【感想・ネタバレ】小石川の家のレビュー

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Posted by ブクログ

幸田家四代の文章を読んでいると、そのどっしりと腰の座った明快な保守性に清々しささえ覚える。幸田文の娘、青木玉のデビュー随筆集。美しくときにユーモアさえある筆致に惹きつけられ、起き抜けに一気に読んでしまった。近年なかなかここまで風通しのよい文章にはお目にかかれないので、ホンモノの綺麗な日本語にふれたい人にはぜひとも読んでいただきたい。

文章の流麗さについ魅せられがちだが、なかなか内容は波乱に富んでいる。母が離婚し小石川の祖父の実家で暮らすことになった幼い玉。明治の文豪・幸田露伴の理不尽なカミナリオヤジ(※言葉を選びました)ぶりにも母の容赦なく厳しいしつけにも耐える日々。露伴先生の無茶なジジイぶりは文豪でも人間だ…となんだかしみじみした。玉と文とのエピソードで玉が文にお年玉で帯枕を贈る話が好きだ。とつとつと語られる露伴の胸糞悪いいじわるクソジジイぶり(まあ。なんとはしたない言葉遣い、ごめんあそばせ)だけでなく、こういう暖かくなるような一編があるからこそ、本著は名随筆と言える。

青木玉さんの本は母の幸田文さんと比較すると、じっとりとしたしゅうとめ感(?)がなくカラリと読みやすいので、若い世代にも長く読み継がれることを祈る。

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2020年05月27日

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厳格で緊張するエピソードの連続だが、孫の遊びに本気出したり鉄道唱歌が止まらなくなる露伴に時々くすっと笑える。なんだかんだいって密な家族関係。
お年玉のくだりは泣けた…

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2017年12月27日

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1929年(昭4)幸田文の長女として生まれた青木玉のデビュー作「小石川の家」(1994.8刊行、1998.4文庫化)を読みました。1938年(昭13)母幸田文は離婚し、娘9歳の玉を連れ、祖父露伴の小石川の家(蝸牛庵)に戻りました。それから1947年(昭22)露伴の死までの10年間、祖父露伴、母文と過ごした自分の幼い日々を振り返ったエッセイです。なおラストの「三日間」では、1990年(平2)10.31母の死から11.2の葬儀までの様子が綴られています。1994年度文部大臣賞を受賞した作品です。

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2017年02月23日

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昭和十三年の、母文の離婚から、戦争を経て、母が死ぬまでの「幸田家」が描かれている。
時に理不尽にも見える、祖父や母の言いつけ。
昔の暮らし。
そして、戦争のこと。
露伴が戦時中、勝ち目のない戦線に投入されていく若者を傷んで号泣したという話は、心を打つ。

それから、食べものの描写もなんともおいしそう
しかし、食にうるさかった露伴の要求をかなえるために、裏でどれだけの用意がなされたことか。

この本は著者が還暦を過ぎるころに書かれた本のようだ。
生活の細部をこんなにも鮮やかに覚えていることに驚嘆する。

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2013年12月14日

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…泣いたわー泣いちゃったわー。露伴と文の死んじゃう描写泣いちゃうよ。戦時下、露伴の「若いものがなぁ、若いものが。」という言葉。そして文の厳しいしつけ、露伴の家のしきたり。それだけで物語みたいだ。いいなぁ、とてもいい!

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2012年09月15日

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小石川の幸田露伴の家へ移ってから、
戦後幸田露伴が亡くなるまでの話し。
幸田露伴ってこういう人だったんだぁってよく分かる。

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2009年10月04日

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吠えるも堪えるもただ泣くも、なんと見事な昭和の生きざま。どうして今まで読んでないのか。ぬかったよ。幸田文好きと言えないや

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2017年04月22日

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幸田家の様子が、手に取るようにわかった。

昔は厳しい時代だった事も知り、
今の時代に生きる自分は恵まれているなと感じた。

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2012年02月20日

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もうこれで何度目かの再読。ドラマで見たのが本を読むきっかけでした。
9歳の青木玉さんが、離婚した母(幸田文)と共に
祖父(幸田露伴)の住む小石川の家での生活を綴ったもの。

こんな明治いや、慶応生まれのカチカチじーさんに、三つ指ついて家政婦のごとく
尽くしまくる暮らしなど、私はまっぴらごめんこうむるが(笑)、
父の要求を上回る完璧な家事と機転の良さで立ち回る母に対し、
娘玉はのろまで気が利かず、いつも祖父や母に叱られると言う構図が楽しい。
自分を重ねてしまう(笑)。
しかし、私では到底理解できない膨大な教えを露伴や文から受け継いだ玉さんを羨ましいと思う。
生活術や着物の事など、教えて欲しい事は山ほどある。

また、文の看病をする玉を、近い将来の自分と重ねて涙してしまったりもする。

いろいろ考えさせられる話ではあるけど、
この愛とユーモアに包まれた厳しい家族の話が私は大好きだ。

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2010年02月06日

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祖父露伴、母文との戦前、戦中の暮らしのエピソード集。露伴の頑固ジジイ振りは明治の文豪の面目躍如であるが、世話する身は大変である。母娘の凛とした生活は清々しい。

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2009年10月07日

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探している本とは違った。序盤は現代と違う「厳しい」エピソードがどうにも読んでいて面白くなかったが、終盤の戦争や身内の最期に関する部分はエピソード力が圧倒的。それだけで読んだ価値はあった。

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2020年10月08日

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幸田露伴の孫で幸田文の娘の著者。気難しいけどどこかユーモアのある祖父との生活を想い出すエッセイ。幸田文さんのエッセイは、少し悲壮感を感じるものでしたが、こちらは大変な中にも、何か面白さを感じます。親子2代で描き出す露伴像、とても強烈でした。

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2013年09月03日

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幸田露伴は未経験なれど、幸田文は結構好きらしいから、期待度高。
幸田文よりほんの一滴世俗的、いや二滴かな・・・?で強さのある文。
でも、こんな風に人のお家を覗き見るのは楽しいもの。

もうひとつ、小石川、上野、立川
知ってる街の知っているところ知らないところ
ふたつが重なり合って、何かが少し確実に滲む。

バカな私は小さな日本家屋に引っ越したくなりました。

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2009年10月04日

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今年のお正月に『幸田家の人びと』という特番を観て、幸田文の娘もものを書く仕事をしているのだと知った私。露伴は読んだ事がないのですが幸田文がとても好きなので、その娘さんは一体どんなものを書くのか?と興味津々で購入したのですが、わたし的には若干期待外れでした。昭和初期生まれの方なので致し方ない部分はあるにせよ、文章のテイストが古すぎて古すぎて(書かれたのが90年代初めとは驚き!)。テレビで観た著者の、今時の人とは思えないぐらいちょっと浮世離れした古風な言葉遣いや振る舞い、しぐさは十二分に文章にも表れていたけれど、エッセイとしては若干読みにくい部分もありました。だけど露伴の傍若無人なまでの亭主関白っぷり(実際には文は娘なので“亭主関白”という言葉は当てはまらないのですが)やそれに愚痴ひとつこぼさず尽くす文の姿は、読んでいて大変興味深いものがありました。戦前の日本の男の人ってこうだったのねえ、と。嗚呼、私は現代に生まれてよかったなあ、と(笑)。まあなんだかんだ書き連ねましたが、著者が幸田文について書いたエッセイもあるようなので、今度はそっちも読んでみたいなと思ってはおりますが。ちなみにどうでもいいけど『幸田家の人びと』によると、著者の娘も文筆業をしているらしい。蛙の子は蛙ってこの事ね(才能が伴うかどうかはさて置き)。

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2009年10月04日

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