【感想・ネタバレ】花咲家の人々のレビュー

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魔法

緑の匂いがしてくる。
花や草木に囲まれた生き方。

魔法や奇跡なんて存在しなかったとしても,それを信じて生きていく方がきっと楽しい。
こんな簡単なこと,なんで気付けなかったんだろう。

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2020年10月14日

Posted by ブクログ

『「トワイライト・ブーケ」。黄昏時に花束を。昼と夜のあわいの時間には、現世と夢幻のものと、二つの世界の存在が、ともに街に現れると聞きます。不思議な出来事も、奇跡も魔法も、存在できる時間なのかもしれません。もしも魔法があるならば、いま、優しい奇跡があなたに起こり、心の奥の傷を癒やし、明日へ進むための力になりますように』

今、この作品のレビューを書いている黄昏時、私の目の前には公園の大きなケヤキの樹が風に揺れているのが見えます。暑く長かった夏も終わり、やがてこの樹も紅葉し、葉を落としていくのでしょう。でもそれは枯れるということではありません。次の春が来るまで静かにエネルギーを蓄え、力強い芽吹きの時を待つのです。話すこともなければ、動くこともない、ましてや立ち上がって歩き出すようなこともない樹木、植物たち。でも、そんな植物たちにも生命が宿っています。『昔から科学の世界では、「どうしてこれが可能なのかわからないけれど、なぜだかできていること」』というものがあります。この世には私たちがまだ知らない、気づけていないことがまだまだたくさんあります。それを非科学的だと否定することは簡単なことです。でも、本当にそうなのでしょうか?単に今の私たちの科学の力では分からない、ただそれだけのこと、ということはないのでしょうか?

あなたは、『植物に心があるって知っていますか?草木にも思いがあり、ひとが好きで、ひとと話してみたいと思っている』ということです。でも、『草木の声はあまりに小さいので、普通のひとの耳には聞こえない』。でも、『ある一族の人々は、先祖代々、草木の言葉を聞く耳を受け継いで生まれてきているのだそうです』。

ここに、そんな草木の言葉を聞くことのできる人々の物語があります。「花咲家の人々」、村山早紀さんが綴る絶品のファンタジーです。

四つの短編から構成されるこの作品、花咲家の二女一男、そしてお父さん視点で場面が切り替わっていく連作短編の形式をとっています。その舞台となるのが『千草苑(せんそうえん)』という花屋さん。村山さんの作品ではお馴染みの『風早(かざはや)の街』。その『風早駅前商店街の、その立派なアーケードのいちばん奥の辺り』にあるという戦争の焼け跡からいち早く復興したお店の一つです。そんな千草苑をかつて襲った大空襲で『建物を包み咲き誇っていた見事な木香薔薇(もっこうばら)や蔓薔薇(つるばら)、庭の金木犀(きんもくせい)とともに燃え』あがった千草苑。そのとき、街を逃げ惑う人々の中に、不思議な光景を目撃した人がいたといいます。まるで千草苑の『洋館を守ろうとするかのように、薔薇の枝と花が揺れ、金木犀の枝が伸び、大きな翼のように建物を包み込み、火からかばっていた』というその光景。そして『その家に住んでいた人々、逃げ遅れた家族を奇跡のように守り抜くことができた』という事実。そんな家に住む花咲家の人々は『遠い昔から、当たり前の人とはどこか違うとささやかれる、畏怖の対象』であり、この家の人々は『魔法を使うと、先祖は神仙やあやかしの血を引くものやも知れぬ』と『恐れられ、敬われていた』という花咲家の人々。そして、その家には今も『一族のゆかりの人々は暮らし、花を売っています』…という設定の元に繰り広げられるファンタジーの世界。そんな現代の千草苑には、その広い店内の一部に『FM風早のサテライトスタジオ』があります。『週に一度、木曜日にそのスタジオで夕方のリクエスト番組がオンエアされて』いて、その『メインパーソナリティー』を花咲家の長女が勤めています。レビュー冒頭の一文はそんな長女・茉莉亜の語りの一部です。

では、その『千草苑の、ある晴れた日の朝』の家族の風景をご紹介しましょう。『金木犀の花が香り、秋の薔薇たちが負けじと香り高く咲き誇る、そんな朝のこと』。『ちょっと、桂。あんたまたほうれん草残してる』と『高い声が響き渡りま』す。『セーラー服の上にエプロンを着けた少女は、この家の次女、高校生の りら子』、『だって…だって』ともじもじする『小学生の弟の名前は桂(けい)。この家の末っ子』です。『だって、血みたいな味がするんだもん。怖いよ』という桂に『非論理的なこといってないで、さっさと食べなさい。ひとがせっかく忙しい朝に、愛を込めて作った朝食だっていうのに』と怒る りら子。その時、奥の台所から『りら子と十、年が離れた姉の茉莉亜が微笑みを浮かべて』やってきました。『嫌いなものを無理に桂くんに食べさせなくたっていいじゃない』という茉莉亜は りら子がかつてカリフラワーが食べられなかったことを指摘します。『生きてるみたいなかたちしてるから』というその理由、そして難を逃れた桂。一方で りら子は茉莉亜に話しかけます。『ねえ、お姉ちゃん。桂も、いい加減お姉ちゃんがどんな人間かわかりつつあるんじゃないかと思うんだけど』と静かな声で言うと『りらちゃん。野菜って、たしかに怖いわよね。だってわたしたちは「この家の人間」だから。緑のものは、どうしたって食べるときにいろいろ考えちゃうこともあるでしょう?』と返します。『あの子は特に、わたしやあなたよりも繊細で、優しいところがあるから』と言う茉莉亜。そんな中、階段をぎしぎし揺らせて降りてきて『FM風早の桜子さんによろしく伝えておいてね』と茉莉亜に声をかける父・草太郎。十年前に母・優音(ゆの)が亡くなってから四人で暮らす花咲家。『まるで、緑の波に包まれ、そのてのひらにくるまれて、優しく守られているような』そんな気持ちになる家に暮らす彼ら。そんな彼らの特別な力を読者が目にする優しい物語が始まりました。

花咲家の人々が持つという特別な力。それは『なぜか花咲家の人々が草木に願うとき、草木は本来なら持ち得ないほどの「魔法」のような力を発揮して、人々をその力で救ってくれる』というものです。その力は彼らのその優しい感情が発露する瞬間に現実のものとなります。そんな中から一つのシーンを、さてさて流でご紹介します。『夕ご飯の買い物をするお母さんが、小さな女の子の手を引いて歩いて』いるというシーン。女の子の『その手にはどこかでもらったの』か、『青い風船が揺れて』います。次の瞬間、手からすり抜けてしまったその風船は『街路樹の鈴掛の木をかすめて、天へ上がっていきます』。それを見て泣きそうになる女の子。『街路樹を見上げ、その手を触れ』、『口の中で、お願い』とつぶやく りら子。『風もないのに街路樹の枝が動き』、『自分のそばを通り過ぎようとした風船の、その糸を、枝が捕まえ』ます。何も知らない人には『ただ風船が木の枝に引っかかったのだとしか見えなかったに違い』ないというそのシーン。『りら子と野々実、そして鈴掛の木ほんにんしか、知ることはなかった』というそのシーン。『地面を蹴ると一気に木に駆け登り、風船をその手に抱え、下へと飛び降り』風船を女の子に手渡す りら子。『もう逃しちゃだめだよ』と言う りら子に『ありがとうございます』と頭を下げる母と娘。『鈴掛の木を振り返』り、『ありがとう、と、お礼のまなざしを投げた』りら子。『どういたしまして』と『小さな、鈴を振るような声』、それは『小さな女の子を喜ばせるお手伝いが出来て良かったと、ひっそりと喜んでいる、一本の木の言葉でした』という花咲家の人々の持つその優しい力が発露する瞬間を垣間見るシーン。このシーンに描かれるその繊細な優しさの極みとも言える感覚に何か感じるところがある方には、是非この物語を手に取っていただければと思います。そこには、この鈴掛の木同様に、他の植物たちが、時には身を投げ出してでも人々を守ろうとする優しさの限りを尽くしたあたたかい世界が広がっています。

植物に心を感じるなど荒唐無稽と言い切ってしまうのは簡単なことです。そういう私だって、目の前に見えるケヤキが今何を考えているのだろう、なんて思うことはありません。しかし、これは小説です。そんな現実にはありえないことが起こってもいい世界です。そんな植物の中に心を見る世界で、村山さんは命というものに焦点を当てます。『夏の暑さや病で枯れていく花たちの声』、『家族が引っ越して、置いていかれた庭の花壇の花々が泣いている声』、そして『通行の邪魔になったと切り倒される街路樹の、その「処刑」の前の夜に、ひとり思い出をうたうように語る声』、そんな声が聞こえてしまう花咲家の人々。思えば我々は、動物ならいざ知らず、植物を”殺す”というような感覚は持っていないと思います。でも実際には、そこには我々と同じように命があり、彼らも全力で生きようとしている。そんな植物たちを通して命というものを考える時、村山さんはこんな風におっしゃいます。『思えば生というものは、必ず最後に奪い去られ断絶するものであるとわかっているもので、それがわかっていながら生きなくてはいけない、ある種理不尽なもの』。これは、生きとし生けるすべての生き物が生まれた時から定められた運命でもあります。たとえ人間であってもそれは避けられない運命でもあります。そして、『生きるとはこの理不尽さをどう理解し納得し、自分の中で消化していくか学ぶ、その時間のことなのかと思います』と語る村山さん。そんな理不尽さの中でも、日々生きていく喜びを見つけ、その中に生きる意味を見出していく私たち。思った以上に奥の深いこのファンタジーの世界の中に、植物たちがその身を犠牲にしてまで守ったものを思う時、ああ、自分は色んなものに守られているのかもしれない、そんな人生をしっかり、前を向いて、そして楽しく生きていきたい、改めてそんな風に思いました。

この作品はかなり劇的な作りがなされています。上記した鈴掛の木のお話は、ベートーヴェンの第九の冒頭に聞かれる弦のトレモロのようなものです。第九がその後どう展開するかはご存知の通り。この作品は四つの短編を読み進めれば読み進むほどに物語が読者の心を大きく揺さぶっていきます。植物に命があることをいやが上にも感じさせる物語が続きます。そして、最終楽章ともいえる〈十年めのクリスマスローズ〉で、村山さんは、あの扉を開きます。開いてはいけないあの扉。なぜなら、それは、涙の元栓を全開にする行為だから。そう、それが開けられた後は、自分の涙が伴奏のように流れるありえない感動の歓喜の中に突き進むしか選択肢はありません。そして、村山さんはさらに一段上の結末を描いて物語はじわっと湧き上がる感動の中に幕を下ろします。『魔法の力』が『大きな奇跡』を生むその結末に、この作品に出会えた喜びと、その奇跡を感じる幸せな時間。

ああ、読書を始めて本当に良かった、そう感じました。

村山さん!涙は”ストレス発散とデトックス効果”があるって言いますよね。この作品を読んで心をスッキリ、サッパリとさせていただきました!明日からまた頑張りますね。

素晴らしい感動を本当にありがとうございました!

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2020年10月06日

Posted by ブクログ

大好きな村山さんの世界、風早街シリーズ。植物とお話できるなんてあこがれちゃいます。
家族それぞれのキャラクターがとても素敵。
花咲家、まだまだ続くお話なので楽しみ。

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2020年02月09日

Posted by ブクログ

風早の街にある、和洋折衷でレトロな洋館。
カフェも併設された花屋の千草苑。
そこに住む、花咲家の人々の物語。
花咲家の人々は植物と交流できる不思議な能力を持つ。

シリーズ一作目なので、やさしい語り口とともに中にご案内される。
人々や植物に、「ようこそ」「ようこそ」と迎えられるようにして、おそるおそる覗くと…
黄昏時の光に満ちた、不思議で、喜びと、ちょっとした悲しみに満ちた幸せな世界だった。
失った人に対する思慕にあふれている。
いのちについて、みんなが考えている。

『黄昏時に花束を』
祖父・木太郎(もくたろう)さんの幼なじみで初恋の人が、疲れきって外国から帰ってきた。
長女の茉莉亜は、花屋とカフェの仕事の合間に、地元FM局で、「トワイライトブーケ」という番組のパーソナリティもつとめる。
「わたしの声が聞こえますか…」

『夏の怪盗』
次女のりら子は、親友の野乃実に、夏の日に会った怪盗の話を聞かせる。
遠い国から帰ってきた一枚の絵と、いばらに囲まれたお屋敷の中の絵描き。

『草のたてがみ』
末っ子の桂(けい)は、お母さんの顔を見たことがない。
赤ちゃんの時に死んでしまったから。
もっと強くなりたいと思いながらも、なんとなく世の中に遠慮するように、本だけを友に生きていたが…

『十年目のクリスマスローズ』
クリスマスイブ。
父の草太郎は、風早植物園の広報部長。
その博識と人柄で街の人気者である。
FM風早のゲストに招かれて、亡き妻を偲びながら、命について語る。
十年前に亡くなった、草太郎の妻であり、子供たちの母である優音(ゆの)が作ろうとしていた、クリスマスローズのロックガーデンが完成して、クリスマスの奇跡。

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2018年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【あらすじ】
風早の街で戦前から続く老舗の花屋「千草苑」。経営者一族の花咲家は、先祖代々植物と会話ができる魔法のような力を持っている。併設されたカフェで働く美人の長姉、茉莉亜(まりあ)。能力の存在は認めるも現実主義な次姉、りら子。魔法は使えないけれども読書好きで夢見がちな末弟、桂(けい)。三人はそれぞれ悩みつつも周囲の優しさに包まれ成長していく。心にぬくもりが芽生える新シリーズの開幕!

【感想】

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2017年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

外で、読まなくて良かったです。最後のお話「十年めのクリスマスローズ」を読んでいたら、涙が止まらなくなりました。最後に家族全員の前に現れたお母さん…。消えた姿を追って、庭に出たりら子が見た光景。クリスマスローズと小さな野草たちが全て枯れていたというくだりには、胸が詰まりました。みんな少しずつの後悔を持って生きているから、優しくなり、生きとし生けるものが大事に思えてくる、平和への祈り、幸せへの祈りが聞こえてくる花咲家の日常が愛おしく、素敵なお話でした。

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2016年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

風早の町で古くから「植物と話ができる」能力を持つ一族の話。それぞれ違った形で植物と接触でき、だからこそ優しすぎ、傷つきやすい家族たち。
あまりにも綺麗で優しすぎ、こんな人は居ないと思うと少し寂しくなります。

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2016年03月16日

Posted by ブクログ

2度目。植物と会話できる花咲家の話。途中木太郎さんと草太郎さんが混ざって混乱してしまった笑 花咲家の人々はほんとに皆優しくて、周りの人も優しいので、読んでてすごく癒されます。どれもいいと思ったけど、最後の話が1番うるうるきた。感動的でした。こんな風に会いたい幽霊に会えたらいいのに。

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2016年02月12日

Posted by ブクログ

心にだって 強い弱いがある。
ほんの少し、
ほんの少しだけ、
今より強くなれたら、それでいい。
ほんの少しだけ、
今より優しくなれたら、もっといい。

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2015年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

植物と寄り添い、助け合いながら暮らす一族。そして、その周りの人たちの物語。
暖かくて優しい不思議な話なんだけど、どの話もちょっぴり切ない。それでも希望があって好き。

どの話も好きだけれど『十年目のクリスマスローズ』が一番好き。311ページからは涙が止まらなかった。

続きも考えているそうなので読むのが楽しみ。
茉莉亜と有城先生が上手くいくといいなぁ。

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2015年07月24日

Posted by ブクログ

草花とお喋りができる一族、花咲家シリーズ第1弾。村山先生らしい、とても心が温かくなる本でした。
村山先生の本は悪い人が出てこないので安心して読めます。優しい人ばかり…癒されます。
この物語に登場するキャラクターは全員大好きですが、特にお気に入りのキャラは草太郎パパと末っ子の桂くん。二人ともとてもチャーミングでした。

金木犀の香りから始まりクリスマスで終わる連作短編なので、今の季節にぴったりです♩

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2014年10月06日

Posted by ブクログ

植物と会話できる一族、という設定に惹かれ読み始めました。
冒険物語にはない、ほっこりゆったりとしたお話の流れ。
けれどその中に、生きていることとは、などの題材がさりげなく盛り込まれ、こころがあたたかくなりつつも、ちょっぴり切なかったり。
こじんまりしたカフェにいるような穏やかさ、それから花咲家のそれぞれのキャラもすてき。
心がそっとあたたかくなりつつ、ほろりと涙がこぼれてしまったお話です。

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2014年09月06日

Posted by ブクログ

風早の街で、カフェ兼花屋を営んでいる花咲家の物語。

花咲家は、おじいさんの木太郎、お父さんの草太郎、長女の茉莉亜、次女のりら子、末弟の桂の五人家族で、先祖代々植物と会話ができるという不思議な家族である。

この作品の紹介文を読んで、ほのぼのとしたファンタジーかなと勝手に予想していたのだが、最愛の人を失った家族がそれぞれ抱える喪失感や後悔、自信のなさなどいろいろな苦悩を乗り越える話だった。

四つの短編からなる作品であるが、どれも心にしみる良質の作品だった。

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2014年12月08日

Posted by ブクログ

花咲家の人々が植物と会話できるという特殊な能力で事件を解決、といった短編仕立ての物語。これも、マジックリアリズムなのかな。

植物だけでなく、本、絵、ラジオなどのアイテムは個人的に親近感が湧く布陣。

どの話も死生観や成長がテーマとなっており、実は重いテーマだったりするが、
「ですます調」の文体も手伝って、童話のような優しい雰囲気の中で読みすすめることができる。

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2021年06月07日

Posted by ブクログ

風早の街に住む植物と会話できる一族のお話。
一見ふつうの家族です。おじいちゃん、お父さん、三人の子供たち。お母さんは若くして亡くなっています。
語り口が童話のように優しく、おとぎばなしのよう。普通に実直に生きている家族のお話だけど、時々魔法のような不思議なことが起きる。
暖かくて優しくて涙が出そうになります。みんなが明るく生きているようで涙を隠し持っていて、それでも前を向いて歩いている。心癒され、優しい気持ちになる物語です。
個人的には、記憶にないお母さんを恋しく思っている末っ子の桂のお話が好き。

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2019年06月12日

Posted by ブクログ

村山早紀さんの本、二冊目です。
前作も同じことを思ったのだけれど
この方の本を読むと、
何のてらいもなくうっとりと物語の世界に浸れた
子どもの頃の幸せだった読書体験を思い出すのです。
小公女や若草物語、秘密の花園・・・
それが大人になってから追体験できるとは。
村山さんの本、たくさん出てるんですね。
しばらくの間こっそりと
幸せな世界に浸る幸福感を
ひとり味わうことができそうです。

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2017年03月21日

Posted by ブクログ

自分の考えを持ちつつ、周りの人の考え方もきちんと認めて、二択ではなく双方の考えをふんわり包んでまとめる。
大人だなぁ。花咲家の人達はみんな。

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2017年02月11日

Posted by ブクログ

ずっと、村山先生の描く優しい世界が好き。

大人になって、綺麗なだけじゃ成り立たない世界を知ってしまった今では、うっかりすると欺瞞を感じてしまいそうになるけれど。
いやいや活字の中だけは、理想郷も許される。そうでなくては…

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2016年06月17日

Posted by ブクログ

植物と会話ができる不思議な一族が住むまちの物語。
いろいろとシリーズを出されているのは知っていて気になっていましたが、本書が村山さんの初読みになります。
なんといっても素敵な設定に惹かれて。
読んでみたら、まるで大人のおとぎ話でした。

純粋さと優しさに溢れてて、心が洗われるようでした。
「大人の」おとぎ話だという所以は、痛みがあるから。
それは、大切な人を亡くした痛み。
途中すこし泣きそうにもなりました。

3姉弟も草太郎パパも、木太郎さんも唄子さんも、おもちゃ屋のおじいさんも、とにかく登場人物もみな優しくていい人たちなんですよね。
この本には、悪意が登場しないんです。
だからずっとにこにこしながら読んでいられる。それと同時に、こんな世界があったら素敵だなあと思わずにいられない。

私もちいさい頃は動植物と話ができたら、といつも夢見ていました。
だから、たとえおとぎ話の世界の中だとしても、こんな人たちがいてくれることが単純に嬉しい。
読んでいてどこか慰められるような、優しさに包まれるような感覚が味わえるのもこの本の魅力なのでしょうね。
いいシリーズと出会えました。

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2016年02月02日

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村山早紀作「花咲家の人々」再読。緑の想いに関して深く考えてしまう。
私は正直信じていないけれど、でもあっても不思議では無いなと思えました。
ところで、我が家の「観葉植物&野菜」の大繁殖は、果たしてどんな意味があるのだろうか?外の植物が室内に入りたがっているのは(笑)。…冗談は抜きにして、あまり冷たくするのは止めようと思ったのは本気でした。

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2015年07月17日

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古来より、植物と会話ができる力を持ち、
老舗の花屋を営む花咲家の家族が織りなす、
ほっこり系のファンタジー小説の1作目です。

あやかし系の、児童文学作家さんらしく、
作品の世界観も、キャラクターも、作風も、
優しげな、ハートフル・ファンタジーでした。

最初のエピソードは、
今一つ、テンポに乗り切れず、
読むペースもあがりませんでしたが…、

キャラクターや世界観が馴染んだ、
2つめからは、とてもいぃ感じで…、
最後のエピソードでは、ほろほろと…。

「風早の街の物語」シリーズの中では、
あやかし系は控えめの現実路線ですが…、
そのバランスは、とてもよかったですね…。

植物と会話ができる力…ってのが、
何より、羨ましぃ限りです…(^―^)
長く読み続けていきたぃ作品でした…。

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2015年05月16日

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ほんわかするものが読みたくなって、手にした本。
植物の声が聞こえる花咲家の家族の日常。魔法やファンタジーがあると信じたほうが楽しいという気持ち、わかるなぁ。植物の声、私も聞いてみたい。

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2014年09月15日

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ネタバレ

花咲茉莉亜
長女。夕方のラジオパーソナリティー。花屋の看板娘、カフェ千草の経営者でもある。

花咲りら子
次女。高校生。

花咲桂
末っ子。小学生。

野々原桜子
ラジオの人気アナウンサー。

花咲草太郎
父親。私立の大きな植物園、風早植物園の広報部長だった。

花咲優音
母親。元から病弱で、風邪をこじらせて亡くなった。

木太郎
祖父。千草苑。一流の庭師で若い頃は有名なプラントハンターだった。

磯貝唄子
近所の屋敷に住んでいる、知的で美しい。随筆家。

石田
桂の担任。りら子も受けもった恩師。

真岡野乃美
りら子のクラスメート。学校のそばの古い文房具屋兼雑貨屋兼本屋の娘。

磯貝皓志
唄子の夫。病で亡くなった。木太郎、唄子とは、風早の街で生まれ育った幼なじみ。

有城竹友
この街在住の新人少年漫画家。

怪盗
三角屋玩具店のおじいちゃん。灰色の鷹。

十六夜美世子
有名なイラストレーターだった。

秋生
桂の同級生。

鈴本翼
桂の同級生。

佐藤リリカ
桂の同級生。帰国子女。

金髪の中学生
川に流されている猫を救った。

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

植物と会話できる、というちょっぴりファンタジーな力を持った花屋さん一家の、身の回りのお話。温もりとと小さな奇跡で溢れた、やさしい気持ちになれる作品集です。

「生きていくということは傷が増えていくことかも知れないな」と、登場人物の一人はつぶやきます。悲しみはどこにでもあり、そしていつまでも残っていく。それでも前向きに生きていくことの出来る、そんな勇気をそっと与えてくれる本です。安直かも知れないし、理想に過ぎるかも知れないけれど、それでも花咲家や草花たちからのメッセージを素直に受け取りたいものです。

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2023年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2020/1/7
たぶん今はこれじゃなかった。
欲してるのはこのどこを切っても美しい物語じゃなかった。
雑多なものの中から美しいものを見つけたい。
そっちの方が好き。
買い物も宝さがしみたいな店でしたい方やし。
でもドンキは苦手。
今シャーロック(BBC)で心がビンビンなのでこんなふわふわで撫でられても皮膚に到達する前に吹き飛ばしてしまうわ。
なんかそんな感じ。変なの。

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2020年01月07日

Posted by ブクログ

ファンタジックで素敵だった。ですます調は入り込み辛くて得意じゃないし、喋れないのを良いことに植物が人間を大すきって恥ずかしげもなく語られても素直に受け入れられなかったりする。弱さは甘え、怠け、とかも辛いし、そう言う意地悪だった子とその後仲良くなれることにも、わかるのだけれどモヤモヤしてしまう。それでも何だか、きらきらしている部分もあって、著者の本を追ってしまうのだった。

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2018年10月17日

Posted by ブクログ

ですます調のおっとりとした感じの文章で、亡くしたお母さんのことを引きずり続けている家族のファンタジックなお花(お話)し。


小さな子供に読み聞かせるにはちょっと長い。
小学校高学年以上では読み手を選んでしまう。

汚れてしまった大人には美しすぎるお話でした

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2016年09月29日

Posted by ブクログ

花と会話が出来たり、能力を引き出すことができる不思議な力を持っている花咲家。
彼らが出会うちょっとした日々のお話。
連作短編集?かな。

花咲家の人々が、死んでしまった母優音さんのことが
心のどこかで引っかかっていて、
それは時として、生き方や考え方にじんわり結びついている。

少し翳のある小説だけど、
人のために何かしたい花たちと、
花や人を大切に思う花咲家の人々の話はどこか柔らかく温かさで満ちている。

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2016年07月31日

Posted by ブクログ

花咲家の少し不思議な日常。花の声が聞けて、花を動かす力を持っていて、日々草花と共にしている家族がそれぞれ抱える悩みをゆるやかな流れで描いています。声が聞けて話もできてと羨ましい限りです。もし話が出来たら毎日楽しいだろうと強く思います。ラジオが聞きたくなります。ほっこりしたいときにおすすめです。

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2016年03月15日

Posted by ブクログ

植物と話が出来る、戦前から続くお花さん一族のはなし。

いいな。お花と話が出来るなんて。でも、お花と話したり、魔法を使うのが少なすぎてちよっと残念。もっとお花との会話 聞きたかったな…
10年分の祈りを、命の全てを使ってクリスマスに奇跡を起こしたクリスマスローズ。優しいね。

ちょうど金木犀が満開の頃に読めて良かったな。

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2014年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

植物と話ができる一族。
花咲家の三兄弟 まりあ、りら子、桂。
それぞれが、死んだ母への思いを抱えながら、
植物やまわりの人との交流で癒されたり成長したりするかんじかしら。

金木犀が出てくるシーンでは、香りを思い出して、懐かしかったな。
1章のクリスマスローズが4章につながっていくんだねぇ。

泣いた人魚の絵が見てみたいなぁと思った。


最初、なんだか流れがつかめななくて読みにくいかと思ったんだけど、
3人の話をしているのかと思えば
装飾や唄子さんの長い挿入話があったりして、
その切り替えが難しかったんだな。と後で思った。
エンディングは切なかったけど、よかったな。

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2014年09月23日

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