【感想・ネタバレ】夜の床屋のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

短編集の中でも、いろんな作風が楽しめるので
ぜひ最後まで読んでほしい!
私は初めの収録作『夜の床屋』を読んで、
ああ、こんな感じかあと納得(?)してしまい
積むこと早5年。
久しぶりに読み切って面白くてびっくりしました!
早く読めばよかった…!!!と後悔してます。

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2024年02月19日

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ネタバレ

大どんでん返しだった!日常ミステリ系の短編集かと思ったら、全て繋がってまったく違う顔を見せる作品だった…。文体が読みやすくスラスラ読めてしまうし、はじめのうちは日常チックな話ですとんと入ってくる。後半の大きな謎のスケールに驚いた。とてもおもしろかった。

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2023年01月22日

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ネタバレ

それぞれ別々のお話かと思ったら、人物は少しずつ繋がっていて、最後にはひとつの大きな物語になる不思議な物語だった。ミステリーなのか、不思議現象なのか…読みながら少し不気味さを感じた。個人的には『空飛ぶ絨毯』が面白かった。淡々と待ち合わせ場所に現れる彼がこわい。

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2022年08月07日

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えー!えー!という終わりでした!

佐倉くん、ミステリアスな経験ばかりしていて、何だかちょっとうらやましくもあります。
葡萄荘から、そんな風につながってくるとは思いもよらず、最後まで読んで良かったな、と思いました。

本当に最後が衝撃的でしたー
ミラージュ、どんな香りだったんでしょうね?
気になって仕方ない。

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2018年01月29日

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大学生の雰囲気が特に好きだ。どうしても眠たくなる講義の話は、自分以外にもそう思ってる人がいてうれしかった@(・●・)@
空飛ぶ絨毯でうひゃーとなって、最後にまたまたどへぇーとなりました!
続編なんかでませんかね、、ぜひ読んでみたいです!!!

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2017年06月27日

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ネタバレ

ミステリーの連作短編集。最初の3編ほどで、謎解きに特化するあまり、肝心な何かが抜けてるような展開を読まされる。俺程度の読者でも分かるので、ミステリー慣れしている読者なら、その違和感が何か伏線になっているだろうと予感できる。

その予感が「葡萄荘~」以降で結実する、まさかの作中作でのデビュー作品利用。伏線回収で見えてきた世界、余韻を持って読み終わった時の、なんともいえない感覚。

こういう構成の妙で読ませるミステリー、上手くハマると気持ちよいねぇ。

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2022年07月25日

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日常系の話しだとぼんやり読んでいたら、いきなりファンタジーともいえる展開に。
そして序盤と繋がるとは…
完全にすっきりとまでは行かないけど、答え合わせをしてもらって、ようやくある程度理解できました。

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2022年05月29日

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ネタバレ

男子大学生・佐倉が、友人と旅先でちょっとした事件に遭遇する軽めの短篇ミステリーかと思いきや、先を読み進めるごとに怪奇幻想の要素が顔を出し、エピローグまで読むと印象がすっかり変貌する小説。けっきょく真実はどうだったのか。少し余韻を残すような終わり方が好みです。あと猫の存在。他愛ないワンシーンですが、植田くんに降りかかった猫好きならではのプチ災難に、いたく心をくすぐられました。その後どうしたのやら。

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2020年09月18日

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ネタバレ

これは、途中で大化けする物語。
冒険小説ではないですが、期待以上にわくわくさせて貰いました。連作短編小説ということもあり、さらっと軽く読めそうと手に取った一冊です。

男子学生が二人旅の途中で山道に迷いちょっと不思議な体験をした話から始まり、どこかほのぼのとした空気が続きます。
ミステリーというよりは現実にほど近いファンタジーでしょうか。
実は、最初は油断して…これはもう良いかな…と思ってしまったり。

それでもどうにかページめくりを止めずに中盤に差し掛かると、「これ何の本読んでたっけ?」と急に面白くなってきます。
気づけば、目覚めた人魚?体臭?逃げる美術商の男?と物語の中から新たな物語へと連れ出されているのです。

どうぞ気楽に手に取り、大いに驚かされてください。

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2019年06月13日

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怪奇な事件を大学生の佐倉青年が解き明かす短編作。

・夜の床屋
・空飛ぶ絨毯
・ドッペルゲンガーを探しにいこう
・葡萄荘のミラージュ?
・葡萄荘のミラージュ?
・『眠り姫』を売る男
・エピローグ

山道で遭難しかけ、無人駅にたどり着いた大学生・佐倉と高瀬は、深夜に営業する床屋を見つけ話を聞きに行く。過疎の村に残った床屋が開店している驚きの理由とは?

ほかにも佐倉たちの周りで起きる怪奇な現象を冷静沈着に解決していくが。。。


最後は現実を飛び越えた発想で、少し変わった読後感を味わった。
筆力、発想力のある作家さんで期待大!

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2018年11月18日

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慣れない山道に迷い、無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。
だが深夜、高瀬は駅前の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。
好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると…。
第4回ミステリーズ!新人賞受賞作の「夜の床屋」をはじめ、奇妙な事件に予想外の結末が待ち受ける全7編を収録。
新鋭による不可思議でチャーミングな連作短篇集。

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2018年05月24日

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何と言えばよいのでしょう。3時間、私を没頭させて、異世界へ連れて行ってくれました。後味も悪くないです。

もともとミステリーは一種のファンタジーだと思っている口です。読者が大喜びするようなトリックとか謎って、非現実的な気がするからです。その点、この短編集は、ファンタジーに寄せることで、違和感を少なくしているというか・・・

この主人公が経験する数々の不思議な小事件は、今ひとつ掘り下げ方が足りない感があるのですが、主人公自身の情報も、ほとんど無くて、語り手について読者は大学生で、海辺の街から大学に通うために東京に出てきて、下宿していることくらいしかわかりません。それは、ミステリーにはよくあるのかもしれないけれど、短編集を繋げて一冊の本通しての物語を引っ張るには、少々弱いような気がしました。というか、その主人公自身を後半で掘り下げるために、敢えて前半は隠しているのかと思ったら、最後まで狂言回し的役割でした。最後もなんかこじつけっぽいかな~

雰囲気は好きなので、今後に期待です。

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2018年04月18日

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落ち着いた本格ミステリー風の小編からスタートし、中盤の「葡萄荘のミラージュ」以降はファンタジー的な要素も加わってくる。主人公を固定しつつ変化に富む各編はそれぞれがそれなりのレベルにあるので、楽しみながら読み終えられそうと思いきや、
最後にこんな仕掛けを入れてくるとは。。

伊坂幸太郎氏が魅せる見事な伏線回収には及ばないものの、壮大な構想に挑む姿勢に今後への期待が膨らみます。

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2017年10月15日

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連作短編集。
ひとつひとつが不思議なミステリーで予想外の結末。
すべてを読み終えたとき、思わず「えっ?」と声に出してしまったくらい不可解な気分になり、最初から読み返したくなります。

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2017年07月15日

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軽く読めるけど、適度な驚きもあって。普通のミステリーかと思いきや、なんだかいきなりファンタジーだったり。でも、じつは…な感じの幕引きで、意外と満足度高かったです。

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2017年06月27日

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タイトルと表紙の雰囲気、あらすじには「チャーミングな連作短編集」とあったので
最初の2つを読んだときは、なんか思ってたのと違うかも…と感じます。

そこからガラッと雰囲気が変わって、日常の謎っぽい話、後半はファンタジー。
葡萄荘〜眠り姫は連作短編だけど、他はメインの人物が同じだけじゃないの?と思いながら
エピローグを読むと、びっくり。そんな感じです。

いろんなパターンが楽しめました。

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2024年05月17日

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皆さんの評価と感想にある通り、本格ミステリーではない。ファンタジー要素込みの連作短編集。
好き嫌いは分かれると思います。

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2023年07月08日

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何やこのタイトル?
「夜の床屋」って…
何か気になる…内容分かってないけど…
ハイ!購入!即読書!^^;
何か「世にも奇妙な物語」的なの想像してたけど、結構、ロジカルな謎解き。
無理矢理感は、あるけど…
でも、どんな理由があっても、普通夜中に散髪屋やらんで〜それが、異空間みたいな感じでないと。こんなにキッチリと説明されると、何か…
他のも結構、飛躍してんちゃう?って感じのが多いかな?の短編集7編。
(エピローグを含む)
後半は、ファンタジーっぽいけど、やっぱり飛躍してんちゃう?
エピローグは、そこまで含めてしまうのか…やっぱり飛躍してんちゃう?
私の頭が固いとも言う…(−_−;)

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2022年02月01日

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前半3つはよくありそうな学生ミステリーって感じでしたが、後半「葡萄荘のミラージュ」から一気に持ってかれました。読み易いのもあったのか
どんどん引き込まれた感じ。
そして最後まで読めばわかりますがつながってた〜ってなる一冊。現代の子供には読み易いのかなって。
普通によかったと思います。

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2021年01月13日

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風変わりな日常の謎を解き明かす連作短編集。謎めいた発端と一見無関係に思える断片から導かれる意想外の解決。ロジックというより、発想の跳躍によって全体像ががらりと変わるのが楽しい。ただし、ラストの締めくくりは賛否が分かれそう。個人的には表題作が好きでした。

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2020年12月17日

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ネタバレ

無人駅の商店街で夜中に営業する理髪店の秘密
同級生の寝室から消えた絨毯の謎
小学生男子に依頼されたドッペルゲンガーの正体とは
猫が集まる古い洋館の秘宝の行方は

無人駅前の商店街、真夜中に煌々と営業する理髪店。
海から霧が立ちのぼる街。
閑散とした廃工場。
凍てつく古い洋館。
不思議な空間に迷い込んだような、それでいてミステリー?なのに,ラストはこれ!?
パーカーに担がれてるかもと思いつつ、クイン氏の登場に温度が一気に下がるような。
強引なんじゃ、と感じるところもあったけど、本を閉じた時の感想は、ダンゼン楽しかった!

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2020年11月22日

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深夜に開く床屋の謎。寝ているうちに部屋はそのままで絨毯だけが消えた謎。と前半は大学生佐倉の周りで起きた日常の謎を解く短篇集と思わせておいて後半「葡萄荘のミラージュ」からはファンタジーな曖昧さに謎が溶け込んでいく。雰囲気は魅力充分だが各短編の謎の解明が唐突でそれ何を根拠にした?と感じてしまいもやもや。それは最終的に皆霧の中から仄かに浮かんで来る形を取るのが醍醐味だと思うんだけど上手く繋がっていない印象。あとタイトル、文庫化で変わったそうだけどマイナスになっている気がする。

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2020年09月05日

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慣れない山道に迷い、無人駅での一泊を余儀なくされた大学生の佐倉と高瀬。だが深夜、高瀬は駅前の理髪店に明かりがともっていることに気がつく。好奇心に駆られた高瀬が、佐倉の制止も聞かず店の扉を開けると…。大学生の主人公の身の回りに起こる色々な出来事。短編集ですが伏線が・・気になる人は調べずに一気読みを薦めます。3.5くらい付けたかったけど無かったので3にしました。

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2020年08月31日

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「夜の床屋」(第4回ミステリーズ!新人賞受賞作)ほか、連作短編集7編。
「インディアン・サマー騒動記」改題。

無人駅で野宿することになった大学生が、寂れた町の潰れたと思しき床屋が深夜に営業しているのを目撃し好奇心に駆られるところから始まる短編。
2作目も1作目に出てきた登場人物がリンクしている程度の連作かと思いきや、後半の作中作までこんな風に繋がっていたのかと面白かった。

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2020年04月09日

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学生探偵ものはあまり好みではないが、あらすじに惹かれて手に取ってみた。所謂【日常の謎】系ミステリーだとばかり思っていたので、中盤から終盤にかけての展開は素直に驚き。流石にこのタイトルからこの内容は予測出来ない。異なる世界観の作品同士なのに随分上手い具合に繋がるものだなと感心はするけれど、キャラクターに対する愛着が希薄な印象も受ける。飛躍する推理はミステリーファンの心をくすぐるのかもしれないが、どこか机上の空論に思えてやはり苦手。こればかりは好みの問題なので致し方ない。作中掌編扱いの処女作品が一番楽しめた。

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2019年11月10日

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ネタバレ

2019/1/12
後半よくわからなくなった。
前半の日常の謎系の方がいいなぁ。
私ファンタジー苦手なんだよね。

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2019年01月13日

Posted by ブクログ

久しぶりの再読。
ミステリーの醍醐味は一見関係ないように見える物事が実は意外なところで繋がっていたり、ありえないようなことがサラリと行われていたり、それが後に分かって驚くと同時に腑に落ちる快感が味わえることだと個人的には思っている。
ただこの『ありえない』または意外性というものと、『そんなバカな』『それはやり過ぎだろう』というボーダーラインを越えないように表現するかというのは、これはもう作家さんの腕によると思う。
この作品も扱いによってはこのやりすぎ感、荒唐無稽な感じを『ありえないけれど納得出来る』というところに収めることが出来たのではないかと思うのだけど、読み終えるとやっぱり荒唐無稽な感じの印象が強く残ってしまった。
特にこれまでの色んな事件を繋げるところも強引な印象だったし、ちょっと残念な感じ。
ただ様々な事件に出会う人間は同じでも、謎解きをするのは毎回違う人間というのは面白い趣向だなと思った。

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2018年06月13日

Posted by ブクログ

ほっこりするかと思えばギクッとして、
奇妙だと思えばほっこりして、
いろいろな短編が味わえる…と思ってたら、
小説内小説でいきなり外国が舞台になって?
と思ってたら、すべてがいきなり繋がって!!?
素晴らしい構成力に脱帽でした。

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2018年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙とあらすじを読んで購入しましたが、予想と全く違う本で驚いた。シリアス、ミステリー、ファンタジー。まさか人魚の話が最後に出てきて不可解に思っていたことをそこに帰結させるとは絨毯とドッペルゲンガーの話の時はつまらなかったけど、葡萄荘で一気に盛り上げた。。真相はやぶの中、て感じでなんかすっきりしないけど、悪くはなかったかなと。

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2017年11月19日

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ネタバレ

 沢村浩輔のデビュー作を含む短編集。大学生と佐倉と高瀬の二人が探偵役として活躍する7つの短編からなる短編集だが,エピローグで7つの作品の全てに伏線を散らばめていた意外な真相が明かになるという仕掛けが取り込まれている。
 個別の作品の所感は以下のとおり

夜の床屋
 表題作。佐倉と高瀬が晩秋の山中で道に迷ったところから始まる。ようやく見つけた無人駅で夜を明かそうと待合室で休んでいると,シャッターをおろしていた床屋が,夜の11時頃から営業を始めている。店の主人に,こんな時間から店を開けている理由を聞いたところ,既に店は閉めているが,常連のために,予約がある時間だけ店を開けてるという。翌日,目が覚めてから冷静に考えると,店の主人の説明と店の様子に矛盾を感じる。記者にその話をすると,店の主人と店員は,誘拐犯人だったという真相が分かる。謎は非常に魅力的だが,真相はやや平凡。店員の女性がかなり強めの香水をしていたことが,全体を通した謎の伏線になっている。

空飛ぶ絨毯
 佐倉は,イタリアに留学することになった友人,八木美紀から2か月以上前の体験について聞く。彼女の家に泥棒が入り,絨毯だけを持って行ったというのだ。更に,彼女が小学生のときに霧の濃い夜に会っていた少年の話を聞く。なぜ,泥棒は絨毯だけを盗んだのか。真相は,昔会っていた少年がストーカーみたいになって,八木美紀に危害を加えるために家に忍び込んでいたというもの。後藤という友人がそのことに気付き,不慮の事故でストーカーを殺害してしまい,血痕が残っていた絨毯だけを盗んだというもの。最後のオチは,ストーカーは生きていたというもの。このストーカーが生きていたことや,霧の濃い夜に何かが海から上がってくるという噂が,全体を通じた謎の伏線となっている。

ドッペルゲンガーを捜しにいこう
 佐倉は,小学生の少年からドッペルゲンガー捜しに誘われる。佐倉は小学生の少年達と一緒に,ドッペルゲンガーが潜んでいるという街はずれの廃工場に足を踏み入れる。果たして,ドッペルゲンガー捜しは小学生達のいたずらなのか。それとも何か隠された目的があるのか。真相は,小学生のうち一人が,離婚し,離れて住む父と会いたいからこのような騒ぎを起こしたというもの。廃工場の存在が,全体を通じた謎の伏線となっている。

葡萄荘のミラージュ Ⅰ・Ⅱ
 初代当主の恩人又はその後継者に譲り渡すまで,外観,内装から調度品まで一切手を加えてはならないという遺言が存在する洋館「葡萄荘」にまつわる話。佐倉と高瀬は,友人から葡萄荘の宝捜しに誘われる。しかし,友人は佐倉と高瀬が到着する前に,姿を消し,ヨーロッパへ渡ってしまっていた。佐倉と高瀬は宝捜しに成功し,ミラージュという香水を見つける。友人は,レシピをもってヨーロッパに渡ったのではないかと推理する。
 後日,友人から連絡があり,パーカー博士という人物に会い「眠り姫がなぜ目覚めたのかを教えてください」と伝えてほしいという。佐倉はパーカー博士に会い,質問をした。すると,パーカー博士は,友人から送付された写真に写っていた女性こそ,残された宝だとい言い,「『眠り姫』を売る男」という小説を読むように勧める。
全体を通じた謎のつなぎになる作品。作中作の『眠り姫』を売る男につながる。

『眠り姫』を売る男
 スコットランドの深い森にある監獄の新入り住人である元美術商のクィンは,共同経営者を殺され,自らも殺し屋に命を狙われていたため,自分が共同経営者を殺したと偽り,監獄に逃げ込んできた。やがて,監獄で殺人事件が起こる。被害者は,死に際に,「女がいた」と言い残したが,監獄に女が出入りした形跡はない。謎の女は,警戒厳重な監獄でどのようにして不可能殺人を遂行したのか。真相は,謎の女は人魚であり,霧に紛れて現れ,殺人を行ったというSF・幻想小説的なものである。クィンは,眠っている人魚を売買する美術商だった。

エピローグ
 この小説は人魚が実在する世界の話だった。人魚は,人間と共存するために消臭剤を作り,それをミラージュという香水にして売りにだし,ローランド(=囚人ダン)と手を組んだ。しかし,それをよしとしない人魚によってローランドは海に沈められる。ローランドのため残された財産は「眠り姫」として眠っていた人魚だった。しかし,人魚はなぜ突如目覚めたのか。パーカー博士が出した結論は「おそらく,男の人魚が死に絶えたからだ。男に出会う可能性がないのなら,もう「眠り姫」でいる理由もない」と語る。佐倉の妄想は広がり,パーカー博士は,人魚の肉を食べ,不老状態になったパットでないかと推測する。八木美紀を待ち続けた男も人魚の肉を食べたので,死ななかったのでは…?廃工場は,人魚由来の成分が必要だったので,急に閉鎖されたのでは…?夜の床屋には人魚がいたのでは…?あのとき嗅いだ香水の匂いはミラージュの匂いでは…?佐倉が自分の妄想の真偽を確認するために,ミラージュの匂いを嗅ごうとしたところでエピローグは終わる。

 個々の作品の出來は,中の中程度。謎は魅力的だが真相が平凡。作品全体の雰囲気はよい。全体を通じた謎が人魚の存在というのは意外性十分。しかし,伏線は見事というよりこじつけっぽく感じてしまった。雰囲気がよく,嫌いな作品ではない。★3で。

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2022年09月18日

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