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Posted by ブクログ
哲学者鷲田清一の哲学エッセイ最新刊。前作の『大事なものは見えにくい』『おとなの背中』などと同様、著者が新聞や雑誌で発表したエッセイを収録したものである。短い文章で易しい言葉で書いてあるので読みやすいと思いきや、一編ずつその意味する所をきちんと理解し、自分なりの考えをまとめながら読み進めていくためには結構頭を使う。
例えば昨今「自分探し」「本当の自分」などという言葉が流行っているようだが、鷲田は「自分らしいとはどういうことかという問いかけはそもそも奇妙だ」とし、「ありのままの自分」「本来の自分」という言い回しが奇妙なのは、その問いが他者の存在を考えず、自分の中だけでの閉じた状態にあるからだと説く。「自分とはだれかある他者に対していつもその他者として存在しているものだ」とは鷲田がいくつものエッセイなどで繰り返し説いていることであるが、改めてその意味を考えさせられる。
鷲田清一の臨床哲学者としてのエッセイは、短文ながら様々なことを論じており、日常の物事を違った目線でとらえて考えなおすきっかけになる。「哲学」と身構えずに気楽に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
『おとなの背中』に続いて、タイトルがこれまたいい。
ただ、今回の内容については、むずかしいところが多くて、ちょっと読みづらかった。
でも、鷲田さんのものごとを視る視線、なんともいえないくらいに好きです。こんな文章が書けたらなぁ、と思う。