【感想・ネタバレ】伊藤博文 知の政治家のレビュー

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Posted by ブクログ

伊藤博文による政治とその再評価をするための本。

これまでの歴史的な評価だと伊藤ってわりと一貫性のない、フレキシブルな(っていうと聞こえがいいけど、まあ尻の座らない)政治家というイメージで語られがちですよね。
でも作者によると実はさにあらず。
伊藤の頭の中には、世人の計り知れない深慮遠謀があった!
つまり、(現時点では政党政治とか無理だけど、いずれは実践していくべきだよね)とか(軍部の権限をできるだけ制御して、内閣中心の政治をおこなっていくつもりだけど、軍部と話し合いしてある程度お互いに妥協するのも大事だよね)とか・・
漸進的で平和主義的な伊藤らしい政治のかじ取りの仕方だと思います。
そういう伊藤の政治的スタンスや思惑を、筆者は、莫大な史料から読み解いている。

時代時代にあわせた政治の在り方をプレゼンしていってるイメージですね☆彡
気まぐれや適当な判断で動いてるわけではないんだね☆
幕末の多幸症やんちゃ坊主がここまで成長するなんて・・木戸さん天国から見て泣いてるぞ俊輔☆☆彡

それにしても腹心の伊東巳代治や、原敬からも(日記の中で)糞みそに言われたりして・・・かわいそうな伊藤博文wwでも、そこがかわいいんだけどね!

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2016年03月29日

Posted by ブクログ

ブックファースト渋谷文化村通り店で
購入しました。
(2014年4月26日)

ちょっとだけ読もうと思ったら、
読み始めてしまいました。
いやあ、大分読んだな、と思って
ページ数を見たら、まだ14ページ目です。
だけど。
この本は、濃い。
素晴らしい。
(2014年4月26日)

「思想家」としての伊藤博文を堪能しました。
(2014年5月24日)

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2014年05月24日

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これまでの研究史を十分踏まえた上で、著者は、これまでとはまったく逆の伊藤博文評価を試みている。やや伊藤を持ち上げすぎのようにも感じたが、一次資料に依拠した非常にすぐれた分析であり、説得力があった。

副題にもある通り、伊藤を「知の政治家」としてとらえる視点は、韓国統監としての植民地統治の場面にも一貫している。ややもすると伊藤のような政治家は、その行動面だけで変節だとか妥協だとかいう説明がされやすいのだが、あくまで思想・理念をもった人物として描ききっているところが挑戦的でもあり、久々に知的興奮をともなう読書であった。

途中、やはり知の巨人である福澤の顔が何度もちらついたが、最後に著者は、「(伊藤が掲げる知とは「実学」であった)この点において、伊藤は福沢と通じるものがあると言えよう。とはいえ、両者は実学的知のあり方をめぐって分岐する。福沢が官と民の峻別に固執し、官を排した民間の自由な経済活動を自らの足場としたのに対し、伊藤は知を媒介として官民がつながり、ひとつの公共圏(*それがフォーラムとしての政党=政友会につながる)が形成されることを追い求めていた」とまとめることによって、見事に私の疑問に答えてくれた。

政友会のあり方についての伊藤の考え方・立場も今までこれほど明快な解釈を読んだことがなかったので、目から鱗が落ちる思いであった。

蛇足ながら、第4章はどこぞの政党の党首にも熟読していただきたい。

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2011年03月09日

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国造りの難しさを感じた。伊藤はやはり胆力のある政治家だったのだなと思う。彼は主知主義の理想家だったが、漸進主義で譲歩もたくさんしている。それが、彼の一貫性のなさにも見えるが、基本路線として、文明化し国を豊かにし、国民に安全な生活を提供したいという考えがあったように思う。知識の吸収にも貪欲だったシュタインとの出会いは大きかったものと思われる。
福沢諭吉や大隈重信のような自由主義、政党政治のような理想は、現代からみればそちらの方が主流だけれども、江戸幕府が終わってすぐの混とんとした状況の中で、ある程度の強い権力を保持し、国民統合の象徴としての天皇をおき、徐々に政党政治を取り込もうとしていったのは、現実路線だったのだと思う。

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2023年03月21日

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明治元老の中で、多大な功績をあげたにも関わらず、比較的低い評価をされているように見える伊藤博文の実像を探る書。 朝鮮総督を務め、暗殺の憂き目にあったためか、正当な評価をされていない、色眼鏡をかけた研究が多い、筆者は感じており、おもに本人の言行を含む当時の一次資料を元に、伊藤の実像を分析している。松下村塾での、吉田松陰の伊藤に対する評価は必ずしも高くはなかったが、高杉新作の功山寺挙兵、英国への密航留学、語学を生かした明治新政府での対外折衝、憲法制定の主導、議会制民主主義への移行の企図等、当時の日本の近代化に多大な影響を与えたのは間違いがない。初期には早急であった改革への行動も、時流を見極めての漸進主義へと変わり、着実に近代化を成し遂げていったが、本書はその際の伊藤の言行をできる限りつぶさに広い、その意味するところを解釈し、記している。近代日本の幕開けに果たした伊藤の役割を知る上で、ぜひとも一読いただきたい書

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2016年04月29日

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初代内閣総理大臣である伊藤博文の,生涯に渡る政治と「思想」を緻密に追った新書.本文全343頁とかなりボリューミーだが,幕末〜明治中期の政治を中心とした時代変遷をたどるには十分な分量である.

内容は,大きく分けて以下のとおり
渡欧・渡米での文明との出会い(~1873, M6),明治憲法制定まで(~1889, M22),立憲後(1899, M32),立憲政友会設立(1900, M33),憲法改革(1899~1907, M40),清末革命(1898, M31),韓国総監(1906~1909, M39~M42)
明治時代の立憲政治の確立に関しては 1~3章に伊藤の考え方や,そのきっかけが描かれている.その思想とは,生涯に渡り「立憲政治」および「漸進主義」に重きをおき,国民の知の向上が文明発展のキーであると考えるような,サブタイトルの通り「知の思想家」であるといえる(*あとがき).
そのような文明への感化や漸進主義の芽生えは,1863年の「長州ファイブ」による英国留学,そして1871年の岩倉使節団による渡米が大きく影響している.
その後,憲法制定に向けた模索中のウィーンでのシュタインとの邂逅が,「制度の政治家」としての伊藤を決定付けている.そこでは単なる議会制度を通した民主政治のみならず,それを反映し,実際に国家へと還元するような行政の存在が,"政治"の基盤となる,と述べている.
また,そのような行政を行うに足る人材として,"政談"で事をなすような知識人ではなく,科学技術に居した"実学"を重視するという点も,伊藤の文明観の要点の一つと言える.

以下,漸進主義を踏まえた,君主制・民本制を両立できるような立憲制度の考え方や,政党の在り方(単なる徒党ではなく官民融和し最終的に国家に還元できるような存在),韓国総監時の「文明の伝道師」としての側面等が述べられている.

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2015年01月14日

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伊藤博文を国家制度構築の高いビジョンを持った
思想家として見た評伝。
そのビジョンは極めて理想的であるが、
残念ながらそれは日韓両国で失敗し、
かつ現時点においても成功しているとは言い難い。

本自体は分かりやすく書かれており
伊藤の行動を説明づけるものとしては納得がいくもので、興味深い。
一点あえて疑問に感じた点をあげるとすれば、
伊藤博文ほどの人間がナショナリズムに理解が薄かったとは
考えにくいのではないかとも思う。

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2014年01月12日

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筆者が15年の歳月をかけた研究の集大成的な新書。伊藤博文ビギナーの自分にとってはいきなりのフルコース。伊藤博文は、ひろーい幅の(何色も色をもちうる)思想をもって、うまくその時代時代の政治家や知識人と手を結び、明治憲法制定、政友会、韓国統監と渡り歩いたのだというイメージを得た。幅がとても広いだけに節操がない、政治家としての理想がないとの評価をまま受けるそうだけれども、この本は、伊藤博文には理想がないわけでなく、その理想がひじょーに柔軟であるがゆえだということを明らかにしたものと理解した。そして、一般に言われているらしい図に乗りやすいというかお調子者みたいな人物像の一方で、この本がテーマにしているように、人一倍、いろんなことを学ぼうという努力をしている知・実学の政治家だったようだ。なんだかんだ言ってもこれだけ後世に著名な政治家、ある意味ではやっぱり成功ということになるのだとは思う。
とくに合点がいったのは立憲政友会設立の話。それから東大の前身は、官僚育成を念頭に置いて設立されたのだということは在学中から聞いたことはあったが、数々の文献に裏打ちされて実際にそうであることが分かった。そしてここにも伊藤博文が表で噛んでいたようだった。

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2013年12月23日

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 本書では「伊藤博文」を「知の政治家」と高く評価している。
 明治の著名な政治家である「伊藤博文」については様々な評価があるが、本書はその中でもプラスに評価している最右翼の本であると思った。
 とにかく「伊藤博文」の政治活動を現在から見てもわかりやすく考察している。
 そもそも明治期の「政治情勢」はわかりにくい。「憲法」や「政党」が政治の中心にある現在から、それが存在しない当時の政治風景をみても理解しにくいのだ。
 「大隈重信」が失脚した「明治14年の政変」にしても、どのような政治主張の違いがあったのか。
 国会開設が2年後と9年後との主張の違いがなぜ国を揺るがすような争いになったのだろうかと思っていたが、本書を読んで「国家」が「憲法」を持つ意味が少しはわかるようになったような気がした。
 「伊藤博文」は「憲法」をドイツで学んだあとに日本に導入し、「議会政治」が機能するように全力を傾注したことが本書でわかるが、現在の私たちはその後継者として成果を上げているのだろうか。
 現在、「憲法」については「改正」をめぐり議論百出し膠着状態のようにも思えるし、「政党政治」は、「財政」にしろ「年金」にしろ必要な改革は延々と先送りとなっていて、どううみても「伊藤博文」が意図した「文明」や「国力の増進」が実現されているとは思えない。
 本書を読んで「憲法」や「議会政治」「政党政治」を使いこなすことはたやすいことではないと思えた。
 その視点から本書の「清末改革」「韓国統監」を読むといろいろと考えさせられる。
 本書で読む「伊藤博文」は「理念を維持しつつも柔軟な対応に終始しつつ」結果的には失敗した政治家なのではないか。
 新書にしては厚い本であるし、硬い内容だが、飽きずに最後まで興味深く読めた。
 本書は、歴史を現在から見ても理解できるように深く考察した良書であると高く評価したい。

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2013年06月01日

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ネタバレ

これまで,伊藤博文といえば良いイメージの評価が少ない政治家であった。著者曰く「戦前の日本の韓国支配をシンボライズする人物」としても捉えられてきた。

だが,著者は伊藤の演説等の詳細な分析を通じて,その思想を浮かび上がらせ,伊藤が知を媒介とした漸進的な秩序形成を試みていたとし,再評価をしている。

に,伊藤が韓国統治を本国の憲法改革と連動して捉えていたとの指摘は興味深かった。

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2011年10月11日

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ネタバレ

[ 内容 ]
幕末維新期、若くして英国に留学、西洋文明の洗礼を受けた伊藤博文。
明治維新後は、憲法を制定し、議会を開設、初代総理大臣として近代日本の骨格を創り上げた。
だがその評価は、哲学なき政略家、思想なき現実主義者、また韓国併合の推進者とされ、極めて低い。
しかし事実は違う。
本書は、「文明」「立憲国家」「国民政治」の三つの視角から、丹念に生涯を辿り、伊藤の隠された思想・国家構想を明らかにする。

[ 目次 ]
第1章 文明との出会い
第2章 立憲国家構想―明治憲法制定という前史
第3章 一八九九年の憲法行脚
第4章 知の結社としての立憲政友会
第5章 明治国制の確立―一九〇七年の憲法改革
第6章 清末改革と伊藤博文
第7章 韓国統監の“ヤヌス”の顔

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月06日

Posted by ブクログ

・伊藤博文が単に何を為したか、という事実の羅列だけでなく、彼の行動における政治思想を記されていることから、読んでいても頭の整理がつく。
・明治時代に、新たに政治の枠組み、制度を創る立場にある政治家として、当然のことながら自らの軸をはっきりと有していた。
・理想を追うだけでなく、現実、詰まり、実効性を念頭に置いてきたところが伊藤博文を大政治家とする所以だろう。
・先ずは行政力を高め、その為に教育を重視し、帝国大学を創設した点は、伊藤が近代日本の礎を築いたといっても過言ではない。名実共に大久保利道を志を継いだのだろう。

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2011年03月21日

Posted by ブクログ

2010年度・サントリー学芸賞受賞。伊藤の考えていた政友会のかたちについて頁を割かれることが多かったので興味を引きました。政友会の時代への対応が気になっていたので、創立時には何を期待されていた党だったのか知る一つの手がかりになりました。
やや伊藤ヒイキ気味に感じる部分もありますが(※伊藤の甘さもちゃんと指摘されてはいます)これも一つの解釈として参考にしたいと思います。

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2011年02月14日

Posted by ブクログ

読めるところだけ読みました^^;
世間的にはともかく、アカデミズムでも低評価なのか・・・。
確かに伊藤はもっと評価されていい人物だと思う。

司馬遼太郎の「世に棲む日々」を読んでいる限り、俊輔(伊藤博文)の評価は司馬遼好みのタイプではないにせよ、けして低くないと思うんだけどなあ~。

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2010年04月24日

Posted by ブクログ

伊藤博文の再評価。書簡などの史料をもとに、これまで「哲学なき政略家」、「思想なき現実主義者」と思われてきた伊藤が実際にはどのような思想を持っていたのか明らかにしていく。「知の政治家」というサブタイトルには最初は違和感を持つが、読み終わると意味が分かる。新書というよりは論文に近く、手軽には読めない。私生活のことなどにはほとんど触れておらず、政治家・思想家としての伊藤のみにスポットを当てている。

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2011年05月03日

「学術・語学」ランキング