【感想・ネタバレ】福沢諭吉「学問のすすめ」 ビギナーズ 日本の思想のレビュー

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学問をすれば、誰もが賢人になれる。
日常生活に役立つ実学を学ぶ。

暴虐な政府の支配を受けたくないならば、学問に志し、自らの才知と徳行を磨いて、政府と同位同等に向かい合える力を持つ。

国民に独立の気力がなければ、独立国家にはなれない。まずは国民一人一人が自立しよう。

国民と政府とのあり方について述べている部分が多いのは、国がまだ若いからだと考えている。しかし、今にも通用する考えであることが分かる。

道理を説いて政府に迫るのが上策。むやみに命を棄てても文明には何ら役立たない。

自分の考えで他人を束縛してはならない。

衣食住が安定して独立したということではない。未来へ文明の恩恵を遺す。
人間は食べることだけで満足してはいけない。学問に励もう。

見識や品行の高尚を目指し自ら妥協してはならない。

怨望(恨みに思うこと)は、不善中の不善。これ以上の悪はない。
政府も民間も自由な活動を妨げてはいけない。

物欲を抑えて精神の独立を果たす。

人望を得る道は交際を広くすることから。
話す能力は大切。話し方や表情が大事。
交際に必要なのは虚飾ではなくて真心。

今にも通ずる話。そのためか、当時は批判を受けたとのこと。

少し難解だが何度も読んでみたい。

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2023年03月21日

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ネタバレ

福沢諭吉は日本のため、強いては日本人のためを強く思う人格者だと思う。
明治の頃からの悩みは現代まで続いている。昔も現代も日本人は時代は変われど本質は変わらないのかもしれない。
福沢諭吉はひどく日本の未来を心配していた。その結果が現代に現れているように見える。少子化、外交問題、働き手の不足と鈍化、学び、日々の生活に活かす生き方をしない保守的で受け身な若者達。今の福沢が見たらどんなに悲観するだろうか。それとも、それでも自らがまた先駆者となって教鞭を振うかもしれない。本当の学びを知らない今の若者が多くいる日本はこれからどうなるのだろうと、これからの私達が今直面していて最も考えて行動に移さなければならないと痛感する一冊であった。

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2023年02月05日

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もう10年早く読みたかった。読書をするのに遅いということはないが10年早く読んでたら今だいぶ変わってたかもしれない。なぜ人間は学問をするのかから始まり、それが政治と人民との関係や国と国関係にどう繋がるか。そしてそれを踏まえた上で人はどうあるべきか。当時の福沢諭吉の思いを訳文からでも充分強く感じれる。例えば本文でこれは私福沢に与えられた使命なのです記し、本作に並々ならぬ思いを注いでいたことが伝わる。当時専制政治の慣習が抜け出すがまだその慣習が残ってあた時代。人民に不安を感じ、外交に不安を感じていたということも伝わる。少なからず人生の見方を変える一冊だと思う。リピートしたり原書も読みたい。

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2022年04月28日

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「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」
この書き出しから本書を知る人は多いだろうが、おそらく最後まで読んだことのある人はどれほどか。
斯く言う私も、この少々偽善的な出だしが苦手で敬遠してきたのであるが、機会を得て読んでみれば、全く思っていた内容と違い、衝撃。
昨今の日本について常々思っていたことが、驚くほどそのまま書かれていた。
国内外が不安定である今こそ読むべきと思える一冊。
もちろん細かな点では現代に合わない部分もあるかもしれないけれど、それでも、一体いつの時代に書かれたのかと疑いたくなるほど、今の日本が抱えている諸問題に対する答えが多くある。
逆に言えば、100年以上もこの国と国民は成長していないのかと申し訳ない気持ちにもなった。
「今から数十年を経た後の文明の時代には、その時代の人たちが私たちの恩恵を感じるように」との一文があるが、恩恵を感じるどころか、100年経っても未だに教えを請わねばならない状況にあるとは、福沢諭吉ご本人も想定していなかったのではと思う。

あとがきによれば、本書は福沢諭吉の門下生のお孫さんが訳されたものだとか。
柔らかい文体で非常に読みやすかった。
他にも別の方が訳されたものがあるので、そちらにも目を通し、いずれは、あとがき曰く「福沢独特の説得力」を感じられる原書にも挑戦したい。

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2022年04月27日

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なぜ学問をするのか。そして、学問を修めた者の責務とは何なのか。福沢諭吉はその答えを、「文明の進歩のため」そして、「国家の独立を得るため」としている。

学んだものは、活かさなければならない。少し学んだだけで、それをただのステップにして職に就き、日々の暮らしを保つのに腐心するだけでは、個人はそれでいいだろうが、文明が進歩するのに寄与するには至らない。福沢は例として、世の中のすべての人が、自分の家計をやりくりすることのみを考えていたとしたら、新しいものは生まれることなく、ずっと同じ文明水準のまま時代が過ぎて行くだろうとしている。

原書は明治初期に著されたものである。元々、小冊子のような形で短い論評を断続的に発行した、「シリーズ本」であったようだ。発行当初のコンセプトは初学者に向けたメッセージであり、子どもに向けて話すような非常にわかりやすい内容であったが、次第に近代社会のあり方について、日本の当時置かれていた状況に強い危機感を持って読者に訴える内容となっている。

そして、福沢が原書中で日本の将来について心配した内容は、後年になっておよそその通りの形で日本を狂わせ、現代に至っている。当時の学者とは、ここまで国の行く末を見ることができるほど学問を究めていたのかと唸らされたほど、福沢の指摘は的を射たものである。

現在の日本はどうだろうか。福沢が主張した「国家の独立」は少なくとも保たれているとは言い難い。学問は文明を拓くためにではなく、大学の名前を得るために行われている。それをどこにも活かさずに仕事をし、まさに家計のやりくりに腐心するのみの人間が大多数である。
全体が豊かになったことで、日本人は後ろ向きになったのではないだろうか。まさに今、文明を拓いた人々の論考に触れ、行動を起こすことが我々に、特に若い世代に求められているのではないかと考える。

なお、本書の現代語訳は非常にこなれていて、やさしい言葉遣いになっているので大変読みやすい。これなら、中高生が読むのにも入りやすいと思われる。

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2010年09月13日

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訳者が現代語訳したことで、原文の切れ味の良さが表現しきれなかったと書いていたが、現代語訳でもすごく強い攻めた文章だなと感じた。女性に関する記述と、学問では、読書だけでなく実践を求めていく姿勢、闇雲に洋学をありがたがるのはどうかとヨーロッパと日本を置き換えてユーモアたっぷりに述べていた部分が印象に残った。しかし、付録の個人的なエピソードに関しては、真偽はともかく他人が大事にしてあることを無碍に扱うのは、非常に罰当たりで、よくないと思った。

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2023年10月10日

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チコちゃんは聞きます。
「学問のすゝめ」は何を書いている?
「学問のすゝめ?知ってるよ。天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず、というヤツでしょ?明治の四民平等を広めた人だよね」
そんな風にドヤ顔で答えてくる一般人のなんと多いことか。
ボヤーっと生きてるんじゃねーよ!

その人に聞きます。「貴方は学問のすゝめを最初から最後まで読んだことがありますか?」
おそらくほとんどの人は読んでいない。私も、大学のゼミで、半年かけて読むまでは、福沢は四民平等を訴え、自由民権運動を理論面から支えた人だと思っていた。ところが、最後まで読むと福沢は自由民権運動にほとんど関心を持っていないことがわかる。何故こんなことになったのか?
理由はある。福沢諭吉は、話しこどばで学術書を書いた先駆けであり、本書は明治のベストセラーになったので、簡単に読めるとみんな勘違いしているのだ。いざ紐解くと、かなり高度で幅広い問題を論じているので、ほとんどの人が途中で挫折するのである。或いは最初だけ読んで理解した気になっている。それは「読んだ」とは言わない。

「四民平等」の「権理」(権利)を述べたのは、ほぼ最初のみ。
そのあと、「自由」と「わがまま」の違い、や「政府が産業を起こすべきか」「民間が産業を起こすべきか」とか、国民はこれから「実業」を学ぶべきだとか、「人と人との付き合い」は「国と国との付き合い」につながるし、「一身独立」してこそ「一国独立」する、というような、現代でも「意見の分かれる事案」ではあるが「重要なこと」をつらつら、ほぼ4年間(1872-76)かけて書いている。全17巻の啓蒙書集である。明治時代初めてのベストセラーだった。一巻20万部も発行された。全て合わされば340万部も国内に出回ったという。当時の出版事情、識字率を考えれば、ものすごい影響力を持っていたとは言えよう。

結果的に明治時代のブルジョワ資本主義を理論面から支えたのかもしれない。その方向が正しいのかどうか、そもそも日本は福沢の思った方向に行ったのか、その辺りを検証しようとすると、物凄く難しい学術書にならざるを得ない。

福沢は「もし、国民が全員学問に志して物事の道理を知り、文明の風潮に進むならば、政府の法もいっそう寛大で情け深いものとなるでしょう。法が過酷になるか寛大になるかは、国民の品性によってどちらかの傾向が強まるのです」(佐藤訳)という。
だから富国強兵は、福沢の当然の帰結であったし、イギリスの属国に成り下がったインドなどは絶対避けたい国の姿でした。

この方向に、第二次世界大戦の日本の悲劇があると思っている私には、やはり漢文調の本を書き続けていた中江兆民の「小国主義」を対置してしまう。

「学問のすゝめ」は何を書いている?
一言では表せない、明治時代初めての国のグランドデザインを書いていた。

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2022年01月31日

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生きていくうえでのヒントになるような言葉がちりばめられている。
次は現代語訳ではなく、原文で読んでみたい。

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2013年08月08日

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国の自立の為には個人の自立が不可欠。
諭吉は国民皆が学ぶ事で国全体が西欧列国に並ぶよう、市民には実学をすることをすすめ、学者には役割を全うするよう訴えた。
また、政治・法律については国と個人の役割分担を解説し、国のするべきことを個人が行う事の罪についても触れている。

訳がやさしく誰でも読める内容なので、一読しといて損はないと思う!

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2011年02月03日

Posted by ブクログ

賢人と愚人との違いは、学ぶか学ばないかによって決まる。
やらなければならないのは、日常生活に役立つ学問。
自由と我がままとの境界は、他人に迷惑を掛けるのと掛けないのとの間にある。
権義があれば、それに伴う義務があるのは当然。
独立というのは、自分で自分の身を支配し、他人に頼る心のない状態を言う。
民の独立の気力、これこそが、文明の精神であり、最も重要な物。

明治初期、西洋諸国の脅威により、一歩間違えば国の独立が危うい時代において、なんとか人々に啓蒙を、という福沢諭吉の熱い思いが伝わってくる。
150年たって、さすがに現代にそぐわない内容もあるものの、論の骨子は、今の時代に生きる我々にも考えさせられるものがある。
せめて大学生くらいに読んでおけたらよかった一冊。

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2023年02月02日

Posted by ブクログ

諭吉さんのご本。優しい言葉で書かれてあったから、読みやすかったです。諭吉さんの全てに賛同はしませんが、為になる事も書かれてあります。でも、結局は「実行力」なんですよねぇ。。。

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2013年01月18日

Posted by ブクログ

おもしろいとは言えないかなぁ。
至極まっとうなことがつらつら述べてあるという印象。
そもそも現代の日本では、環境とか親の教育によって、
努力することそのものへの見方が変わり、
意欲格差が拡大しているから、
この書の考え方はあまりに理想論的。
たしかに民主主義というのは個々人が政治に参加してこそ成り立つものだけど、
この書を読んだ人みんなが、政治に積極的に参加することは実現不可能だし、
そもそも言論の自由とかデモが制限されている現状、そして日本人の同調傾向がある限り、
何も変わらないだろう。

「ただ文字を読むことだけが学問だと言うのは大きな間違い」
「人民を為政者の方策に従わせることはできるが、その理由を理解させるのは難しい」
「鎖国時代は人民が無気力なのは政治にとっては好都合、人民をわざと無知の状態にしておいて無理に従順にさせるという」

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2009年10月07日

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