【感想・ネタバレ】どぶがわのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ドブ川のほとりのベンチでいつもうたた寝をしている老女。川沿いの、長屋のような安アパートに住んでいる。身寄りはないらしい。

うたた寝の彼女が遊ぶ妄想の世界では、彼女は豪邸に住む四姉妹の長女。ドレスを仕立てたり、ご馳走の食べ過ぎでウエストを気にしたり。現実の彼女の部屋には何もない。ちゃぶ台と数冊の童話。そんな生活を嘆くでもなく日々は淡々と過ぎていき、町の人々もそれぞれの毎日を抱えながら彼女の傍を通り過ぎていくーー。

柔らかな絵で静かに淡々と進む物語。なのに時折り、思いもよらないほど、胸のつぶれるように切ない一コマが挟まれる。これが池辺葵さんだ。

ある夜。老女がいつも口ずさんでいる歌を、同じアパートに住む工員がレコード屋で探してきてターンテーブルに針を落とす。音が筒抜けのその安アパートで、いつもはすれ違うだけの住人たちが皆で耳を澄ましている。工員と老女は、恐らく終生言葉を交わさなかっただろう。それでもここに、こんなに優しい触れ合いがあった。いつか消えてしまっても、そういう夜があったのだと。

他人の人生を、幸せだとか不幸だとか決めることは、出来ない。誰もがただ生きている。私も、皆も、これからも。

3
2015年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

独り身のオンナには
ちょっと本気で別の危機感と言うか恐怖を感じなくも無いのですが(笑)

万人に薦められるとは言い難いけど、
とても良い作品だと思います。

大きな盛り上がりがあるわけでもなく
画面が華やかでもなく
メジャーな熱い作品ではないけれども、

この作者独特の淡々とした、
しかし厭世的では無い
そんなキャラクター達の小さな世界は心に残る。

私的には、説明しすぎないキャラクターへの描き込み具合が
絶妙に感じましたが
この辺は人それぞれの感じ方ですね。

行間を残すと言うか
想像の余地が心地よいと思います。


読み終わった後
こういう作品がちゃんと雑誌に掲載されるのは
イイコトだなぁと思いました。

1
2014年02月17日

Posted by ブクログ

これまた傑作の1冊。

だれにだって楽園はあるもの!!

知らず知らずに誰かの救いや幸せになる!

目にみえない繋がりを信じたいね!


ぜひ〜

0
2024年04月20日

ネタバレ 購入済み

余韻がすごい

面白かったがおばあちゃん退場シーンだけよく分からず…
多分亡くなったんだろうと思うのだが
おばあちゃんがどうなったか、現実でももう少し書いて欲しかった。

#ほのぼの #癒やされる #切ない

0
2021年08月24日

Posted by ブクログ

老婆は川辺で夢を見る。4姉妹が優雅に暮らす幻想の世界とどぶがわ近くのアパートで独居する現実の間をゆらゆらと揺れながら、日々は流れて行きます。どぶがわの近くには様々な人が住み、それぞれの生活があり、楽しいことも嫌なこともあるけど…。静謐で優しい物語です。

0
2015年03月29日

Posted by ブクログ

恋愛ものとかがどうしても好きなので、作品紹介読んでもあんまり惹かれてなかったんだけど、あまりにも勧められてたので読んだ。
結果、良かった。
フォアグラは無理だけど、無償にアボカド欲しくなって買ってしまったよ。

0
2014年10月27日

Posted by ブクログ

池辺葵先生の作品は、優しい気持ちでいつもいっぱいで、普通の人達の普通の出来事が描かれていて本当に好きです。大切にします。

0
2013年11月30日

購入済み

ほどよい読後感

繕い断つ人が好きでチェックはしていたんだけど、
試し読みで孤独な老人の悲しい話かと思い敬遠していました。
読んでみると淡々としていて暖かみのある優しいお話でした。

0
2020年02月07日

Posted by ブクログ

ある町のどぶ川沿いのアパートに住む老女の空想と現実、そして、その川沿いを行きかう人々との群像劇。老女は通る人が顔をそむけたくなるようなどぶ川沿いにある広場で一日を過ごす。孤独で切なくて苦しいのに、最後、一筋の明かりがみえたような気がした。フォアグラの話とアパートの住人の交流と、男の子たちが良かった。

0
2013年11月20日

Posted by ブクログ

老婆の高貴なる妄想と何の関係もないけど微妙な繋がりのある人々。
どぶ川でも妄想に浸れる時間があるのは幸せな事。

0
2015年10月30日

Posted by ブクログ

池辺さんの作品はとても好きなのだけれど、これはタイトルでしばらく敬遠していた。子供の頃にかいでから、もう随分経ったのに、あの匂いが喚起されて。
でも、全然暗かったり湿った話ではなかった。静かに絡んだり付かず離れずでいたりする暮らしの話。


論理的な世界にある希望は、他人と言葉で理解し合えることだと思う。
そうでない世界の夢は、誰にも、もしかしたら自分にすら計れない、孤独の彩りの中に。

0
2015年05月04日

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 フォアグラ! てかんじのおはなし。笑 フォアグラ、そこまですきではないけれど、ちょっと食べたくなっちゃった。

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2014年03月24日

Posted by ブクログ

悪臭を放つドブ川を舞台にした連作集。ドブ川のほとりで老女が耽る夢想とドブ川の周辺に住む人々の生活とが交錯しながら、毎話主人公が交代し群像劇の形で物語が織りなされる。老女の夢想は貴族的できらびやかなものであり、ドブ川の悪臭とはかけ離れているが、そうであるからこそ人々の孤独や不安との対比となる。そして、その夢想はもまた、完璧なものではなく、老女自身の限界をも示している。
ひとつ物足りなかったのは、物語の狂言回したる老女自身の背景がほとんど見えてこなかったこと。安アパートに住み、洗濯掃除をし、そのあとはひねもす夢想に耽る以上のものがない。明示的に老女の背景を描くような野暮は不要だが、そうしたものをうっすらとでも感じられる演出であれば、もう少し深みが増したのに、と思う。

0
2013年12月22日

Posted by ブクログ

どぶ川のほとりのベンチにいつも座っている老女と、折々に彼女に関わる人たちのゆるやかなつながりを描く。現代日本が舞台であるが、ヨーロッパの貴族のような姉妹のシーケンスが合間に挟み込まれる。これは老女の空想世界なのか、あるいは過去にあったことかもしれない(おそらく前者だろう)。80年代の「ニューウェーブ」少女漫画を思い出すスタイル。

0
2013年11月25日

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