【感想・ネタバレ】森に眠る魚のレビュー

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怖すぎ

有名な『文京区お受験殺人』をモチーフにした作品とのこと。
乳飲み子がいる身としては、近い将来身近にこういうことが起こると思うと恐ろしい。ママ友(笑)達ってみんなこんな怖いの?って思うくらい全員鬼。
生々し過ぎて最後まで目が離せなかった。

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2014年07月15日

Posted by ブクログ

すごい本でした。途中からぞわぞわが止まらないのにページを捲る手は止まらない、怖いのに見てしまうホラー映画のような。。
知らずに手に取りましたが実在した事件がモチーフなんですね。ママ友って確かにとても不思議な存在で、子供を接点として繋がっているので家庭環境や経済状況、これまでの人生のあゆみがまったく異なるひとたちとのコミュニティなわけで、解説でも書かれていましたがちょっと気になったズレが後々大きな亀裂になっていく様子の恐ろしさ、また自分との差が惨めな悲しさ、他に頼る人がいないさみしさなど様々な感情を揺り動かされました。

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2023年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

所詮、ママ友って偶然同じ幼稚園や保育園に入園し、たまたま近くに居合わせて話をし、当然のように連絡先交換、当たり前のようにランチしたり子ども同士遊ばせたり……でもそのママ友本人の本質をどれだけ知っているか?は分からない。とりまく環境だけで友達のような気分になっているだけだから。(もちろんそこから本当の友達になる事は有るけど。)
5人の母親のリアルな実像をしっかり捉えて描かれていたので、5人を混同する事も無く読みやすかったし、共感し、戦慄し、怒りを感じ、そして彼女達と同じなんだと安心もした。
この話の中で一番「この物語の価値観の中での成功」をしたと思える瞳が一番不穏な結末を見せた。
そしてそうでは無い他のママ達は徐々に自分を取り戻しつつある結末を予感させる。
なんとも皮肉な結末を用意した作者さんに拍手を送りたい。

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2023年11月13日

Posted by ブクログ

 私はまだ子育てを経験してないので、知らぬ世界のはずだが、妙にリアル。良い意味で、気分を害しながら読んだ。読んでてしんどくなるのに読む。角田さんが怖い。(これもいい意味で。)

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2023年10月15日

Posted by ブクログ

私はまだ20歳で、ママ友という関係については詳しくないけれど、少しずつ噛み合わなくなったり疑ってしまったり、関係が拗れていく描写が全部リアルで、読み終わって結構な期間が経った今でも心に残っている本です。もう一度読みたい。

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2023年08月12日

Posted by ブクログ

まさに自分も誰かのママ友で、ママ友を持つ身。
この本はママ友はもちろん、ママとしての自我がリアルでゾッとする。

登場するママたちの渦を巻くような心の中、ママ友へのザラっとした感情、それを封じ込めて笑顔を貼り付けるところ。パパ友ではないであろう、ドロドロなのにキラキラで、楽しくもあるし、どっと疲れる日常が書かれている。

私もそうだよ、人には言えないけど同じように感じて嫌になることがあるよ、と、共感すること多数!
女ってただでさえ難しいのに、子供の母という共通点だけで繋がるややこしさ。これはもう苦行というかホラーだと思う。

コロナの影響で保育園行事が縮小したり、みんなで集まってイベントする機会が減り、家族だけで過ごせたこの3年は楽だった。
今年度はどうなるかな。戦々恐々としている。

解説も良かった。

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2023年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東京・文教地区で子育てをするママ友たち5人の物語。
郊外育ちで都心の暮らしに憧れる繭子、嫉妬心の強い容子、気さくで明るい千花、不器用な瞳、セレブ妻のかおり。はじめは次々に登場する母親と夫、子どもたちが、誰が誰だか整理ができなくて焦ったけれど、あまり構わずに読み進めていくうちに頭の中に自然と相関図ができあがってきた。作者の筆力だろうか。みるみるうちに5人の容姿や言動が、”見えて”くるようになる。
気心の知れた関係がお受験をきっかけに崩れていく、というストーリーだが、彼女たちが出会った頃の公園のシーンも、私には”気兼ねなく話せる仲良しグループ”に思えずどこか不穏な空気を感じた。場面が変わるごとに視点も変わるのだが、5人それぞれの心理描写は細かくリアルだ。特に終盤、彼女たちが少しずつ壊れていく姿は息付く間もなく畳み掛けるような心の声が続き、一気に読んでしまった。
時代背景が90年代後半ということも特徴だ。今の世代であれば、ワーキングママも多いしLINEなどのコミュニケーションツールもあり、本作で描かれる孤独や嫉妬とはまた違う感情が生まれるのだろうと思う。最初はなぜ90年代なのかわからなかったのだが、実際に起きた事件をモチーフにしているという。本作では”未遂”に終わり、彼女たちの日常は続いていく。誰に感情移入したわけでもないが、希望はなくとも明日はあって、家族がいて、変わらない日々が続くことの幸せも苦しみもすべてが重くのしかかってきた。

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2023年03月16日

Posted by ブクログ

ホラーである。日常生活から気付くと喉元に鋭利な刃物が光り、血しぶき、壊れる 壊れる 血しぶき
角田光代自身が壊れているのでは?
と思わせる迫力
汚れた水がストッキングを通してどんどん上へと染みていくような感覚(p119)は男には書けない!

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2023年01月31日

Posted by ブクログ

お母さんは子供のためなら
何でもがんばれる
狂えるほどに
我が子が一番なのは誰しも一緒
たまたま年が近い子供がいるだけで
「ママ友」ってママがつくだけ厄介
お父さんにはわからない ドロドロの世界

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2022年12月11日

購入済み

しみじみと残る後味の悪さ

幼稚園で知り合った、出身も学歴も経済状況も違うママ友3人と東京に憧れて分布相応なマンションを購入したヤンキーっぽい子のグループが、お受験をきっかけに信念の揺らぎ、疎外感、依存心、妬み、猜疑心と本性をむき出しにして、仲だけでなく自身の精神状態を蝕んでいく、ノンフィクションか?と思わせるリアルな物語。

母親各々の孤独感と必死な感じが伝わって来て、読んでる間中、背筋が心がゾクゾクした。
ある意味ホラー。
○○ちゃんのママという友達枠は、その期間の中でだけなお付き合いでしかないのを痛感させられる。
この物語にあるような心情は、女社会では誰しも多少はあるあるな話で、これを男性読者に共感、読み応えを感じさせるのは難しいように思う。
が、女同士って内情はけっこうドロドロ、面倒臭いを通り越して怖いんだな…を体感してみたい男性は是非!一冊にまとまってます(笑)
これから新しい環境での幼稚園、小学校入学があるお子様をお持ちの女性読者には、対人関係の距離感といった戒めを含めて読んでおかれると良い指南書にもなりそう。

#切ない #ドロドロ #怖い

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2022年11月08日

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最後の解説を読んで実話をモチーフにしているであろうという事に更にママ友の難しさを恐ろしく感じた
子供のためにやっているつもりの事が自分本位になってしまう事で子供に多大なストレスがかかる事があることも何だか切なかった

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2022年09月09日

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久しぶりに電車以外で集中して読書に引き込まれたお話。
5人の女性(メインは4人)ママ友のお受験のお話。
たまたま受験を題材にしてたけど、これは女ならどんな環境でもあり得る。
女の見栄というか、ネガティブなところ、というか、抜け駆け、というか、依存というか、嫌なところがよく描かれていた!さすがだわ、角田光代さん。

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2022年08月27日

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本文を読み終わるまで不快だった。
子供のことをまるで考えていない母親しか出てこない。自分のエゴを満たすためにお受験をさせ、他と比較して優越感を得ようとする諸々。

しかし、解説を読んでまた違った視点が芽生えた。「人の親も人である」ということ。子を産んだ瞬間から母親になるわけだが、「母親のプロ」など存在しないこと。誰しもが手探りで子供の幸せの為に奮闘し、戦友を募り、共闘したいと願う。受験戦争という代理戦争では、一度火がつくと取り返しのつかない冷戦状態となる。

それにしても、登場する5人の母親達の心理はどうしようもなくアンビバレントな状態が続く。価値観の違いによって、自分の今まで正しいと信じてたものが信じれなくなり、正しくないと切り捨てたかったことに執着するようになる。

自分の母は一体どういった心理状態だったのか、それを確かめられずとも、こうした疑似体験によって、感覚を理解することはひとつの親孝行の形だと勝手に思う子のエゴ。

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2024年05月16日

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2回目。
1回目は、へーおもしろい。こんな世界もあるんだぁ〜くらいの感想だったと思う。
母になって読んだ2回目は、おもしろいけれど気味が悪いと思ってしまった。言語化できないけど、女の嫌な部分がモロに出ている感じ…文京区という土地柄もあるんだろうなぁ。身の丈に合ったところに住みたいと思った。

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2024年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 めちゃくちゃ面白かった。
そして自分に母親は無理だと思った。
知花が容子をお茶に誘い、瞳が繭子に連絡先を渡し、繭子がかおりに声をかける。

 初対面で話しかけてきた瞳に迷惑そうな態度を取った容子が瞳に執着し、逆に憧れていた知花を目の敵にする。繭子に親切に声をかけた瞳が最終的に繭子に酷い目に遇わせられ、心のどこかで気疲れを感じてたはずの知花に依存する。そしてその知花が憧れのかおりに距離感バグりムーブをかます。

皮肉。皮肉すぎる…
しかし、根っからの悪人はこの作品にはいない(と思う)。はじめは意気投合しても、やはり違うタイプの人間が長く付き合うのは難しいの。子供の出来や収入の差でどうしても溝が出来てしまう。

 一番嫌いなのは容子。瞳は感情移入してしまう事が多い人物だが、「あの事件」の容疑者の生い立ちそこまんま…一番闇が深いのかもしれない…。繭子は育ちが悪いとかそういう次元を超えてる気がする…こいつは誰よりも不幸になって欲しかった。

 生まれてから母親に振り回され続け、周りの大人にも裏切られた衿香ちゃんが一番可哀想。

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2023年10月28日

Posted by ブクログ

仲良しママ友の、当然あるズレ―生活観、価値観、子供の教育観、経済力―が、誰が悪いというものではないが、孤独、不安、焦燥、依存を生み、どうしようもない陥穽へと嵌っていく。

あとがきに、実際にあった「ママ友」による幼児殺害事件をモデルにしている…との言及があった。この事件は、復讐系の漫画でも取り上げられていたように思う。広告で見ただけで本編は見ていないが。犯行は到底許されるものではない。しかしながら、その犯人の心の根底にあったのかもしれない「病理」をこの作品は描いている。単純な勧善懲悪ではなく、人間の孤独、嫉妬、それによる破綻という社会の暗部を。

リアルで、そして、なんとも怖い話だったなあという感想です。読み応えはありました。

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2023年09月09日

Posted by ブクログ

ママ友での嫌ミス。些細なボタンの掛け違いから歪みが大きくなり自己が崩壊するようになるまで追い込まれる。
女性のママ友の世界、女性特有の世界は本当にこんな悍ましいのかと男に生まれてよかったと思う。
五人の女性に八人?九人?の子供たち。
誰が誰なのか最初は分からなくなったが、個々の個性が強く途中からは迷うことはなかった。
最後はもっとドロドロした終わり方でもよかったのでは、と思うが、このような終わり方で締めてくれる角田光代さんの優しさでもあるのかなと。

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2023年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ


5人の母親たちの心理描写が事細かく書かれた作品。
好意・憧れ・嫉妬・憎悪など言葉では言い表せないほどの感情が、"子供のお受験"を機に目まぐるしく動いてゆく。

ママ友は友だちではないけれど、頼りになる存在。
それでも我が子が一番可愛いので、たとえ信頼しているママ友に対しても負の感情が出てきてしまう。

作中で一人称が"彼女"に変わる章について、個人的には5人全員が当てはまるなと感じる。
それほどまでに、母親は精神的に追い詰められている。

困った時に自分の話を聞いてくれて、共感してくれる相手が欲しかっただけなのに、どうしてこんなにも難しいんだろう。

何でも話せる夫婦でありたいね、ってある意味プレッシャーでもあるよね。

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2022年12月07日

Posted by ブクログ

お受験が絡み合うママ友の話。
自分自身まだ未婚だから、ママ友の世界に蔓延る噂話や嫉妬的な感情とは無縁の世界で生きているけども、そこに受験が絡んだりするとまた一筋縄ではいかないんだなと思った。


あとやっぱり、自分の生活環境と同じ位の人と仲良くなったり付き合うべき。
地位の高い人の話を聞いて、「この人すごーい!」って思う分には勝手だけど、じゃあその人と仲良くなれる?って問われると別物だと思う。
自分と同じ生活している人でないと、色々と疲れそう。
今回でいうと、繭子や千花、かおりがそれに値するかな。
見下したり見上げたり。それって絶対疲れるよね。


400ページ超にも及ぶ長編だけど、ものすごく見応えあって、次の展開が気になって楽しく読ませていただきました。

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

近所に住む5人の母親たちのはなし
最初が〇〇(これから関わりのでてくる女の名前)は〇〇(その女の人物像がなんとなく想像できるような内容の動作)をしていた。そのとき〜〇〇は〇〇〜をしていた。っていうのが続いてワクワクした
好きな感じの始まり方!!

それぞれ別の人生を歩んできた人たちがここから仲良くなってギクシャクしていってっていうのが全員の角度から描かれてて全員の気持ちがわかるなーと思いながらスラスラ読めた

特に印象的だったのは物事を物怖じせずいう繭子の事をそういうあけすけな部分を美点と思っていたはずの千花が半年ぶりに会ってみると嫌なところばかり目に入り以前は美点と思っていたところが欠点に思えるようになってたみたいなことを思うシーン
こういうことってあるよなぁ
とにかくこういうわかるなぁっていうことがめちゃくちゃ起こる

面白かった!でも登場人物が多いから誰がどの親の子どもだったっけ?とか〜って前回どういうふうに思ってたんだっけ?とかなった

とにかく価値観の違いとかが顕著に表れるからママ友でずっといい関係でいるのって結構難易度高いのかもって思った

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2022年09月10日

Posted by ブクログ

怖い。女というものを煮詰めたようなものが描かれていて。

理由は様々だが、繋がりたい衝動と、離れたい後悔を繰り返すのはもはや性なのかもしれない。
いつも結局昔からの友達を大事にしよう、という結論に至るのはわかっているのに、わかっているはずなのに。何故か人間と繋がろうとして、人間が嫌いになっていく。

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2024年03月19日

Posted by ブクログ

★3.5
育児を通して出会うママ友5人。
(繁田繭子・久野容子・高原千花・小林瞳・江田かおり)
それぞれがそれぞれの良いところに惹かれ合い仲良くなる様子からそれぞれの悪いところに嫌気がさし壊れていく様子…すごいです!
なんだろ?破片がくっついて塊となり、また破片になってく。

読み終わった後はホラーを読み終わった感覚でした。
ま、私には子供はいないので『ママ友』は分かりませんが…

てか、これは実際の事件(文京区幼女殺人事件)がモチーフなんですね…
あとから知ったそんな事実にもゾワっとしました^^;

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2024年02月20日

Posted by ブクログ

再読。
周りと自分を比べる必要はないと言い聞かせながらも、人は、特に女性は、ありとあらゆる年齢で
ありとあらゆるステージで、自分と他人とを比較せずにはいられないのがリアル。
自分は自分と割り切れたらいいのに。

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2024年02月15日

Posted by ブクログ

2024.1.31

大切なのは学歴じゃなく、子どもが伸び伸び育ったか、愛されたかだ。と頭ではわかっているはずなのに、幼稚園のうちからお受験のためのお勉強をさせたり、保護者のコンプレックスを子どもの人生で解決しようとしたり、有名学校に入学させた子どもをまるでブランド品を持つかのように自慢する母親たち

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

子を持つ母として共感できる部分は多々ありました。
個人的には女同士のドロドロした物語は読んでいてしんどくなってくるので苦手です。

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2023年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

★3.5
前半はのほほんとしたママ友の話で余り面白くないが、後半からのどろどろしたママ友同士の妬み、嫉み、依存が面白い。一番ヤバイと思ったのは、マユコかな。他のママ友のおさがりもらおうとしたり、ベビーシッターしたからお金要求したり、金にがめついのが見てて痛々しかった。

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2023年07月19日

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ママ友関係の閉塞感がよく表されていた。 お受験戦争とか虐待とか、他人事のようだけれど、実は誰にでも起こりうることだと思う。

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初は誰が誰かなかなか覚えられず戻って確認することも。
序盤は人物像をあえてぼんやり書くことで読者側も登場人物に対するイメージの変化を感じられて面白い。
最高に気が合う友達!っていう流れからの少しずつ嫌な部分が目についてじわじわと亀裂が入っていく感じがリアル。
「彼女」のくだりは誰にでも起こり得ることなんだと言いたいんだろうけど、どんな事件が起きるのかと期待していただけにただ自然に疎遠になっただけという結末に肩透かしを食らった感じはある。

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2022年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

角田さんらしく、女性のネガティブな気持ちが上手く表現されていると思います。最初は生い立ちが異なることがよい刺激となり仲良くなり、ママ友になっていく。しかし、受験が絡むと生い立ちが異なることが、疑心暗鬼の原因になるという恐ろしさが上手く表現されてましたね。後味は悪いという作品。

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2022年08月28日

Posted by ブクログ

いわゆるママさん方のいざこざや複雑な関係性がリアルに描かれていて、母もこのようなことを経験してたのかなと考えさせられた。

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2022年08月22日

Posted by ブクログ

オードリーANNで若林さんが春日家のことでこの小説のことを思い出すと言っていて、読みました。(本は積読していた)
読み終わるのに随分時間が掛かりましたが、もちろんつまらないことは無く、ただ独身男にとってはわかりにくい話ではありました。まるでこの話に出てくる夫と同じだということでしょう。

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2022年11月22日

Posted by ブクログ

 解説を読んで、1999年の「文京区音羽幼女殺人事件」がモチーフになっていると知った。友達の娘を殺害するという衝撃的な事件だった。かたや合格、かたや不合格という悲劇的な結末の幼稚園お受験に絡めて、「お受験殺人」とも呼ばれていた。
 私自身は「自分は自分、子供は子供」という考えで、お金のかかる私立校受験のことなど露とも考えなかったし、考える環境になかった。もし文京区のようなお受験地区に住んでいたら考えは変わっていただろうか…いや、子育て期、私の生活拠点は職場にあったのだから、やはりすんなりと公立へ行かせていたでしょう。
 この事件に関するネット記事の中で、ある主婦がこんなコメントをしている。
「この街では、たとえ自分の夫が医者でも尊敬されない。自分の子供を国立大付属に入れた親がチャンピオンなんです。その制服を着た子を連れて歩くのがステイタス」
夫とか子供とかって…自分自身はどこに存在するのでしょうか。○○ちゃんのママとか、○○さんの奥様としか呼ばれないのって寂しくないか?
 だから小説の中で瞳が参加していたボランティア団体「ひまわりプロジェクト」のような、個人としての居場所が女性にも必要なのだ。実際、瞳はその仕事と仲間に充実と安心を見出していた。仕事、サークル、習い事…形態はなんであれ、一個人としての活躍の場。
 夫や子供、あげくは友達にさえ依存するからめんどくさいことになるのだ。
 解説の中で、作家の朝比奈あすか氏はこう締めくくっている。
「幼稚園を卒園し、小学校へ。この小説をどう読むかは読者に委ねられているが、わたしには彼女たちがこどもの手を握り、一歩ずつ前へ歩いている姿が見える気がした。向かう先には途切れることなく続いてゆく「母親」という尊い日常があると思った。」
…果たしてそうだろうか?母親という尊い日常なんていつかは終わる。その先へつながる自分の道を一個人として考える必要があるのではないでしょうか。

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2023年05月26日

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