【感想・ネタバレ】アベノミクスの危険な罠 繰り返されるマネーの暴走のレビュー

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Posted by ブクログ

 世の中は「アベノミクス」で好調に見える。2020年のオリンピックも東京招致が決まり、世の中は景気回復への期待に満ち満ちているようだ。
 しかし、「経済」という視点から冷静に見るとまったく違った風景が見えてくると本書を読んで思った。
 そう考えるには1980年代末から1990年のバブルの狂乱とその後のバブル崩壊を思い出すからである。
 あの当時の世の中に氾濫していた「いけいけの空気」「止めどもない楽観の風潮」が、現在と重なるように思えるのは私だけだろうか。
 では、その後の「崩落のような経済風景」もかつてのように繰り返されるのだろうか。
 本書は「デフレは貨幣的現象かどうかは難しい問題である」と「黒田日銀」の「異次元の金融緩和」を否定的に見ている。
 そして「またしてもバブル期と同様のことがおきようとしている」と喝破するが、本書の予測は果たして的中するのだろうか。
 たしかに「問題は日本の潜在成長率が低いことだ」という本書の指摘は説得力がある。
 「潜在成長率が低いままに、金融緩和で一時的な活況を見たとしても、それはいずれは崩落するバブルである」とする本書の指摘は、過去の経験に照らしても説得力はあるが、2020年に東京オリンピックを迎えようとする日本の現状は活況に満ちている。
 本書は、「日本経済」を冷静に見ることができる良書であるとは思うが、同時にできれば本書の予測が的中しないことを願った。
 本書は「経済書」でありながら、あたかも「パニック小説」を読んだ後のような読後感を持つ本である。

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2013年09月16日

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