【感想・ネタバレ】女装の聖職者ショワジーのレビュー

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Posted by ブクログ

生涯女装を続けた聖職者フランソワ=ティモレオン・ド・ショワジーの生涯を描いた本。第一部では、フランス王国におけるショワジー家の立場、ショワジーの女装癖、賭博癖、シャムへの伝道旅行、晩年の学術活動が時系列順に記述される。第二部は彼が残した『女装冒険譚』の翻訳である。女装する聖職者というおそらく奇異の目で見られた(る)であろうショワジーの生涯が生き生きと描かれている。単に部屋にこもって女装するのではなく、若い女性と(肉体関係を伴った)恋愛をし、恋人が別の人間と結婚すると決意するやいなや相手への興味を失って賭博に没頭するという、リベルタンを体現したかのようなこの人物の生涯は、それ自体が常識的価値観に対する挑発である。「結婚した女はわたくしにはなんの興味も抱かせません。結婚がすべての魅力を消し去ってしまったのです」。しかしこの人物の思想は一個の神学にまで高まっている。「神の本性とは愛され賛美されることにあります。人間もその弱さが許す限りにおいて、同じ望みを持っているのです。ところで、美が愛を生み出すものであり、美は一般的に女性の属性とすれば、他人に愛されるような美しい顔立ちをした男は、あるいはそう信じる男は、女の格好をしたほうが効果的であり、女装をすることで魅力を増そうとするのです。そうして、愛されるという無上の喜びを感じるのです」。愛されることを求めて、積極的に若い女性にモーションをしかけ、恋人との営みを敢えて他人に見せつけようとするショワジーの振る舞いは、このようにして正当化されるというわけである。

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2016年01月10日

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