【感想・ネタバレ】そして官僚は生き残った 内務省、陸軍省、海軍省解体―昭和史の大河を往く〈第10集〉のレビュー

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Posted by ブクログ

一番身近な時代でもあるはずなのに、戦国時代や幕末などメジャーな時代以上に資料も揃っているはずなのになかなかその真相がわからない『昭和』。
正直、学生時代から自分が生きている時代であった昭和については関心が持てなかった。
歴史の授業でも最後の最後に飛ばすくらいで終わっていた時代。
今思うと、あえて飛ばされてたのかと勘ぐってしまう面もなきにしもあらずであるが。

そんな『昭和』にも年をとるにつれて興味が沸いてくるようになった。
なぜ、昭和に興味が持てないのだろうか?明治維新までの歴史というものには、その時代時代の『役者』に焦点が当たっているものの、昭和という時代を説明するにあたり、役者よりも歴史的事象に終始しており、役者の顔が見えてこない、役者を教えられてこなかったからではないか?
そんな疑問から徐々に昭和モノを読むようになってきたのである。

本書は主に戦争を主導してきたといわれる陸軍省、海軍省、内務省という3つの巨大官庁が、太平洋戦争後にどのように解体されていったか、または綿々と今の時代にも影響をもたらしてきたのかということが、当時のそれぞれの立場の戦争指導者や士官の行動を元に書かれている。
そういう面では役者の顔がハッキリしており、あの時代をわかりやすく理解できる。

陸軍がなぜ戦後『悪』の権化のように国民から思われるようになったのか、それに比べてそれほどの悪いイメージはなくむしろ戦争反対派として、なぜ海軍は『善』のイメージで捉えられるようになったのか?
明治以降近代化の中心をなした内務省はなぜ解体させられるにいたったのか?
等々、GHQの施策による戦前の体制の解体がそれぞれの組織戦略の有りや無しかで三様の末路を辿った経緯がわかりやすくまとめられている。

惜しむらくは、本書はあくまで3官庁の解体の話なのでしょうがないと思うが、GHQ側の思惑、特に日本の占領施策でG2とGSの対立があった等々、米国側の思惑ももっと取り上げていただきたかった。

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2014年08月26日

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