【感想・ネタバレ】[新訳]読書について 知力と精神力を高める本の読み方のレビュー

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Posted by ブクログ

 何点かふと我に返り考えさせられることばもあった。私も無駄なプロセスは必要だと思う。
■無知は富と結ぶつくことによって初めて人間を堕落させる。貧しい人は貧困と辛苦によって躾けられる。
■読書とは自分で考える代わりに他の誰かにものを考えてもらうことである。
■大量に,またほとんど一日中読書する人は自分で考える能力を次第に失っていく。私たちが自分の思考への従事から離れて読書に移るとき,安堵感を得られるのはそのためである。読書中の私たちの頭の中は,他人の思考の遊び場であるに過ぎない。
■たくさん読書すればするほど,それだけ読んだ内容が精神に跡をとどめることが少なくなる。実に多くの学者がこの例に当てはまる。彼らは読書して馬鹿になってしまったのである。
■反芻することによってのみ,人は読んだものを身につけることができる。
■読んだ内容について後から再び思索することなく絶えず読書を続けると根を下ろすことがなく,たいていは失われてしまう。摂取したもののうち,殆ど五十分の一も吸収されない。残りは蒸発や呼吸などによって排出されてしまう。
■紙の上に書かれた思考とは,決して砂の上の足跡以上のものではない。
■作家の作品を読むことによって,その作家の特性まで身につけられるわけではない。けれども私たちが同様の特性を既に素質として,つまり可能性として所持している場合には,読書することによって内部のその特性を呼び起こし,意識へと登らせることができる。
■悪書は単に無益であるばかりでなく,実際有害でもある。著者・出版業者批評家は強固に結託している。
■私たち読者の側に関して言えば,非読書術が極めて重要である。
■良書を読むための条件は,悪書を読まないことである。人生は短く,時間と労力には限りがあるのだから。悪書は知性にとって毒である。
■書物を買うのは良いことだ。ただし,それを読むための時間も一緒に買えるならば。だが,大抵は書物を購入することで,その内容まで我物にしたと勘違いする。
■誰しも自分の関心に合うもの,即ち自分の思想体系や目的に合致するものしか留めておけない。
■「反復は習得の母」と言われる。とにかく重要な書物はいずれも,間を置かずに二度読むべきである。二度目にはテーマを文脈に沿ってよりよく把握できるし,結末を知ることによって初めて冒頭部分を正しく理解できる。
■文学史上の少数のうまくいった出産は,陳列室に探す必要がない。彼らは不死の者として,永遠にはつらつとした青春の姿で悠然と歩いている。

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2012年11月18日

Posted by ブクログ

前半は著者ショウペンハウエルの解説。
私は著者のことを知らなかったので概要を知ることができて参考になる。

読書とは、私たちの代わりに誰かが考えてくれることであり、その人の心の動きを反復しているだけ。
読むことばかりに慣れていると、極端な場合は自分で考える力を全く失ってしまうのだ。

本を読んでいる時、考えるという作業の大部分が免除される。

反芻することによってのみ、人は読んだものを身につけることができる。
多読、雑読。していれば、そのうちにだんだんと本を選べるようになる。
役に立つかどうか分からない本は読まない。というのは点滴で栄養を摂ることに通じる。それでは胃や腸そして歯は発達しないだろう。

読んだら自分で考える。そうしないと自分の中に根付かない。

良書を読む条件は、悪書を読まないことである。人生は短く、時間と労力には限りがあるのだから。

古典を読む。しかも原書を読むこと。
一方で、著書はベストセラーをなるべく読もうと心がけている。ベストセラーは、少なくともその時代の何かを反映していると思うからだ。

本を読んでどんどん忘れても良いのである。忘れるようなものはいらないと諦めて構わない。

自分の読んだものが身に付いたかどうか確かめる方法がある。それは書くことだ。

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2022年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ


読書については本来2巻本の一部であり、これはさらにその断片を切り取り、致知で著名な渡部昇一が、訳と自身の異論を含む解説をつけた形式。以前の本を読む本でもあったが、解説・解釈があっているかは確認すべきだが、それなりに納得はできる解釈。原著の内容よりも訳者のエピソードが面白い。読書後に自分で考える・書く・伝える・自分の意見を述べるといったアウトプットをしないと意味がない。渡部は本に、妻は自宅に金をかけ教養と快適な暮らしを生前から享受。子供に金を使う話や自身の哲学にお金を使う話は非常に感銘を受けた。

父の自殺、母との相性が悪い、母や妹の小説の方が売れた、この辺りは彼の哲学を読む上での前提。
「読書とは自分で考える代わりに他の誰かにものを考えてもらう事」「大量に、また一日中読書する人は自分で考える能力を次第に失っていく。自分の思考への従事から離れて読書に移るとき安堵感を得られるのはそのため。」文章を書いたりアウトプットすることは自分で考えながらやらないとできない。読書ばかりしていても、それについて自分で考える・書く・伝える・自分の意見を述べるといったアウトプットをしないと意味がない。論語なら、学びて思わざれば則ちくらし思いて学ばざれば則ちあやうしの前半部分。
「反芻することによってのみ、人は読んだものを身につけることができる」これは哲学書的な一読で理解しづらいものだけではという感じ。訳者も異論を出し、全ての本でやる必要はないと説く。訳者は雑読・多読により取捨選択できるようになるとともに時期を空けて年を取ってから再読することで感じ方や得られるものが違うというスタンス。これは正しいと思う。
「読書に費やすことのできる限られた時間を、あらゆる時代と民族に偉大な、他の人間からはるかに傑出した精神の生み出した作品、評価のゆるがないこれらの作品にあてよ」いわゆる古典や名作と呼ばれるものだが、こればかりでは正直読書が嫌になる経験も。色々読むほうが結局続く気がする。
「良書を読むための条件は、悪書を読まないことである」訳者も否定的で、自分の母や娘が書いているような通俗的小説などを悪書といっているのかもしれないが、そもそも良書を見分けるための力は多読から生まれるものだと説く。また、哲学等については、身の程を知るべきであって、分かりもしないうちに分かった気になっても意味がない。分からないこともあるという方が本当だろう。
渡部は、ベストセラーはなるべく読むようにしているらしい。少なくともその時代の何かを反映していると思うから。時代を見るために、過去のベストセラーに関心があるとのこと。詩も意外に年をとっても読めるらしい。自分なりの解釈がしやすいからかも。
「頒布は習得の母と言われる。とにかく重要な書物は間を置かず二度読むべき。結末を知ることで冒頭を正しく理解できる」ある意味その通り。間を空けて読むのもあり。
渡部は、アメリカで客員教授をしていた一年で現地の通俗小説ばかり読むようにしたらしい。現地の人と同じぐらいに楽しめるようになりたいと思い始めたとのこと。中でも「エリザベス・アルプトン」が役に立ったと。子供が不良になり、親が金をかけてくれたらと言われる話だが、ここから、「子供というのは、必要なときに金を使ってならなければ駄目だ」と感じたらしい。そこで、渡部は、借金してでもと覚悟し3人の子供を望まれた音楽の道に勧めたらしい。弦楽器で留学もさせたらしい。貯めていたらちょっとした資産家になったかもしれないが、子供が年をとってからお金をもらっても意味がない。旅行など散財するくらいしか使い道がない。渡部は本に金をかけ、妻は自宅に金をかけるというスタンスらしい。教養と快適な暮らしを生前から享受できる。
子供に金を使う話や自身の哲学にお金を使う話は非常に感銘を受けた。特に、子供の話はこの通りにしなければと感じた。野村監督の座右の銘を思い出す。「金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流」。「財を残すは下、仕事・業を残すは中、人を残すは上」という後藤新平。
史記もよいがだらだら長いので十八史略がコンパクトでいいらしい。また、何が古典として残るかについて、アーノルドベネット曰く、少数の熱狂的な読者を持った作家のみが残るということであった。大衆小説の流行作家の本が消えていくことを思うと説得力がある。渡部曰く「自分にとっての古典とは、自分が繰り返し読む本」。
ショウペンハウエルの悲観の哲学。人間の根底にあるのは「生に対する盲目的意思」であり、人間は満足することなくこれに動かされ、終わることなき苦悩となる。この哲学が悲観と言われる所以。仏教にも影響を受けており、苦悩から逃れる方法として、解脱のようなことを説く。1つは、生に対する盲目的意思を捨てる。例えば、童貞・未婚・粗食など。もう1つは芸術に触れること。一時的ではあるが、芸術的な直観はあらゆる制約から脱して事物を直観的に感ずる。

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2020年06月13日

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▲ショウペンハウエルの読書についての箴言集に渡部昇一先生のコメントがついている。▲「読書とは、自分で考える代わりに他のだれかにものを考えてもらうことである。」だから読書から安堵が得られるときがある。自分で考えることを避けたらいけない。▲ショウペンハウエルは古典を読めという。悪書を読まず良書を読めというが、渡部昇一先生は通俗小説からも学ぶことがあったという。どんな本からどういう人生のヒントが来るかわからない。本というのは読者によって変わることがあるものなのだ。

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2016年05月23日

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私は読書が大好きなのですが、この本と出会って、読書もまた毒にも薬にもなる行為だということに気づかされました。

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2013年04月29日

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新訳とついているが、訳した本ではない。ややこしいが、この本は『読書について』の要約で、一つの言葉について、渡部さんが(これはこうゆうことだ、これはそう思う)などの解説や意見を書いている。

それでもこの本はが価値があると思うのは、ショペンハウエルの生涯や、基本的な考え方が書かれており、初心者や、ショペンハウエルの感覚がわからない人に掴みやすい。

も一つ、渡部さんの意見として書かれていることに(これは、そうとも限らない)や具体例が、哲学を触れるにあたって盲目的に囚われないストッパーになっている。

もちろん原著の方が読み応えがあるが、こういった本も改めて噛み砕くのにいいと思う。

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2012年10月06日

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反芻することによってのみ、人は読んだものを身に付けることができる。
という指摘は鋭いと思った。
反復は習得の母らしいので実践したい。

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2021年02月17日

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漠然と「読書は勉強になる」と考えていると、読書は勉強にならない。この本は、そのような読書を痛烈に批判する。

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2017年01月22日

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サブタイトルの通り「知力と精神力を高める本の読み方」ということで、時間を無駄にしない系のお話がちらほら。
読み方のスタイルによって、意見の合う/合わないがすごくある本かなと思いました。

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2016年11月13日

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ショーペンハウエルさんの本から抜粋した内容を解説しているのかな。
渡部さんの個人的な見解が入っていたので、分かりやすくなったと思う。
しかし、サブタイトルの知力と精神力を高める本の読み方についてはよくわからなかった。
つまり色々読んでみろってことかな、と思いました。(これは渡部さんの意見)

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2014年04月08日

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読書をすることで教養が深まると漠然と考えていた時期に見つけて購入した本。
ショウペンハウエルの読書論。
読書を食事にたとえて話していたところ面白かった。
読書とは他人に考えてもらっているということである。

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2013年03月05日

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ショウペンハウエルについて
読書についての考え方がよくわかったが、なにか訳者によって変形されているような気がした
原著を読んでみたいと思った

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2013年02月02日

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ドイツの哲学者、ショウペンハウエル著「読書について」を筆者の解釈を交えて解説していく一冊。読むことで満足し、読後に思考する、ということをしなければ読書は馬鹿を作るだけ、といった趣旨のショウペンハウエルの言葉にはハッとさせられる。渡部さんの、年齢や環境によって読むべき本、理解できる本というものは変わってくるものだから、背伸びして読書をする必要はない、といった言葉も自分の中で一つの指針になりそう。読書への姿勢について、たくさん省みるところを見つけられた一冊。

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2012年09月23日

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後半の名言集のようなところを斜め読みした程度だが、
『多読によって悪書を見抜けるようになる』『90%は読まなくても良い本だ』のようなことを述べている言葉に勇気づけられた
平均以上に読書をする人は一度目を通して損はない、と思う

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2012年09月17日

Posted by ブクログ

名言と格言に、編訳者の解説が書かれてる本。
二部構成で、第一部は、ショウペンハウエルってどんな人?みたいな内容で
第二部は、「読書について」の感想文みたいなものが書かれてる。
あと書きのような物もなく唐突に本が終わってるので、この本ってこういう物なの?って疑問符が残ったままで終了した。

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2012年09月02日

Posted by ブクログ

内容をちら見した結果、面白そうだな、と思いましたが…・・

まとめれば、
「名言を正直どうでもいい経験談・人物評と共に、行間をたくさん開けてお送りする本」
だと思います。

渡部昇一が編訳を行ったわけなんですが、そもそも渡部昇一がどのような功績を残された方なのかは知らずにこの本を購入しました。

容はというと。

まずショウペンハウエルというオランダの哲学者の概要を示します。また、ちょびっと彼の思想と、哲学的文脈における意義を記しています。

その後、ショウペンハウエルの「読書について」からの警句ないし名言を並べ、作者の個人的な解説や経験を語っている、というものです。

この“作者の個人的な解説や経験”なのですが、経験についての記述が酷過ぎます。作者の勝手な人物評で、警句が指し示す結末を説明します。

大学の教授が読書をして無能な人間になった例とか……正直どうでもよかったんですが……

ただ、評価ができる点は、紹介されるショウペンハウエルの警句に対する作者の意見がなんとなく心強く感じる点です。ショウペンハウエルの言うことを全部鵜呑みにするのは思考停止ですが、それをきちんと作者が阻止するように時に反対したり指摘を行ったりします。

決して読んで損ではない。それは断言できる。けれど、読んで得かというと・・・まあ、読んでみてください。

★★★☆☆

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2012年08月19日

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