。
Posted by ブクログ
この本を読むと、世の中を俯瞰して見れるようになります。世の中の大きな流れがわかると、自分が進むべき方向も見えます。そんなことに気づかされる本です。
Posted by ブクログ
後出しじゃんけん的なきらいはあるモノの、著者の主張には共感できるところ多数。
というか、著者の言うような世界が実現すれば、世界はもっと良くなるし平和に暮らせる。
こういう世界が私の生きている間に来て欲しいし、その実現に向けて私自身も一役買いたいと思った。
Posted by ブクログ
弁証法という考えで未来の大局を予見する。
陰と陽の考えを中和しひとつの答えに
たどり着くということでしょうか。
キーワードは
1.螺旋階段
2.現在の動きは反転する
3.量から質
4.2つは似てくる
5.矛盾が原動力
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21/11/9 80 変な組み方でも読みやすい。1、螺旋階段2、反転3、量から質4、競合>似て来る5、矛盾が原動力
24/7/11
言葉で表せない智恵
便利になった、懐かしいものが復活する
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昨年出版された本のため、情報が新しく斬新である
わかりやすく、簡潔に書かれている
未来を予測する5つの法則をWeb2.0が引き起こす変化を予見している
ハード面だけでなく、ソフト面にも言及しており、
情報を知っているか否かで差が出そうな一冊
Posted by ブクログ
以前の著作の「これから何が起こるのか」と「使える弁証法」で述べられていたことが、ミックスされて、さらに要点をまとめて整理された感じの本。
前作では、「螺旋的発展」という内容に一番重点がおかれていて、それに大きなインパクトを受けたのだけれど、この本の中では「矛盾による発展」ということについての説明が、かなり衝撃的だった。
例えば、企業における「利益追求」と「社会貢献」、「短気収益」と「長期戦略」、政策における「市場原理」と「政府規制」、というような対立するニ項がある時、どちらかに決めてスパッと割り切るのではなく、その中庸を選択するのが、今後重要になるのだという。
「バランスを取る」というのはソフトな言葉だけれども、それではまだ中途半端で、本来であれば相容れないはずのものを自分の心の中に同居させて、一つ高い次元へと止揚させる器の大きさが、ここで言われている「矛盾のマネジメント」だ。
これは、「キリスト教」対「イスラム教」、「先進国」対「新興国」というような、さらに大きな枠組みに対しても、同じように適用出来る。この、多くの価値観を認めるという考え方は、まさに、21世紀の理想形を言い表したものだろうと思う。
田坂氏の本がいいのは、ビジョンの方向性の表現の仕方がとても前向きなことだ。
個人が、仕事とプライベートで異なったペルソナを持って、別々の表現するというのは、とらえ方次第では、現代の病理の一つとして片付けられてしまうこともある。
しかし、この本の中では、その多様性はそれぞれの個人にとって大切な「癒し」と解釈されて、しかも「矛盾による発展」のために必要な要素であると言っている。
著者の目からは、本当にシンプルな形で、世の中の進み方の原理が見えているんだろうということが、よく伝わってくる。西洋の知識と、東洋の心とが融合されたような奥行きがある。その思考のエッセンスが、とても読みやすく、わかりやすい形で表現された、素晴らしい本だと思う。
「存在するものは、合理的である」
このヘーゲルの言葉は、何を語っているのか。
現実に世の中に存在したものには、必ず「意味」がある。
そのことを語っているのです。
すなわち、この世の中に存在したもので、
全く「意味」が無いにもかかわらず、存在しているものはない。
ただ、時代が変わり、社会が変わったことによって、
その「意味」の大きさが変わり、相対的な「重要度」が低くなったため、
社会の表面から姿を消したにすぎないのです。(p.61)
ネットワーク社会における技術や商品やサービスは、
それが多くの人々が使うものになればなるほど、
誰にとっても役に立つ技術や商品やサービスになり、
ますます多くの人々が使うようになるのです。
「ユーザー数」が増え、ある一定の水準を超えると、
そこから「自己加速」が始まり、社会や市場の性質が、
急速に、そして大きく、変わっていく。(p.128)
世の中の物事が、変化し、発展し、進化していくのは、
その物事の中に「矛盾」があるからである。
そして、その「矛盾」こそが、物事の発展の「原動力」であり、
物事を変化させ、発展させ、進化させていく
「生命力」に他ならない。(p.147)
昼は、企業のマネージャーとしてのパーソナリティを生き、
週末は、社会企業家のパーソナリティを生きる。
ウェブの世界では、商品開発に参加するデザイナーの人生を生き、
自身のブログでは、小説家やエッセイストとしての人生を生きる。
そして、ときに、ウェブサイトでの写真展を開く写真家の人生や
自作の曲を自演するミュージシャンとしての人生を生きる。
そうした形で、我々は、これまで「ペルソナ」の陰に抑圧してきた
様々な「パーソナリティ」を表現し、生きることがでいるのです。
そうした「脱ペルソナ社会」とでも呼ぶべきものが、到来するのです。
では、それが、なぜ、重要な意味を持つのか。
「癒し」だからです。
「抑圧された自己」や「隠れた自己」を発見し、受容し、表現すること。
それは、人間にとって、深い「癒し」だからです。(p.201)
かつて、文化人類学者、レヴィ・ストロースが、
「文明」と「未開」という言葉の持つ落とし穴を鋭く洞察し、
我々が「未開」と呼ぶ人々の中に、
実は、優れた智恵が数多く宿っていることを述べましたが、
まさに、その言葉通り、かつての「古い文明」の中に、
優れた「生命論的な智恵」が、数多く眠っているのです。(p.223)
Posted by ブクログ
◆目次
第一の法則 世界は、あたかも、螺旋階段を登るように、発展する
第二の法則 現在の「動き」は、必ず、将来、「反転」する。
第三の法則 「量」が、一定の水準を超えると、「質」が、劇的に変化する。
第四の法則 対立し、競っているもの同士は、互いに、似てくる。
第五の法則 「矛盾」とは、世界の発展の原動力である。
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■ひとことで言うと?
弁証法的思考により未来の方向を知ることができる
■キーポイント
・弁証法の法則
→1. 螺旋的発展:世界は螺旋状に発展する
→2. 否定の否定:発展の動きは極致で反転する(相手を包含し反転する)
→3. 量質転化:量的飽和が質的変化を生む
→4. 相互浸透:対立物は互いに似てくる
→5. 矛盾の止揚:矛盾を超えて発展する(矛盾は発展の原動力)
・進化の本質
→進化≠古いものの排除
→進化=古いものと新しいものとの共存(多様化)
・これから起こるパラダイム・シフト
→直接民主主義(参加型イノベーション)
→感じる文化(非言語コミュニケーション・VUCA時代)
→マルチタレント時代(複数人格の表出・分人)
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新聞のコラムの経営者の座右の書として紹介があり、この度、読みました!
2008年に出版された本ですが、世の中にどのような変化が生じるのかが書かれている。ズバリなんだよなー。そんでもって読んでて思うのは、世の中の本質というか、普遍的なものというか、そんな精神的なことをこの本より感じました。→読んだら、なんとなく理解頂けるかと思います。
Posted by ブクログ
誰でも未来を知りたいと思いながら、現実には不可能です。
未来を予測ではなく予見するための法則について、語っています。
これまでの歴史の潮流を踏まえ、これから起こるべき未来を予見するこの著書は、期待と不安が入り混じる内容となっています。
以前、著者の田坂広志さんの『これから何が起こるのか』を読んだときも感じましたが、よくこれだけの流れに沿った内容で書けるものだと驚きを感じます。
歴史は繰り返しつつも発展するものであるし、その変化の萌芽が足元にあるということを改めて考えさせられた良書です。
未来を予測できない理由:「不連続」「非線形」「加速度」
具体的な変化を予測することはできないが、対極的な方向を予見することはできる
世界発展の法則=弁証法を学ぶことで可能となる
弁証法の「5つの法則」
第一の法則-「螺旋的プロセス」による発展の法則
世界は、あたかも、
螺旋階段を登るように、発展する。
第二の法則-「否定の否定」による発展の法則
現在の「動き」は、
必ず、将来、「反転」する。
第三の法則-「量から質への変化」による発展の法則
「量」が、一定の水準を超えると、
「質」が、劇的に変化する。
第四の法則-「対立物の相互浸透」による発展の法則
対立し、競っているもの同士は、
互いに、似てくる。
第五の法則-「矛盾の止揚」による発展の法則
「矛盾」とは、世界の発展の原動力である。
「矛盾のマネジメント」(例:「市場原理」と「政府規制」のバランス)が、行政や政治に求められる
これから起こる「12のパラダイム転換」
①「貨幣の経済」に対して、「善意の経済」が影響力を増していく。そして、新たな経済原理が生まれてくる。
②多くの消費者や生活者が、社会の変革とイノベーションのプロセスに参加するようになる。
③「政治」の分野だけでなく、「経済」と「文化」の分野でも、直接民主主義が実現する。
④言葉を使ったコミュニケーションではなく、言葉を使わないイメージ・コミュニケーションが広がっていく。
⑤「考える」ことを重視する文化と、「感じる」ことを大切にする文化が融合していく。
⑥誰もが、自分の中に眠るいくつもの才能を開花できる「ダ・ヴィンチ社会」が到来する。
⑦誰もが、自分の中に隠れている「複数の人格」を表現できる「脱ペルソナ社会」が実現する。
⑧単一価値の「イデオロギー」の時代から様々な価値観を受容する「コスモロジー」の時代に向かっていく。
⑨排他的な「一神教」の時代から様々な宗教が共生する「新たな多神教」の時代が始まる。
⑩「機械論的世界観」に基づく科学ではなく、「生命論的世界観」に基づく科学が主流となっていく。
⑪現代文明の「科学技術」と古い文明の「生命論的な智恵」の融合が起こる。
⑫東洋文明と西洋文明が互いに学び合い、21世紀の「新たな文明」が生まれてくる。
<この本から得られた気づきとアクション>
・矛盾のマネジメントに挑むことが役割である
・歴史を学習し、今後の変化を予見する
・ある一定の流れが起きると、次はその逆に振れる。土井さんの「振り子の原則」の話といい、システムズアプローチでも同じことを言っている。要はバランス感覚だ
<目次>
序話 未来を予見する鍵は、「弁証法的思考」にある。―弁証法の「五つの法則」
第1話 世界は、あたかも、螺旋階段を登るように、発展する。―第一の法則「螺旋的プロセス」による発展の法則
第2話 現在の「動き」は、必ず、将来、「反転」する。―第二の法則「否定の否定」による発展の法則
第3話 「量」が、一定の水準を超えると、「質」が、劇的に変化する。―第三の法則「量から質への転化」による発展の法則
第4話 対立し、競っているもの同士は、互いに、似てくる。―第四の法則「対立物の相互浸透」による発展の法則
第5話 「矛盾」とは、世界の発展の原動力である。―第五の法則「矛盾の止揚」による発展の法則
第6話 弁証法的思考で予見する未来―これから起こる「十二のパラダイム転換」
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将来のことは、具体的な予測はできない。(●●年後に・・・になる、XXくらいの規模になるetc)しかし、大局的な流れ・方向は”予見”できる
予見するには、物事の本質を見極める”法則”をつかむことが大切
1. 螺旋的プロセス
2. 否定の否定
3. 量から質
4. 対立物の相互浸透
5. 矛盾の止揚
Posted by ブクログ
未来Y=未来予見関数F(X)と考えると、
本書は、弁証法を通じて、未来予見の関数はうまく整理しているなと思いました。
ただ一方で、初期値としてXに何を代入すべきか、というところの言及は少なく、
一番知りたかったのはそこだったので、ざんねんでした。
頭の整理にはかなり使える一冊です。
進化の根本には矛盾の解決があるということは、以前から考えていた未来予想の発想で認識と合致。
そこにいくつかの定理つけて、帰納法で導いた印象で、考えの整理になりました。
ただ、以前から悩んでいたのがこの矛盾の初期値に何をおくか、反転といっても、今はどういう状態なのか、ここを的確に捉えないと、この方程式が役に立ちません。
この本は方程式を帰納法で導いており、結果から整理することはたしかにやりやすい。
でも、結果がない状態で本当に予見できるのか、筆者なりの未来予見も見ましたが、
どうも初期値の設定が、納得できません。唐突に思えてしまいます。
わたしの考える初期値の考え方のひとつに、非常に高い確度で予測できる要素を洗い出すこと、たとえば、人口ピラミッドなどは、かなり読みやすく、将来ぶれない。こういった将来ぶれにくいものをかき集め、そこから、初期値を導き出すのがいんだろうなと思いつつ、今もここには解がありません。