感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「わたしたちは、「どうも」「お疲れさま」「よろしくお願いします」を、なぜこれほど使ってしまうのか? 」と言う帯の言葉につられて買った本です。確かに私もよく使います。
この本にもあるのですが、私も「とんでもありません」と電話口で取引先の方から言われたときに妙な違和感を感じたものです。「とんでもない」だから「とんでもありません」なんだろうけど「とんでもある」ってあるのかなって思ったりしたものです。
いくつかの言葉を取り上げて、それが不自然でったり本来の意味と違っていたりしても、現代の形で成り立っている以上、そこになんらかの意味があると客観的な思考で説明されるのを読むのは楽しいものでした。そこで、多くの言葉が、自分の責任をあいまいにしたり、自分に責任はないと案に説明したりしている、、そんな言葉が増えたような印象でした。
と思って読んでいるタイミングで、会社で電話受注で話をしていた女性社員が「○日到着でよろしかったでしょうか?」と過去形で確認していました。確かに彼女の眼の前にはパソコンの受注画面が・・・・。
筆者の鋭い考察に脱帽でした。
Posted by ブクログ
読み始めのときはちょっとうがちすぎじゃないかと感じたが、読んでいるうちに徐々に慣れてきた。
著者は言語の専門家ではなく経済学の専門家なので、言葉の歴史や用法の変化にはさほど詳しくないと思われるが、しかし人間の行動を分析するゲーム理論的な観点での言葉の使われ方やその社会的な背景に関する洞察は新鮮で、自分の場合はどうだったかを考えながら著者の主張を読んでいくと、身の回りの言葉遣いについて納得させられることが多々あった。
ただ1件気になったのが、「順序を付けた二者択一基準の問題点」における記述。メタボの診断基準の順番と選挙の二者択一の順番の決定が同じ問題を起こすように書かれているが、前者は基準に当てはまる対象の選択の問題で、後者は複数候補間の比較の話だから問題としては全く異なると思われる。つまり、メタボの診断基準の順番を仮に変えたとしても、その基準のいずれかに当てはまる人は、順番によらず必ずいつかはメタボと診断されるのに対し、選挙の場合は当然比較の順番によりどの候補が当選するかは変化する。多分よくある決定不能性の話をしたかったのだと思われるが、明らかに問題としては違うのでこの点は残念だった。
とは言え、全体的には自分や身の回りの言葉づかいを深く考えるきっかけを与えてくれる好著で、ゲーム理論の応用範囲は広いなと感じさせる1冊。
Posted by ブクログ
「戦略的思考」なんて、たいそうなタイトルがついていますが、内容は最近の日本語について感じた違和感や疑問点を感じた筆者が経済学という視点も交えながらあーでもないこーでもないと分析していくという、エッセイものです。
取り上げられる日本語は「お疲れ様」や「よろしくお願いします」などの(日本語特有の)あいさつ言葉から「やばい」「義理チョコ」、「デフレ」など、多岐に渡ります。
そこまで専門的な内容ではでないですし、新規性もありませんが、とにかく筆者の文章の巧みさやユーモアのセンスに没頭してしまい、約300ページがあっという間に終わってしまいました。 エッセイとはいってもただの与太話ではないので、経済書の息抜きとしては良いと思います。
ただ、”ゲーム理論”は後半に少し登場するだけで、この本の主役ではありません。
Posted by ブクログ
ゲーム理論と言葉について。
割と難しい箇所があった(自分の知識不足は否めないが…)ので、読みやすくはなかったが、少し理解できた部分は、なるほどと思わされる部分もあった。