【感想・ネタバレ】人質の朗読会のレビュー

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何度も読んでいる本。
大きな華やかな出来事ではないけれど、力を与え
られる出来事を見せてもらった感じが好き。

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2024年02月25日

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構成を初めに話して結果が分かっているからこそ中身の短編たちが意味を持って輝いて見える。

小川洋子さんの小説は何かしら死の存在を織り交ぜるケースが多く、静かな中に美しさが感じられる文章が毎回落ち着く。

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2024年02月24日

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大きくわけると9つの話にわかれていて
読みやすかった。
どの話もドカンと衝撃的な話ではないが、引き込まれる話だった。未来が見えない中、自分の過去を思い出したときは、大きな出来事より些細な出来事が思い出されるのかもしれないなと。
文体がそれぞれの性格や性分を現すように書かれているところもおもしろいと感じた。

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2024年02月18日

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“記憶”の美しさそのものを得られる物語

なんて美しくて悲しくて儚くて確かな欠片達なんだろうと思いました。
命や人生がそういうものなのか。

詳細や輪郭が確実に見えるわけではないのに、
失われる、失われたこと、が辛くて心が痛い。
けど失われたことや、失われ方だけに意味がある訳ではない。

相手が大切にしているものや、してきたものを
大切にしたいというか、当然ながら相手にそういうものがある、ということのかけがえのなさを感じました。

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2023年12月05日

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海外で反政府ゲリラに襲撃され人質になった8人がそれぞれの物語を綴り行った朗読会の話。緊迫した状況の中紡がれる物語が胸に響く。空気感が好きで静かに流れていくこの朗読会がずっと続いてほしくなる。もし私がこの場にいたら、語れる物語はあるのだろうか。

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2023年08月03日

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ネタバレ

見知らぬ土地で人質になり、いつ殺されるかも分からない8人が、過去の何気ない思い出を朗読していく話。
人質たちが語る思い出に出てくる人物は、名前すら分からないような人たちばかりで、そこにドラマチックな展開があるわけでもない。でも、それを死の間際に思い出すのは、何気ない物語が、語り手の中に深く根を下ろしている証でもある。

自分が選びとって生きているつもりの人生の中には、一体いくつの何気ない物語からの影響があるのだろう。そんなことを、ふと思った。

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2023年06月24日

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ネタバレ

あらすじだけ読むととんでも展開だが、いざ第1夜が始まると、不思議で切なくて温かい小話が続いていく。特にやまびこビスケットが1番感情を揺さぶられた。B談話室も、自分も真似てやってみたくなる面白さ。実際はそう都合良く1席の空いた席など無いだろうし、集まりによっては部外者が混じると絶対にバレるだろうが。
自分ならどんな話をするだろうと考える、と共に、こんな機会があることを夢にみて、話を考えておきたくなる。
どの話も面白く、また読み返したい1冊だ。

"『sEIrI seITOn』丸テーブルの真ん中に、どうにか整理整頓が完成した。〜「英語の文字でも整理整頓と書けるんだねえ。なかなかいいよ。気に入った」〜私たちは『sEIrI seITOn』をしばらく眺めたあと、二人で分け合った。大家さんがsEIrI seITの九個、私がOnの二個を食べた。"p54

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2023年05月07日

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小川さんのを読むと優しさと容赦のなさって共存するんだなと思う。

花束はこういう話が書きたかったんだと思うほどに大好き

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2022年11月09日

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ネタバレ

わたしがもし異国の地で、生きるか死ぬかの状況に置かれたら、何を思い出すのかな…そんなこと思いながら読んでいた。

8人の人質と1人の政府軍兵士が思い出したのは、決して派手な話でも、人生が順風満帆な時期の話でもなかった。むしろ世界の片隅で孤独や死の気配を感じながら生きている、そんな一場面だった。
でも暗いだけじゃなくて、一生懸命自分の人生を生きている人たちもいた。個人的には、やまびこビスケット、のお話が好きだった。胸が温かくなった。

それぞれの朗読の最後に記された年齢、ここに至った経緯を見ると、9人ともその後の人生をちゃんと生きてきたんだと当たり前のことに気付く。語られた記憶をきっとお守りのようにして、粛々と生きてきたんだろう。

それぞれの人生は、普通なら賞賛されることなく見過ごされる。でもこうしてよく耳をすませるとハキアリの列のような美しさがあるんだと思う。

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2022年09月20日

匿名

ネタバレ 購入済み

 人質になった日本人たちが極限状態の中で自らのエピソードを語っていく物語です。

 とても平易な語り口調で綴られる物語は彼らがもう亡くなっていることもあり、セピア色の写真を見るようです。

 小川洋子の作品の中でも、その完成度の高さからもっとも好きなものの一つです。

 小川洋子の特徴のひとつのグロテスクさがあまり前面に出ず、叙情的な部分が際立った作品であると思います。

 私は特に「槍投げの青年」が好きです。陸上競技特有のストイックさや、力強さや、繰り返しのルーティーンからの高揚感などが、その文章の中で鮮やかに蘇ります。

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2019年12月13日

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小川洋子さん!って感じで、日常に起こりそうで起こらなそうな話たちを一緒になって聞いてる気分。
最近、言語化がどうとかこうとかっていうことばかり考えていたから、なぜ小川洋子さんの文章に惹かれるのかを考えながら、噛み締めながら読んだ。
どの話も甲乙つけ難くて、印象的だった。
自分がこの場にいたら、どんな話を出来ただろうかと思わず考えてしまう。日常のささいな話を物語として残せる人になりたい。

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2024年05月04日

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さみしさと優しさを携えている。朗読会で披露するものが、例えば最愛の人との出会いのような特別にドラマチックなものではなくて、日常に落ちていた出来事、けれども忘れ難いものであるところがすごく愛しくてよかった。『やまびこビスケット』『コンソメスープの名人』お気に入りです。

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2024年05月05日

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うまく理由を言語化できないけれど、
とにかく空気感や文章が好き。

人生の中の出来事が、
職業選択に繋がっていて、そうか〜と感慨を受けたり。

でもただ明るいというよりは
静かに生と死が流れている感じ。

やまびこビスケットと花束が特に好きかな。

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2024年01月27日

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人生の中で誰しもひとつは持つ大事な出来事、自分を変えた出来事を朗読していくもの。人質たちの置かれている状況自体はそこまで関係がないように感じて、実はお互いがそれを共有するという意味で重要となり悲しいような美しいようなそんな作品だった。

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2024年01月14日

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皆誰しも物語を持っている。日々に翻弄されるサラリーマンであれ、夕食に頭を悩ます主婦であれ、老若男女関係なく、人と人が出会うなら、そこに物語は常に芽吹く準備をしているのではないか。

そうして発生した物語は、必ずしもその人の容姿や言動に垣間見えるほどはっきり見えるものではなくとも、その人が人生の中で縒ってきた糸束のうちの特別な一本だったりするのではないか。その一本をそっと手に取って、色や光沢、ほつれを読み上げる時は誰しも物語の主役――例え輝かしいものを見ているだけであっても――になれる、そんなことを考える一冊でした。

誰かの物語は、また誰かの物語を呼び起こすのではないか。頑なだったものを開かせたり、手にしていることすら気づかなかったものを「私にだってあったかもしれない」そんな気持ちにさせる気がする。

そうして人が亡くなるたび、物語は永遠に失われる。それは特別なことではなく、当たり前のことだと、今もそうだと今更気付く。

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2023年09月24日

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日本から遠く離れた場所でゲリラの人質になった8人の日本人。突入作戦の失敗で全員死亡。盗聴から彼らが生前、一人一人書いて朗読していた物語が語られる。
彼らの人となりなどは殆ど語られず、淡々と物語が続く。

小川洋子節という文体があるなと感じた。饒舌だけど、口煩く感じない。熱量があるのに、冷ッと感じる。
それぞれが自分の過去を見返した内容。そんなに不思議な物語は少ない。

読み終わって暫くして、死霊の語った物語だったような気がしてきた。
何故、小川さんはこの設定にしたんだろうか。

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2023年08月29日

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南米で8人の日本人が現地ゲリラに拘束された。ゲリラに拘束された日本人たちは、それぞれの人生で印象的だった出来事について、毎晩話し始めた…。

プロローグとエピローグにゲリラの話を挟み込んだ、8話+1話の掌編。足をくじいて動けなくなった工員のために杖をつくる話、特に美味しくないビスケットを作り続け、意固地な大家とビスケットで意思疎通を始める女性など、最初はホワッとした話から、じわじわと小川洋子らしい言葉によってやさしく物を撫でるような表現の作品に沈み濃縮されていく。

表現の秀逸なコンソメスープの作り方とやり投げの槍と選手の肉体の話は、小川洋子の真骨頂であろう。個人的に好きなのは、やはり『死んだおばあさん』だろうな。小川洋子の話っぽくはないが、本作では一番印象的な話だ。最後にまたもう一度拾われるあたり、作者もこの中で重要な作品と感じているのだ。

全体に中年以降の設定の人たちの話になっており、全体のテーマとしてもそれぞれのテーマとしても「死」を見つめる話がほとんどだ。ガラスのような…というのも、硬さを感じないため少し違う気がする。砂の城のような儚さが、本作の醍醐味であろう。

それぞれの作品のテーマで、長編を書いて欲しくなるし、読んでいて小説を書きたくなる作品群だ。

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2023年08月15日

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 本作品を読むにあたり二度、大きな衝撃を受けた。一度目は提示されている深刻なあらすじから、二度目は読む前と後で作品に対して受ける印象が180度変わった事からである。
 反政府ゲリラの襲撃により拉致された人質たちは、過去を朗読会という形で語り合い、お互いの声に耳を澄ませる。それは犯人を始め誰からも脅かされる事のない確固たるものである事を物語っており、力強さを感じた。決して損なわれない過去という名の要塞を、小さな扉を開けて誰かと共有出来たら、とても素敵だし愛おしいなと思った。
 今作の朗読者だけでなく、死は誰もがいつか直面する事である。漠然とした不安を抱えていたとしても、歩んできた道のりを、そしてこれから築いていく過程を大切にしていけたら、心の中は暖かな陽射しに照らされていくのかなと考えた。

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2023年08月09日

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小川洋子作品は曖昧すぎて分からない…という人は、この作品なら楽しめるのでは…と思ったが、どうだろうか。個人的にはB談話室が好き。

周囲の友人からは「小川洋子は意味不明すぎる」と不評(?)なのだが、作者は何を伝えたいのか?とかいうのは考えなくていいと私は思う。
本人も認めているが、彼女は社会や読者を意識して小説を書いていない。彼女が書きたいこと、残したいことをただ記している。私たちはそれを覗かせてもらっているだけでいいのだ。そこから、彼女の意図が分からずとも勝手に解釈していいのだ。

小川洋子は、仄暗い場所にいる人や知らずのうちに去っていった死者たち、そんな在るはずだけど掬い上げなければ見えない人たちの声と人生を記していく作家である。これについても本人が、無数の死者たちの秘書係でありたいことを話している。
この作品は、そのことがすごく分かりやすいストーリーだったのではないだろうか。

そもそも、彼女は言葉では辿り着けないような心理を表そうとして執筆する。ならば、「読み解く」なぞ難しいのだ。五感で読むのが小川洋子作品。
ただ、自分からは認識できない誰かの声や人生をそのまま聞かせてもらえばいい。そこから心や耳や肌で、何かを感じれればもっといい。

それが私の小川洋子の読み方である。
小川洋子作品の虜である者として、読みやすいと感じたこの作品で、読み方の例をシェアしてみたくなった次第。

みなさんは、どのように小川洋子作品を感じていますか。気になりますね。

少しでも多くの人が、彼女の静謐で仄暗く、守られている世界を楽しめますように。 

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2023年07月30日

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海外観光ツアーの参加者7人と添乗員1人の日本人8人が、反政府ゲリラ集団に襲撃され人質となった。
人質たちはそれぞれ物語を書き、それを一晩ごとに一人ずつ読んでいくという朗読会を開いた。この本に収められている9つのお話は、人質たちの物語と、人質救出作戦に参加していた政府軍の兵士の物語。
個人的には第七夜の「死んだおばあさん」と第八夜の「花束」がお気に入り。悲しい思い出や辛い思い出、恥ずかしい思い出でも、大切にしたいと思えることってこういうことなんだろうな、と思う。
一番心に残ったのは、第九夜の以下の言葉。
pp. 224-25
彼らの朗読は、閉ざされた廃屋での、その場限りの単なる時間潰しなどではない。彼らの想像を超えた遠いどこかにいる、言葉さえ通じない誰かのもとに声を運ぶ、祈りにも似た行為であった。その祈りを確かに受け取った証として、私は私の物語を語ろうと思う。

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2023年06月24日

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山奥で人質として囚われて亡くなった8人とその現場を傍聴していた軍人1人の朗読、それがラジオで放送されるという形式の9話

一人ひとりの心の中に残っていたエピソード
不思議な話もほっこりするような話もちょっと冒険みたいな話もあるけど、それらすべてが人質に囚われた人から発せられるエピソードであるという前提があるので
単に楽しいという気持ちではいられなくなる

自分の死が差し迫っているかもしれない状況で思い出される話は何だろうと考えたが
結局そのときになってみないと分からないと思った
明日があると信じて疑っていない今は、目の前にあることに精一杯で過去の一点をぽんっと思い出すことができない

もう自分には未来はなく、過去しかないのかもしれないと感じている人が思い出す大事な記憶を垣間見ることで、自分が今生きていること、それがこれから何十年と続いていくと思っていることを実感させられる一冊だった

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2023年03月17日

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手の届かない場所へ行ってしまったとしても、彼らの語る物語は消えない。彼らの過ごした過去は揺るがない。だから、大丈夫。

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2023年02月17日

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人質の朗読会 小川洋子

異国の地で人質となり亡くなった8人。彼らが拘束された期間に行っていた朗読会。自らの物語を語る。
短編小説集という形で構成され、最後9章で通信を盗聴していた特殊部隊員が自らの物語と盗聴していた朗読会を重ね合わせることで締め括られている。
朗読をハキリアリの行進と例えている

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2023年02月15日

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それぞれの人生の一場面を切り取った物語。
最悪の状況の中でもわずかな光を求めていく。
そして苦しみから逃れる今を生み出していく。
全員救われてほしいと願ってしまう。
そしてコレがまるでノンフィクションのようなリアルで見えてくる。
小川さんの凄さを知った感じだ。

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2022年12月08日

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初の小川洋子先生作品
短編集なので、次々と読めた。
不思議な感じ。
日常のようであり非日常な感じでもある。
B談話室でなんとなくソワソワ
死んだおばあさんで不思議な気分
頭と最後でなんでかなぁとなった。

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2022年10月18日

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全ての朗読会が美しい。

掌編の最後の(専業主婦、30代女性)というひと言だけで、どの話にも結末の暗示や、話のオチが付いているのが、この「人質の朗読会」が他の短編集と一線をかく所だと思いました。

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2024年04月07日

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WOWOWでドラマ化もされた本作。タイトル通り、自分の命がどうなるのかもわからない人質という状況下での朗読会の様子が綴られています。

語られた思い出は、わかりやすく嬉しかったり悲しかったりではなくて、どれも妙に記憶に残る印象的な出来事ばかり。
祈るような気持ちでの読書。
一話ごとに、読んだ後はしみじみと余韻にひたりたくなる不思議な気持ちになりました。
何だかとても厳かで静謐な世界。そしてもの悲しさが漂う作品でもありました。

特に印象深かったのは、
「やまびこビスケット」
「冬眠中のヤマネ」
「ハキリアリ」

久しぶりに著者の作品を読みましたが、小川さんならではの世界観を感じました。

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2023年11月27日

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他人から見ると些細な出来事だけれど、自分にとっては磨く前の原石のような出来事。それをこの絶体絶命の状況で語るというのが興味深い。話の内容に深い意味はなくとも、本当に心に残った(引っかかった)ことが最期に浮かぶのかもしれない。

佐藤隆太さんも書かれてたけど、「私だったらこの場面で何を語るだろう」ってつい考えちゃう。今夜の夜更かしの理由はこれになりそうだ。

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2023年11月11日

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人質という絶体絶命なはずの立場で、ぽつりぽつりと語られるそれぞれの物語。
少し不思議だったり、温かい気持ちになるような思い出のかけらが、同じ立場に置かれた見ず知らずのツアー客の前で共有されてゆく。
もしも私が人質だったら、どんな物語を語るだろうか。

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2023年09月02日

Posted by ブクログ

異国の地で人質として亡くなった人たちの朗読会。もし自分が同じ立場であれば何を話すかな…そんなことを少し考えながら読み進めた。

やまびこビスケットの話とコンソメスープ名人の話が好き。

当たり前だけど皆んなさまざまな過去を持っていて、たとえその人が亡くなっても過去は消えない。エピソードは残り続けるんだなと。

語った人たちの年齢や職業を見ると、皆んな普通の(?)と言うと語弊があるけれど…語ったエピソードの後で人生をしっかり歩んできたのが分かる。
それが好きでした!

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2023年05月23日

Posted by ブクログ

感想
残酷だが美しく優しい物語。初めから死の結末が見えている。読み進めるのがとても辛く覚悟を要するが、我々読者は結末を見届ける義務がある。

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2022年12月12日

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