【感想・ネタバレ】ルポ「中国製品」の闇のレビュー

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Posted by ブクログ

勿論、中国、の裏側、それは当たり前のように描かれているが、それを判っていながら、あるいは中国製品に関わらず、日本官民の癒着と言っていいのか、利権構造にも触れている。
んでもって、やっぱり我々下々が、リテラシー能力に欠けてるんだと思わせてくれる。
テーマは「義歯」だが、勿論それに止まらない。

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2014年09月06日

Posted by ブクログ

「中国製品」を通じて中国および日本の問題点を指摘したルポ。
著者はジャーナリストの鈴木譲仁氏。
全四章構成。構成および章タイトルは以下の通り。
第一章 義歯とギョーザ
第二章 中国産義歯による健康被害の実態
第三章 日本の歯科医療を蝕む「安全神話」
第四章 技術権威主義からの脱却

第一章では、近年日本で使用されている義歯の多くが中国で製造されていることにふれ、以前日本で起こり大問題となった所謂「毒ギョーザ」事件と対比しつつ、厚生労働省の対応を指摘し、問題点を指摘する。
第二章では、中国での中国産義歯による健康被害について、被害者や弁護士らに直接取材をし、現状を明らかにする。
第三章では、義歯の原料となる歯科材料について、「JISハンドブック」の『医療機器Ⅳ』などを調べ、その内容がISOによる基準と齟齬をきたしている点を指摘、なぜそのようなことになるのか、関係機関への取材を試みている。
第四章では、「中国製品」自体の問題もさることながら、それを受け入れている日本の対応を批判。旧態依然とした企業や行政の組織は解体するべきで、「クリエイティブ力」をもった階層を出現させるべきだとする。

読後感として、タイトルと内容に若干距離を感じた。結果的には興味深い変化球であったけれど。
「中国製品」の問題を挙げつつ、実はより深い問題として、受入側である日本の制度及びその硬直化の原因を指摘しているわけで。まぁ「闇」といえばそうだろうけれど、タイトルだけの印象だと全ての問題が中国のみに集約され、今回はその暗部にメスを入れるルポルタージュなのかと勝手に考えてしまう。
また、JISハンドブックの『医療機器Ⅳ』について、素人には理解しにくい「外国語」が散見するというような説明があり、所々分析をするために当該文章を掲載しているが、結局全文が掲載されているわけではないため、読者としてはどこまでを分析したのか不明なままである。一冊の値段が結構高いという評価をしているのだから、関係資料の全文抽出はしていただきたかった。

とはいえ、現在の中国が抱えている問題や、硬直化している日本の企業や行政について指摘している部分はもっともなことで、新知見も得られた。

最後の「クリエイティブ力」については、リチャード・フロリダの『クリエイティブ・クラスの世紀』から引用している。これも新知見ではあるけれど、堤未果『(株)貧困大国アメリカ』を読むと、とてもこのようなクリエイティブ力の階層が形成されているとは考えにくいのだが、次はこのあたりについて知りたいと思う。

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2013年10月01日

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