突然の不幸が次々と家族を襲うさなか、実家の押入れから発見された「ユリゴコロ」というタイトルの奇妙なノート。そこに書かれた「殺人鬼の半生」は一体誰のものなのか。それが判明する時、彼の現実も動き出す…!
「ユリゴコロ」というノートに綴られた殺人の記憶は、目を覆いたくなるほど残酷で、全くもって共感しがたい。しかしその柔らかな文体からは、どことなく人間に対する不器用な愛情らしきものを感じてしまう。
作品自体が小説であるのに、作中でも「書かれていることが真実だという直観から逃れらなかった」と述べられているように、このノートの内容はフィクションの類ではなく、本物の手記なのでは?と思えてしまう。その表現力は圧巻。
後味の悪いミステリー「イヤミス」に挙げられる作品だが、不思議と人間の暖かさが余韻に残る作品です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
気味が悪いし、内容が暗かったけど、本当に読んでよかった。
とても素敵な作品だった。こういう風な小説はあまり読んだことがなく、目新しく感じた。
解説に「物語のゴールにあるのが真相解明ではなく、それを知った後の人間たちの姿、その行動にある。登場人物の心の闇が深いからこそ、容赦ない描写があるからこそ、見えてくる一瞬のぬくもりが、一瞬の光の眩しさが、より実感させられる」と書いてあり、まさにその通りだと感じた。
最後、大泣きしてしまったため、明日目が腫れるかもしれない。泣かせようとしてくる作品ではなく、自然と涙が溢れてしまう作品だった。
とても重くて、まだ私には理解できないところもあった。真っ暗な世界から、明るい世界に行けるわけではない、でも登場人物たちにとっての最良の選択の末の結末がこれだとすると、本当に深い話で心が揺さぶられる。とても考えさせられる。
重い内容だが、スイスイ読めるので、ぜひ読んでほしい。映画にしたら、ありきたりじゃん?とか思われるかもしれないけど、本だからこそ味わえる考えさせられる感じが好き。
この表紙の絵に、なんかすごく惹かれる。この話にあってる。すごい作品だった。言葉にできないくらい。
Posted by ブクログ
父親の部屋から、殺人に取り憑かれたような内容の手記を見つけた男の物語
以下、公式のあらすじ
-----------------------
ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題されたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
この一家の過去にいったい何があったのか?絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!
まほかるブームを生んだ超話題作、ついに文庫化!
-----------------------
会員制のドッグカフェを経営している亮介
恋人である千絵は2か月前に行き先も告げずにいなくなる
また、父の癌が発覚して余命宣告を受けたが、父よりも先に母が交通事故で亡くなった
そんな中、父の部屋の整理をしていたら、母の名前の書かれた髪束と4冊のノートを見つける
そのノートはとある人の手記で、幼い頃からの通院履歴や、溺れる同級生を見殺しにしたり、わざと男の子を重いものの下敷きにする事故を起こした事などが書かれてある
果たして、ノートの内容は父の創作なのか?、本物の手記なのか?
事実だとしたら誰の手記なのか?
亮介は子供の頃に長期入院し、久しぶりに帰ってきたときに母が別人になっていたような気がした事を思い出す
母が別人に成り代わったのではないかという疑惑、千絵の行方、家族の過去に何があったのか?
サスペンス、ミステリ、サイコホラーを思わせる展開の結末は?!
序盤から中盤にかけてはちょっと重い気持ちになって読み進めるのが辛かった
亮介と同様、この手記が本当だとしたら?と考えるととても恐ろしいものに思えてきたので……
なので、父親から伝えられた過去の出来事も結構辛く
でも、さらなる真実が語られると、愛のヒューマンドラマになる不思議
しかし、これってこのまま終わっていいものなのか疑問
物語のテンプレートとして、二人の乗った車が無事旅行できるとは思えない
殺人犯が罪を償うことなく最終的には幸せになるというのはどうも何か引っかかりを覚える
この後、事故にあったり、はたまた海や崖に転落してしまう結末もありえるのでは?と思ってしまった
ま、その辺は本文では仄めかしさえされていないけど、想像するのは読者の自由だ
Posted by ブクログ
圧倒的に不気味な世界観の手記。
個人的にはこの手記ブロックだけでも一作品分の面白さがあった。
サイコパスの心理は本来サイコパスにしか理解出来ないはずだと思うが、そういうサイコパスの思考をサイコパス以外にも腑に落ちるよう絶妙なさじ加減で描かれた心理描写。本当に秀逸で引き込まれた。
(逆に言えば、その文章を理解できたらそれはサイコパスの心理をきちんと描けていない、もしくは実は自分もサイコパスの性質があるという2択であるかと思うが)
それと、物語の中にいわゆるフツーの人間がほぼいないという点も、とにかくカオスで気持ち悪くて、良かった。フツーの人間は那智くんただ1人。超脇役だけど意外と彼の存在が緊張と緩和という意味ではいい働きをしていたと思う。
思ってたのと全く違う読後感、一冊の中でこの感情の移り変わり方はある意味衝撃だった。
Posted by ブクログ
途中までは星4だったけど最後で星5になった。すごく面白かったなあ。
殺人の描写がリアルでちょっと怖かったけど、手記を誰が書いたのかの謎解きとか、物語の進み方がわかりやすかった。
細谷さんが実は産みの母だったところの衝撃がものすごかった。
感動すらありました。別の作品も読んでみたい
ホラーでミステリでスプラッタ
●ユリゴコロという不思議なタイトルからして不穏当なホラー調ミステリである。先の見えない展開に翻弄されつつ、愛の不可解さや勁さの描写に心揺さぶられ、ラストで驚愕する。●凄まじいのはリスカ少女のシーンだ。余りにもスプラッタで読むに耐えられず、斜めに読み飛ばしたが、筆力に圧倒されてまともに読むことができなかったという読書体験は生涯初である。●また、出産を契機に心境が一変するシーンは、女性作家にしか描けそうもなく、男性読者の自分には唸るほかなかった。壮絶な怪作である。
Posted by ブクログ
突然の殺人の告白。そこから一気に物語にのめり込んだ。
・
・
人が死ぬところを見ることを楽しむ、のめり込む。そんな人間の心情が線密に描かれていて、背後に感じるような怖さがあった。それと同時に物語へと自然に入り込むことができた。
・
・
幾つものヒントが物語の中に散りばめられていて、「あれがそういうことだったのかー」と、最後まで味わうことができた。
・
・
今も過去もずっと絶えない愛が詰まりに詰まっていた。最後まで見ないとわからない、最後まで辿り着きたい。そんな、最高の恋愛ミステリー。
Posted by ブクログ
グロいわけでもえげつないわけでもないけど
どろりとしてねっとりまとわりつくような重みを纏った作品。
どんでん返しもあり、
ついつい読む手がとまらない。
暗くて重い作品だけど、
読み終えるとほんのり温かい希望がじんわり。
心にずっしりくる一冊。
愛のかたち
歪んで、割れて、裂けて、それでもなお愛おしい。
そんな夫婦の話。
序盤の手記の不気味さは主人公同様、待つことができないくらい続きを読みたくなりました。
強烈に惹かれ合う罪、自ら乞う罰、巡り合ってしまったものは仕方がない。
読み終わったあとにもう一度読みたくなります。
Posted by ブクログ
許されてはならない気持ち悪さと、
やり場のないそれぞれの愛みたいなものも感じられるストーリー
手記部分も語り部分もさらさらと読み進められた
洋平の存在が癒しだったように思う
Posted by ブクログ
めっちゃ面白かった!イヤミス読むと結末が気になって手が取らないんだよね。今まで読んだイヤミスって全部女性視点だったから男性視点だったのが結構新鮮だった。殺人を犯したことを記録したノートから始まって、登場人物も多くはないのに、どう転ぶかわからないドキドキもあって、結末もちょっと切なくて。今まで読んだイヤミスの中だと面白さは個人的に1番だった。
Posted by ブクログ
ラストは溢れる涙が止まらなかった。
母を癌で亡くし二人の子を持つ私には、辛すぎるミステリだった。
手記の書き手には怒りにも似た感情が込み上げるのに、なぜかシンパシーも覚える。
ラストの繋がりを薄々感じながらそれが真実であるとこんなにも泣けるのかと。
愛とは何か、この作品を読んで分かるわけではない。
しかし、愛とはこんな形もあると知ることはできるだろう。
あと、これは蛇足だが、主人公の犬に対する描写に愛情が感じられないのは、やはり何か設定の伏線を感じたのだが考えすぎなのかな。
数個ほど過激な表現があったため、主人公も母と同じ性質で実は行動しているのかと思ったぐらいだけど、そこの回収はなかったので、星一つマイナスしました。
Posted by ブクログ
細谷さん何となく予想つきましたが、感動しました。
反面殺された人達は‥ってなりましたが、
全体的に面白くて、特に手記の内容は引き込まれました。
何か色々な感情を引き出された小説でした。
Posted by ブクログ
イヤミスでのオススメで検索1位に上がってたので、読んでみた。イヤミスの概念はイマイチ分からないが、イヤミスとは言えないのでは。
イヤな気持ちどころか、なんか爽やかささえ感じるラストだった。
そして、猟奇殺人する人の気持ちって案外こういうものなのかも、と、どこか納得できた。
久々のミステリー?小説、なかなか面白かった。
Posted by ブクログ
ユリゴコロ=よりどころ
細谷さん=実母=日記書いてる人
おもしろい
殺人肯定否定とかを抜きにして、
最後のどんでん返し最高
人形→殺人→アナタ(愛)→息子
よりどころを見つけてくれてよかった
Posted by ブクログ
読み終わって思う。主人公はこのノートを見つけたこと、全てを知ってしまったことが本当に良かったことだったんだろうか。全てを知らずにいたとして、それはそれで別の良い形だったのではないかと思う。
Posted by ブクログ
出だしから、主人公の生い立ちというか置かれた状況の不幸感がすごい。
そこへきて老い先短い父親の部屋から、母の毛髪と共に(!)見付かった手記の内容が衝撃的で、これは父の手記なのか、母の手記なのか、どちらにしろとんでもないことが書いてある。
知るはずのなかった親のルーツ、それは現在の自分の不幸のルーツなのか。。。
この作品の最大の魅力は、父に隠れて手記を読み進める主人公と、「共にその手記を読んでいく」読者である自分の鼓動がリンクする快感だ。
緊張感のある読書体験!
2016.5.11
Posted by ブクログ
母親も亡くなり、父親もガンの末期の押し入れの
中で見つかった人を殺したという告白文
自分の子どもの頃に母親に抱いた違和感を
思い出した長男の亮平 仲のいい次男と
従兄弟になると気づく
そして自分の恋人を巡るトラブルに
実の母親が手助けしてくれたことの
衝撃の結末
重いストーリーなのに不思議と
思いやりを感じた不思議な作品
Posted by ブクログ
何年も前に読んだのに内容全然覚えてなくて新鮮な気持ちで読めました。
いや〜母の日記怖かった、、ゾクゾクしました。
ラストは「あーっ!!?やられた!!」感。
ユリゴコロ読んだ方は話の途中から気づいてそうですが、私はラストでそういうことかと納得( ˙⃘⍘˙⃘ )
Posted by ブクログ
本当に読めば読むほど重くて
心まで持ってかれる感じで疲れてたけど、
わぁ〜そういうことか、、ってわかってからの
最後は本当に素晴らしかったな〜
重すぎて何度も挫折しかけたけど
最後まで読めて良かった!
Posted by ブクログ
確かに連続殺人鬼の独白なんだけど
最後にこんな気持ちになるなんて思わなかった。
展開が読めてしまうところもあったけど、人って出会いで変わるんだなぁと。
命の最期に一番大切な人と過ごす、そのことを受け入れられる主人公兄弟が素敵だった。
異常だけど、愛が溢れてる、、?
グロテスクな表現があるので注意
家族について考えさせられる一冊
4冊のノートに記されていた全てに、驚きを隠せませんでした。自分が亮介の立場だったら、と考えると、怒りと悲しみでいっぱいになっていると思います。
ノートの内容を中心に物語が展開されていて、読むスピードを抑えることができませんでした。
Posted by ブクログ
地の文に他者の文章が挟まれる構成って言うのは、一定のリズムが出て読みやすいですね。300ページ超の文庫本だが、そんなテンポのよさもあって3日で読破。
弟の洋平も察していたように、母親にまつわる謎自体は途中から想像がついてしまうのだが、謎解きを楽しむと言うより、作者が作り上げたこの状況を楽しむってタイプの物語だと思う。
「あの子、夫のところへ戻ったようです」って千絵ちゃん既婚話は予想するより早く呆気なく種明かしされちゃったけどね。
酷
ひどく残酷で,おそろしい話のはずなのに,なぜかラストは綺麗に感じてしまう。
細谷さんの,無償の愛を超えた,残酷なまでの愛情。
人を殺してでも,守りたいもの。
おそろしい「ユリゴコロ」は,歪んではいるものの,唯一無二の「オヤゴコロ」に生まれ変わったのかもしれない。
Posted by ブクログ
大藪春彦賞受賞、本屋大賞ノミネート作品。
殺人鬼が出てくるホラーミステリーなんだけと、最後は泣ける小説。そして社会から落ちこぼれてしまった人間の再生物語でもある。
この作品は人間の愛憎もサブテーマだと思う。昔から小説の世界は、コトの大小にかかわらず愛憎なくして成立しえない。例えば、
★人間は一生、人間の愛憎の中で苦しまなければならぬものです。のがれ出る事は出来ません。忍んで、努力を積むだけです。…太宰治「竹青」
★善悪は好悪を超越しない、好悪は即ち善悪である、愛憎は即ち善悪である…芥川龍之介「侏儒の言葉」
ラスト近くに出てくる主人公の弟の言葉「(母親が書いた驚愕な内容の手記の感想を聞かれ)家族の愛の歴史、憎しみはどこにもない」が作者が本当に描きたかったことなのだろう。
とはいえ、細谷さんのキャラ造形、年齢的にあってる?
Posted by ブクログ
昔コミカライズの冒頭だけ読んで、気になってたので手に取った本作。
序盤はミステリというかホラー感が強くゾクゾクした。途中のリストカットの描写がリアルで恐ろしかった。
最後の展開は予想していなかったので良かった!
全体的な感想としては、短めであっさりと読めると感じた。
Posted by ブクログ
2024/2/13
先が気になってどんどん読んだ。
で感想が表現しづらくて放置してる間にぼんやりした印象も消えてしまったな。
なんか遠すぎて。
感情移入できる人がいないとこうなるんだよね。
結果どうなったのかが知りたかった。
Posted by ブクログ
前半部分の手記はかなりしんどかった
グロいし不気味だし読むのがしんどかった
途中でやめたくなったけど裏表紙の「絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラスト」を信じて読んだ
最後の最後314ページまでわからなかった!!!!!
最後は細谷さんの愛に泣きそうになった
大量殺人鬼←でもこんなに心入れ替えられるもんなの?
別人になりすぎててびびる
不憫な父親だけど幸せな最期になったのかな、、、
ハッピーエンド、とは言っちゃいけないけど最初の気持ち悪い感じはなくなった!
なんと松坂桃李の映画に!観たい!!!
Posted by ブクログ
このままヌルッと終わるのか…?と思わせてからの、最後の最後にカラッと終わらせてくれてスッキリ。「私の、かわいい、亮平」で涙が止まらなかった。
Posted by ブクログ
体の弱った父の住む実家で亮介が見つけた謎の手記。
そこに書かれている凄惨な内容と苦しい歪な愛の話し。
一方で亮介の婚約者も失踪し……
物語りの前半は手記を中心に書かれており、この内容が読んでてしんどかったです。何人も人が死ぬシーンが記されている連続殺人犯の手記。
その手記の主が心を満たすものがタイトルにある「ユリゴコロ」、心のよりどころみたいな意味合いなのかなと。このユリゴコロがどう変化していったのかが、この物語りのラストへ繋がる部分でした。
亮介が手記を読み終えたあたりから、物語りの雰囲気はガラッと変わった気がします。
家族の形とは?愛とは何なのか?
しんどい前半を読み終えると、この物語りでのその答えが書かれていました。
わたし的には、あまりに前半が歪んでいたために、ラストの展開が上手く飲み込めませんでした。
それでも衝撃の結末と愛の形を書き切った内容は、惹き込まれる面白さがありました。
ユリゴコロ
殺意も愛も
よりどころ
愛満ち足れば
人また変わる
少女漫画なら名作かもしれません
映画のPR「あなたの優しさには容赦がありません」に誘われて原作を読んでみました。
作者のご都合主義には容赦がありませんでした。
少女漫画なら名作なのかもしれませんね。