【感想・ネタバレ】恍惚の人のレビュー

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Posted by ブクログ

50年以上前に発行された本ですが、ここに描かれた困難さは全く解決されていないことに衝撃を受けました。登場人物の感情を残酷なまでに正確に映し出す文章が本当に素晴らしいです。

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2024年01月14日

Posted by ブクログ

昭子さんお疲れ様…

旦那が全く役に立たない
嫁に任せきりで、自分の父親なのにただただ何もできず妻が粛々と介護、葬儀の準備しているのを眺めている
まぁでも呆然として何をしたら良いかわからず指示待ちになってしまうのもわかるけど、最後までは何もしない旦那だなぁと思った

令和の今読んでも色褪せないというか、この物語の昭和時代から、介護やら夫婦共働きやらの問題って何も解決してないのか?とちょっとショックを受けた
若者が年寄りに冷たい、みたいなのも同じ、いつの時代も若者ってそういうものなのかも。結局自分の身に置き換えて考えられるような何かがないと、当事者意識は生まれない物だよなと思った

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

気難し屋の義父にさんざん泣かされ、別居して暮らしていたが義母が亡くなり義父のアルツハイマーが発覚。
半年は仕事を続けながら世話もできたがどんどん悪化して施設に入れようか福祉に相談するが規約で受け入れる先が困難だと分かる。しかも家族が面倒を見るのが当たり前とも言われ、途方に暮れる。
この小説の救いは家族以外の人が手を差し伸べてくれること、一人息子も協力してくれて介護も地獄のような苦々しいものになっていないので、途中で気落ちすることなく読み進めることができた。

なる様にしかならないのはわかるがどこで諦めがつくのか、心境も綴ってあるので備えとして読むのもいいかもしれない。

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2021年12月19日

Posted by ブクログ

これが40年前の物語とは。
認知症によってもたらされる本人の変化、周りの苦労。
それが手にとるように伝わってくる。
心理描写が絶妙。

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2021年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まるで実在の家の出来事をそのまま移し取ったようなリアリティで、舅の認知症が始まり、亡くなるまでのごたごたを描いた作品。

茂造の認知症が進行していくのは、醜悪でありながらどこか可愛らしく、怖いもの見たさでぐいぐい読んだ。
だんだん昭子の介護は、子育ての様相を呈してくるが、どんなに大切に世話をしても、介護の最後に待つのは死だ。ラストの昭子の涙は切なかった。

自分に置き換えると、母がまず介護する側になるとして、私は信利のように、苦労に気付かぬふりで任せてしまわないだろうか、敏ほど手伝えるだろうか、この時代よりは福祉が進んだであろう今、逆にご近所がこんなに助けてくれるのか…とあれこれ考えさせられた。
 

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2021年09月06日

Posted by ブクログ

「恍惚の人」

タイトルに称賛を贈りたい。

そして、昭子さんにも称賛を。

時を経て、益々深刻化する「超高齢化社会」。

風化しないテーマを抱えた小説。

一読の価値ありです。

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2021年01月08日

Posted by ブクログ

まっすぐ胸に染み込んでくる文、深い人物描写。どこまでも現実的でありながら、幻想的な作品。
主人公をはじめ、すべての登場人物が余すところなく生きている。昭和後期から平成初期にかけての家庭の雰囲気がよく伝わる。
どんな言葉でこの作品を称賛したら良いか分からない。

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2020年07月04日

Posted by ブクログ

◯名作。大変面白かった。
◯現代人であれば必ず読むべき一冊。将来の自分をあらゆる意味で見通す。

◯現代における個人の孤独を鋭く描写している。鋭角過ぎて突き刺さるほどである。
◯文章表現・演出も巧みである。言葉の選び方が場面を活かしている。

◯昔から認知症はあったはずである。しかし、核家族化が進む中で、認知症の存在は忘れられ、血縁である家族ですら、認知症を忌避することとなった。
◯また、個人を尊重する世界の中では、他者のことはまさしく他人事なのである。それは家族であっても。現代の孤独の構造を先鋭化して我々に突きつけるのが認知症であり、その故に文明病なのである。

◯この小説が描かれたのは高度経済成長の最中であり、今以上に福祉制度が発達しておらず、それを補完する形で家族制度が維持されているという悲しい幻想の中で、極めて個人・個が浮き彫りとなってしまった実態との乖離が人々を悩ませている。
◯現代においては、介護保険制度が成立、運用され、老人への福祉制度は充実したかに見えても、今度は子育て世帯が孤立を深め、虐待へと繋がってしまう。あわせて少子化がどんどん進んでいく。現代人の孤独の構造は全く変わっていない。むしろ、制度が充実するほどに、矛盾してより深い傷となっているのではないか。現代の孤独が、現代の社会問題すべての原因とも考えられる。

◯この小説に出てくる人間たちは、実に現実的で、それ故に我々の共感を呼ぶが、全員自分の事しか考えていない。結末で孫が言ったことは悲しい。それに涙した母は、最後に義父と家族になったのかもしれない。

◯登場人物たちのそれぞれに共感する。しかし、その共感には違和感を覚えていいのかもしれない。我々の孤独に対してどのように対応していくのか、今もって結論は出ていないのだから。

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2020年06月08日

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昭和47年(1947年)の著書。
1960年代から老耄は痴呆症と呼ばれるようになり、2005年のクリスマスイブに認知症と名前を変えた。

老耄をテーマに介護者の苦悩と福祉制度の脆弱性を示した。今とは時代背景が違うが介護者を悩ます、不治の病であることには変わりない。

長寿延命の呪いであった籾付きの米粒と老耄となった茂造を重ねる描写が興味深い。

「長い人生で大病や事故や災難に出会いながら、しかしそれらをすり抜けて生き延びてきて、癌にもならず、糖尿病にもならず、生命という米にしがみついて剥落することがなかった。その結果は火を通しても食べられず、口から吐き出されて食卓に載っている。」

昨今の福祉制度の充実は家族介護者である信利や昭子、敏を助け、茂造に幸福を与えているのか。
Social wellfareの実践について考えるきっかけとなる。

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2020年05月05日

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何と壮絶な介護記録。
これが昭和47年に出版されたということは、50年近く前の話。。。当時これを読んだ人は、さぞかし衝撃を受けただろうな。。。。
私自身、介護に詳しいわけではないけど、この本で書かれている問題って今も結局変わってないような気がする。

介護対象者が家族に出たら家の誰かが(特に嫁が)犠牲にならざるを得ない、施設に預けるのは世間体が許さない、女は仕事をしないで家族の世話をするもの、という、もしかしたら当時は当たり前だった考え方。
それに対して、自分自身の考えや周りから得た知識を元にして、家族の理解も得られない状態にも関わらず、ちゃんと丁寧に茂造に向き合って最後まで誠意を持って対応した昭子に、敬意を表する。私なら絶対ここまで出来ない。

息子敏の『こんなふうになるまで生きないでね』の言葉も本心だろう。私自身も自分にそう思う。

読み応え満点。
すごい。

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2020年04月05日

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老人介護を巡る問題。中島京子の「長いお別れ」と「恍惚の人」の2冊を相次いで読みました。40年という時間の隔たりがあるが、前者の長いお別れが家族の大変さを描きながらも、どことなく「明るさ」が感じられるのに対し、恍惚の人にはそういった「明るさ」があまり感じられないことが印象的でした。この差は何でしょうか。介護保険制度がスタートしたのはいまから20年前、両方の小説のほぼ真ん中にあたるころです。この20年間で介護保険も紆余曲折を経ながらも、健康保険や年金と同じく、社会に根付いてきており、それを社会も受け止め始め、それが読み手の意識の根底にも無意識のうちに根付きつつあるということかもしれないと思います。2冊の小説を読み比べてみると、介護の社会化は進んできているかもしれないと思っています。

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2020年04月04日

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昭和47年刊行された小説。空前の大ベストセラーだったらしい。
今でいう認知症の老人(老人性痴呆と書かれていた)を介護する息子の嫁。当時は老人ホームに預ける=親の面倒を見るという義務の放棄という世論だったことがよくわかる。50年後の今は施設やヘルパーが増えて介護問題がだいぶラクにはなった。公共の老人クラブはデイサービスの原型かな。いろいろ興味深い。

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2024年01月13日

Posted by ブクログ

有吉作品の代表作として押さえておきたかった一冊。
老人の問題に自分の行く末を見るから憂鬱になる。それがよくわかった。
身近な人がこうなったらどうするかを考えておくためにも、読んでおいたほうがいい。でも現実的には全然どうしたらいいかわからない・・・。

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2023年12月18日

Posted by ブクログ

老後のリアリティを突き付けられるお話。親にも自分にも老いはやってくる、、その時どうする??と。
女性の役割が随分古めかしいと思ったら、書かれた時代が一世代前でした。老いの現実は変わってないけれど。
少しだけ、心の準備ができたかな、、?

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2023年09月27日

Posted by ブクログ

1972年出版、売上194万部、タイトルである恍惚の人は当時の流行語大賞になったようだ。私はまだ生まれておらず、恍惚の人というワードは、ミドリカワ書房が歌う「恍惚の人」で知った。

徘徊が一般的な言葉でなかった時代、老人ホームや介護施設などの制度が少しずつ形作られていく時代、姑と舅の介護生活の始まりが描かれる。

重たい内容かと思ったが、悲壮感一色ではない。最後は衰退し、知能も幼児化した舅に息子の育児を重ねる場面もあり後半は穏やかな気持ちで読み進んだ。

また、登場人物の年齢、性別、職業等によって老化する事への捉え方の違いが面白い。

正直、私も、今の自分が恍惚の人になるというイメージは湧かない‥‥

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

久方ぶりの再読。
現在とは取り巻く社会環境が全く異なっている感じは否めない。そりゃ当然です、それなりに皆取り組んでいるんですから。
でも、それでもここに書かれていることの本質は今もって深刻な課題として克服できていないんでしょう。そりゃそうです、ある意味生物としての人間の宿命の一面でもあるでしょうから、色々な思いが交錯して当然。
この本の当時与えたインパクトはまったく分かりませんが、時代を切り取るという観点でこの作家の能力は本物なんでしょう。

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2023年03月02日

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1972年の作品で、文庫本の後書きが82年。50年前の作品なのに、後書きでも書かれているように内容的にはちっとも古くなっていない。老人性痴呆症は認知症として多くの人に認知されたが、対処方は50年前の小説と変わらない。小説内では昭和80年(2005年)に60歳以上の人口が三千万人を超え 日本は超老人国になっているとあるが、2022年には65歳以上が3600万人になってしまった。介護保険のおかげで家族の負担が減ったといっても、認知症老人を抱えた家族の狼狽ぶりは小説と何ら変わりないのである。年をとると人間は壊れる。壊れて先祖返りした人を神様だと思える境地に至る人は少数で、ほとんどの人は罪悪感を覚えつつ早く死んでくれることを祈るばかりだ。
小説内の昭子や信利のように、自分の親がそうなったことを見、自分がそうなることも恐れ慄くのである。

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2023年01月01日

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ネタバレ

まじでリアルで共感しすぎて辛かった
なんか昭子の境地に行けなくて、だったら敏のまま無邪気な悪でいた方が楽だろうなーって考えながら読んでた自分おそろしーってなった

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2022年12月10日

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一気読み。昭和47年刊ながら、高齢化社会について考えるのにとてもよい小説。認知症を患った義父のケアをする嫁の昭子を通して、高齢者のケアがどんなものかがとてもよく分かる。我が事として考えるきっかけになった。

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2022年09月04日

Posted by ブクログ

途中、読み進めるのが辛いと思うくらい、生々しく描かれているが、だからこそのめり込んで読み切ってしまった。生きるということ、死ぬということについて考えさせられる作品。何かの答えを示してくれるというよりは、高齢社会について考えるきっかけを与えてくれる作品だと捉えています。

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2022年01月28日

Posted by ブクログ

進んだ先か、戻っていく末か、はたまたその道半ばで。人は皆いつか死ぬとはいえ、最期をどう迎えるのかは分からない。アンチエイジングだなんだと頑張ってみても、老いていく。少しずつ、時に急激に。「老いる」ことを家族のこと自分のこと他人のこととして、考えておく。他に何かできることがあるだろうか。

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2021年11月19日

Posted by ブクログ

この本が発売された1970年代にはもう高齢者の介護問題があったことに驚いた。生々しい描写で老いた舅が書かれていて非常に興味深い作品だった。

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2021年11月13日

Posted by ブクログ

パパもママも、こんなになるまで長生きしないでね。

という息子の言葉。自分が母親だったら「自分だってこんなになるなら長生きしたくない。」と思うだろうな、と思った。
だけど、老いはだれにでも訪れる。
リアルな老いを知らないまま、ある日突然親の介護に直面するから驚いてしまう人が多いのだろう。
自分もそのうちの一人だが、この小説を読んで老いによって人がどのように変化していくのか、どのようなことが起こりうるのか、少しは心の準備が出来た気がする。

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2021年07月06日

Posted by ブクログ

1972年に新潮社から「純文学書き下ろし特別作品」として出版され,1973年には森繁久彌主演で映画化された作品。

とあるが,とてもそんな枠には収まらないような気性の荒い,純文学から離れた作風だと思う。当時の文壇がどう評価したかが気になるところだが,難儀であったことは想像にかたくない。しかし人々の共感を得るには十分すぎるもので,やがてベストセラーとなったようだ。

問題意識を投げかけるという点では確かに成功している。戦後と高齢社会の狭間の風景が読み取れる。

しかし痴呆(認知症)を文学に落とし込んだにしては,それに対する書き込みが安易である印象を受ける。老いて幸せかをという問いには実は答えられていない。むしろ重点的に書かれているのは周辺の人々の反応であり(最も秀逸なのは孫の敏の少数のセリフ),肝心の当人に対しては「恍惚の人」と一括りにして誤魔化しているともとれる。

「華岡青洲の妻」と似たような,女性の使命感,がはっきり見られる作品である。美徳ととる読者も少なくないだろうが,まさにその風潮が社会の病巣なのであり,現代社会では批判的な捉えるべきものだろう。

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2021年04月19日

Posted by ブクログ

高校生くらいの頃から、自分が年老いたらどうなるんだろうと考え続けてきた自分にとってはとても読み甲斐のある作品だった。あまり表立って語られることのない介護の問題は、現代の日本においては年齢問わず必ず皆が知っておくべき事で、この本にはそうした学ぶべき事が多く書かれていた。それは単なる事実に依らず人間としての在り方も含めて。

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2021年02月07日

Posted by ブクログ

「ひとごとが自分になったとき」
と思いながら再読した

才女といわれた作家の文章はやはりすばらしい
てだれている
読みやすいとはこういう文章をいうのだ

大ベストセラーになった
あの時、 読んだわたしは30代だった

それから40年あまり
「恍惚の人」は「認知症」と言う病気なり
と世間で認知され進化しているが
老人人口がますます増え
老人問題も多角化してしまったこの時代

あの時の衝撃が
今や違った意味での衝撃と共振になった

まず
この小説は主人公の昭子を40代後半に設定してあるので
昭子が舅の老化現象から「老い」を看取るの大変さと
自身が「老いに向かう不安」を感じたようには
まだまだわたし自身深刻に考えていなかったこと

そして
わたしが当年になった現在の状況を踏まえたとき
どーすらゃいいのか、ひとごとではないのだから
なんとも皮肉な小説であることよ

もちろん
冷静なふりをして、この老後問題に
理知的な行動をとっているつもりになっているんだ
けどこころのなかは不安だらけ、、、、、

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2020年05月27日

Posted by ブクログ

小説としては何の変哲もないものであり、「文学作品」というものではない。私は「痴呆症の家族を抱えた人たちのノンフィクション」というものとして読んでみた。そういう意味ではいろいろと考えさせられる。

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2024年03月06日

Posted by ブクログ

40年も前には介護サービスもなかったが、ここ(人格欠損)まで恍惚の人も身の回りには居なかったという記憶。
そういう延命治療もない時代に書かれたお話なので、とことん生かせてやろうという気持ちにもなれたのかなぁ・・・

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【ネタバレ注意】











読んでいて暗い気持ちになりました。

「老い」は誰もが通る道ですが、
最初にきれいなものを与えられ、
だんだん少しずつ奪われて行くというのが
生き物なのでしょうか・・・?

登場人物は老いて行く過程を淡々と受け入れ、
最後には「恍惚の人」だと言いますが、
そんな風に自然に受け入れられる強さが
素敵だと思いました。

読む時期を誤ると、とんでもなく暗い気持ちになります。
この本は、少し元気な時期に読んだ方がいいです。

いろいろ考えてしまう本でした。

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2021年03月20日

Posted by ブクログ

資料として。老人はアルツハイマーというよりレビー小体型認知症みたいだな。当時は謎の奇病みたいな扱いだったのかな。一時は荒れるがその後おだやかになるとか、ちゃんと取材してるなという感じ。

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2020年10月06日

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