感情タグBEST3
何回読んでも…涙。
2023年11月読了。
もう刊行されてから何十回と繰り返して読んでいるシリーズなのに、一番初めの「その夜の雪」を読むと、必ず涙が溢れてしまう。
こういう手合の連作短編小説で、一発目にこんな物語を書けるのは、著者が女性だからかな…と思ってしまう。男の作家では、こんな悲惨なエピソードから書き始める度胸は無いんじゃないかと…w。
二篇目以降は(その悲劇を通奏低音にはしているものの)オーソドックスな「江戸時代の市井を描いた小説」に成っていくので、この最初の一篇の峻烈な悲しさは読者にとっても「いつまでも引っ掛かる《傷》」と成り、他の作家では作られない見事な「味」に昇華している。
著者が早逝され、もう続きが読めないのかと哀しんでいたが、つい最近、本書の一篇目と二篇目の間に位置する「長編」が書かれていて、文庫で刊行されたばかりと聞き及び、今から楽しみにしている。
「人の心こそが一番のミステリー」と言ったのは池波正太郎だったと思うが、そうした男性作家が描く「勧善懲悪」なものと違い、著者は「人の世は必ずしも勧善懲悪では済まないし、又、世の人(男女)の心には、単純に善悪や正邪では割り切れないものが潜んでいる」事を良く教えてくれる。それこそが正に「人の心はミステリー」なのだ。
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テレビドラマ化もされていたなんて全く知らなかったし、北原亞以子さんが既に亡くなっていたことも知らなかった。
慶次郎シリーズ第一作、これが良かったら全シリーズ読んでみようと思ってのもの。
ちょっと各々の短編の終わり方が、尻切れトンボっぽくて...
もう少し奥深くても良いんじゃないかと思ったけれど、人間の生活なんて都度そう簡単に結論が出るもんじゃないし。
これはこれでありなんじゃないかと思って、二作目を買いました。
Posted by ブクログ
文章、ストーリーも秀逸。行き場のない感情を持つ人物が多く登場。はじめに載った「その夜の雪」は、同じ新潮文庫の「その夜の雪」掲載のものとかぶる。人気が出たのでシリーズが始まったのか。2015.12.12
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面白いよと教えて頂いたので読んでみた。派手さはないけれど、しっとり面白い。慶次郎、おっさんなのにかわいい。佐七がなんだかんだいって慶次郎好き好きなのがまたかわいい。なにこのじいさまたち。
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同心の隠居慶次郎の話。
いきなり一話で娘が犯されて自殺してしまうところから始まって驚く。隠居して娘の許婚を婿養子とし、自殺した娘の気持ちを思うと新しい嫁とも同居できずに、根岸の寮番となる。
寮番をしながら日々色々な出来事に首を突っ込む。事件といっても殺人事件ではなく日常の不思議なことの解決なので、読んでいて無理が無く楽しい。
Posted by ブクログ
前々から店頭で、北原亜以子さんの名前と作品を目にしていたのだが、初めて購入してみた。
新しい時代物を開拓したい・・・と言うのがきっかけだが、当たりの作家さんに出会えたと思う。
悪人が出て来ない作品と言うのもいいものである。
もちろん、作中に悪事はあるし、悪人と括られる部類の人間も登場するのだが、その行動の全てが悪ではない点が少し物悲しくもあり、ホっとさせられたりもする。
必要悪という言葉は好きではないが、人間の二面性を垣間見るようでもあった。
Posted by ブクログ
下町に生きる人々のドラマを短編でつづっている。
一つ一つの物語は、やや切ないものや、人情味あふれるもので面白い。
ドラマ化されるのも頷ける。
しかし、やや読みづらい感じがしたのはなぜだろう?
私の頭では、場面の切り替えが難しかしく、書かれている内容の映像が浮かびにくかった。
さらに、文中のセリフは誰が言っているものか、やや分かりにくい感じがした。
それでも、読み続けるうちに慣れてきたので、最後の「饅頭の皮」ですっきりと読み終えることができた。
慶次郎縁側日記 続編を読んでみます。
Posted by ブクログ
慶次郎縁側日記です
完全にスッキリする終わり方が少ない
佐藤雅美先生の居眠りシリーズのような
それでいて、それなりに慶次郎が評価を
されていて、意外と実力がある・・・
なんだか不思議な世界です
でも、この家の縁側で時折遭遇する事件
を眺めてみたい
Posted by ブクログ
全1巻。
時代小説。
一話完結もの。
あんま好きじゃない一話完結、連作長編。
時代物のこの形式はあんま好きじゃない。
が。
しみる。
最初は文章が少しぶっきらぼうで、
終わりがストンと終わる感じが違和感だったけど、
読んでるうちに人が好きになってくる。
後半はもうにやけながら。
寂しい、せちがらい人生で、
粋な人情がしみわたる。
人と人で生きてく素晴らしさ。
他のシリーズも買おう。
Posted by ブクログ
「その夜の雪」は別の短編集にも入って居て、私がこのシリーズに手を出すきっかけになった物語です。
しかし、どうも乗り切れません。
野球にはナックルボールと言う予測不可能な変化をする変化球がありますが、なんかそんな感じがします。多くの短編の最後で急転直下するのですが、それがどういうきっかけなのか判らないのです。何か伏線があって変化するのなら"なるほど"となるのですが、どうもアララと思っているうちに話が終わってしまいます。
ある人いわく「北原さんは藤沢周平系統の作家なのですが、本書を読む限り、思い出すのはむしろ池波正太郎「剣客商売」の秋山小兵衛です。」なるほど、そんな感じもありますね。