【感想・ネタバレ】異端の皇女と女房歌人 式子内親王たちの新古今集のレビュー

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Posted by ブクログ

「玉の緒よ」と、「山深み」の歌くらいしか知らないで、本書を読んだ。
目からウロコの連続だった。
そもそも「玉の緒よ」の歌も、百首歌の題詠であるから、男目線で読んだ歌だったとは。
室町以降の、家制度に取り込まれて女房歌人が活躍しにくい状況が生まれていく中で、女性歌人の歌が私小説的に理解されるようになっていったという指摘は新鮮だった。
私小説的な理解というのは、もっと近代になってからのことだと思っていたから。
そのほかにも『無名草子』は俊成女の作ではないだろうという推定なども面白かった。

先人の研究成果を踏まえつつ、論を積み重ねているため、とても安心して読めた。

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2014年10月26日

Posted by ブクログ

後鳥羽朝廷は藤原道長・一条天皇の時代と並ぶ、朝廷歌壇の最盛期。式子内親王は「玉の緒よ・・・忍ぶることの弱りもぞする」の歌、そして定家が憧れた13歳歳上の薄幸の美形女性のイメージだったが。皇女として珍しいほどに歌会などに参加したり、和歌を詠み送っていた異端的な存在だったとのこと。実際の恋に基づくものではなく、当時の歌は歌題に基づく題詠だった!このあまりにも有名な歌は男歌で本来男性の立場に立って式子内親王が詠んだとの説が有力だそうだ。がっかり!恋の進行に沿った時系列構成で勅撰集や百首歌が配置されているらしい。それが15段階で「初恋、忍恋、聞恋、見恋、尋恋、祈恋、契恋、待恋、遇恋、別恋、顕恋、稀恋、絶恋、怨恋、旧恋」で終焉に至るそうである。
そして後半は女房歌人の代表2人を紹介。それぞれ樋口一葉、与謝野晶子に例えられるという宮内卿と俊成卿女(実際には俊成の孫)
花さそふ比良の山風吹きにけり漕ぎゆく舟の跡見ゆるまで(宮内卿)
露払ふねざめは秋の昔にて見はてぬ夢に残る面影(俊成卿女)
後鳥羽と彼女たちの時代が鎌倉時代の承久の変を思うと、新古今時代の優雅さが、庶民の苦しみと政治を無視した貴族たちの遊びであったと改めて感じる次第。

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2014年06月30日

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