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垂直統合の思考、思考の往復運動。当面の自身のバイブルにすべき本。読み終わった時に目頭が熱くなっていることに気付きました。
これまで悩みながら、試行錯誤しながら、拙くも実践しようとしてた事、考え方に間違いはなく、このまま進んで良いよと、背中を押された気持ちになれた。
そして同時に足りない自分を叱られた気持ちにもなる。知るのではなく考える事を止めてはいけない。
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知能=答えのある問いに対して、早く正しい答えを見出す力
知性=答えのない問いに対して、その問いを、問い続ける能力
答えのない問いに対して、思考停止の割り切りではなく、深く考えた末の腹決めの覚悟で決断することで、知性は深まっていく
7つのレベルの思考を垂直統合できる人間こそがスーパージェネラリストである。アポロの例。
①深い思想→未来を予見するための極めて有効な視点を提供する哲学や法則。(螺旋的発展の例)
②明確なビジョン→企業や市場や社会において、これから何が起こるのか?についての客観的思考であり、対極的洞察である。
③すばらしい志→己一代では成し遂げえぬほどの素晴らしき何かを、次の世代に託する祈りのこと。(人の役に立ちたいのような思いや稼ぎたいなどの野心ではない。もっと具体的。)
④基本的な戦略→戦いを略くこと。無用の戦いをせずに目的を達成すること。山登りの戦略思考ではなく、変化する波の形を瞬時に体で感じ取り、瞬間的に体勢を切り替え、その波にうまく乗りつつ、目的の方向に向かっていくという「波乗りの戦略思考」
⑤具体的な戦術→可能な限り背景情報と周辺情報を入手した上で、その戦術を実行したときのシミュレーションを徹底的に行い、戦術の最善策を検討する。(想像力)戦術の実行後は、その経緯を仔細に振り返り、徹底的な追体験を行い、戦術の改善策、もしくは新たな戦術を検討する。(反省力)
⑥個別の技術→経験ではなく体験に基づくプロフェッショナルの知恵。自分の経験したことを省みて体験にまで落とし込むことが必要。
⑦優れた人間力→心の動き(自分の心、相手の心、集団の心)を感じ取る修行を積む。
まずは自分の心を内観しエゴを見つめる。そうすれば自然と相手や集団の心の動きも見えてくる。
これらの7つのレベルの思考は、ひとりの人間の中に存在する別の人格とも言える。これらの人格が切り替わる瞬間を意識し、必要な時に必要な人格を引き出し、それをメタ的な視点から見ることができればスーパージェネラリストになれる。
自己限定しないことも重要。自分の可能性を狭めることになる。
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何十冊も本を書き上げている筆まめな著者による新書。
63歳という年齢からはおよそ想像できないような熱量で書かれており、終始圧倒された。
これまで、自己啓発本やキャリアデザイン本を読んでも、自分への落とし込みがうまくいかずにモヤモヤしていたが、本書によってそれが見事に晴れた。
体系立てた一つの理論(7つのレベルの「知性」)が提示されていて、非常に勉強になった。
また、本書は自己啓発本やハウツー本にありがちな、「目次を読むだけで内容が8割方わかる」陳腐な代物ではなく、本文を読まなければ意図を理解できないため、通読を強く勧める。
本文から是非熱量と理論を感じていただきたい。
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「成功したと思われる人生を歩んだ後でさえ、もう一つの道がどのような道であったか分からない」
「知恵とは言葉で表せないものであり、経験からしか学べないものである。たくさんの知識を身につけた人物を知性があると思い込む傾向がある」
「さまざまな分野の知識が同居しているだけではダメ。知識を経験に基づく知恵へと棚卸ししろ」
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学歴コンプレックスだった自分が、必死に勉強をして高学歴といわれる大学にすすんだものの、大学や社会に出て、しっくりこなかった。
学歴ではない、地頭のようなものが必要とされることを感じていたが、高学歴が通用しない、その理由がここに書いてあってとても刺さる一冊だった。
知識を詰め込む教育ばかりを選択していて、いつからか答えを早く知りたくなっていたり、見つけたいと思うようになっていた。
考えぬくことをしてこなかったなぁと感じさせられた。それこそが知性であると書いてあり、深く納得した。
また、経験が大切ということ。追体験をすることで、経験を体験にしていくこと。
とても良い本でした!
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情報が溢れて、何を参照にしたら良いのか、どれが本当なのか、焦ればせるほど分からなくなってきている。 そんな中自分の今までの経験から学んだ事があるという事。それをいかに使っていきていくかが重要であり、知性や知恵を育てる鍵となると感じた。 答えのない問題を、問い続ける力は、自分の中にある、その発見はできる本です。
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知性と知能は間逆の言葉。
知能とは答えのある問いに対して、早く正しく答えを見出す能力。
知性とは答えの無い問いに対して、その問いを問い続ける能力。
精神が楽になることを求め、割り切りに流されると深く考えることができなくなり、知性が衰える。
割り切りではなく、腹を決めること。
愛情とは関係を断たぬこと。河合隼雄談。
修行とは、自分の能力を少し超えたレベルの仕事に集中するという時間を定期的に、継続的に、数年間というオーダーで持つ。
知性の本質は知識ではなく、智恵である。
知識は言葉で表せるものであり、書物から学べる。
智恵とは言葉で表せないものであり、経験からしか学べない。
つまり、智恵とは暗黙知。
知識を学んだだけで、智恵を掴んだと錯覚してしまうことは多い。
智恵には知識のように速く、大量に効率よく学ぶ秘訣は存在しない。
知性を磨くためには2つのことが求められる。
1.答えの無い問いを問う力を身につけること。
決して諦めず、割り切りに流されることなく、問い続ける力。
2.知識と智恵の錯覚の病にかからぬこと。
自分が何かを語るとき、書物で学んだ知識か、経験から掴んだ智恵かを自問しながら語る。
ビジョンとは企業や市場や社会において、これから何が起こるのか。
についての客観的思考であり、大局的洞察である。
戦略とは戦いをはぶくこと。
知性はただ世界を解釈する為のものであってはならない。
知性はこの世界を変革する為のものでなければならない。
とても重みのある作品であったが、よく考えること。安易に回答に飛び付いてはならないと感じた。
Posted by ブクログ
"これからの時代を主体的に生きていく全ての人に参考になる本。
思想
ビジョン
志
戦略
戦術
技術
人間力
それぞれを磨くこと。
これらを具体的に我が身の行動として落とし込めた人だけ、前に進める。"
Posted by ブクログ
知識と智恵の錯覚
思想 ビジョン 志 戦略 戦術 技術 人間力
7つのレベルの思考の切り替え、並行、統合
ニューミドルマン
志と野心を混同しない
自分のエゴを見つめる
戦略とは戦いを略くこと
無用の戦いをせず目的を達成する
山登りでなく波乗りの戦略思考
後ろに目がついている イマジネーション
具体的シミュレーション
反省力 そこからの改善策
経験を体験に深める
人格を切り替えながら
答えのない問い
ガンジー
あなたがこの世で見たいと願う変化に、
あなた自身が、なりなさい。
知と知を結びつけ、
知と行を合一させ、
知と情を一つにした人間像
=7つのレベルの知性を垂直統合した人物像
=スーパージェネラリスト
カール・マルクス
我々は、世界を「解釈」するにとどまってはならない。我々は、世界を「変革」する力を身につけなければならない。
「知性」は、これまで世界を解釈してきたにすぎない。大切なのは、それを変革すること。
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なんとなく聞いたことはあったけども、知性と知能の違いについて改めて認識できた。前者は経験から得られ、後者は書物から得られる。社会人になった今ではこの意味がとてもよく分かる気がする。
仕事柄、まさにスーパージェネラリストであることが求められるため、本書はとても刺激になったし、また時間をおいて読み直したいと思う。
Posted by ブクログ
スーパージェネラリストとは、「専門の知性」ではなく「統合の知性」を持った人材
サンタフェインスティテュートには専門家が十分にいる。必要なのはそれらを統合するスーパージェネラリスト。
知能と知性は違う。
知能とは答えのある問いに対して早く正しい答えを見出す能力
知性とは答えのない問いに対してその問いを問い続ける能力
知識とは言葉で表せるものであり書物から学べるもの
智恵とは言葉で表せないものであり経験からしかつかめないもの
知性の本質は知識ではなく智恵である
割り切りと腹決めは違う
割り切りの心の姿勢は心が楽になっている
腹決めの心の姿勢は心が楽になっていない
「愛情とは関係を絶たぬこと(河合隼雄)」
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同僚が絶賛したので、当方も読む。
知性のあり方について考えることはとても大切。
自分は、研究を通じて、学術論文というフォーマットについて、その長所と短所について学んだつもり。
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田坂氏による本質をとらえた知性、志に関する本。
素晴らしいが目を逸らしたくなるような話し。
胸が痛い。
要所要所で著書を紹介頂く点は親切であり、有用に違いないのだが、少し営業チックな印象をうけてしまうことが非常に残念。
メモ
⭐️知性とは答えのない問いに深く向き合う力
・知能は答えのない問いに対して割り切りという行為に走る
⭐️割り切りとは魂の弱さ
・割り切りではなく、腹を決める
⭐️愛情とは関係を断たぬこと 河合隼雄
⭐️自己限定を捨てる。自分が得意だと思っているところに限定しない。自分の中に眠る可能性を開花できないで終わらせない。
・我々は未来の具体的変化を予測することはできない。
しかし未来の大局的変化を予見することはできる。
・普遍的法則の1つ 螺旋的発展の法則。
・弁証法の5法則
螺旋的プロセスによる発展
否定の否定による発展
量から質への転化による発展
対立物の相互浸透による発展
矛盾の止揚による発展
・ビジョンとらこれから何が起こるのかについての客観的思考。見通し、先見性、洞察力
・これから何が起こるのかのビジョンを描き、この未来を目指そうとの意志が明確なものが志
・戦術にはイマジネーションが必要。固有名詞で語るべき世界であり、具体的にシミュレーションを行うことが必要なため。
・心の動きを感じとる修行を積む
自分の心、相手の心、集団の心
自分の心の中のエゴを素直に見つめること。自分が見えているということが知性というものの原点。相手の心を見誤るのは自分の心のエゴが都合の良い解釈や心地いい解釈をするため。
心の動きを感じ取れるからこそ、適切な言葉や行為を行えるようになる。人間力の根本となる知性。
・役割を限定してしまう、すなわち表層意識である能力を肯定すると、深層意識で違う部分を否定してしまう。すなわち自己限定の深層意識を生み出してしまう。多重人格を開花させることで、多彩な才能が開花するようになる。
Posted by ブクログ
定期的に自己啓発本を読むことで、自分を鼓舞してみようかと思って借りた。新書なので読みやすいし。
スーパージェネラリトとは、筆者の言葉では「垂直統合の知性を持った人」=様々なレベルでの思考を切り替えながら並行して進め、それらを瞬時に統合することができる人、ということらしい。そしてその「様々なレベル」を7つに分解して「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」に分けて解説している。
まぁ言わんとしていることはわからないでもないが、忙しい日々の中でつねに7つものレベルを意識することは正直言ってム難しい。大きく、「大きなビジョン」「現実の戦略」「対面する交渉における人間力」ぐらいで考えたほうがうまくいきそうな気がする。
もひとつ使えそうなのは、「反省の技法」これは確かに自分に足りていない。それぞれの経験に対して、心の中で追体験しながら、そこから掴める「智恵」を徹底的に掴むということ。それを意識する必要はあるなと思う。もひとつ「多重人格」の重要性。特に自分は、相手が嫌がってでも交渉することが苦手なので、それを身につけるというか、別の人格としてできるようになる必要性を感じている。
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ネット記事から拾って、読んでみたのだけど、初版2014年なんやね。今の時代にもすごく役立つことばかり、本質的な部分を突いてるから。知識じゃなく、知性と智慧を磨いていこう。
Posted by ブクログ
スーパージェネラリストは、「答えの無い問い」に対して、その問いを問い続け、実行することで、チェンジを実現する人材!と読みました。キャラに寄ると思いますが、私はスッとしました。知識より経験が大事というのも納得。"
Posted by ブクログ
本を読んで知識を身に着けただけで賢くなったと錯覚してはいけない。
また、一分野のスペシャリストになるだけでは問題は解決できないため、幅広い見識を経験が必要。
私なりに端的にまとめると以上の内容が書かれている本です。
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【由来】
・MediaMarkerの「最近の人気メディア」
・さらに、佐藤優。既に登録していたとは気づかなかった。
【期待したもの】
・
※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
・
【ノート】
・
【目次】
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著者の知性についての分析や、分類そして示唆については、なるほど!と共感するポイントが多い。本書を読み終えて感じることは、終盤にも記述があるように実践であると考える。どのように実践すべきかという指針は示されていることから、実践した事柄や人物の実例、その結果どうなったかについての興味も湧いた。
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知性を磨く。これが本書のテーマである。
しかし考えてみると、そもそも知性とは何か?
知性といえば高学歴だが、高学歴にもかかわらず深い知性を感じさせない人物もいる。
知性とは「知能」とは全く別で答えのない問いを問い続けることである。
そんな冒頭から始まる知性を巡る論議が展開される。
下記は自身の覚書
・「知能」は答えのある問題に対して、早く正しい答えを出す能力(割切りたくなる)。「知性」は答えのない問いに対してその問いを問い続ける能力。(腹を括る)
・「知識」とは言葉で表せるものであり、書物から学べるもの。「知恵」とは言葉で表せないものであり、経験からしか学べないもの。知識と知恵の錯覚に陥らないこと。
・良い本は「いかに楽してプロになるか」ではなく「プロになるためにどのような苦労をするか」を語っている。
・必要なのは垂直統合型の知性。7つの知性の必要性。
【思想】
普遍な本質を見抜き、未来を予見する能力
【ビジョン】
これから何が起きるのかを客観的に見る能力
【志】
己だけでは成し遂げられぬ価値あることを次の世代に託す祈り
【戦略】
目的達成のために戦いを省く青写真を考えること。
【戦術】
戦略に基づき「固有名詞」を入れて具現化し、行動の「想像」と「反省」を行うこと。
【技術】
知恵に基づいた技能・技術を磨く。そのためには反省と私淑(師事)が肝要。
【人間力】
自分の心、相手の心、集団の心の動きを感じ取ること。特に自分のエゴを見つめる事。
「失敗の本質」で書かれたことに似たことが書かれてあったのが意外だった。
個人的には前中半の議論の部分より、最後に書かれていた部分に心震えた。
「あなたがこの世で見たいと願う変化に、あなた自身がなりなさい ガンジー」
「哲学者たちは、これまで世界を解釈してきたにすぎない。大切なことはそれを変革することである。 カール・マルクス」
良い本でした。
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・「知能」とは、「答えの有る問い」に対して、早く正しい答えを見出す能力。
・「知性」とは、「答えの無い問い」に対して、その問いを、問い続ける能力。
・他にも、「予測」と「予見」、「志」と「野心」、
「目標」と「ビジョン」などの差について記述あり。でも、だんだん言葉遊びにもの感じられた。
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抽象的な結論でおわっているのがスッキリしない感じ。「なぜ、古典を読んでも人間力があがらないのか?」というのは決めつけすぎでは。人間力はじぶんのエゴを内観することというのは理解できるが、最初の問い要るかな。
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知性とは何か、これから求められる人材像とは。
端的に作者の考えが述べられていて読みやすいです。
同意できる所もあれば、本当にそうなのかなとか疑問に思うことも。
よくあるハウツー本とは少し違った読後感です。
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7つのレベルの思考(①思想、②ビジョン、③志、④戦略、⑤戦術、⑥技術、⑦人間力)が必要と述べられているが、その通りと思う。7つに整合を取ることや精通できることはなかなか難しいことだと思う。
①思想については、未来を予見する方法として学ぶ。
②ビジョンとは、未来に起きることの客観的考えのこと。
③志とは、②のうちで意志として取り組むこと。
④戦略とは、戦いを省くこと(いかに戦わないか)。社員のかけがえのない人生の時間がかかっているからこそ、重要なこと。変化の激しい時代には、「波乗りの戦略思考」が必要という。確かに臨機応変に、時に論理を超えた直観力を駆使して状況判断することは大切だが、一度立てた戦略を見直すことは瞬時に判断する勇気と何度も変える作業に対する忍耐が必要だと思う。
⑤戦術とは、想像力をもって、具体的な固有名詞で実行すべきことを考えること。また、戦術を実行した後には、改善を図るための反省力を持つこと。
⑥技術とは、
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知性と知能の違いは大きい。知能があるからといって、知性があるわけではない。でも、知能はないよりあったほうがよいとは思うが。
この田坂さんという人は知能もあり、知性もあるということになるが、こういう人はなかなかいないだろう。
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・割り切りとは、魂の弱さである
・「割り切った」心の姿勢ではなく、「腹を決める」心の姿勢が大事。前者は心が楽になっている。しかし、後者は心が楽になっていない。「割り切り」に流されていくと、深く考えることができなくなり、「答えの無い問い」を問う力、「知性」の力が衰えていく
・知性を磨くためには、「答えの無い問い」を問う力を身につけること
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”スーパージェネラリスト” が価値を発揮できる前提として、
「”スペシャリスト(専門家)”は既に十分いる」ことが必要なんだという側面が、
意図的なのでしょうが、本書ではあまりにも軽んじられているように感じました。
(著者自身がその点を軽んじているとは思えないのですが、この本だけ読むと、そう読めてしまうかなと思いました。)
●「専門家はすでに十分にいる」という前提●
本書の中で取り上げられている事例の中に、こんなものがありました。
学際的な研究を行う研究所で、「今後どのような分野の専門家が必要ですか」 と聞いたら、
「もう専門家はいらない。なぜなら、専門家は十分にいるからだ」 という答えが返ってきた、と。
「だから、今後はそれらの専門分野を統合するジェネラリストが必要なのだ」 と。
それはそのときの、その研究所にとっては事実なんだろうなと思いました。
一方で、
・ 私たちが働いてる企業も同じ状況だと言えるか?
・ 仮に今は 「専門家は十分に」 いたとして、その状況はほっといても永遠に続くのか?
という点では、少なくとも後者は明らかにNOです。
なので、”スーパージェネラリスト” の必要性は否定できないとはいえ、
その役割は ”専門家は十分にいる” という状況でこそ発揮できるものであって、
”専門家は十分にいる” という状況を維持するためには、 やっぱり十分な専門家を育てる動きが必要なんだと。
この点はもっと強調されていいと思いました。
すでに世の中は ”ジェネラリスト偏重” に傾いているように見えるので。
●数の問題●
本書で取り上げられていた事例をもうひとつ挙げると、
アポロ十三号の三人の宇宙飛行士を生還させたNASAの話がありました。
NASAには各分野の専門家がたくさん集まっていて、でも、アポロ十三号が想定外の事故を起こしたときに、右往左往しそうになった。
そのとき、ひとりの ”スーパージェネラリスト” が リーダーシップを発揮して、
「三人を生きて還すぞ!」と明確な目標を示し、
専門家に的確な指示を出して彼らの働きを「統合」した。
だからこそ、アポロ十三号は事故に遭ったけど、宇宙飛行士は3人とも生きて還れたのだ! と。
これも、 そのとおりなのだろうなとは思いつつ、
そのとき
一人の ”スーパージェネラリスト” に対して、
何人の ”専門家” がいたのか? という視点が抜け落ちています。
(というか、話をわかりやすくするために、筆者はあえて書かなかったんだと思います。)
たくさん専門家がいる中に、一定数は必ず ”スーパージェネラリスト” が必要という点は否定できませんが、
でもやっぱり、 組織があったら8割9割は ”専門家” (としての役割を担いうる人) が必要なんだという点は、いくら強調してもしたりません。
●自戒1.スーパージェネラリストを目指す上で●
たぶん、この本で言いたかったのは、
組織があったら、9割 ”専門家” がいるとしても、1割の ”スーパージェネラリスト” が彼(女)らを統合していかないと、うまく回らなくて、
(明確に何割、などと書かれているわけではないけど)
今の世の中は、”スーパージェネラリスト” が1割にすら満たない状況で、
だからこそ ”スーパージェネラリスト” が 「いま、必要」なんだと、
そういう話だと思いました。
”専門家” と ”スーパージェネラリスト” は、役割が違うだけでどっちが偉いとかじゃないし、
”スーパージェネラリスト” として活躍できるとしても、 ”専門家” としてもやはり活躍できた方が、
常に活躍していられるし、 (←こんなことは本には書いていないけど自分で思っていること)
”専門家” としての役割を担いうる技能自体は、 ”スーパージェネラリスト” になる上でも必要なんだということは、
本にも書いてありました。
だから ”専門家” がだめで ”スーパージェネラリスト” を目指すべきだ! っていう考えは間違っているし、
本当の ”スーパージェネラリスト” は、 ”専門家” の価値を十二分にわかって、敬意を払うと思うし、
何よりも目指すべきじゃないのは、 ”専門家” としての役割を担いうる技能を磨き続けることを放棄した
”薄っぺらジェネラリスト” に成り下がることだ。
●自戒2.専門家にあこがれる身として●
”専門家” としては活躍できるけど、 ”スーパージェネラリスト” としては活躍できない(しようとしない)人がいるとして、
本書は、 「そんなのは誤った自己限定であり、だめだー!」 というような論調でした。
でも、私は必ずしもそうは思いません。
”専門家” としてしか活躍できない(しないと決めてしまう)と、
キャリアの中で 「運任せ」 になってしまう要素が多くなることは確かです。
リーダーがすぐれた ”スーパージェネラリスト” であるようなチームの中では、
メンバーとして参加する”専門家”の働きは、より高い価値につながるし、
リーダーがだめな ”薄っぺらジェネラリスト” であるようなチームでは、
メンバーとして参加する”専門家”がいくら頑張っても、一向に価値を生み出せないかもしれない。
そして、会社員でいる限り、どういうリーダーがいるチームに入るかは、自分では選べないことも多い。
私はビビリなので、そういう「運任せ」には耐えられないなと思うからこそ、
”スーパージェネラリスト”としても活躍できるように、自分を鍛えていこう!と思うのですが
そういうリスクを受け入れた上でなお、やっぱり自分は”専門家”としてのみ生きていくんだ!
と決めている人もいると思います。
それはすごいことだし、自分にできないからこそ一層、憧れる気持ちになります。
私も「ビビり」の気持ちがなくなったら、もしかしたらそんな”スーパー専門家”の領域にも到達できるのかなぁ・・・ と想いを馳せることもあります。
ただし、もしも仮にこの先、そういう”スーパー専門家”の領域に自分が到達した(と錯覚する)ときが来たら、そのときは
「自分は”専門家”だから」といってジェネラリストとしての能力を磨くことを放棄しつつ、
リーダーのジェネラリストに文句だけは言うとか、
そういう中途半端な態度選択だけは絶対に絶対に絶対にしないように、戒めようと思いました。