感情タグBEST3
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「カーマイン・レッド」のラストシーンの鮮烈な美しさが初めて読んだときから忘れられない。
それからなんといっても「カトレアの真実」。
切なく美しく謎解きの楽しさも物語としての重みもある。完璧。
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なんとキュートなタイトルでしょう!びっくり仰天のアイディアとか、面白いガジェットが飛び出すわけではありませんが、かえってそれが古さを感じさせません。SFの舞台装置を借りながら、人の内面をじっくり見つめたバリエーション豊かな作品集です。
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星雲賞を受賞した表題作「そばかすのフィギュア」、デビュー作「ブルーフライト」など、八篇の初期作品を集めた珠玉の短編集。
もの悲しくも美しい物語をお楽しみください。
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SF・ファンタジーの作品を8編収録した短編集
表紙のデザイン、各短編につけられているイラストはどこか可愛らしさを感じさせるのですが、内容は全体的にシリアスなものが多いです。
表題作「そばかすのフィギュア」は、自分たちがデザインしたキャラクターが入賞し、その副賞として、デザインしたキャラクターたちのフィギュアが送られてきた学生たちが主人公。そして、このフィギュアのみそは、主人公たちが考えた設定に準じて、自立的に思考や行動をおこなうところです。
このフィギュアたちの設定は、すでに相思相愛の王子と姫そして王子に叶わない片思いを抱く女の子です。そして、このキャラクター達をデザインした靖子は、王子に片思いを抱く女の子のアーダに、自分の今の境遇と重ね合わせます。
アーダは王子と姫が結ばれることが王子のためと考えその恋心を隠し、王子のために行動し、また靖子も先輩のため、自分の気になる男性と先輩との仲を取り持ちました。
そのため靖子は、アーダがなんとか王子と結ばれるようフィギュアのアーダの仕上げを丁寧にしたり、そばかすを消して、より顔をきれいに見せようとしたりと、なんとか二人を結び付けようとします。
叶わない恋心とフィギュアのアーダの純真さが、可愛らしくも切ない短編でした。また靖子がアーダに自分の姿を投影する描写も、なんだかうなずけてしまえます。
そしてアーダと靖子の二人の関係の結末も切なく、とても完成度の高い短編だったと思います。
虚弱体質のため、ずっと無菌室で過ごしてきた女性と、彼女を世話するアンドロイドの姿を描いた「雨の檻」
どんでん返しの驚きと、ラストの切なさが印象的です。
美術学校に入学したものの、そこで居場所を見つけられない少年と、ロボットの交流を描いた「カーマイン・レッド」
ピイの好きな色はこの、カーマイン・レッドなのですが、なぜ彼はその色を選んだのか?
二人の交流を通して、人間と機械の壁がところどころで見られるのですが、それに対しピイは何を考え、カーマイン・レッドを選んだのか。それが分かる場面は、どこか胸が締め付けられます。
クローン人間とオリジナルの会談を描いた「セピアの迷彩」
オリジナルの夢見ていた一生を、なぞることを宿命とされたクローンとオリジナルの対面は、倫理的な問題や、それぞれの人生の問題が絡み合う、重厚で、そして残酷な短編です。
短編集の中で最もファンタジー色の強い「月かげの古謡」
強い領主を父に持ち、幼いころから力や強さが正義だと教えられてきた主人公が、父に認めてもらうため、財宝を探しにいきその先で不思議な女性と出会う短編。
幻想的で静謐な描写も、主人公が徐々に領主としての責任や、この不思議な女性に好意を持っていく描写も素晴らしいのですが、単にハッピーエンドで終わらせず、静謐な描写と相まった、静かな寂しさの残る幕切れも、読者の心に残ると思います。
初出から25年近く経った作品ばかりなのですが、それぞれの作品にある残酷さ、あるいは切なさは決して古臭いものではなく、今も、そしてこれから先も読者の心をとらえるものだったと思います。
第24回星雲賞〈国内短編部門〉
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初期短編集。移民宇宙船やクローン、機械人形などが出て来て世界観的にはSFなのですが、内容は青春ものだったり恋愛ものだったりミステリだったりホラーだったり。SFって懐が大きいんだなあと改めて実感。ドロリとした怖さが底に秘めていたり、冷たい寂寥感が漂っていたりともの悲しい作品が多かったです。
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8つの短編小説。切ないけど、優しい話ばかりだった。
「お夏 清十郎」は、時間飛行ができる日舞の家元・奈月のお話。
過去へ行って、当時の名演を見聞きし、受け継いでいくために時間飛行を繰り返す。しかし、時間を超えることはまだまだ研究途中で、彼女の体に大きな負担をかけてしまう。自分が満足に踊れなくなってしまっても時間飛行を繰り返す奈月。その理由は、時間の狭間にいる清十郎に会うためだった。
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せつないSF短編集。
宇宙船が出てきてドンパチやるのがSFではない。
こういう感情の細やかな機微まで描いてる小品たちを読んでいると、SFというジャンルに対するイメージが変わりました。
最新技術によって、動き・話し・感情も持つフィギュア。
そんな彼らの恋と人間との交流を描いた表題作は、とても印象に残りました。
いじめられっ子の少年と人間型ロボットの出会いと別れを描いた「カーマインレッド」も素晴らしい。ラストに胸を打たれる…。
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著者の初期短編集ということで、17歳で発表(!)したデビュー作から93年作までをまとめた一冊。確かに出来にばらつきはあるけど、どれも著者らしさを感じさせる話だった。日本舞踊や音楽など普段あまりSFと結びつかないテーマをとりあげるのが上手い作家だと再確認。好きだったのは「月かげの古謡」。ちなみに「カーマイン・レッド」ピイ・シリーズの続きは「プリズムの瞳」。
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SF童話的な短編集
《雨の檻》外に出られない少女。ゴム人形の親友。外に出て初めて知る真実とは……?
《そばかすのフィギュア》お姫様にはなれないそばかす娘。報われない自分を重ねる……。
《お夏 清十郎》踊れない踊り子。時遡の力と孤独。夢の中の清十郎を追いかける。
《月かげの古謡》お姫様への求婚。男が試練を受ける。姫の代わりに問題を出す妖やかし。妖やかしに惹かれていく男。試練は終わるが姫と王国はすでに……。
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恋愛やジュブナイル要素が印象的だが、さりげなくSF的な世界観。「本格」的なSFを敬遠してしまう人にも読みやすい。
一見、ほんわかして優しい話が多いが、オチや背景には残酷な面もある。人の心の温かさと、酷薄さが相際立つ短編集。
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SF風味の短編集。
オチが予測しやすい話かもしれないけれど、『雨の檻』が好き。
恋愛と絡めた話が多い気がする。そういう話は立て続けに読んでしまうと、印象が似かよってしまうので勿体ないことをした。
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表題作がとてもよかった。二人の女の子が無垢で可愛い。
ピィの話の男の子二人組みの話もよかったです。鮮やかだった。
もっと一つ一つのお話が、長く細やかに語られればいいのにと思いました。
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著者の短編集『雨の檻』に1作加わり8編となった初期短編集。
「雨の檻」・・・細菌に勝てない体を持ち世代宇宙船で生まれたシノは、ずっと無菌室に閉じこめられたまま感情型ロボットのフィーと過ごす日々を送っていた。その生活は単調で、両親とも直接ではなく立体映像を通してしか会話もできず、さらに数少ない変化を見せてくれていた映像窓も何年も前から雨しか映さなくなっていた。
そんなある時、立体映像で会話していたパパの画像が突然乱れる・・・、そしてその日を境に宇宙船、フィー、制御を司る中枢とシノを取り巻く環境に狂いが生じはじめ・・・
「セピアの迷彩」・・・智子は恋人ネッドを交通事故で失った、しかし彼はクローン技術によって再生され、赤ん坊から新たな人生を始めていた。それを知った智子は、もう一度出会えたなら彼はまた自分を好きになると信じて自らのクローンを残すことを決意する。その資格を得るため亜光速実験船に乗って・・・。
一方、そんな智子のクローンとして生まれた良美は、智子の身勝手な都合と執念とも言える想いによって苦しんでいた。そして25歳になったある日、二人は出会う・・・
「雨の檻」のラストは捻りがあって良かった、どれも切ない話でSFとはいえ多くの人が抵抗なく読めるのではないかと思えた作品集。