【感想・ネタバレ】ザ・ディベート ――自己責任時代の思考・表現技術のレビュー

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Posted by ブクログ

ディベートについて、本来の定義から方法論と実践例、活用方法まで網羅した内容となっている

第1章 思考・表現技術としてのディベート
第2章 調査技術としてのディベート
第3章 コミュニケーション技術としてのディベート
第4章 問題解決技術としてのディベート
第5章 ディベートを社会に活かす


「ディベート」について、日本人の多くが「理屈で相手を論破する言い争いの技術」「サギをカラスと言いくるめる技術」というイメージを抱いているがそれは間違いだという
討論の勝ち負けが強調されがちではあるが、本質的には「論理的に思考し表現する技術」がディベート

「朝まで生テレビ」はディベートではないと断言する
相手の主張を遮って自らの主張を割りこませる技術に長けた人の主張が受け入れられている
ファシリテーターの仕切りに依存している
本来のディベートはそれぞれの持ち時間内に主張と反証を繰り返すもの


ディベートは相手の論旨を傾聴し、議論を掌握する能力が必要
情報収集、哲学、論理展開、傾聴、問題点の発見、短時間でのストーリー構成等々の訓練法として有効である

日本人の英語がわかりにくいのは、発音や語彙の問題ではなく、文章に論理性がないという指摘
日本語でもディベートを行うことで論理性が養われ、英語の文章作成が上達するという

ディベートの5つの鉄則
・主張するものは証明すべし
・沈黙は同意を意味する
・建設的な議論をする
・人格と議論を切り離す
・意見と事実を切り離す


テーマも大きく3つに分けられる
1.事実論題
2.価値論題
3.政策論題

未知の事実については証拠が重要視される
政策は政策の立案や実効性まで考慮する必要があるので、難易度が高い
その点で、価値論題はディベートの経験が少ない人でもとっつきやすい




日本では何故ディベートが馴染まない理由としては、重いテーマに関しては公の場で発言することは憚られる風潮があるからかもしれない
ディベートの鉄則である「人格と議論を切り離す」ができないのでしょうね
どれだけ論理的でも倫理的に欠ける主張をすれば人格を疑われる可能性がある社会
本来のディベートはどちらの立場でも主張できる「技術」だけれども、「意見」の方が重要視されるからか?

センシティブなテーマや一歩間違えると差別的な主張になってしまうテーマに関しては口を噤むのが良しとされる風潮のままでは、ディベートという文化は根付かないと思う


では、どうやって意見が表層化しているかというと、現代の日本ではネットの影響力が強くなってきているのではなかろうか?
ただ、意見の多寡や影響度を為政者やメディアがいいように操っているわけで、それも実態を表してはいない
それらの意見を無視した方針を打ち出す政府ですものねぇ


選挙では人や政党を選ぶしかないけど、個別の政策について議論するする場があったらいいのにとは思う

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2023年01月21日

Posted by ブクログ

ディベートについて、全くの無知でした。

具体的な実践方法も詳しく解説されていたので、非常に理解が深まります。

想いを言葉にするのが苦手なため、正直やりたくはないですが、社会で生きていくためには必要な技術かと思います。

何事も事前の準備は大切ですね。

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2021年04月29日

Posted by ブクログ

ザ・ディベート―自己責任時代の志向・表現技術。茂木秀昭先生の著書。日本人はディベート苦手、ディベート嫌いが多いけれど、これからの自己責任時代、国際化時代でたくましく生きていくにはディベート能力は絶対に必要。日本人的な平和主義、日和見主義を気取って、ディベート、議論で必要な自己主張すらできなくては生きていけない、そんな時代がもう迫っていると思う。

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2018年07月29日

Posted by ブクログ

一般的に思われている、やんややんやと言い争うイメージを払拭し、きちんとしたディベートの原理を解説してくれる本書。ディベートは単にルールもなくただ言い争うだけでなく、しっかりとルールを決め、論証や反駁、事前準備などの手続きをした上で「お互いに発言をしていく」というものがディベートなのだと、しきりに本書では強調されています。

特に、「朝まで生テレビ」はディベートではないと言いきり、明確なルールに基づく論理的思考、及びそのプロセスの記述は、特に面白く読ませていただきました。

読後、「聴くことの大事さ」がなんとなく気構えとして身についたような感じがします。相手の発言を止めてでも自分が発言するのではなく、相手の発言をしっかりと受け止め、きちんと論理的に(感情的ではなく)反駁していくことは、日常生活の中でも非常に大事なことだと思いました。

言い回しなどの技術・臨床的な本ではないため、あしからず。ただ、豊富な事例の中から見出せる知識・技術はかなり沢山あるのではないかと思います。競技ディベートをしようという方に特に有用ではないかと思います。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ディベートとは何ぞ?
なんでディベートする必要があるの?
どうやればいいの?

ディベートの教科書のような本。
良著。

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2012年05月27日

Posted by ブクログ

僕自身は中学・高校の頃ディベートというものが嫌いだった。ディベートで扱われる題材のほとんどが興味の無いものだったのと、いくら議論したところで、結局は主観・直感に落ち着くものだと思っていたからである。
本書の前半のほとんどは、「ディベートの意義」について述べられているが、僕のようにディベートに対する嫌悪感を持つ人にとって、その部分だけでも本書を読む価値がある。僕は、作者が云う処の「ディベートに対する誤解」を、かつてそのまま感じていたが、本書を読むことでそれを払拭することができた。冒頭で述べられた「データに基づき、クールに、客観視して、自分の意見を絶対化せずに相対化するための思考技術であり、表現技術」という言葉に、全てが集約されていると思う。
ディベートの良いところは、下手をすると人間関係を壊しかねない論理的な主張と反論の応酬を、一つの競技・技術と体系付けることによって、人間関係の摩擦を生むことなく、より激しく、効率の良い議論をできるようにした点だと思う。ディベートという競技のルールを誰も知らない状態では、いつまでもカオスな会議が続くだけだ。ルールを全ての人が知り、守ることで、より客観視され洗練されたアウトプットを出すことができるようになる。これからの時代に、知らない・できないでは済まされない技術になるだろう。

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2011年09月27日

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