【感想・ネタバレ】事件の核心のレビュー

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Posted by ブクログ

「幸福と愛を混同するのは間違いだ」英文学史に名を刻む恋愛小説の最高傑作とはいえそこに甘さはない。妻と恋人と神との4角関係を描くキリスト教哲学小説の名作。西アフリカの植民地の警察副署長スコービーは南アフリカに移住したいと言う気まぐれな妻のためにシリア人の悪党に金を借りる。妻が発った後、海難事故で夫を失った若い女ヘレンと出会う。
グリーンの凄さは無駄のない人物描写にある。何かの役割を持って過剰に語ったり作者すら気持を理解できない人形のような人はいない。登場人物はごく自然に登場しその一挙手一投足が適確なジャブのように後々確実に効いてくる。そうそうと言ってるうちに迷路に迷い込み、それでも進むうちに一気に視界が広がりすべて計算されていたことに気づく。戻ってきた妻と理解ある恋人がいる中でスコービーはある決断をする。心の中は永遠に他人にはわからない。ときめきこそが人生の花でありときめきの数だけ罠がある(≧∀≦)しかし果たしてそれは罠なのか。恋人への愛、家族への愛、友への愛、人類への愛、神の愛、違うものなのになぜすべて愛という言葉で表現するのか、それが人類の明日の課題。魂が震える傑作

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2022年04月26日

Posted by ブクログ

The Heart of the Matter タイトルが期待させる。中味は少し深刻。アフリカ植民地警察の副所長スコービーの生活を中心に描かれてゆく。妻、上司、部下、その他の人々に囲まれて、息の詰まる生活が続く。妻への始めの愛はもうない。しかし妻を傷つけまいと常に気を使い、そのために偽りの言葉を重ねる。この欺瞞と罪の生活から逃れるのは一人になること。妻も同じ思いからか、ついに南アフリカに去ってしまう。妻の重荷から開放されたスコービー。だが、難破船から救助された夫を亡くした16歳の少女に憐れみを抱き、それが愛に変わる。再び妻がいたときと同じ捕らわれの状態になる。妻、愛人、神に対して哀れみと偽りと罪の意識を抱き、そこから逃げようとする。その先にはなにがあるのか・・・。この本が描いたのは愛が生み出す孤独か、罪から逃れようとする人間と神の救いとの相克か、死の平安なのか、最後まで分からなかった。作者の心理描写のうまさに感服する。

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2013年05月25日

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