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Posted by ブクログ
もうじき三十だというのに、顔も身体も『子ども』らしすぎる石原世都は、気が弱い私立高校の美術教師。
子どもっぽい見た目から生徒からの扱いも軽いものだし、「美術」という受験には何の関係もない教科の担当のせいで職員室にも居場所がない。
そんな世都にも秘密が一つだけあった。
それは、年下の同僚・千澤口杜和と恋人同士でしかも、同棲しているということだった。
実は、世都と杜和は高校の先輩・後輩の間柄だったのだが、水球部のエースとして活躍している杜和を美術部に所属していた世都が一方的に見つめるだけの関係だった。
言葉を交わしたのはたった一度、世都が他の水球部の連中に絡まれていたのを杜和が助けてくれたのだった。
そんな時を経て、再び同僚として再会した世都と杜和だったが、世都が付きまとわれていたストーカー男に襲われたのをきっかけに、「放っておけないから」と世都は半ば無理やりに杜和の部屋に匿われることになる。
そしてそのまま三ヶ月――。
何度か荷物を取りに自宅へと帰ったけれども、その往復は杜和の車で杜和の護衛付きでの行き来で。
ついには、家賃を二重に払うのが「もったいない」という理由で世都の済んでいた家を解約されてしまう。
とんとん拍子に進む物事に、世都は困惑する。
そして何よりも「どうして自分を抱くのか?」との問いに杜和に「そんなことどうでもいい」としか答えてもらえなかったことに、自信を喪失していて、杜和が傍にいてくれるのなら「何でもする」状態になってしまう。
ましてや、自分のどんくささから、呆れたような返事しかしてもらえなくて、ますます世都は杜和の言いなりに……。
そして何かと失敗をやらかす世都に対して杜和がする『お仕置き』はエッチなものが多くて、いつも死ぬほどヤらしくて、お仕置きなのについつい世都は感じてしまい、その行為に溺れてしまう――。
という感じの話でした。
実は杜和は世都のことを最初に会った時から気になっていて。
世都がストーカー男と知り合ったSNSの管理をする会社に勤めていて。
世都の居場所を知って、その仕事を辞めて世都の職場に再就職してくるくらい世都を独占したいと思っていて。
無理やり同居を押し通したのも、杜和の独占欲の表れなんだけれど。
ちょっと天然でぼけたところのある世都は気づかない。
気づきそうになったら、杜和がエッチで陥落させちゃうから、いつも答えまでは行き着けない。
そういう二人の関係で。
杜和は自分でも自覚しているとおり、「対象に好かれたストーカー」。
世都の泣き顔が好きという鬼畜っぷりで。
それゆえ、世都を困らせたいから自分の気持ちをはっきり伝えようともしない。
結局、最後までそういう甘い雰囲気になりませんでした。
まぁ、内容についてはそんな感じなんですが、個人的にびっくりしたのはこの作者さん、こんな話も書けるんだ!? ということ。
近頃この作者さんの話を読むことが多いんですが、大体が胸の苦しくなるような切ない系の話が多い作者さんのイメージだったんですが。
今回のこれはやたらえっちなシーンが多い。
普通に会話しているよりも、そっちのシーンの方が多いんじゃないか……と思うくらい。
確かに、杜和に本当の気持ちを言ってもらえない世都の気持ちは切ないっちゃ切ないんだけど、でもやることはバンバンやってて……。
かなりびっくりしました。
いつものようなちょっぴり切ない系の話を期待するのであれば、オススメできませんが、個人的にはこれはこれで有りだと思うので、ちょっとえっちが濃くても大丈夫! という人にはオススメします。