【感想・ネタバレ】エチュード 警視庁捜査一課・碓氷弘一4のレビュー

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 警視庁捜査一課第5係、碓氷弘一。腹の出た体型に薄くなってきた頭髪。くたびれた背広を着たサエない中年男だ。
警部補になりたてだが、係内では最年長の 48 歳ということもあり、年下の係長からは番頭のような扱いをされている。

 そんなベテラン刑事が事件解決に奔走する警察サスペンス。シリーズ4作目。
         ◇
6月17日金曜日。退勤時間になっているが、鈴木係長が腰を上げないので碓氷も席を立てずにいた。
 今日は朝から嫌な予感がする。さっさと退散したいと碓氷が焦り始めていたとき、一斉無線が入った。渋谷ハチ公前広場で通り魔事件が発生したとの連絡だった。

さっそく管理官から指示があり鈴木係長以下第5係 12 人が急行したが、現場に到着してみると犯人はすでに逮捕されたあとだった。犯人は居合わせた一般市民にしがみつかれて逃亡できず、広場前派出所から駆けつけた警官たちに取り押さえられたという話である。

 しかし、逮捕に協力してくれたという一般市民はいつの間にか姿を消し、その人相風体を覚えている警官はなぜか1人もいなかった。
 さらに被疑者は悲痛な声で容疑を否認しているというのだが……。
          (第1話) 全25話。
 
     * * * * *

 オカルトファンタジーだった前作とは打って変わり、読み応えのあるサイコミステリーでした。
 渋谷と新宿で起きた通り魔殺人事件。共通点が多すぎることに田端捜査一課長は着目。特捜本部を設置し、被疑者を取り調べている各所轄署とは別に捜査することにしました。

 ちなみに共通点についてですが、
①人通りの多い広場で起きている。
②犯行を見た者は誰もいない。
③被害者は死者1人、負傷者2人。
④その場に居合わせた一般市民が犯人にしがみつき、「こいつが犯人だ」と叫んでいた。
⑤その一般市民も犯人も返り血を浴びていた。
⑥駆けつけた警官が犯人をすぐ逮捕した。
⑦逮捕の際、凶器の包丁は地面に落ちていた。
⑧逮捕に協力した一般市民は消えるようにいなくなった。
⑨犯人を逮捕した警官たちは誰1人、姿を消した逮捕協力者の人相風体を覚えていなかった。
⑩逮捕された犯人は、全面的に犯行を否認している。
と、類似性はかなり高く同一犯の匂いが強くします。つまり、確保された2人の被疑者は誤認逮捕の可能性があるということになるのです。

 さて今回、碓氷がバックアップするゲスト出演者は、警察庁刑事局から派遣された心理調査官です。
名は藤森紗英といい、30歳前後のスラリとした美しい女性です。
 田端課長からサポートを命じられた碓氷は途方に暮れてしまいますが、命令には従うほかありません。こうして美人調査官とサエない中年警部補の「美女とアナグマ」のようなコンビが誕生したのでした。

 収集されたデータから犯人の心理を読みプロファイリングする。それが紗英に課された仕事なので本庁詰めでも構わないはずなのに、紗英は碓氷とともに捜査に出ることを希望します。
 かつては対人恐怖症で、その克服のために心理学の道に進んだ紗英。
 今でもオドオドした態度が出てしまうことがありますが、不思議なことに碓氷の前では自然に振る舞えることに気づいたからでした。

 心理学を用いた「印象のすり替え」を犯人が仕掛けたことを見抜いた紗英は、犯人の残した「エチュード」ということばの意味を読み解き事件を解決に導きます。紗英と犯人が互いの心理を読み合う描写は読み応えがありました。

 一課長はじめすべての捜査員が認めた紗英の活躍が、碓氷のバックアップあってのことなのは言うまでもありません。
 『パラレル』とは違って本来の姿を見せてくれた碓氷。人使いの名人が本領発揮した第4巻でした。 

 ところで、警察庁刑事局心理調査官・藤森紗英というキャラは実に魅力的な設定です。この1作で終わらせるのはあまりに惜しい。
 彼女を主人公にした作品を ( シリーズ物で ) ぜひ読みたいと思いました。 ( 碓氷のような、姫を支えるじいが必要なのかも知れませんが、なんとか考えていただけませんか? )

0
2024年02月11日

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心理調査官とサポートする碓氷。心理調査官による解明がストーリー全てを支える。今までに読んだことのない切り口、余計なブレもないストレートな展開。爽快な読後感。

0
2023年09月18日

購入済み

面白かったです!

最初は、単純な展開で「こんなもの」と読んで行くうちに引き込まれ、一気読みでした。

1
2014年02月22日

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ネタバレ

評価は4.

内容(BOOKデーターベース)
渋谷・新宿で発生した連続通り魔殺人事件。なぜか誤認逮捕が繰り返される事態を解明すべく警察庁から送り込まれたのは、心理調査官・藤森紗英だった。苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うが、紗英の助言によって、巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることがわかる。はたしてこの異色コンビは真犯人を探し出し、惨事を食い止めることができるのか。警察小説の第一人者が贈る「碓氷弘一シリーズ」第四弾。

シリーズらしいが、途中の巻からでも全く問題なし。心理捜査官が頼もしく感じた。しかし、実際はこんなうまくいかないんだろうが・・・。犯人もあっさり捕まりあっさり自白。

0
2019年02月26日

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今回の碓氷さんは役得?元々このシリーズを読み始めたのはドラマを見たからだった。これからも碓氷さんの活躍を応援しますよ。

0
2019年02月05日

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一気に読み終えるほどの面白さ。テンポが速いというか、リアリティに欠ける箇所があったりするが、そこは突っ込みなしで(笑)

0
2018年08月14日

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なかなかの秀作。心理学を犯罪捜査に応用することはそれほど珍しくはないものの、展開が読めず飽きさせなかった。

0
2017年07月19日

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勇気ある一般市民の協力によって逮捕されたかにみえた通り魔殺人の犯人。
現行犯逮捕という現実の前に、消えた協力者へ注意を払う人間はほとんどいなかった。
しかし、犯人として逮捕された男は拘束直後から「自分はやっていない」と否定をし続ける。
相棒として心理捜査官・紗英とともに捜査を続ける碓氷に、紗英は意外な事件の真相を告げる・・・。
人物の記号化という考え方がとても面白かった。
人は興味があるものは記憶に残りやすく、逆に自分にとって関心のないものは記憶に残りにくい。
より強烈な印象を残すものは、他のものよりも強く記憶されやすい傾向がある。
後半、「強固な象徴性」という言葉が出た時点で、犯人の次の手口がわかってしまったのは残念だった。
捜査方針を決定しなければならない場面だっただけに、必要な不可欠な展開だったとはわかるのだけれど・・・。
事件は人が集まる駅前広場で起きている。
犯人が下見をした可能性が指摘されてから、周辺の防犯カメラがチェックされる。
事件当日の防犯カメラに犯行の様子は映っていなかったのか。
用意周到な犯人のことだから、カメラの死角を狙っての犯行だったのかもしれないが。
しかし、群集がパニックになっている中でひとりだけ違う行動をしている者がいたら目立つと思うのだけれど。
プロファイリングの正確さについても、あまりにも100%の的中率だったことがかえって「えっ?」と感じてしまった。
それでもやっぱり今野さんの作品は面白い。
見かけるとつい手に取ってしまう魅力がある作家だと思う。

0
2017年02月27日

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ネタバレ

渋谷・新宿の繁華街で連続通り魔事件が発生。いずれも交番からほど近い距離の現場で協力者の力もあり、犯人は現行犯逮捕。しかし犯人は取り押さえられた直後から犯行を否定、協力してくれた一般人はいつの間にか姿を消していた。
事件の詳細を調べ始めた警視庁の碓氷は、現場の警察官らに質問を重ねるが誰もが事件解決に導いた協力者の人着(人相や着衣)が思い出せない。思い出そうとすると捕まえた犯人の姿が浮かぶと…そんな不思議なことがあるのか。
やがて警察庁から心理調査官の藤森が派遣される。碓氷はこの女性とタッグを組まされ最初は困惑していたが…。

今野作品は初めて読んだと思うけど、とても面白かった。どうして誰も協力者を思い出せないのか、どんなトリックなのか先が知りたくてページを進める手が止まらない。
ドラマになりそう。他のシリーズも読んでみようっと。

0
2016年08月26日

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碓氷刑事シリーズ。
パラレルの後に読んだため、少し不安を抱えていたが、今回はかなり現実的な刑事もの。
心理捜査官の女性が相棒として登場。
いつもの碓氷シリーズよりは、碓氷さんの活躍の場、登場シーンが多かった気がする。

正直トリックは全て先読みできちゃう、でも、それでも面白い。十分面白いのは、トリックだけの小説じゃないから。

2016.01.01

0
2016年01月11日

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相変わらず、読みだしたら止まらない、今野敏の警察小説。
ユニークな相棒が登場するこのシリーズ。
今回は、何とも魅力的な美人心理調査官、それだけで読まずにはいられない(笑)
読み進む中で、次の展開が予想され、犯人の最後の仕掛けもなんとなく読めてしまったが、それでも読後のスッキリ感が減殺されることはない
このシリーズの未読編を読まずにはいられない。

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2015年04月07日

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やっぱおもしろいわ、このシリーズ。今度は心理学系。前作「パラレル」と違ってこちらは割と現実にありそうな話だった。しかし相変わらず主人公碓氷刑事の影は薄いw 「ペトロ」は読んでしまったのでこのシリーズはしばらくおあずけだなぁ。早く新作出ないかな。

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2015年03月22日

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ネタバレ

面白かった。でもシリーズの4冊目だった。また前のを読まなくちゃ。
でもね、最後の読む前から分かっちゃったんだよなぁ。

ついでに、あの心理管は波留がいいな。

0
2014年05月21日

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このシリーズのなかでは一番面白かった

心理捜査官・藤森紗英のキャラクターも好き
また登場してほしい

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2014年01月23日

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シリーズ4作目。
このシリーズ、主人公はサポート役・引き立て役なんだな。影が薄い、薄いと思っていたけど。
犯人との攻防は面白かった。前半やきもきした分、終盤一気に事件が解決していく様子にスッキリ。
人の記憶は自分が思っている以上に結構曖昧なのかもしれない。

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2014年01月10日

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犯罪心理がどういうものなのか知ることになった1冊。犯罪者の心理を解き、先回りして事件を解決するストーリーは読んでいて気持ちが良かった。ただ、犯人逮捕までの流れが淡々としている印象で、もっときめ細かくボリュームを出してでも緊迫感を演出して欲しかったと感じた。

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2023年09月09日

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4月-3。3.5点。
碓氷弘一シリーズ。新宿・渋谷で連続通り魔発生。
それぞれ犯人が逮捕されるが、取り押さえていた協力者が警官の記憶に残らない。
心理捜査官を招き、捜査に当たる碓氷。

読みやすい。なるほどと思わせるトリック。次作も期待。

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2019年04月04日

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渋谷・新宿で発生した連続通り魔殺人事件。なぜか誤認逮捕が繰り返される事態を解明すべく警察庁から送り込まれたのは、心理調査官・藤森紗英だった。苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うが、紗英の助言によって、巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることがわかる。はたしてこの異色コンビは真犯人を探し出し、惨事を食い止めることができるのか。

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2018年06月15日

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ネタバレ

・通り魔殺人事件が連続して発生

・現場で逮捕された犯人は、全員が犯行を否認

・毎回、逮捕に協力した一般市民がいた
 でも、警官は誰もその人を思い出せない

・年季の入った刑事と、美人で若い心理調査官

・途中までは面白かったけど、心理調査官が活躍すると
 話の流れが見えてしまい、ちょっと後半失速した感がある

・美人が主役でなければ、話は面白くならないんだろうなぁって思った

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2017年02月19日

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碓氷警部補もの、だけど、この本の主役は、碓氷警部補がしぶしぶ組まされた、警察庁から派遣された心理調査官の藤森紗英。犯人の心理分析とかプロファイリングとかが、ここまでずばずば的中するもんだろうか、とちょっと都合よすぎる感じがあったが、まぁまぁ楽しめたかな。最後の最後の洋梨クンの態度に、思わずクスッとした。

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2015年11月28日

Posted by ブクログ

怒りと向き合う
繁華街で起きた連続通り魔事件が本書で扱われる。
この手の事件は、実際の事件を思い起こさせて心苦しい。

さて、本書は犯人すり替えトリックを使った心理戦が妙。
メンタリズムなるものももてはやされているが、人間がいかに完璧ではないかを感じさせる意味で、本書同様興味深い。

見たいものしか見ていないというのはよく言われることだ。
そんなことはない、私はしっかり見ていると思われるかもしれないが、それは明らかなる間違いだ。
例えば、知らぬ間にできた傷、痣。
どこでついたのかさっぱりわからない。
自分に危害が加えられているというのに、だ。
こんな些細なことですら断言できないのだから、大きな混乱の中で人がどれだけ周りを正確に見られるか......。

人間の心理をついた物語は面白い。
ただ、物語である以上仕方がないとはいえ、少々ことが上手く運びすぎる。
実際の話を聞いてみると、プロファイリングはここまで精度が高くない印象だ。
人づてなので、検証したわけではないが聞いた話ではこうだ。
被疑者居住範囲の目星を警察が◯◯区内とつけたとする。
プロファイリングによると◯◯区のほとんどが「想定される地域」と示される。
ピンポイントで当てるには、人の行動というものはどうにも難しいようだ。

恨みや怒りを持った人間が即犯罪者になるわけではない。
行動にはそれなりの理由がある(はずだ)。
自分の中の正しさが果たして本当に正しいのか、私たちは常に他者の目を自己の中に持っていなければならない。
怒りは大きな力である。
それとどう向き合っていくか、それが一人一人の課題であるのだ。

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2015年03月18日

Posted by ブクログ

 渋谷・新宿で発生した連続通り魔殺人事件。なぜか誤認逮捕が繰り返される事態を解明すべく警察庁から送り込まれたのは、心理調査官・藤森紗英だった。苦手な美人と組まされる羽目になった碓氷警部補は戸惑うが、紗英の助言によって、巧妙な「犯人すり替え」のトリックが潜んでいることがわかる。はたしてこの異色コンビは真犯人を探し出し、惨事を食い止めることができるのか。警察小説の第一人者が贈る「碓氷弘一シリーズ」第四弾。

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2014年02月23日

Posted by ブクログ

碓氷弘一シリーズの第4弾。

このシリーズは、いわゆる異色犯罪もので、今回は、マジックの心理テクニックを使って誤認逮捕を誘導させる巧妙な通り魔殺人犯を、美人の心理調査官とコンビを組んで捜査する。

犯人のテクニックも、プロファイリングも、そう都合よく簡単にはいかんだろう? 管理官や捜査一課長含めて、周りも善人ばかりで、理解ありすぎ・・・と思いながら読みつつ、最後までお付き合いしてしまうのが今野小説でしたね。


(2014/2/16)

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2014年02月21日

Posted by ブクログ

ベテラン刑事と、若い女性の「心理調査官」がコンビを組む、と。

なんやら盛り上がりに欠けるまま、淡々と終了してしまった感があります。

今野作品警察モノの醍醐味はなんといっても、ギクシャクしている組織が主人公の地道な努力によって次第にまとまり、ひとつの目標に向かって終盤ぐわわ~っと盛り上がっていくトコロ(だと思う)なのですが、そこらへんが希薄であららもう終わり?みたいな感想であります。

新作ヲ待ツ!

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2014年01月09日

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