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『ハイペリオン』シリーズ四部作完結編。多くの脅威が迫る中、ついに明かされる謎。果たして人類の運命は……?
文庫本で全8冊になるシリーズの最終巻である。あらゆる要素がてんこ盛りな本巻については、多くは語るまい。作者が書きたいことをすべて詰め込んだかのような、総決算のラストだった。
パクス、テクノコアの動きを描きつつ、やはりエンディミオンとアイネイアーを主軸として物語は進んでいく。情報を小出しにするアイネイアーの老獪さがもどかしいが、そうせざるを得ない理由もやがて明らかに。知能や精神担当でカリスマになっていくアイネイアーに対し、肉体派、冒険担当のエンディミオン。しかし、「覚醒」とタイトルにあるのは伊達じゃない。あれ……ド◯ゴ◯◯ール?さらに、ここにきてハイペリオンの7人の巡礼たちとのつながりが明かされ、彼らの物語の謎も解明されていく。
結末について、これでいいのかとモヤモヤしてしまったが、巻末の解説にあるとおりに当該箇所を読み直してみると、おっしゃるとおり、確かに納得いくものがあった。なるほどそう考えると、この結末と、アイネイアーの言動のすべても、ストンと腑に落ちる。そして壮大なこの物語が自分の中で見事に完結するのだ。読み切るまで時間がかかったけれど、本当に出会えてよかったシリーズ。いずれ再読したい。
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今日一日を人生最後の日のような気持ちで過ごせたら、きっと毎日が最良の日になるだろう。アイネイアーのように生きたい、彼女のような勇気を持って死ぬまで全力で過ごしたい、そんなことをこの本を読んで感じた。
誰しもあのような最期を迎えるわけではないが、未来において必ず死ぬという点では同じだ。いずれ訪れるその日まで、どのように過ごすかは自分で選ぶことができる。そういうアイネイアーからのメッセージを多くの人が共有して世界が変わっていったのだろう。
幼年期の終わりでは個が消えて全てが共有された形として人類は進化するが、彼らの世界もいずれそうなるのかもしれない…続きがあるとすればだが。
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新刊の単行本でも買いたくなる面白さ 完結
表紙 7点生籟 範義 酒井 昭伸訳
展開 8点1997年著作
文章 8点
内容 811点
合計 834点
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「面白い小説」にはそれなりの頻度で出会うのですが、「読んで良かった小説」については、これまで数える位にしかめぐり合ったことがございません。そして、そんな小説は「読みはじめたら止まらない」性質を兼ね備えているものです。
400字詰め原稿用紙にして7000枚。全8巻約4500頁におよぶ大叙述詩《ハイペリオン・シリーズ》は、「ハイペリオン」、「ハイペリオンの没落」、「エンディミオン」、「エンディミオンの覚醒」の全4部で構成されます。
前半のハイペリオン2部作が濃密な設定と緻密な構成で楽しませてくれる一方で、後半のエンディミオン2部作は前半で残された謎を回収しつつ、情熱と愛嬌に満ち満ちた冒険譚です。とりわけ後半2部作には、終始釘付け状態。理由は簡単。こういったハートフルな王道物語が好みのど真ん中だからです。
この1ヶ月間、一刻も早く先を知りたい衝動と一節一々を噛み砕いて読みたい欲望とのジレンマの中で(結局は前者に譲りましたが)、読み進めた甲斐がありました。作中のいくつもの場面で、感動と驚きを覚えましたが、本書の後半からは、ずっと涙を浮かべながら読む始末。天衣無縫の結末に至っては(そして下巻表紙の真意を理解したときは)、ここまで7人の巡礼者とアイネイアー、そしてロールと苦難を共感した読者への最大のご褒美でしょう。
実は、このラストシーンは随分前から感づいていました。だからといって、それが陳腐になる訳ではありませんし、作中の言葉を拝借するならば、ロールは「あわれなのろまなロール・エンディミオン。なにかを知るのは、いつでもいちばん最後と決まっている」のです。
振り返ると、この《ハイペリオン・シリーズ》は、総じてキャラクターに魅力がありますね。前半2部作では、連邦の領事やマイナ・グラッドストーン、フィドマーン・カッサード大佐にマーティン・サイリーナス、そしてシュライク…等々。でも、やっぱり後半2部作のロールとアイネイアーでしょう。彼らの冒険に喜怒哀楽を委ねることが、実のところ、ここまでの感動を呼び起こしたのですから。
一方で、明らかにならなかった点や読んでいて辻褄が合わなかった点もちらほら。辻褄が合わない点は、まあ些細な事だと目を瞑りますが、領事と宇宙船の顛末だけは詳しく解説して欲しかったです。
さて、そんな読みはじめたら止まらない《ハイペリオン・シリーズ》を、時を経た後にあらためて読み直してみよう。新たな発見と感動が待ち構えていることだから。
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キリスト教を下敷きに世界観が描かれていますが、仏教の世界も描いています。よく勉強なさっている。
最後はキリストの処刑を思わせるようなエンディングです。でもオチはそれなりに用意されています。
あぁやっぱりキリスト教かなと思うエンディングです。
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いじめっ子は一度いじめられる経験をしたほうがいい、そうすれば他者への思いやりの心が生まれる
それを人類全体に拡大したのが
この本のラストに起きたことだ
レイプされる人間とする人間等々、あらゆる人々の精神がつながって究極の共感感覚が訪れる、
そして人類はあらたなステージへと進化する
本当にそうだろうか
人は自転車に乗ったり車に乗ったりする
自転車に乗っているときは車に対して
車に乗っているときは自転車に対して思いやりがない
簡単に書くと「邪魔だ」と思いながら双方運転している
この心境の変化は乗り物を乗り換えた瞬間におとづれる
立場が変わった人の心理は変化する
過去の経験は一瞬で忘れ去られる
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長い物語の終わり。
さわやかで満足な読後感がある一方で
「共感の刻」を与えられたわけでもないのに
全身が痛い。
あの若い娘が受けた拷問と火あぶりの苦痛に
僕は読み終えた今でも苛まれている。
苦しみも快感も痛みも幸せもすべて混ぜあわせたスープの中に
放り込まれたままなんだ。
Posted by ブクログ
ついに閉幕となったエンディミオンシリーズ。
ハイペリオンシリーズとの連結も、本巻ではますます明晰になってきていて、シリーズ全体を完結する作品としてしっかりできあがっていました。