【感想・ネタバレ】貧乏は正しい! ぼくらの未来計画(小学館文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

シリーズ第5弾。本書は、「この先を考えるうえで必要な過去のこと」がテーマとなっていて、資本主義の仕組みとバブルの崩壊後の社会のあるべき形が論じられています。

著者は、資本主義の根幹は借金であると言います。資本主義では、起業したい人間は借金をして、それを元手に新たな事業へと乗り出します。株式市場で、事業をおこなう企業に株主が金を貸し出し、それによって多くの企業が事業をおこない、空前の豊かさが実現しました。

その結果、日本には「金余り」という事態が起こることになりました。これは深刻な問題だと著者は言います。なぜなら、事業を始めたいけれども金がないという人間と、金はあるけれども事業は始めたくないという人間が、株式市場で出会い、投資がおこなわれることで、資本主義がうまく回転していたのに、「金余り」はそうした資本主義の根幹を切り崩してしまうからです。ところが、この深刻さをしっかりと認識する「大人」はおらず、余った金が大量に土地に流れ込み、バブルを生み出してしまったのでした。

ここまでが過去の話で、こうした前提を押さえた上で、著者はこれからの社会への展望を語っています。それは、「自給自足」という呪縛から解き放たれた、他者を志向する社会らしいのですが、その具体的な形は明らかにされず、「若者」である読者に問題を投げ返して、締めくくりとなっています。

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2014年02月18日

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