【感想・ネタバレ】野性の呼び声のレビュー

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Posted by ブクログ

力強い文章で惹きつけられる。一気読みしてしまう。

血生臭い描写が多く、犬好き、動物好きにはちょっとしんどいが、野生の厳しさの美しさ、そして使役する人間の持つ身勝手さとその中にほんの少しある高潔さが伝わると思うので最後まで読んでみるのがおすすめ。

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2022年09月05日

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やはり、ジャックロンドンの描く凍てつく大地、野生を剥き出しにして生きる動物の物語はいい。
何不自由なく暮らしていた大型犬が盗まれ、さまざまな飼い主の間をさまよいながら秘めていた野性を開放してゆく。
息をもつかせぬ展開で一気読み。

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2022年05月23日

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ネタバレ

英語学習者向けとして読んだ物語の日本語訳版に触れてみた。この訳者の用いる日本語が最適なのか,原文の力強さがそのまま反映されているのかはよくわからないが,細かなシーンにぴったりの言葉の並びに感銘を受けた。野性味溢れた荒々しさとともに共存する美しさが純粋に表現されているのに加え,主人公の犬が擬人化されすぎていない。人間のような感性を動物に当てはめるのではなく,動物が持つ本能的な「悟り」が描かれており,主人公が動物のわりには,ただの動物好きが書いたり読んだりする小説ではないところが素晴らしいと思う。

【ここからネタバレ注意】
それに加えて,この物語は人間に対する危惧の意味も含まれていると感じる。動物をモノ扱いし金儲けに使う人々,人間の純粋な力では勝てない動物に対して文明が生み出した道具で制圧を加える人々… 物語の後半に登場する,愛犬に対する愛情に満ちた飼い主は,バックの以前の飼い主たちと相反していることによって,人間の愚かさを強調する役割を担っている。
また,著者の経歴をたどってみると,彼の経験が少なからずこの物語に含まれているのだろうと読み取ることができる。自らの心に疼いた好奇心や野心とともに旅に出たが,帰宅すると大切なものを失っていた,というのは深く心に刺さるし考えさせられる。

ひとつ,欲を言うならば,訳者のあとがきにあった「差別的な表現に対する配慮」について。私個人は,原文に人種差別や男性中心思想を含んでいたとしても,そのままに表現して欲しかったと思う。この物語が描かれた時代を克明に示す証拠になりうるだろうから。ますます原文を読んでみたくなった。

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2019年05月14日

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まわりの声が聞こえなくなるくらい夢中になった。
犬の野性について描かれているけど、
これは人間にもあてはまると思った。
自分の人生を超えた、血の流れ。

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2013年03月04日

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ネタバレ

予備知識なく読む。シェパードとセントバーナードの血を持つバックという犬目線の物語。金持ちの飼い犬からカナダ・アラスカの国境地帯の大雪原を走るソリ犬となる。主が変わる度に人間を知り、野生を思い出していくバック。野生覚醒の瞬間であるムースの狩り。ただひたすら追い、恐れさせ、諦めさせ、決定的な時が来るのを息を殺して待つ。どんどん待てなくなっている自分の生活に、執着し追い求めそのときが来るのを待つことの大切さを教えてもらった。まずは野生の呼び声を求め外に出なければね。

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2024年03月28日

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白い牙を読んでからだと既視感はある。同じような展開だなあ〜とパターン化しているように感じる部分もある。でもすごく惹きつけられて読んでしまう。幅広い年齢層に楽しめる素晴らしいエンターテイメントだ。

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2023年12月04日

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ネタバレ

めちゃかっこよかった。判事の家で貴族的な番犬として生きていたバックが不忠な商人に売り飛ばされてアラスカで犬橇を引くことに。環境に見事に適応しながら本来持っていたともいえる野生の力を目覚めさせる。出会いと別れを繰り返して最後に行き着いたところも納得。非常に完成度高く読みやすく、楽しい読書ができた!

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2023年09月20日

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自伝的な作品『マーティン・イーデン』が非常に素晴らしかったことから、まだ未読の作品も多い(翻訳自体がない作品も多いのだが・・・)ロンドンについて、ぱっと手に入りやすい古典新訳文庫から選んだ1冊。40年の生涯という短さの割にはロンドンは多作な作家だと思うが、翻訳されている作品が少ない分、クオリティが高い作品が選ばれているのかもしれない。そう思わせられたほどに本作も素晴らしい作品。

主人公はサンフランシスコの名家で暮らしていた1匹の犬がふとしたことからカナダ・アラスカの極北の地へと売られ、極寒の地で重い荷物を運び続ける橇犬として活躍する様子を描いた三人称小説である。主人公はこの犬そのものであり、彼がいかにして自らの野生の本能を極北の自然の中で発揮していくかがドラマティックに綴られている。もちろん、主人となる人間たちの造形も生々しく、限界の環境で暮らす人間たちの生活の厳しさも十分に伝わってくる。

これを読むと、やはりロンドンの作品をもっと読みたくなってきて、引き続き、和訳が出ている作品については全部読んでみよう、という気持ちにさせられた。

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2022年01月02日

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ネタバレ

ジャック・ロンドンによる北方ものと言われる作品。初めてロンドンの作品を読んだ。カルフォルニア・サンフランシスコからカナダ・アラスカの地へ売られてしまう、セントバーナードなどの雑種であるバックの視点から北方のゴールドラッシュに沸く、人間、犬、狼の暮らしが描かれる。その生活は現代の我々からすると、極めて過酷で暴力的であり、死が隣り合わせの生活である。犬に対する暴力、犬同士の殺し合い、人間の横暴による犬の死。野生による脅迫など、とても生きていけるとは思えない生活である。仮に厳しい自然を乗り越えたとしてもインディアンの襲撃によって命を落とすことがあるという世界。そんな中でバックは野生からの呼び声に応え賢く成長し、狼たちの群れを率いるに至る。
あくまで個人的な体験だが、犬ぞりの描写は映画南極物語を思い出させ、犬の戦いは漫画流れ星銀牙を思い出させた。

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2021年10月04日

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かなり面白く夢中で読んだ。
淡々とした文章で書かれつつも、犬橇や戦いの場面で引き込まれ手に汗握った。
冬の寒い時期に定期的に読みたくなる。

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2021年02月25日

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暖かく幸せな場所で育った犬バックが、極北の冷酷で厳しいルールにたくましく適応していき、やがて犬の王へ上り詰める。バックは決して全ての人間に忠実ではない。抜け目なくしたたかで、生きるためなら盗みは躊躇わず、必要なら容赦なく犬を殺しもする。アラスカという過酷な環境で強く生き抜こうとするその姿は、ゴールデンカムイの「生きて輝け」という言葉がとてもしっくりきた。

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2021年02月21日

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 裕福な家庭の飼い犬として過ごしていたバックが誘拐され、アラスカの橇犬として売られるところから始まる。健気な犬が前向きに頑張る話ではない。バックは文明的な生活を忘れ、弱肉強食の掟に順応していく。

 バックは狼ではなく、あくまで犬である。人間に仕え、鞭を振るわれて橇を引く。忠義を尽くすべく愛した人間もいる。だが、父祖から脈々と受け継がれた眠れる記憶が呼び起されていく。バックをとおして、野生の生き物が持つ警戒心、狡猾さ、容赦のなさ、闘争心は当然に人間にも備わっているということに気が付く。実直や寛容に価値を置く世界に暮らしていても、猛獣の気配を気にしながら闇の中で眠った記憶がその身に刻まれている。

 どんなに教育によって徳を身に付けていても、野生の世界を生き延び、生を継いできた父祖の終着が自分なのだ。身体的なルーツには逆らえない。脳も遺伝子とそれが作り出す化学反応の制約下にある。自分のものだと思っている価値観、情動、意志、判断といった精神活動もどこまで自分のものか分からなくなってくる。脈々と続く何か大きな流れの中の1点に過ぎないのかもしれない。自分の中に自分以上の何かが宿っており、「呼び声」があれば感応するかもしれない。本能の空恐ろしさ、生命に対する畏怖を突き付けられる物語だった。

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2020年11月08日

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翻訳物であることが影響しているのか、あるいは原文のテイスト自体がそうなのか、壮大な物語である割には、あまりに淡々と進行していく感じがして、特にジョン・ソーントンと絆を深めていくくだりなんかはもっと紙幅を使って盛り上げに掛かればいいのに…などと思ってしまうが、執筆から120年近く経った今も決して色褪せぬどころか、輝きを増しているかのような創作世界の素晴らしさと凄みは充分過ぎる。
動物好きであれば、だからこそ読んでいるのがしんどくなる苦境の描写もあるし、リアルな犬の能力を遥かに超えるブッ飛び展開もあったりするが、やはり必読の名著だろう。
時折、シートンの「狼王ロボ」や高橋よしひろ氏の「銀牙」を思い出してしまった。

都市部で暮らす現代の人間ですら、自然の中に一定期間以上身を置いて、一個の動物として過ごせば感覚は鋭敏になり、世代を超越して保存されているであろう遠い記憶が揺り起こされる気配を知るのだから、バックに自ずと共感し、憧憬を抱くのは道理に違いない。

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2020年05月23日

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先日小川洋子さんのラジオ番組で紹介され、とても読みたくなって購入
児童書に入れるべきなのでしょうか?

有名な犬の物語だけれど
まるで犬のバックが語っているようだ。

へんに擬人化されず、ハラハラドキドキ読み進める。
カナダ北部の厳しい自然描写
犬・狼
そして、様々な人間描写

ラストはあくまでも美しい

≪ 闘いの 中から目覚める 太古の血 ≫

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2020年05月13日

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昔、読んだことがあったなぁ、と主人公の名前を見て気づいた。大型犬のバックが主人公。うろ覚えだったため、いつ野生に戻って大暴れするのかハラハラしながら読み進めた。少し勘違いしていた。大暴れは大好きなソーントンのためだった。犬と人間の絆が、変に擬人化せずに描かれていて、我が家に犬がいた頃の感情などを思い出した。
北の国の厳しく美しい自然がすてき。また、ゴールドラッシュや犬橇、ネイティブ・アメリカンなどが普通に出てくると、こういう時代があったんだなぁ、と興味深く読んだ。

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2020年03月07日

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過酷なアラスカの自然、そこで覚醒していくバックの「野生」。大変にマッチョで、なんだかヤクザものの漫画みたいな趣もあるといえばあるのだが、それが面白いんだなあ、と発見。

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2020年02月01日

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100年以上前の作品ながら、ストーリー展開や戦いの描写に引き込まれて、登場人物(犬物)も魅力的で面白かった
最強的わんこの物語
ジャック・ロンドンのほかの書物も読みたいと思った

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2019年04月08日

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ネタバレ

【本の内容】
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。

ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。

大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。

大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。

[ 目次 ]


[ POP ]
ゴールドラッシュ時代のアメリカで活躍するそり犬バックに焦点をあてた物語です。

『もののけ姫』に出てきたあの白くて大きい犬を思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。

原書は1903年に出版されました。

主犬公(?)バックの目から見た人間の愚かさや優しさ、当時の社会がうかがえる歴史小説としても読めます。

1905年に発表された『吾輩は猫である』と比較しながら読むのも面白いかもしれません。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2015年01月18日

Posted by ブクログ

児童文学のときには読む機会はなかったですが、
大人になってから読むことができました。

犬という生き物が使役として有用、という時代に
「誘拐」されて使役されることとなったバックという犬。
彼は、賢い頭脳と、勇敢な心を持っていました。

持ち主が変わり、数々の苦難を味わうバック。
時に、もう動けなくなるところまで
いくときもあります。

だけれども、彼はその精神で苦難を
乗り越えます。
そして、眠れる野性は、
最後の主人の死によって解放されます。

野性ってなんだろう。

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2014年10月14日

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「卵をめぐる祖父の戦争」のラストで「祖父」が読んでいる。
犬の話ということで、作中で登場人物が構想する「中庭の猟犬」と関連があるのだろうか。

2014/4/30
読んだ。
とても活き活きと描かれている。ゴールドラッシュ当時の風俗が映像をみるように浮かんでくる。
人間が登場しないシーンで、台詞が全くなく、描写的な記述が続くシーンが特に良い。ヘラジカを斃すシーンや、最後に狼の群れを率いるシーン。魔の山の雪山のシーンが浮かんできた。

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2018年12月18日

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この小説を読んでいる最中、まず思い出してしまったのが「水曜どうでしょう」の企画のひとつ、ユーコン川160キロでした。ちょうどその近隣が主な舞台ですし、ユーコン川も何度か出てきますし。おかげで情景がより良くイメージできたような気がします。ですがこの作品は「どうでしょう」のようなユルさが魅力の番組とは対極の荒々しくて逞しい犬の物語でした。苛烈な環境の中で野生に目覚めていくバックの姿は、さまざまなものにすっかり飼い慣らされてしまった私の目には誇り高く、また、気高く映り魅了されました。

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2013年02月22日

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野生のオオカミが、人間に飼われ、慣れていく話。
ブルドッグと闘うシーンなど、昔読んだことを覚えている場面もあった。

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2012年11月15日

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ずいぶん昔に読んだことがある。
再読して、「こんな話だったっけ?」というのが第一印象。昔はきっと筋を追うので精一杯だったんだろう。

新訳の効果か、ゴールドラッシュに沸く北方の雰囲気、そこで一山当てようとしている男達、犬の群れの中のリーダー争いなど、決して「犬と人との交友」なんて甘っちょろい言葉には決して当てはまらない空気を感じる。

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2016年04月26日

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‐放浪への原始の渇望がわきあがり、
習慣の鎖にいらだつ。
その冬の眠りよりいまふたたび、
野生の血筋がめざめる‐第一章 冒頭文より

アメリカ西海岸の裕福な飼い主の下で、恵まれ暖かな生活を送っていた大型犬バック。
しかしある日、使用人の背信行為により、ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯に売り飛ばされてしまう。
橇犬となり過酷な自然の中で生き延びてゆくバック。
そんな日々の中で、少しずつその血に眠っていた野生が目覚めてゆく。
シンプルでリアリズム溢れる文章。
野生に目覚めて行くバッグの様子が生き生きと書かれ、物語の中にぐいぐいと引き込まれる。
本当に自由に誇り高く生きるとは、常に孤独にさらされ厳しい戦いに勝利せずば手に入らない・・と思ってしまいました。
新訳、大きめの文字で読みやすいのも○。

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2009年10月04日

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ジャックロンドンはすでに「白い牙」「火を熾す」(短編集)と読んできた。

自然界の様子をリアルに、力強く簡潔に描かれているところは流石で、特に極北の冷たい雰囲気がよく伝わった。

ジャックロンドンは、あえてなのかもしれないが、淡々と物語を進めるのでスラスラ読めるがここがイチオシといった名場面を探すのは難しいかもしれない。

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2019年10月14日

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伝説の狼王バックの数奇な運命を辿る小説の旅。
余計なエピソードや描写が多く、またバックがあまりにもスーパー犬なのにはちょっと鼻白むところもあったが、ここまで犬視点で物語を構築した手腕はさすがです。

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2017年12月03日

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ゴールドラッシュ時代の犬の話。
あらすじはお金持ちに飼われてぬくぬく暮らしていたけど、ひょんなことから犬ぞりに使われることになって、次第に野生に目覚めていく…!みたいな感じ。

ジャックロンドンは、柴田元幸さん訳の『火を熾す』が良かったから今回これを読んでみたけど、だいぶ趣の違う話しでびっくり。
説によると、ジャックロンドンはいろんなジャンルの小説を書いてはるらしい。知らなかった。
でもまさか犬が主人公とは。
まあ楽しんで読めた。
ハウス名作劇場とかにでもなってそうな話の流れだったと思う。
多分ほんとにアニメになってるんじゃないだろうか。

最後の野生に帰る直前の雰囲気が好きだった。
なんとなく視点が上にあがって視野が広がっていく感じがした。
なんでや。

ジャックロンドンの本では「どん底の人々」っていうのがおもしろそうだったから読んでみるかもしれない。

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2010年12月01日

Posted by ブクログ

純粋に、物語として楽しみました。荒々しく、男性倫理で貫かれた小説で、1903年に出版されたのに全然古くさく感じない。とりあえずゴールドラッシュのことをもっとちゃんと知りたいかも。ただ、訳はもうちょっと荘厳な感じで読みたかったなあ…タイトルも「荒野の呼び声」の方が好き。柴田さんの訳で出てる「火を熾す」が本当に読みたい!!
作者について言うと、女性差別・人種差別は時代が時代だから仕方ない…んだろうと思う。1日19時間も勉強してようやく大学に入って、それなのにお金がなくて退学せざるを得ない、なんて、社会主義に転倒するのも当たり前だ。

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2009年10月07日

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