【感想・ネタバレ】東京水路をゆく―艪付きボートから見上げるTOKYO風景のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

最近読んでる地図・地形マニア系の本で、東京周辺の水路(河川・運河)を船からの視点から見た場合の良さを語った本。著者はタモリ倶楽部の神田川分水路の回で講師だったとか。
河川によって基準となる水面の基準の高さが違うとか、細かい所も面白いが、水辺から見た風景を一度いろいろ見てみたいなあという気分にはさせてくれる。
個人的には、東京ゲートブリッジ、羽田可動橋、神田川分水路、“最低橋”茂森橋あたりは行ってみたい。

0
2012年05月19日

Posted by ブクログ

 1966年神田生まれの著者による『東京水路をゆく』(東洋経済新報社 刊)は、この大東京を「街歩き」や「クルマ」といったありきたりな手段によってではなく、モーターボートを操縦しつつ探索し続けた、まさに入魂の記録である。著者・石坂善久は、自分が出不精で、もしもモーターボートでの水路探検という外出方法との出会いなかりせば、間違いなく「ひきこもりになっていただろう」と白状している。
 船舶の操縦と聞くと、私などはつい不当にも、加山雄三的な金満御曹司の脳天気ぶりを想起してしまい、ほとんどどうでもいい世界だと早合点してしまいそうになる。しかしながら本書は、著者のこの「ひきこもり」体質がいい方向に出ている。あくまで水路の好きな人士が、日々心を込めて書きつけた文章が連なっているのである。隅田川、荒川、中川、江戸川といったおなじみの大河にとどまらず、神田川、日本橋川といった東京人にとってまさに愛玩の対象となってきた都心河川、そしてもちろん都内の江東地区、あるいは芝地区、品川・大井地区を縦横に流れる大小の運河、堀割、果ては外堀の側部地下を流れるダークな暗渠河川に至るまで、くまなくその性質、鑑賞ポイント、水質、橋桁の高さ、潮の満ち引き、名称の推移などについて、愛に満ちた記述で網羅されている。これが貴重な読書体験でなくて、何がそうだというのだろう。私は日常的に中央区や江東区の水路を眺めて暮らしている者だが、普段なにげなく通り過ぎていたちっぽけな運河にも、ちゃんと由緒正しい名称があることなど、蒙を啓かれた思いだ。
 そして、本書のページをめくりながら、私は不意に、幼少期、亡き父に晴海のモーターショーへ渡し船で連れて行かれたこと、まだ本所両国に再建される以前に蔵前にあった国技館に、水上バスで連れて行かれたことなどを思い出してしまった。亡き父は、貧しい財布と相談しながら、幼い私にすこしでも冒険心を抱いてもらおうと必死で、地下鉄や都営バスではなく、あえて東京から消えゆく水路という交通手段を選んだに違いない。これは、今だからこそ理解できる事柄だ。

 撮影用語でいうところの「ローアングル」。本書はいわば、ローアングルのみによる東京博物誌である。加藤泰の遺作『ざ・鬼太鼓座』(1981)には、波を被るほど水面ギリギリのローアングルから撮影された和太鼓奏者の勇姿が、きわめて鮮烈なフォルムに収まっていた。そして、本書はその記憶を幽かに呼び覚ましながら、ゆるりとした水面からの前進移動ショットの記述に貫かれている。
 ただし、このアングルの貫徹は、やもすれば単調を生む。一読者としての私は、本書後半でその記述の単指向性にいささか飽きてしまったことも認めなければならない。だが、この単調さは元来、本書にとって最大の特長であり、このことこそ、本書の存在理由なのである。

0
2010年12月11日

Posted by ブクログ

ボートに乗って、そこから見上げた構造物を紹介。橋などを地上から見た本はそこそこあるこけど、水面から、というところが新しい視点。同じ構図から見てみたいと思っても、なかなか実践するのは難しいか。豊洲、東雲などの湾岸エリアの住人は結構楽しめるかも。

0
2012年01月03日

「ノンフィクション」ランキング